すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
08 / 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
<< Coleman Hawkins『The Genius Of Coleman Hawkins』 | main | Modern Jazz Quartet『Django』 >>
戦火の馬 / War Horse

61点/100点満点中

2011年のスティーヴン・スピルバーグ監督作。第一次大戦時の欧州戦線を舞台にした人間と馬ドラマ。主演は新人のイギリス人俳優ジェレミー・アーヴァイン。製作費6600万ドル。

************************************
第一次大戦前夜のイギリス南西部にあるデヴォン州。農耕馬の買い付けにきたはずの小作農テッドは一目惚れしたサラブレッドの仔馬を競り落とす。一家のひとり息子アルバートがジョーイと名付け、大切に育てる。1914年大戦が勃発すると、ジョーイは英国軍に売られてしまう。ニコルズ大尉の馬としてフランスの前線へと送られたジョーイは、ついにドイツ軍との決戦の時を迎える。
************************************

イギリスの片田舎で生まれ育った一頭のサラブレッドが数奇な運命を辿り、再び元の持ち主の手に戻るというとても博愛主義的な作品であり、まさにスピルバーグ監督作!としかいいようがない。ここには『プライベート・ライアン』の苛烈な現実や『リンカーン』の緊張感はない。馬のジョーイが辿った戦場を通して、騎馬隊が活躍する牧歌的な戦法から、効率良く兵士を殺戮するための機関銃、大砲、そして毒ガスの導入とそれまでの戦争とはあらゆる面で一変した戦場の光景をまざまざと見せつけて、そこから浮かび上がる戦争の怖さ、人間の愚かさ、そして一筋の希望といったテーマをとても分かりやすく伝えることに主眼を置いているからだ。

元々が1982年に発表された児童文学であり、馬の視点で描かれているそうだ。序盤での農家のガチョウを巧みに使って笑いを作るなどスピルバーグの演出の巧さは随所に発揮されているし、きっちり決まった構図や人物の顔に当たる光の具合などモノクロ映画にして見ても何ら不足はなさそう。善人しか出てこない物語の中で、最後にフランス人ジャム職人の老人が孫娘について滔々と語り出したら目も当てられないところだったが、過去形にするに止めたことは救いだ。あの老人は確か『サラの鍵』でもユダヤ人収容所を脱走した幼い少女たちを今回の馬2頭と同じように匿った農夫役で出演していたはず。

フランス人役の俳優もドイツ人役の人も英語で話すことにはそれほど違和感ないが、それが母国語訛りの英語となると話は別に思える。そうはいっても、前半の結構長いところまで、スピルバーグが撮っているのだから舞台はアメリカなんだろうと思いながら見ていた身でいえることはそう多くはない。前情報を入れずに見るとこうして思わぬ驚きを得られるのだ。そういう意味では楽しい鑑賞法といえる。ギニーという通貨が英国で以前使われていたことや、そもそもアメリカにデヴォンなんて州がないことを常識として知っていなければならない話ではあるのだろう。

一流の監督が巧みな演出でもって伝えたいテーマを誰にでも分かりやすい形で表現した道徳的で教育的な作品だ。そうした姿勢で撮った時のスピルバーグほど鼻につくものはないと思う向きには、仕事率や工率の単位として使われる"馬力"という言葉の意味がはっきりと見て取れる迫力ある馬の活躍シーンだけでも見て損はないかも。
2013.05.25 Saturday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
スポンサーサイト
2019.08.20 Tuesday 23:58 | - | - | -
コメント
コメントする











この記事のトラックバックURL
http://gogonyanta.jugem.jp/trackback/4161
トラックバック
Profile
Search This Site
Category
New Entries
Comment


Archives

今日も愚痴り中