すばらしくてNICE CHOICE

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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い / Extremely Loud & Incredibly Close

89点/100点満点中

『リトル・ダンサー』『愛を読むひと』のスティーヴン・ダルドリー監督の2011年の人間ドラマ。主演の少年は本作がデビューとなるトーマス・ホーン。共演にトム・ハンクス、サンドラ・ブロック、ジョン・グッドマン、ジェフリー・ライトら。製作費4000万ドル。

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9.11同時多発テロで父を失った少年オスカー・シェル。いまだ悲しみから立ち直れずにいる母リンダと暮らしている。父の遺品の中から1本の鍵を見つける。入っていた封筒には"ブラック"の文字。オスカーは鍵に父のメッセージが託されていると確信し、母に内緒でニューヨークに住むブラック氏をしらみつぶしに訪ねて謎を解き明かそうと決意する。祖母のアパートに間借りしている風変わりな老人が彼の探索の旅を手伝うようになる。
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いい映画だった。9.11という大の大人であっても精神的に長く参ってしまう事態に直面し、しかも運悪くその日ワールドトレードセンターにいた父親を亡くしてしまう少年が抱えた辛さは計り知れなく、最愛の父親とかつて楽しんでいた遊びを通して、事実を受け入れ癒されていく話となる。

少年のキャラクター造型がとても丁寧かつ繊細になされていて、しかもそれを演じる子役がそれまで演劇をしたことがないというのが信じられないほどに作り込まれた人物像にリアルさを吹き込んでいる。亡くなる父親をトム・ハンクスが、夫を亡くし、残されたひとり息子とは擦れ違いだけで関係をうまく修復できず困惑する母親役にはサンドラ・ブロックが、近くで見守る祖母、それと少年が変わり始めるきっかけとなる祖母の家の部屋を間借りする男の存在、アビー・ブラックとその夫のエピソードもうまい。

ほとんど善人しか登場しない物語ではあるのだけど、描き方に嫌みがなく、それというのも子供に特有の傲慢で冷酷で自分勝手な一面もしっかり描写していることで、他の映画のように大人が敢えてそれをする必要がなく、ハリネズミのように体をハリで尖らせ身構えてしまう傷ついた少年が立ち直る姿をよく描けている。

優しい物語の映画を得意としないので知らないだけかもしれないが、9.11からの癒しを描いた映画は『再会の街』しか知らず、意外に少ない印象を受ける。あの事件直後には例えばビルが立ち並ぶ都会にヘリコプターが墜落するシーンであっても、ビルにぶつかることなくそのまま下のアスファルトに激突するという演出が取られていて、そうした配慮が印象的だった覚えがある。しかし10年の月日が流れ、『ダークナイト ライジング』や『アベンジャーズ』などの最近の作品では一時期自粛されていたニューヨークが崩壊する場面を再び描くようになっている。もちろん悲劇を忘れたわけではないだろうが、映画の中ならば破壊されるニューヨークという演出を受け入れられる程度には風化してきたのだろう。同じように傷ついたあの日の心模様を綴るドラマも増えるのかもしれない。
2012.09.04 Tuesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:58 | - | - | -
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