すばらしくてNICE CHOICE

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別離 / جدایی نادر از سیمین

66点/100点満点中

2011年のイラン映画。第84回アカデミー賞外国語映画賞受賞作。第61回ベルリン国際映画祭では金熊賞と、女優賞・男優賞のふたつでそれぞれ銀熊賞を獲得。製作費50万ドル。

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ナデルとシミンは結婚生活14年になる夫婦で、11歳の娘テルメーと認知症を患う夫の父親と共にイランの首都テヘランで暮らす。妻シミンは娘の将来を考え、海外への移住を計画。一方ナデルは父を残しては行けないと反対する。意見は平行線を辿り、裁判所に離婚を申請するも、簡単には認められず、シミンは実家へ。ナデルは父の介護にラジエーという女性を家政婦に雇う。しかし、彼女が外出中に父をベッドに縛り付けていたことが発覚しナデルは激高。彼女を手荒く追い出す。その夜、ナデルのもとに思いもよらぬ知らせが届く。
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中東の国イラン。イスラムの教えと反米的あるいは反西欧的な政策から日本人にとっては理解しにくい国のように思えるが、やはりグローバル化するこの現代の地球で暮らしているわけで私たちと同じような社会問題や感情を抱いているのだと教えてくれる映画であり、その描かれる人間ドラマやテーマは確かに素晴らしいのだろうが、貧乏臭い話が単純に苦手だ。

前半は物語のディテールを丁寧すぎるほどに語る。わが子の教育、認知症の問題、女性の自立、そして宗教。基本にあるのは中産階級とはいえ、もういくばくかのお金があれば解決する話でもあり、貧乏話というわけでもないが、どうも不得意とする物語であり、失敗かなと思い始めるのだけど、やがて悲しい事件が起こり、物語がミステリーを伴って動き始める。彼女が妊婦と知りながら彼は強く押したのか、また彼女も彼に押されて流産したのか。

母国でも本作の世界的な成功は喜ばれたそうだが、最も印象に残るのは、知られたくない事実を思わず隠してしまうという普遍的な保身の行為・感情ではなく、宗教がイランの国民に与えている絶大な影響力だ。介護の仕事を依頼されたラジエーが当初想定していなかった作業に直面した時にその行為が宗教的に正しいのか宗教家に問い合わせ、コーランに背かないという助言と確信を得てからでないとできないというエピソードは、そういうアドバイスを送る部署があると知識では知っていたが、実際に映像で見ると、見た目からして面倒そうな女性の衣装以上に奇異だ。イランでは女性が車を運転することに制限がないようだが、それでも日常生活の隅々にまで宗教的制約が行き渡り、西洋の価値観に染められている私にはとてもではないが無理となってしまう。

その宗教こそが問題を解決させる最大の決め手となるわけで、イランの宗教関係者にはアラーの大勝利と映るのだろうが、信仰心に薄い人間からするとただただ恐怖心しかない。極言すれば、自爆テロなどの殉教者が生まれるのもむべなるかなとまで思ってしまう。

その一方で、最後のシーンではそうした偉大な宗教があっても埋まらない現代ならではの溝があることを見つめる。ラストは彼女が口を開いた瞬間に暗転するのかと思ったら、ないに等しい仕切りをはさんで待つふたりの映像を流し続ける中でのエンドロールという演出であり、面白い余韻がある。
2013.11.25 Monday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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