52点/100点満点中
2011年のホラー映画。主演はリメイク版『
鮮血の美学』で悲劇に見舞われるヒロインを演じたサラ・パクストン。『トップガン』で女性教官を演じていたケリー・マクギリスも出演しているが、同年代のトム・クルーズがまだ若々しいのとは対照的に時の残酷さを感じさせる。DVDスルー作。
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老朽化と業績悪化のため数日後には閉館する老舗ホテル、ヤンキー・ペドラー・イン。オーナーは休暇中で、ふたりのアルバイト従業員クレアとルークが管理を任されている。結婚式当日に新郎に捨てられた花嫁が客室で自殺する事件がかつてあり、その霊が今もさまようという幽霊譚が伝わっていて、オカルトに興味があるふたりは調査を開始する。誰もいないロビーからピアノの音が響く夜、クレアは自分を呼ぶ謎の声に導かれ、開かずの地下室へ足を踏み入れる。
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DVDパッケージにホラー映画監督イーライ・ロスの言葉が躍る。"近年で最も素晴らしく、最も巧妙で、最も怖いホラー映画だ"。だからというわけではないが、結構期待しながら鑑賞していた。最初の1時間何事もなく進む。いや、ショートカットのサラ・パクストンの演技がホラーには不釣り合いなほど愛らしく、怖くはないけれど、これはこれでいいかと、「あまちゃん」の天野アキにもちょっと面影が似ているなぁとかも思いながら見ていたが、しかしさすがにちんたらとしか進まないと睡魔が肩を叩きにやってきて、『トップガン』の頃の面影などみじんも感じさせないケリー・マクギリスが水晶だかを左右に振り始める頃には寝入っていた。
ホテルや家に憑り付く霊の物語はよくある。『シャイニング』やキング繋がりでいえば『
1408号室』もそうだし、最近見た韓国ホラーの『
箪笥』は結構面白かった。ありふれたネタだけに各作品は工夫を凝らすものだから、見ている側も『サイン』や『
アザーズ』のような仕掛けを気にしながらの鑑賞になるわけだけど、クラシカルな舞台設定の本作はその怖がらせ方もまた古典的で、パクストンの魅力に気づくだけの映画で終わってしまう。スティーヴン・キングは怖いもののひとつに蜘蛛を挙げていて、映画化された『IT』でも蜘蛛を模した化け物がラスボスとして登場するが、キング自身はきっと恐怖に駆られるのかもしれないが、全員が全員そうとは限らない。イーライ・ロスも本作のどこかに彼にとっての蜘蛛が潜んでいて、先の絶賛コメントになったのだろう。