すばらしくてNICE CHOICE

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リンカーン弁護士 / The Lincoln Lawyer

79点/100点満点中

マシュー・マコノヒー主演による2011年の法廷サスペンス。共演にはライアン・フィリップ、ウィリアム・H・メイシーら。製作費4000万ドル。

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リンカーン・コンチネンタルの後部座席を事務所代わりにLAを忙しく駆け回り、司法取引を最大限に利用し軽い刑に収める戦略で依頼人の利益を守るやり手弁護士ミック・ハラー。資産家の息子ルイス・ルーレの弁護というおいしい話が舞い込む。ルイスが女性に重傷を負わせたとされる事件で、いつものように司法取引に持ち込むだけで高額の報酬が舞い込むはずだったが・・・。
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マシュー・マコノヒーが出ているだけで敬遠することが多い。ちょうど映画を見始めた頃に彼の出世作『評決のとき』(1995)が公開された。黒人差別をテーマにした同作は主演だった彼の若手弁護士役も素晴らしく、ずいぶんと感銘を受けたものだけど、その後の出演作が大作ではあるもののどれも大味な印象を否めず、作品選びのセンスがない俳優と断じていた。が、各所での本作への評価を聞き、手に取ってみたらこれが面白い。マコノヒーというハンサムな白人俳優だけど、どこか胡散臭さをまとうイメージが、"社会のゴミを出しっぱなし"にする刑事弁護士ミック・ハラーにふさわしく、2005年に発売された本作の原作もその後順調にシリーズ化されているようだし、映画でも彼を主演に2作目、3作目と続くならぜひ見てみたい。

悪党であっても依頼がありたんまり料金を貰えるなら、弁護を快く引き受ける弁護士ミックには、別れた妻マギーにも理解されないが、一応の信条があり、罰するべき悪人を世に放つだけの悪徳弁護士ではない。しかし概ね金次第ではあり、今回も通常業務でボンボンの依頼人ルイスに司法取引で刑の減刑に導こうとする。が、彼は自身の無罪を主張する。

被害者の娼婦を半殺しの目にあわせたのは一体誰か。彼女が主張するようにルイス・ルーレなのか、ルイスが証言するように策略なのか。物語は次第に思わぬ方向に進み始める。被害女性が受けた暴行痕が、以前にミックが携り、依頼者が無実を主張したものの、確たる証拠がなく司法取引に応じさせ死刑を免れ終身刑で服役させたヘスス・マルティネスの事件と酷似しているのだ。

ミックは自分の周りに知らぬ間に張り巡らされている罠に気づき始める。弁護士と依頼者間の"秘匿特権"を始め、裁判の原則や弁護士の規定を逆手に取る戦略は巧妙を極め、ミックが真犯人を悟る頃にはすでに時遅く身内までもが脅かされる。法廷内では陪審員を前に弁護人を救う方便を強いられ、法定外では命の危険を感じるほどに追い詰められていく。裁判制度という厳格な規定に守られている中で彼は窮地をどう脱するのか。その妙技とダーティな彼だからこその制裁など、最後まで特異なキャラクターを生かした作品になっている。

ややテレビドラマを彷彿させるほどに身軽なカメラワークは、最初こそは違和感を覚えるが、そのスピード感が次第にミックの動きや物語の展開の速さに合っていることや、その軽さがあるからこそリンカーン弁護士というこれまでにない弁護士像を作り上げていることにも気づく。

周りを固める俳優たちには目立って派手なのはいないが、実力派揃いであるのも良作にしている要因のひとつだろう。最近では『レスラー』で年増のストリッパーを演じたオスカー女優マリサ・トメイや、『J・エドガー』ではリンドバーグ役で出演し、最近見たのだと『ミッシング』で主演していたジョシュ・ルーカスは今回はミックと法廷で争う検事役で活躍する。ミックにルイスの件を紹介した保証金立替業者ヴァルに扮するのはジョン・レグイザモ。昨年鑑賞したギレルモ・デル・トロ製作のメキシコ・エクアドル映画『タブロイド』でも印象的な演技を披露していたコロンビア生まれの俳優だ。免罪なのに終身刑に服しているマルティネスにはマイケル・ペーニャ。その出演作一覧を見るとたいてい鑑賞していることに気づく。他にも名脇役は多く出演しているが、何よりも笑ったのはウィリアム・H・メイシーのメイク。登場するとなぜかホッとする俳優というのはいるもので、彼もそのひとりだ。安心する。


最後に、ヒップホップファンにとっても音楽的に興味深いかもしれない。オープニングクレジットに合わせて流れるのは、Jay-Zの「Heart of the City (Ain't No Love)」のサンプリング元の「Ain't No Love in the Heart of the City」だ。ミックが事務所代わりにしているリンカーンに乗ると必ず鳴らされるのがラップ曲で、殺気立つバイカーとやり合った後にはErick Sermonの「Music」であり、Marvin Gayeの歌声と共に場の空気を換える。ルーレ家の顧問弁護士から小金を踏んだくった直後にはEric B. & Rakim「Don't Sweat the Technique」。そして終盤ついに敵をやり込めた後、車内に響くのはGang Starrの「Moment of Truth」だ。エンドロールに流れるのは、そのギャングスタ―の「Check The Technique」の元ネタでもあるMarlena Shawの「California Soul」にサンフランシスコのラッパーYa Boyがラップを乗せた"Lincoln Lawyer Remix"となる。
2013.01.30 Wednesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:58 | - | - | -
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