すばらしくてNICE CHOICE

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アーティスト / The Artist

67点/100点満点中

モノクロ処理されたフランス産コメディドラマ。2011年のカンヌ国際映画祭で初上映され主演のジャン・デュジャルダンが男優賞を受賞。アカデミー賞では10部門で候補となり、作品賞・監督賞・主演男優賞・作曲賞・衣裳デザイン賞の5部門で栄冠に輝く。製作費1500万ドル。

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1927年のハリウッド。サイレント映画の大スター、ジョージ・ヴァレンティンは彼に憧れる女優の卵ペピー・ミラーと偶然出会う。その後彼の主演作でエキストラの役を手にした彼女と再会。1929年、時代は映像と音声が同期したトーキーへと大きく変わる。ジョージは自分は芸術家だと主張し無声映画に固執し、瞬く間にスターの座から滑り落ちる。彼とは対照的に時代の波に乗り、ペピーはスターの階段を駆け上っていく。
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新しい映像世界を生み出した3D映画はチケットが高額でも売れるとあって、興行的にもおいしく、一層の盛り上がりを見せるこのご時世に、白黒でしかもサイレント映画(厳密には違うけれど)というギャプでもって際立たせた作品。

賞レースでの成功も納得の人情味溢れる物語は好感が持てるし、主人公ジョージ・ヴァレンティンの愛犬ジャックが見せる演技もかわいらしく、そのアギーがカンヌで"パルムドッグ賞"を受賞したというのも頷ける。

トーキーで一躍スターとなったペピーが、無声映画はセリフがない分誇張した演技が必要となり不自然と語るように、必要最小限のセリフを言葉だけのコマとして役者の演技の間に盛り込ませ、それ以外は受け手の想像力に任せるサイレント映画では複雑な物語は作れないし、舞台劇のようなオーバーアクションでもって今どういう事態になっているのか誰の目にも明らかな演技が要求される。

分かりやすい人情ドラマと魅力的なキャラクターに支えられているから楽しめるものの、そうした当時の手法そのままに制作されているだけのただのいい映画で終わっているのも事実だ。

映画界がトーキーに変わりつつある中で、ジョージは俳優としてではなく生身の自分の声も失われたのではないかと動転し、身の回りの物を慌てて倒してみて音が出ることを確認するシーンが巧い。その時初めてそれまで音楽のみだった映画から物が実際に倒れる"音"がする。外を歩く女性たちの笑い声も聞こえてくる。彼だけが音を出せない存在なのだ。このためにそれまで無声映画という大昔の手法を用い、当時の役者たちが実際に抱いたであろう絶望感を表現し、続くトーキー時代になるとセリフが普通に出てくるという凝った演出なのかと感心した。しかしそんなことはなく、その後もまたサイレントのまま物語が進む。

ただ、無声映画時代の大スターの彼が離婚する際、妻から何かいいなさいよと詰め寄られ、スクリーンの中の俳優としての彼がそうだったように、無言になるしかないという演出は悪くない。

しかし、ラストシーンでのそれまでのくびき外しを考えると、時代の移り変わりでもって、登場人物たちも同じようにセリフを出せても良かったのではと思ってしまうところではある。様々な表現や物語が生み出されている現代で、ただの心温まる良い物語で終わらせてしまうのではなく、もう少し工夫が欲しい。
2012.11.18 Sunday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:58 | - | - | -
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