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テッド / Ted

89点/100点満点中

マーク・ウォールバーグがテディベアと共演するコメディ映画。監督は俳優、声優、アニメーター、脚本家、コメディアン、製作などで活躍し今回初めてメガホンを取ったセス・マクファーレン。テディベアのテッドの声も担当している。ヒロインは『ブラック・スワン』でナタリー・ポートマンのライバル役を、『ステイ・フレンズ』ではジャスティン・ティンバーレイクの恋人を演じたウクライナ生まれのミラ・キュニス。他にも意外なカメオ出演がある。製作費6500万ドル。2013年公開作品。

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1985年のクリスマス。友だちのいない孤独な少年ジョンは神様にお願いをする。すると、奇跡が起こり、大好きなテディベアの"テッド"に魂が吹き込まれ、動き喋り出した。ふたりは片時も離れず友情を育む。月日は流れ27年後。ジョンはダメ中年と化し、テッドは朝からボングを吹かし、大麻に女と外見の愛くるしさとはかけ離れた言動を取るようになっていた。ジョンの恋人ロリーは、彼がテッドに悪影響を受けすぎることを心配し、テッドを家から追い出すよう迫る。
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昨年7月のアメリカの映画ランキングで初登場1位になってからずっと見たいと思っていた作品が、DVDスルーにならず劇場で、しかも立ち見が出るほどの熱気に満ちた映画館で見られたことは本当に嬉しい。館内は序盤から笑ってやろう、楽しんでやろうという空気が充満していて、オープニングでのクリスマスとユダヤ人をかけた軽いジャブに爆笑が起きていたことにはさすがに違和感を覚えなくもないが、それでもコメディであっても行儀よく静かに鑑賞することが多い日本人が気軽に大声で笑える雰囲気が醸成されていたのはいいことに思えた。

まあ冷静に見れば、爆笑を誘うコメディではなく、終始クスクス笑いが漏れるタイプの作品ではある。アメリカの、80年代のテレビから現代のゴシップまでの小ネタが散りばめられいるので、全てを理解して笑うことは難しくもある。映画評論家の町山智浩が字幕の監修に携わっているおかげか、"星一徹"や"くまモン"といったアレンジが一部でなされていたのはとてもありがたい。そういったアイディア翻訳は雰囲気を壊すたぐいのものではなく、例えば"くまモン"が使われるシーンでは、テッドとウォールバーグ演じる主人公ジョンが大ゲンカをする場面であり、くまモンといわれてキレるテッドがとても彼らしくあり、自然な改変といえる。

広告会社でキャリアウーマンとして働く恋人のロリーは怠惰なテッドの暮らしに染まるジョンをどうにかしようと躍起であり、ジョンもロリーこそが自分にとって本当に大切な人だと分かっているからこそ、テッドとの腐れ縁にひと区切りつけようとする。ジョンの成長物語であり、同時に頼りないけれども愛嬌のあるジョンと、どうして彼に惚れているのか説明されても彼女の同僚と同じくいまいち理解できないものの彼を深く思いやっているのがよく分かるロリーとの恋愛ストーリーでもある。もちろんジョンとテッドの雷兄弟の友情物語であることは間違いない。

クライマックスではカーアクションもあり、可愛らしいふわふわしたテディベアが汚い言葉を発したり、ガンジャやコカインでぶっ飛んだりするただダラダラするだけの映画ではなく、起承転結のあるきっちりとした物語になっている点でも楽しめる。

ゾンビランド』ではゴーストバスターズ、『ハングオーバー』だとマイク・タイソン、『ピラニア リターンズ』はナイトライダーの主人公といった具合にここ最近のコメディ(コメディ?まあコメディか)では、往年のスターを隠し玉にする傾向があるようで、本作では『フラッシュ・ゴードン』で主演したサム・ジョーンズが登場する。全く知らないので、感慨も何もないが、80年代パーティだといい鼻をひっかくような仕草をしたのにはさすがに笑う。すかさずテッドが"フロリダ"と地名を挙げるがその意味が実感として分からないわけで、その手の細かい笑いについていけないのは残念でもある。『モテキ』の面白さが外国人にはきっと理解しにくいのと同じことなのだろう。

そういえば、最後のオチに使われている"テイラー・ロートナー"とは、ヴァンパイア映画の「トワイライト」シリーズで準主役として活躍する俳優だそうだ。他に、憎きライアン・レイノルズがゲイ役で出ているのにも気づかなかった。彼の顔は特徴がなさすぎる。"ソファでグリーン・ランタンがうんぬん"というセリフはそういうことだったのだ。お笑い芸人の有吉弘行がテッドの声を担当する吹き替え版もいずれ見てみたい。

アメリカのローカルな笑いネタが分からなくても、それでもテディベアが違和感なく動き回り、始終悪態をつき、すぐに女性に手を出して騒いでいるのを見ていれば、十分楽しくなるし、収まるべきところに落ち着くオチも含めていい映画だ。


笑えればそれで十分だし、それ以上は無粋だろうが、テッドがいるからあなたは大麻と映画ばかりというロリーのセリフを聞いて思ったのは、テッドが何にでも置き換わることだ。人を夢中にさせ依存させる物。ネットに置換すると、音楽と映画ばかり。ジョンは自分にとって本当に必要な物が何なのか気づけた。失敗から距離の取り方を学んだ。幾度もあった最後のチャンスをしっかり生かせた。それは大事なことだ。


それと、9.11が笑いのネタにされていることにちょっとした驚きがあった。あの事件直後はアクション映画でも演出に気を使っていた。市街地でヘリが被弾し、通常ならビルの外壁に激突するところを何故だか素直に真下に落下し道路に不時着するのを見て、さすがに自粛ムードがあるのだなと思ったものだけど、アメリカでは本作と同じく昨年公開された『ダークナイト ライジング』でニューヨークを大胆に破壊してみせた。あれほどの大きな事件だったわけで悲劇を風化させる意図はもちろんないだろうが、アメリカ人は10年かけて衝撃を少しずつ消化し、冷静に受け入れることができるようになったのだろう。



【追記】2013.01.24
字幕を監修した映画評論家の町山智浩が自身のブログで今回の超訳、あるいはあえて削除したセリフについて語っている。→こちら
2013.01.20 Sunday 23:57 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:57 | - | - | -
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