すばらしくてNICE CHOICE

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うつしみ

59点/100点満点中

1999年の園子温作品。出演は荒木経惟、荒川眞一朗、麿赤兒、鈴木卓爾ら。

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写真家のアラーキーや服飾デザイナー・荒川眞一朗、今や大森南朋の父として知られることの方が多くなった偉大なる舞踏家・麿赤兒らのドキュメンタリー映画を撮りながら同時進行で新たな新作プロジェクトを進める園子温。女子高生がおでん屋の青年に熱烈に恋する物語を撮り始めるが・・・。
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愛のむきだし』で衝撃を受け、『冷たい熱帯魚』で確信に変わり、『恋の罪』『ヒミズ』がダメ押しとなった園子温だったわけだけど、それ以前の作品を見ていないのもまずいだろうと1999年の作品である本作以降をまとめて鑑賞してみた。どうして本作なのかといえば、最寄りのレンタルDVD屋に置いてあった一番古いのが本作だったためだ。

高い映画代を同じだけ払うならハリウッドの大作映画を選んでしまう人間なので、海外のホラーならまだしも日本の自主制作映画なんてほとんど見たことがなく、本作の奇天烈ぶりがどれほどのものかは比較しようがないのだけど、この10数年後に東電OL殺人事件をモチーフにした『恋の罪』で描くことになる犯行現場の渋谷・円山町にあるアパート(まだあるんだね→産経ニュース)を廃墟然とした姿で本作でもすでに登場させているのが興味深い。

また園作品といえば全力疾走するシーンが多々出てくる印象がある。本作でも走ることで全てを忘れ、自分らしくいることができる女子高生が90年代後半の懐かしい渋谷の街を力一杯走り抜ける。毎回映画記事でのあらすじはallcinemaからコピペして適当に加筆修正して使うのだけど、今回は掲載されていなかったために、アマゾンのを見てみたら、当時雑誌に載った作品紹介記事の文章があり、それによると、"90年代から「東京ガガガ」なる、走る路上パフォーマンスで名を馳せていた園子温が、その走りの美学を立体的に描き殴ったのがこの作品"とある。なるほど、『ヒミズ』でも『愛のむきだし』でも走っていたのはそういう経歴もあるからなのかと納得した次第。

同時に10年来の疑問も解けた。知り合いに幼馴染み同士の女性ふたりがいるのだけど、一方がもう片方に、"○○ちゃん、東京ガガガだぞ"とささやきかけると、いわれた方が怯えるというお決まりのやりとりがあり、その"東京ガガガ"という語感の面白さもあり、ずっと不思議に思っていた。ロックバンドのガガガSPではないらしい。彼女たちもそれが何なのかよく分からないで、ただ過去に怖い体験をふたりでしていて、今でもその時の想いを呼び覚ますキーワードとして"東京ガガガ"が持ち出されているようなのである。

今回、園の経歴を読み、あっ!となったわけだ。繋がったと。確認でふたりに詳しく訊いてみたところ、高校を卒業したての頃、"東京ガガガ"と書かれたのぼりを持ち、スピーカーを持った集団とまだ歩行者天国があった原宿で遭遇したらしい。ふたりは冷やかしで隣を歩いてみたところ、今でも強く怖がる方がのぼりを渡されてしまい、ふたりはしばらく一緒に行動を共にしたのだけど、やがて怖くなってきてのぼりを返して走って逃げたのだという。曰く、昔の学生運動のような感じで、赤と黒の印象だったらしい。現在ネットにアップされている写真だとモノクロでありイメージできないが、園子温が行っていた路上パフォーマンスを偶然見てしまい、現在もトラウマとして心に焼き付いている人の目撃証言だ。羨ましい話である。

閑話休題。アラーキーやファッションデザイナー、麿赤兒ら3人がそれぞれの現場で自らを表現する瞬間を切り取り、園たち映画制作組は疾走少女とおでん屋の恋物語の脚本の読み合わせ現場を映し出す。その現実部分を縫うようにしてテンションの高いラブストーリーが次第に幅を利かせ始めていくが、ラストシーンではフィクション世界に撮影スタッフが堂々と映り込んでも物語はかまわずに突き進んでいく。その熱量の大きさこそが今も失われていない園作品の味わいなのだろう。




<園子温>
1961年、愛知県豊川市生まれ。
1985年、『俺は園子温だ!』でぴあフィルムフェスティバル入選。
1987年、『男の花道』でぴあフィルムフェスティバルグランプリ受賞。
1990年、『自転車吐息』がベルリン国際映画祭正式招待作品に。
1994年、『部屋 THE ROOM』でサンダンス映画祭審査員特別賞受賞。
1999年、文化庁新進芸術家在外研修員としてアメリカ留学。
2005年、『Strange Circus 奇妙なサーカス』でベルリン国際映画祭フォーラム部門
                                 ベルリン新聞・読者審査賞受賞。
2006年、『紀子の食卓』でカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭特別表彰。
2008年、『愛のむきだし』でベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞とカリガリ賞受賞。

1985年 俺は園子温だ! 【監督/出演】
1990年 自転車吐息 【監督/脚本/出演】
1991年 きらい・じゃないよ 【出演】
1993年 部屋 THE ROOM 【監督/脚本/編集】
1997年 桂子ですけど 【監督/脚本/製作/美術/編集】
1998年 男痕 -THE MAN- <ピンク映画> 【監督/脚本】
1999年 うつしみ 【監督/脚本/撮影/編集】
2000年 0CM4(ゼロ・センチ・メーター・フォー) 【監督/脚本/編集】
2000年 性戯の達人 女体壺さぐり <ピンク映画> 【監督/脚本】
2001年 盲獣VS一寸法師 【出演】
2002年 自殺サークル 【監督/脚本】
2002年 HAZARD ハザード 【監督/脚本/原作】
2004年 ノーパンツ・ガールズ 〜Movie Box-ing2〜 【監督/脚本】
2004年 園子温ファンタ・ジア SHORT FILM COLLECTION <OV> 【監督/脚本】
2005年 夢の中へ 【監督/脚本】
2005年 Strange Circus 奇妙なサーカス 【監督/脚本/音楽】
2005年 紀子の食卓 【監督/脚本/原作】
2006年 ダメジン 【声の出演 ゴールデンチャイルド】
2006年 気球クラブ、その後 【監督/脚本】
2006年 時効警察 <TV> 【演出/脚本:第4、6話】
2007年 エクステ 【監督/脚本】
2007年 図鑑に載ってない虫 【出演】
2007年 ヒミコさん 【出演】
2007年 帰ってきた時効警察 <TV> 【監督/脚本:第3、6話 / 出演:第7話】
2008年 東京残酷警察 【出演】
2008年 愛のむきだし 【監督/脚本/原案】
2009年 ちゃんと伝える 【監督/脚本】
2010年 冷たい熱帯魚 【監督/脚本】
2011年 恋の罪 【監督/脚本】
2011年 ヒミズ 【監督/脚本】
2012年 希望の国 【監督/脚本】
2012年 勝・新 KATSUARA <TV> 【出演】
2013年 みんな! エスパーだよ! <TV> 【監督/脚本/出演】  
2013年 地獄でなぜ悪い 【監督/脚本/音楽】
2014年 TOKYO TRIBE 【監督/脚本】
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2012.05.31 Thursday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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