すばらしくてNICE CHOICE

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ヒューゴの不思議な発明 / Hugo

73点/100点満点中

巨匠マーティン・スコセッシ監督の初の3D映画。主演は『縞模様のパジャマの少年』でナチスドイツ将校の息子を演じたエイサ・バターフィールド。ヒロインには『キック・アス』『モールス』の期待の子役クロエ・グレース・モレッツ。ブルーノやボラットなど奇抜なキャラクターを演じてきたサシャ・バロン・コーエンやジュード・ロウが脇を支える。脚本は『グラディエーター』『ラストサムライ』『ランゴ』や今年公開の007シリーズ最新作も手掛けてるジョン・ローガン。第84回アカデミー賞では撮影賞、美術賞、視覚効果賞、音響編集賞、録音賞を受賞。製作費1億5000〜1億7000万ドル。2012年公開作品。

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1931年のフランス・パリ。父を亡くした12歳の少年ヒューゴは、リヨン駅構内の時計台に隠れ住み、時計の整備をしながら、父の遺品である壊れた不思議な"機械人形"を心のよりどころに毎日を送っていた。ある日おもちゃ屋で万引きを働き、店主の老人に捕まり、人形について書かれた大切な父のノートを取り上げられてしまう。ヒューゴは老人の養女イザベルと仲良くなり、一緒に機械人形の秘密を探ってゆくのだが・・・。
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本作を語る際に『ニュー・シネマ・パラダイス』に言及する話を聞いていたが、なるほどそれも納得で、クロエ・グレース・モレッツ扮するイザベルの養父パパ・ジョルジュは実は映画の創成期に活躍したジョルジュ・メリエス監督その人であり、作品の後半は彼への敬意がふんだんに盛られた展開を辿る。"映画の父"と称されるリュミエール兄弟が制作した『ラ・シオタ駅への列車の到着』(YouTube)に影響を受け、自分の劇場を持つほどに成功していた手品師から映画製作に乗り出したのが1895年だという。本作にも重要なシーンで登場する『月世界旅行』(YouTube)を撮ったのが1902年となる。

世界初の職業映画監督ともいわれ、1896年から1914年の間に555本の作品を撮り、『月世界旅行』を見ても分かるように特殊効果の創始者でもある。映画を力強く発展させたその功績を讃えることをテーマのひとつにしている本作が最新の撮影方式である3Dを採用していることは必然であり、彼が活躍して頃から映画というものが活力を失わず、なおも発展をし続けているという娯楽映画を撮る人間の信条が良く表れている。

そういう意味では3Dを使うのは分かる。オープニングでパリの全景が映し出されてから、カメラがズームアップされ続け、一気に時計台の裏側から駅構内を眺める主人公ヒューゴの瞳に行き着くワンカットには、3D技術のすごさとそれだけに頼らない演出の巧みさがよく出ていて思わず息を飲む仕上がりだ。技術の問題でいえば、リュミエール兄弟の時代には駅に到着する列車だけで十分驚いていた観客もいまでは相当にすれっからしになっていて、普通の特殊効果ではびくともしないが、そんな映画ファンを慌てさせるMr.BIGのアルバム『Lean Into It』のジャケットを再現してしまう場面はさすがだった。黎明期の彼らに負けていないという矜持を覚える。実際には同じパリではあるけれど、モンパルナス駅で1895年に起きた事故だそうだ。

作り手の心情は理解できてもやはり3D映画にはいまだに違和感が残る。目が疲れやすいという個人的な問題もあるが、絵そのものにパンチが弱くなるように思うのだ。奥行を出すためなのか人物が小さく映ることにいまだに慣れないでいる。

また、本作が私の好みと合わないのは、エイサ・バターフィールドとモレッツというなかなか魅力的な子役を揃えていながら、ふたりの物語を中心に描くというよりも、結局3DやCGなど最新技術を見せる映画に終始してしまっていることだ。もちろん父を亡くしたヒューゴの成長の物語であることは確かなのだけど、そこにはこの映画だけの何か特別なシーンがあるのではなく、分かりやすく記号化された救済と成長と出会いしか描かれていない。
2012.03.07 Wednesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:58 | - | - | -
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