すばらしくてNICE CHOICE

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危険なメソッド / A Dangerous Method

70点/100点満点中

カナダ人監督デヴィッド・クローネンバーグの2011年の人間ドラマ。主演は『SHAME -シェイム-』のマイケル・ファスベンダー。共演にキーラ・ナイトレイ、クローネンバーグの長編に3作続けての起用となるヴィゴ・モーテンセン。製作費1900万ドル。

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1904年チューリッヒ。若き精神科医ユングは、精神分析学の大家フロイトが提唱する"談話療法"を女性患者ザビーナに実践し、彼女の心の奥底に眠る性的トラウマを突き止めて治療に成功する。しかしふたりはいつしか医者と患者の一線を越え、愛人関係に。そんな中、一度は師弟のような友情を築いたフロイトとの間にも溝が生じ始める。
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デヴィッド・クローネンバーグといえば最初に劇場で見たのが『イグジステンズ』で、過去作を見てもハエと融合する男だったり、超能力話だったり、カナダ版デヴィッド・リンチ(同じ名前だし)ぐらいに思っていたら、ヴィゴ・モーテンセンを主演に据えた2作『ヒストリー・オブ・バイオレンス』と『イースタン・プロミス』で(それまでの彼の作風と比較すれば)現実を描き始め、ついに本作では真っ当な人間ドラマを撮っていて、そのことに単純に驚く。

何にでも幼児期の性体験を持ち込む夢判断の人がフロイトで、彼よりひと回り若く、神秘主義にも走った経験があるのがユング。この分野にはそれぐらいの知識しかないのだけど、そのふたりの間に後に故郷ロシアで精神医学分野を発展させるザビーナ・シュピールラインという女性がいて、本作は三角関係ではないけれど、師弟関係と友情、さらにはザビーナとユングの道ならぬ恋を描いた作品になる。

ザビーナは当初ユングが勤めるチューリッヒの精神病院に統合失調症患者として入院してくる。フロイトの理論をベースにした診療を進める中で、ザビーナは誰にも話せなかった心の内を明かし始め、やがて回復に向かう。このザビーナを演じるのは我らがキーラ・ナイトレイなのだけど、最初出演者を知らず、単純にクローネンバーグの新作だからと見始めたので、下あごを突き出し狂人を熱演するのがナイトレイだとはすぐには分からなかった。

先日鑑賞した『エンド・オブ・ザ・ワールド』では彼女の愛らしさが良く表れていたが、セリフでのちぐはぐさがたたり、演技力という面ではその本来の力を発揮できていなかった。今回は北島マヤばりに役になりきり、顔やファッションだけで評価されているわけではなく、一女優としての底力をいかんなく発揮する。

精神医学の基礎を打ち立て、今日でも有名なふたりの精神科医が手紙のやり取りをし、直接意見を取りかわし、共闘があり決別があるという史実に基づくドラマは確かに興味深い。しかし、ザビーナを通しユング自身も心を解放し、ついには時代が時代とはいえ自分自身で"許しがたいこと"をしているという自覚がありながら、それでも"人は生きていく"という平凡極まりない自己肯定で唐突に物語の幕が閉じるのには唖然とさせられる。結論としてはユングの妻は偉かったということだろうか。


【追加】2014.04.20
「キーラ・ナイトレイ、あまりに過激な性的シーンに一度は降板を申し出る」→記事
2013.06.24 Monday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:58 | - | - | -
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