すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
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無料配信ミックステープ5月号(2013)
国産ヒップホップを中心としたフリーダウンロード・ミックステープの2013年5月発表分一覧。日本語ラップ専門情報サイトJPRAP.COM2Dcolvicsで紹介された作品からピックアップ。

<"これだけ聴いとけ作品"を簡潔に教えてくれというせっかちな人のための3枚>

左がLowPassのラッパー・Givvenのソロ作。客演が多く発見も多い。真ん中は大阪の悪い若手が集まった1本。Vol.2も今月出ていてどちらも良い。右端は聴く人を選ぶラップかもしれないが、スチャダラパー好きは気に入るかも。ジャケットをクリックするとDL先に飛びます。



【○】ACE COOL 『YOU OUGHT LOOK OUT』
2013.05.01 / 全12曲32分 / 320kbps / blog
広島の21歳になるソロラッパー、エース・クールの昨年9月の『RATS』(DL先)に続く2本目のミックステープ。前作ではAKLOやSARUの影響を指摘したが、今回も日本人ラッパーでいえばやはりアクロ、SEEDA、般若辺りを取り込んだと思われるすわっぐなラップを展開。ついでにSIMONのスタイルも自分のものとすれば面白い。以前の彼のようにビートの能力の限界を図るがごとくビートの後ろギリギリに立ち、音に鞭打ち酷使できれば、エース・クールのフロウにさらに幅ができる。唯一の客演曲M8で明らかになるのはリリックにユーモアが不足していることで、Tigaの出番をもう少し増やしても良かった。ボーナストラック的な最終曲が本編よりも際立っているのは前作と一緒。


【○】天狗マガジン 『高尾山EP』
2013.05.03 / 全7曲19分 / mp3,flac,... / bandcamp
アブストラクトヒップホップを標榜するDJRK a.k.a. Ryu KonnoとNOEL-KITによるビート集。キャラ付けはヒップホップでも大事だけど、ついに天狗様の登場。アブストラクトというからにはもっと鼓膜を揺さぶり脳みそをかき回すような音を想像していたけれど、自然音を取り入れた(高尾だし)意外に優しい音使い。M3のノリが好み。こんなのも→『天狗ブレイクス: 子』(DL先)


【○】HIYADAM 『HIYADAM DEMO』
2013.05.03 / 全6曲15分 / 256kbps,wav / Twitter
テレビ番組「BAZOOKA!!!」内企画の「第3回高校生RAP選手権全国大会」で優勝を果たした北海道札幌在住の16歳。MCバトル巧者は畳み掛けるような言葉の速射を楽曲にも取り入れてしまい、その質を損ねるという失敗をよく見かけるが、彼の場合は元からそのタイプではないのか、ビートとのシンクロ率が異様に高く、それだけですでに音楽として機能している。今回優勝したことでひとつ称号を手に入れ、また作品を発表したことでビートとの親和性の高いフロウが楽曲でも武器になることを証明した。次に何を手にするのか楽しみだ。その前にとりあえず、デモとはいえ誰もが落とせる環境にアップした"作品"ではあるのだから、ジャケットを付け、曲順を考え、見栄えを良くする必要がある。


【○】N9nety-One 『Lotus-eaters』
2013.05.04 / 全5曲15分 / 160kbps / YouTube
昨年正規盤をリリースしたGACOとSWITCHIの2MCから成るナインティ・ワンの、ミックステープとしては2月以来6本目。前作(DL可)からの覚醒は続いていて、曲数は少ないもののどの曲も楽しめる仕上がり。湘南乃風になっているM3こそは"ヤリスギ"に思えるが、それでも楽曲の幅を広げるという意味では正しく、何よりオリジナルトラックの出来栄えが良い。特にM4はアクロやサイモンならどうアプローチするのか聴いてみたい。


【○】ssRAMUNE 『煤夢DEMO』
2013.05.04 / 全5曲13分 / 160,192,320kbps / YouTube
アニメの女性キャラクターへの想いを綴ったミックステープ(DL先)を年末に発表しているスペースシャトル・ラムネ(このMC名本気なのか?)の新作。前回とは違い、今作では日常や恋愛を歌い、ラップの方向性でいえば不可思議/wonderboyや小林大吾といえるが、もちろんその両者ほどの熱量やスキルはなく、詩情豊かであろうともがいている段階。しかし、少なくともやろうとしていることは支持したい。


【○】asahiyan 『Floatin'』
2013.05.04 / 全5曲19分 / 320kbps / Twitter
アサヒヤン。彼が何者なのかその素顔もどんな心持ちの人間なのかも知らない。が、フリーDL界隈で長いことリミックスワークを手掛けてきた彼の印象はなんといってもあの6つに割れた腹筋だ。人込みでiPodが彼のリミックス曲を選んだ時、周囲の人間が私のiPod画面を見ていないか思わず確認してしまう。あらぬ疑いをもたれそうだからだ。そんな冗談はともかく、本作は音作りに定評のある彼が、"サンプリングネタはリサイクルショップで投げ売られていたレコードのみ"で作り上げたビート集となる。どの曲もアタックの強い低音を基調とし、まず人を楽しませてなんぼといった彼の姿勢が音によく表れている。どうして今までまとまった作品を発表してこなかったのか不思議なほど。


【○】SH BEATS 『COUCH POTATOES』
2013.05.05 / 全11曲19分 / 320kbps / Twitter
骨川スネア名義も使う大阪のトラックメイカーの新作ビート集。関西でイメージするコテコテな音の流れではなく、EVISBEATSの方向性からエスニック性を抜き、洒脱とユーモアで包んだ柔らかいビートを生み出す。同郷のMASS CUT ヘルツェゴビナらと組んだプロデューサー集団で2月にアルバムを出し、先日3曲入りシングルを無料配信(DL先)。7月には全曲プロデュースするC-L-C (ex. Coe-la-canth)のミニアルバムがリリースとなる。


【○】HASEGAWA-4200 『GWIK EP』
2013.05.06 / 全5曲23分 / mp3,flac,... / bandcamp
広島のジューク/フットワークのトラックメイカー。JPRAP.COM主催者benzeezyさんはこのジャンルに最近は強い関心があるようで、頻繁に取り上げているので自然と聴いている。スピード感溢れるビートを聴くとあの驚異の足さばきを見せるダンスを踊りたくはなるけれど、速攻で足がもつれ顔面着地必至なので、脳内で華麗なステップを踏むことにしている。本場シカゴの音と遜色なく、何よりM2がいい。ファンでも楽しめる良リミックス。


【△】Missy 『R.A.P.e -Demo vol.0-』
2013.05.07 / 全8曲22分 / 320kbps / Twitter
名古屋を拠点に活動しているソロラッパー。ラッパーのリミックスとなるとどうしても洋楽のヒット曲に乗せたものが多い中で、KREVAを中心とする日本語ラップのビートを使っている点で好感が持てる。しかし、その出来は当人があらかじめ予防線を張っているように"レイプ"でしかない。


【○】Narvubeats 『Good Bye Mine Mixette (Full Beat Tape)』
2013.05.07 / 1枚ファイル10分 / 320kbps / SoundCloud
Naoto Taguchiの別名義Narvubeatsでの今月の新作ビートは珍しくこの1本のみ。どこか郷愁を誘う甘やかで同時に苦味もある音で始まり、彼にしてはそのトレードマークともいえるよれた音使いを若干抑え、情感豊かな10分間の音の旅を楽しませてくれる。


【○】RYUHEYXXX 『不法投棄』
2013.05.08 / 全20曲28分 / mp3,flac,... / bandcamp
RITZZZと共に奈良のレーベルNARAPAGOSを主宰するリュウヘイトリプルエックスのビート集。バンドキャンプを見るとマイクピストンズという2MCグループのDJになっていて、あのグライムトラックを作っている彼と同一人物なのか一瞬疑問に思ったのだけど、結構以前から活動しているグループのようだ(彼らの2月の新曲と2009年のアルバムもDLできる)。それはともかく本作での彼はグライムではなく、映画ネタを散りばめた短めの小粋なビートに終始し、聴きやすい音を生み出している。こんな不法投棄ならありだ。


【○】DUFF×chop the onion 『HOT NOISE E.P』
2013.05.08 / 全6曲11分 / mp3,flac,... / bandcamp
KITAKANTO SKILLZのダフと、元韻シストのFUNKYMICのソロ活動に関わっていた大阪のトラックメイカー、チョップ・ザ・オニオンのふたりが今月リリースしたコラボ作『Night Cruise』に先駆ける形で、全6曲の完全新作で出した意欲的な1本。北関東スキルズで想像する性急なグライムではなく、重量のある男臭いラップとなる。このスタイルからは"TEAM44BLOX"に通じるものが見えてきて、なるほど常磐エリア出身かと納得する。


【◎】Youtrick 『Yutorism』
2013.05.10 / 全8曲28分 / 320kbps / blog
はい、出ました、掘り出し物!これがあるからミックステープ漁りは止められない。大阪の大学に通うサイトーハヤトとNegstumのふたり組の初作。題名やグループ名に彼ら世代を揶揄する言葉を使っているが、その括りで語るよりも「ヒマの過ごし方」の子供たちといった方が正しい印象を抱く。年齢的には孫に近いが。スチャダラパーが日常のだらだらを歌っているだけではないのと同じく、彼らは結構激しく政治に物申していて、その横顔も面白い。一方でこうしたラップには技術が足りない(録音も不安定)のは当然ともいえることで、指摘するのも野暮だ。


【○】VA 『FingΔtipS #1』
2013.05.14 / 全14曲41分 / mp3,flac,... / bandcamp
DL数上限到達。18日に岐阜で行われた同名イベントの出演者が中心となり、白人ピアニストBob Jamesが1974年に発表し、ヒップホップ界的には「Nautilus」が収録されていることで有名なアルバム『ONE』をネタに、それぞれがビートを競作するコンピ。DJ MotiveやReezy"B"、Katafuta、Mr.蓮らが参加。ほぼ同じメンツで昨年4月にアップされたビート集→『Frisbee Lap#1』(DL先)。どちらかといえばこっちの方が刺激的。


【○】Givvn 『Garbage Can Vol.0』
2013.05.15 / 全12曲48分 / mp3,flac,... / bandcamp
ヒップホップデュオLowPassとして月初にリリースしたセカンドアルバムが好評のラッパーで、PV監督としても活躍するギヴンがソロで発表したミックステープ。ロウパスでは相方のtee-rugがトラックを担当し、彼はラップに専念するが、最近の大方の若手ラッパーがそうであるように彼もビートを作り、これまでもサウンドクラウドに上げてきている。そのギヴンが全曲プロデュースし、SIMI LABのDyyPRIDEやDARTHREIDER、元ズットズレテルズの呂布の参加があり、さらに周辺のまだ無名ラッパーらをフックアップするなどほぼ客演曲で揃えたミックステープとなる。値札を付けるほどの際立ったヴァースがあるわけではないが、きっちり作り込んだ作品になっている。

そうはいっても、M2の1ヴァース目を聴けば、フロウこそは声質が似ているため元シミラボ・QNのいとこにも思えるが、その魅力にすぐに気づくだろうし、リリシストであることも一目瞭然だ。一方で、ロウパスの新作が素晴らしかった理由のひとつがティーラグ制作のビートの進化にあり、ギヴンのそれも悪くないとはいえ本隊で鳴らされる音と比較してしまうと数段落ちる。

また、ロウパスがファーストアルバム後に本作と同じようなタイミングで発表したミックステープ『Interludes from "Where Are You Going?"』は、その題名通りにアルバムのインタールードを利用するという秀逸なアイディアのもと作られ、ミックステープを商売と結び付けられるアーティストがほとんど出てきていない状況の中で、一歩進ませ立派な販促物として機能させていたことに内容の完成度以上に驚嘆させられた。ミックステープのそうした意味づけでいえば、今作は、確かに非凡とはいえ、ギヴンの一個人の才能を証明する場に留まるものであり、物足りなさがある。


【○】VA 『Spit Stock Vol.1』
2013.05.15 / 全8曲18分 / 320kbps / blog
大阪・船場にあるレコーディングスタジオBLUE VERY STUDIOに集う若手を集めた5曲入りコンピ。ミックステープを発表済みのGhost DogのRadoo(DL先/DL先)や、CRACKPOTZのCHAKRA(DL先)などがラップを吹き込み、名古屋からCampanellaとToshi蝮も参加している。煙たい黒さを色濃く醸し出すラップを志向する彼らは、同じ若手でも梅田サイファーの面々とはまた違う雰囲気で面白い存在だ。


【○】ISSEI & DJ KENZI 『#THERoomService』
2013.05.15 / 全12曲34分 / mp3,flac,... / bandcamp
日本ではいそうでいなかったタイプのラッパー。サイモンがとことんナンパになったようでもある。これまでだとサイプレス上野やZEN-LA-ROCKらがこの路線を積極的に開拓してたけど、それよりもう少し享楽的で歌物フロウ(というよりもほとんど歌もあったり)で楽しませてくれる。1週間限定だったボーナストラックM12に、"街のにぎわいは週末のアムウェイみたくワイワイ"とあるが、これはあのネズミ講のことでいいのかな。大丈夫?


【○】DJ Koki 『Mini Mix vol.3』
2013.05.16 / 1枚ファイル12分 / VBR / SoundCloud
トラックメイカー・乳歯人BEATS a.k.a. DJ Kokiの未発表リミックスやトラックを含むミニミックス。今回も当然EDM。2年ほど前までは日本語ラップの(本来の意味での)ミックステープ「Jackin' for beats」シリーズをかなりの頻度でアップしていた彼も、閉鎖的な日本語ラップ界よりもより刺激的な音が溢れるEDMに向かうのは必然か。


【△】Funny Boyz 『Happy?? Lucky?! Funny!! EP』
2013.05.17 / 全6曲19分 / 192kbps / blog
つい2ヶ月前までは中学生だったeightfor708を中心とした関西のグループ(記事にもあるように昨年聖夜に童貞を捨てたトラックメイカーが高校に進学し今度はラップを捨て部活を取ったそう)の初作。SALUやアクロなどのBACHLOGIC制作トラックで固めたミックステープとなる。彼もまたバズーカ!!!の高校生ラップ選手権への強い意気込みを表明しているし、こうした若手が続々と出てくることは本当に素晴らしい。


【○】MOMENT 『Bars from behind bars (mixed by DJ Kazzma)』
2013.05.19 / 全25曲47分 / 320kbps / blog
韓国ソウルで生まれ育ち、その後大阪大学に留学するために来日。現在は兵役義務のため2年間の軍隊生活を送っている韓国人ラッパー・モーメント。これまでに発表した3本のミックステープ(DL先)とJPラップコムから配信発売したミニアルバム、最近のフリーDL単曲を中心としたベストアルバム的な1本。本作収録のmuzi9uestによる新作リミックス4曲をまとめたNoDJ版シングルはここからDL可能。いわゆるスワッグ系のフロウではあるが、母国語の影響からか独特の粘りがある。こうしてまとめて聴くと、M1やM25などリリックでしっかり魅せる曲もあるにはあるが、ありふれた内容(疎外感や承認欲求)が大半で、M18にある"一回も民による変化がなかったのにびっくり"といった外国からの視点で鋭く突く曲をもっと聴きたい。


【○】ABLO 『Wind Up』
2013.05.19 / 全6曲20分 / 320kbps / Twitter
仙台のラッパー・アブロがトラックメイカーBarson Beatzの全面バックアップのもと完成させたミックステープ。意味のある楽曲にしようと真摯に言葉を紡ぐアブロは、その頑張りほどには曲に結実させてはいないものの、真面目さは好感が持てる。それ以上に惹かれ、発見かもとまで思わせてくれるのは温もりのある音を生み出すバーソンビーツだ。


【○】COBO 『4.0』
2013.05.19 / 全9曲26分 / mp3,flac,... / bandcamp
昨年8月の『3.5』(DL先)以来9ヶ月ぶり、5本目となるミックステープ。前作同様にフリーDLでの作品数は増えていくものの、それに見合う評価が得られないことへのいらだちを起爆剤に俺が俺がなラップ1本になっている。呟きを読むとそれは意図したもののようだが、最初の2本にあったユーモアのあるラップは彼にしかない持ち味であり、今のスタイルでは他のラッパーと全く同じことをしているわけでそれは埋没の道でしかない。


【△】SHIDO 『Someday in the Pocket, Memory to the Future』
2013.05.20 / 全12曲46分 / 128kbps / Twitter
トラックメイカー名義の黄昏ビーツとしても先月ミックステープ(DL先)を発表している大阪の22歳のラッパー・シドの約3年ぶりとなる2作目。2010年のBBOY PARK U20 MCバトルの優勝者KOPERUや昨年のBボーイパークでライブを披露した女性ラッパーMC式部らが所属する若手グループTinyTitanBoxの一員でもある。ただ、そうした情報から期待して本作を聴くと酷い目にあうので注意。言葉でビートの隙間を埋めないと不安でいてもたってもいられず、意味のない語彙でヴァースを塞いで自らの首を絞めるニコニコ動画によくいるタイプのラッパーといえる。


【○】TOSI 『TOSI EP VOL.1 "LET SAY!!"』
2013.05.24 / 全6曲22分 / 160kbps / Tumblr
昨年7月からラップを始めて今年頭に早くも1作目のミックステープを発表した神奈川は海老名市の19歳。この半年弱での成長がうかがえる。AKB48を始めとするアイドルブームを支えているのはファンが共有できるその成長ゲームにあって(まあ昔からではあるが)、情報を即時に取り交すことを可能にさせたネットの存在は大きい。PCやネットによって録音や発表の環境が整えられた現在はラッパーにとってもいい時代なのだろう。


【○】DJ Aflow 『Teknology EP』
2013.05.25 / 全5曲17分 / 320kbps / JPRAP.COM
こちらは豊橋在住のジューク/フットワークのトラックメイカー。これまでも海外の様々なジャンルの音がシカゴ発祥のこのビートに生まれ変わるのを聴いてはいたけれど、中島みゆきの歌声までが幾分おとなしいアレンジとはいえチキチキに乗せられるとは面白い。


【○】TKS 『new town』
2013.05.27 / 全11曲41分 / 160,192kbps / blog
いいラッパーだ。京都在住の1988年生まれとのことで、自分のスタイルをすでに見つけている。キャリアが長いと聞けばそうだろうなと納得するし、短いならそれはすごいと驚いてしまうほど(実際は2007年からラップしてるそう)、記名性のあるラップをする。評判になっていないのが不思議なぐらい。でも、CD屋で本作が並び視聴機で聴いたとして、買うかといえば私は微妙だ。いいラッパーではあるし、リリックも工夫を凝らしている、選んでいるトラックのセンスも悪くない、でも私には響いてこない。相性の問題だろう。


【○】CE$, Dekishi & Catarrh 『130327』
2013.05.29 / 1枚ファイル24分 / VBR / SoundCloud
西日本を代表するグライムラッパー4人が3月に発表した30分セッション『MTMTE201302』(DL先)に続き、今回はその中でも日本語グライムの雄ともいうべきデキシとその後輩のカタルナイシンが、大阪のトラックメイカー・セスの繰り出すビートの上で行った一騎打ちセッション。バックで轟く音の力も偉大とはいえ、言葉のみで作り出される圧迫感や切迫感は凄まじく、普段は眠っている内なる暴力性を激しく揺さぶる。


【○】VA 『Spit Stock Vol.2』
2013.05.29 / 全5曲17分 / 320kbps / Twitter
今月中旬に出された『Vol.1』に続いて早くも第2弾。大阪にあるブルーヴェリースタジオに集まる若手──ラドゥやチャクラを始め、MADSのPEPCEE、C-L-CのOOGAWA、ILLNANDESらがDJ Killer Soulの燻されたビートの上で違法行為についてマイクを回す。この不良性もまたヒップホップの魅力のひとつ。


【○】Goku Green 『Puff Puff Pass The Mixtape』
2013.05.30 / 全14曲38分 / 320kbps / Twitter
北海道の17歳ラッパー、ゴク・グリーン。昨年のファーストアルバムを聴いても数本のミックステープを聴いても全くピンと来なかったのに、とうとうここに来ていやいや悪くないじゃん、や、かなり気持ち良いフロウだよと思えるようになってきた。リミックス主体のビートの良さもあるのだろうが、かなりまったりとなれる1本。所属事務所にも知らせず、勝手に出したのも面白い。アルバムをリリースするからこそ、ミックステープを出すのだとは思うけど。彼のクルーNebo Gangの一員であり、本作にも参加しているKianie Jones(先月ミックステープを発表済み[DL先])がこのスキルでまだ13歳だというのもかなり驚きだ。


【○】Sly a.k.a 9llA Soundz 『マンスリーすらいしー5月号』
2013.05.31 / 全5曲17分 / 320kbps / SoundCloud
月末に発表される「マンスリーすらいしー」の今月号は通常のシングルサイズではなく、5曲入りとボリュームがある。兵庫・尼崎のスライのラップは、ヴァースでは爽やかなグルーヴを、フックでは親しみやすさを生み出すが、各号を聴いてもはっきりするようにリリックが弱く、パンチラインに欠ける。また、キュラサウンド名義で制作しているトラック(今回は全曲)は色々な音が鳴り鼓膜を楽しませはするものの、全ての音に同等の心配りをするためか、反対に何を主張したいのか分からなくなっている。ラップも含めて平均の鳴りでは面白くはない。






【○】Scissor Sonz 『StinkySnakes (MC2TE vol.1.5)』
2013.01.23 / 全6曲14分 / 320kbps / Twitter
モーターシティ浜松で音楽レーベルWhatevaMuzikを主宰するBlaqCZAと3rd Y KILLAHによるユニットの新作。最近浮上してきているNICE GUY$やKOITAMAとの絡みでその名前を耳にすることも多く、ブラックCZAはサウンドクラウドにも頻繁にフリーDL曲を上げている。向こうでいえば90年代東海岸の実験性を今も地下深くで継承し、こっちでいえば私の中では池袋のラップに近い印象を受ける。が、そう括ったところで両の手からこぼれ落ちる黒さみたいなものが確実にあって、その秘密のひとつはローファイをうまく作用させ生々しさに転換させているラップの吹き込みにありそう。題名に"vol. 1.5"とあるからにはvol. 1も当然あり、それが昨年10月発表のこちら→『MC2TE』(DL先)。




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<まとめ>
2010年〜2011年1月〜9月分 Tegetther
2012年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2013年 1月 2月 3月 4月

・「JPRAP.COM presents "The Se7en Deadly Sins"」 →記事(2011.05.26記)
  2010年の主要フリーダウンロードミックステープについてもある程度まとめてある。
・「昨今の国産ヒップホップ・無料DLミックステープ事情」 →記事(2011.09.30記)
  2011年前半の作品に焦点を当てた記事。
・「VA『Fat Bob's ORDER vol.1』」 →記事(2011.10.07記)
  記事の最後に名古屋関連のミックステープのまとめた。
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2013.05.31 Friday 23:59 | 音楽 | comments(5) | trackbacks(0)
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2017.12.14 Thursday 23:59 | - | - | -
コメント
初めまして!
今回は僕らのミクステにレビュー書いて下さり、ありがとうございました。
毎月楽しみに見ていたこの特集に載れた事をとても嬉しく思います!
いつか△を◎にできるよう頑張っていきます!
eightfor708 | 2013.06.04 Tue 17:18
eightfor708様

こんばんは。
はじめまして!

いえいえ、お礼を申し上げなければならないのは私です。せっかくの作品をフリーで配信していただき本当にありがとうございます。

今月もそうなんですけど、eightfor708さんを始め、ひと回り以上も離れた若いアーティストが増え、その価値観や感性は全く異なるはずです。ですので、こうした記事はあくまでもeightfor708さんの倍以上生き、感性が摩耗しきった人間の戯言と受け止めていただけるとありがたいです。△は私の△で、もし私が◎だと思った時、私にとっては心地よい音でもeightfor708さんの同世代にとっては△な表現かもしれません。

なんにせよ、ご自分の信じる道を行かれることだと思います。期待しています。
gogonyanta | 2013.06.04 Tue 22:36
ネット上でフリーの作品が氾濫する中、こういった特集は本当に助かります。前回の記事で取り上げていらっしゃったJinmenusagiですが、今年の11月に3rdアルバム+CD-Rの発売が決定致しましたね。彼の実験的な姿勢と才能は少しでも多くの人に認知して頂きたいです。あんなに格好良いんだから。

今回、取り上げられているYoutrickも弛緩したスタイルながら、アイデンティティーの確立されたアーティストでなかなか興味深いですね。最近はスキル云々以前に、前のめりになってでも歩を進めようとする若い子の姿勢に胸打たれる事が多いです。SALUはインタビューで、Jinmenusagiは前作で唱えていましたが、音楽を辞める事だって日々考える中、それでも表現したいと思うアーティストは心から応援していきたいです。

非常に勝手ではありますが、eightfor708さんとのやり取りを拝見し、gogonyantaさんの筆記が夢追うアーティストの後ろ盾になっているのだと強く感じました。かくいう私もリスナーとしてブログを続けていらっしゃる事に陰ながら感謝しています。まだまだヒップホップで楽しみたいですね。
Earth | 2013.06.06 Thu 00:29
Youtrickのサイトーハヤトです。初めまして。
アートにっこりセンターのブログアクセスが大変なことになっていて、gogonyantaさんが取りあげてくださったことに気づきました。
ありがとうございます。

まさかこういう形で取りあげていただけるとは思っておりませんでして、正直戸惑っているのですが、照れくさそうに受け止めながらも、マイペースでいきたいと思います 。


Earthさんもありがとうございます!
サイトーハヤト | 2013.06.06 Thu 01:25
Earth様

こんばんは!
コメントありがとうございます。

> Jinmenusagiですが、今年の11月に3rdアルバム+CD-Rの発売が決定

才能がありすぎて、それを世間とどう折り合いをつけるのか、多分しばらくはその試行錯誤を続けるのだとは思うのですが、ミックステープも良かったですし、期待してしまいますね。

> スキル云々以前に、前のめりになってでも歩を進めようとする若い子の姿勢に
> 胸打たれる事が多いです。

私の場合は応援という気持ちは皆無で、単純に自分の琴線を刺激する音楽であるなら、年食ってようが、13歳だろうが関係ないのですが、人とは違う表現をしようと、意気込みだけでも感じられるアーティストは聴いていて楽しいですね。スキルはあるに越したことはないですが。

> まだまだヒップホップで楽しみたいですね

ロックも若手がどんどん出てきていますし、日本語ラップのようにフリーでの配信を始めているグループも現れています。でもやっぱりヒップホップがわずかに上回っている感はありますね。ロックとは反対に、RHYMESTER以外の古株に元気ないのが気になりますが。



サイトーハヤト様

こんばんは!
はじめまして。
こちらこそ楽しいラップをありがとうございます。

> マイペースでいきたいと思います

そういうことだと思います。年一でアルバムを出さないと溜まっちゃって大変な人もいれば、長い時間かけて練り上げるアーティストもいます。チャート向けのポップミュージックを作られているわけではないですし、ご自分のペースで作り上げて納得のいく作品を制作されることこそが、リスナーにとっても幸せです。とはいえ、次回作もかなり楽しみにしていますので、速く聴けることを願ってます!
gogonyanta | 2013.06.08 Sat 21:52
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