すばらしくてNICE CHOICE

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冬の小鳥 / 여행자

73点/100点満点中

2009年の韓国映画(フランスとの合作)。ドラマ。原題は"旅行者"の意。主演は本作の翌年『アジョシ』でも活躍することになる子役のキム・セロン。製作のひとりには『オアシス』『シークレット・サンシャイン』『ポエトリー アグネスの詩』のイ・チャンドン監督。

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1975年韓国。9歳の少女ジニは大好きな父に連れられ、ソウル郊外へとやって来る。何も教えられないまま児童養護施設の門をくぐる。やがて父だけが黙って施設を後にする。父が迎えに来てくれると信じるジニは、自分は孤児ではないと周囲に馴染むことを頑なに拒み、反発を繰り返す。そんな反抗的なジニを、先輩のスッキが気に掛け、何かと面倒を見る。少しずつ心を開き始めるジニだったが・・・。
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悲しい物語が苦手だ。いい方は悪いがお涙ちょうだいな人情ドラマを積極的に見ようとは思わない。拳銃を片手に派手に撃ち合って、誰かが銃殺されたり爆殺されたり殴り殺されたり毒殺される物語が好きだ。だから本作の評判を聞いてはいたけれど、『アジョシ』のあの子が幼いのに理不尽な現実に打ちのめされる映画と早合点してなかなか手に取らずにいた。そろそろ見る予定の韓国映画も尽きてきたのでついに鑑賞したわけだが、情緒に流されない意外なほどすっきりとした作品になっていて、そういう意味ではまあ悪くなかった。

本作がデビュー作となる監督自身(女性)が、"実際に韓国のカトリック系児童養護施設からフランスの家庭に養女として引き取られた自らの体験をベースに"しているそうだ。

また苦手な映像作品の話になるが、「はじめてのおつかい」という昔からやっているテレビ番組も嫌いで、何がそんなに魅力なのか理解できないのだけど、本作はさしずめ"はじめてのひとり立ち"(全くうまくいえていない)といった趣だ。彼女の口から一応の事情は語られるが、娘を自分で育てることを諦めた父親(1カットだけ顔を見せるシーンがあり、贅沢にもソル・ギョングが演じている)に見捨てられた少女ジニが、現実を受け入れて、自らで選択して人生を歩み始める。

「はじめてのおつかい」のような安っぽい涙は上手に除かれている。カメラの前でようやく笑えるようになるシーン以上に気に入った箇所は、干してある布団を体全体を使って思いっきり叩く場面だ(伏線もよく効いている)。ジニは促され、持て余した悲しみを布団を打つ棒に注ぐのだけど、その直後に修道女がジニを呼びに来る。ここでも悲しみに浸りすぎることをよしとしない、かなりドライにも思える演出は心地良い。

その一方で、冒頭での養護施設を強引に出て行こうとしたジニが、次のシーンでは普通に戻っているのが疑問で、ひとりで生きていくことへの恐れが当然あるだろうし、施設で生きていくことを選択するは分かるが、境界線の外に一度は出た者が素直に戻ることの心の葛藤や周囲の反応がもう少し描かれて欲しいところだ。

ジニを演じるキム・セロンは当時8歳前後だろうか、演技力はもちろんあるし、安心して見ていられるが、けしてかわいい顔立ちの子役ではない。冷たいともいえる印象的な瞳と意志の強そうな唇。後に大作映画に出演するだけのことはある不思議な魅力を持った子役だ。


韓国映画を見る際にいつも参考にしているサイトによると、ジニが父親に歌っていた歌はヘウニ(혜은이)という済州島出身のショートカットのアイドルが、1975年にヒットさせた「あなたは知らないでしょうね(당신은 모르실거야)」(YouTube)。2001年には当時人気の女性アイドルグループ・Fin.K.Lがカバーし、ヒットさせたそうだ(YouTube)。

養子縁組が決まり、孤児院を去る仲間を見送る時に歌われる歌は、1曲目が「蛍の光」で、2曲目は洪蘭坡(ホン・ナンパ)という、"朝鮮歌曲の先駆者と称えられている"作曲家が戦前に発表した童謡「故郷の春(고향의 봄)」(YouTube)。
2013.01.15 Tuesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:58 | - | - | -
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