すばらしくてNICE CHOICE

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ブレイキング・バッド (シーズン1) 第1〜3話 / Breaking Bad

アメリカのテレビドラマ。『ハンコック』の脚本家ヴィンス・ギリガンの企画により、2008年から始まり、今年8月シリーズ5をもって終了するという向こうでも人気の犯罪ドラマ。今回はシーズン1の第1話「化学教師ウォルター・ホワイト / Pilot」と第2話「新しい相棒 / Cat's in the Bag...」、第3話「人間の成分 / ...and the Bag's in the River」。3話とも脚本はギリガン、監督には第1話のみギリガンで、他2話はテレビ畑の長いアダム・バーンスタイン。放映日2008年1月20日、27日、2月10日。

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生真面目な高校の化学教師ウォルター・ホワイトは、身重の妻スカイラーと障害のある長男と平穏に暮らしている。しかし、50歳を迎えた直後、末期の肺ガンで余命わずかと宣告される。家族へ残す金は乏しく、その絶望感から自身の化学の知識を利用して"クリスタル・メス"(つまるところ覚醒剤)精製を思いつく。義弟でDEA捜査官のハンク・シュレーダーからその取り締まり現場を見学させてもらった際に、元教え子のジェシー・ピンクマンが街の麻薬売人だけではなく製造にも手を染めていることを知り、一緒に作らないかと話を持ちかける。
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主演は、『リンカーン弁護士』や『ジョン・カーター』『トータル・リコール』『アルゴ』などにも出演している(気づかなかった)ブライアン・クランストン。ディーラーのジェシーを演じるアーロン・ポールは本作後の2009年にリメイク作『ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト』に出演し、少女を襲いその両親に復讐される4人のうちのひとりを演じている(当然思い出せない)。印象的な演技をするクレイジー・エイトことドミンゴ役はマックス・アルシニエガ。

評判を聞き見たいと思い続けていた作品でようやく鑑賞することができた。確かに話に聞いた通りぶっとんだドラマで、これが日曜の夜10時台に放送されたというのだから、アメリカもいい国だ。

高校で化学を教え、放課後は生活費のために洗車場でアルバイトをするウォルター・ホワイトは、50歳過ぎたところで末期ガンを宣告される。妻スカイラーのお腹には新しい子供がいるし、高校生の長男は障害を抱えている。そんな彼が思いつくのが覚醒剤の製造。その時点で日曜10時のドラマとしてどうなんだと思わなくもない。日本なら長らく日曜東芝劇場だった枠(1時間早いが)で、今だと確かガッキーが爽やかに演技しているはずの時間帯だ。クリスチャンにとっても健やかに過ごす1日の終わりに、ドラッグまみれの血まみれ、パンツ一丁で拳銃を持ち荒野に立ち尽くすようなドラマを流しているのだから、何だかんだいっても憎めない国なんだなと思えてくる(今一度トップに貼ったDVDのジャケット写真を参照のこと)。

犯罪とは無縁の平凡な男が泥沼にはまっていく物語自体はコーエン兄弟の諸作品に近い。金がないから自分の知識を総動員する、という発想までは間違っていないが、そこから覚醒剤精製までの飛躍が何とも楽しい。特に1話目のその冒頭。空に舞い上がったスラックスを、白ブリーフ一丁にガスマスクを被った中年男が運転する暴走キャンピングカーが華麗に轢いていく。この印象的なワンシーンをラストで回収する手腕の鮮やかは見事だ。時系列を戻しながらどうしてパン一になる事態に陥ったのか説明されるのだけど、その過程でおそらくこのシリーズを通じて登場する主要人物の説明が的確になされ、かつその説明にも行き過ぎがない。

カメラワークも日本のような性急さがなく、映画のごとく落ち着いる。ロケを中心に、セットにしても製作費をしっかりかけた立派なもので、もちろん脚本もきちっとしているし、演技力も申し分ない(ジェシー演じるポールについては序盤不安に思えるが)。日本のドラマと比較しても仕方ないが、日本産の何が嫌といって、下卑たカメラもそうなのだけど、セット内で演技しているのが丸出しなところだ。とはいってもその代名詞たるNHKの連続テレビ小説の今期の「あまちゃん」は「ちゅらさん」以来久しぶりに見たりしているわけだけど。

そんな横道はさておき、ドラッグでひと儲けしようと企む中年男の話だ。化学の知識を応用し、死体の処理も図るが、相棒の元教え子ジェシーがこれまた今時の若者で噛み合わず、ホラー映画でもなかなかお目にかかれない生々しい凄惨な場面を作り出す。本当に10時台にこれを流したのか?

そんな楽しい掃除風景に出くわすのが第2話となり、そして3話目はコイントスでクレイジー・エイトの始末を割り当てられたウォルターの奮闘を描く。割れた皿の一片のくだりは良い演出だ。また、クレイジー・エイトの父親が経営する家具屋さんの話でふたりが盛り上がり、思い出の共有が図られる。それは囚われた人質を救出する交渉人がまず第一歩として行うという、犯人に対し人質も同じ人間であると認識させ、すぐに凶行に及ばないようにするという手にも似ている。そうして生まれる温かいドラマとその真逆の悲惨さのコミカルな同居が随所に見られ、これは評判になるのも納得だ。

憂いを排除し、ウォルターとジェシーは再び平穏を手にしたように見えるが、しかし残してきた他の証拠品が彼らを追い詰めそうな第4話以降も楽しみなシリーズだ。
2013.05.29 Wednesday 23:58 | 映画 | comments(2) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:58 | - | - | -
コメント
こんばんは
またブログ再開されたようで楽しく読ませてもらってます。

本国ではシーズン5の制作が決まったのか放映が始まるのかぐらいの感じで
まだまだ楽しめそうです。
ウォーキングデッドにまた長期のおあずけを食らっている今こそ
ブレイキングバッドが頼みの綱だったのですが
なんとDVDは本国でもシーズン2までしかリリースされておらず
シーズン3のリリースは未定だそうです。

まあ、楽しみが増えたということで無理矢理納得してますが…

それにしてもこのドラマの編集は天才的ですよね!
冒頭何の説明もなく衝撃的なシーンで始まり、物語はなぜそんな事になったか決着をつけるという。
nyantaさんもこの先見続けると、え?そこで!?
という衝撃の冒頭シーンの答え合わせに遭遇するでしょう。

相変わらずの長さですいませんでした

お暇があれば音楽、特にヒップホップの記事もまた
宜しくお願いします
what's? | 2013.05.31 Fri 01:31
what's? 様

こんばんは。
いつもありがとうございます!

ようやく見ましたよ!what's? さんが呟かれていた通り、型破りな展開と描写でかなり驚かされました。ホワイトとピンク。いい感じのデコボコ具合です。このドラマかなり期待と思ったのですが、

> DVDは本国でもシーズン2までしかリリースされておらず
> シーズン3のリリースは未定だそう

あらら。向こうでは、"ケーブルテレビを通じたVOD"とやらが普及してて、パッケージ化せずとも配信で賄えてるってことなんでしょうかねぇ。私もよく分かってはいないのですが、映画評論家の町山智浩の呟きをまとめたTogetterにそんなことが書かれてました。

「町山智浩氏 "アメリカでレンタルビデオ店はほぼ壊滅" 〜その理由と現状」
http://togetter.com/li/497976

ともかくシーズン2にこのまま突入して、それからwhat's? さんの地団太を共有しようと思います!

> 音楽、特にヒップホップの記事もまた

はい。頑張ります。ええ、頑張りますとも。
いつも本当にありがとうございます!
gogonyanta | 2013.06.01 Sat 03:12
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