すばらしくてNICE CHOICE

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アンチヴァイラル / Antiviral

61点/100点満点中

2000年以降急に現実的になったカナダの変態監督デヴィッド・クローネンバーグの長男ブランドン・クローネンバーグが監督・脚本した2012年の長編デビュー作。SFサスペンス。主演は『ハード・ラッシュ』でマーク・ウォールバーグのドジな弟を演じていたケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。絶世の美女との設定のモデル・ハンナ役には父デヴィッドの近作『危険なメソッド』『コズモポリス』にも出ていたカナダ人女優サラ・ガドン。題名は"抗ウイルス性"の意。TSUTAYA限定レンタル作品。製作費330万カナダドル。

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有名人のウイルスを熱狂的ファンに注射する商売が誕生している近未来。人気モデルのハンナを主力商品とするルーカス・クリニックの技師シド・マーチは、希少性の高いウイルスを自ら注射することで体内に取り込み、社内チェックを逃れ外部へと持ち出し闇市場に流している。代理でハンナから採取した彼はいつものように持ち出そうとするが、異様な幻覚症状に見舞われる。直後に彼女が亡くなる。ハンナのウイルスを持つ唯一の人物となったシドは何者かに追わることに。
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有名俳優の2世は多くいるが、監督業でも最近目立ち始めた印象がある。映画業界だって100年近い歴史があるわけで以前からその兆候はあったのだろうけど、クローネンバーグやデヴィッド・リンチといった独特の作風を確立し、一般的なハリウッド的大作とは一線を画す活動を続けている人の子供がまだ若いにも関わらず監督業を始めているのを見ると、彼らも人の子なんだなと少し残念に思えてしまう。でもまあ、面白ければいいのだ。

実際にリンチの娘ジェニファー・リンチが2008年に発表した『サベイランス』は良作だったし、有名人の息子という意味で、あるいはデヴィッド繋がりでいうとボウイの子ダンカン・ジョーンズはSFの良作を立て続けに発表している。ひとつ上の世代にあたるのかもしれないが、フランシス・フォード・コッポラの娘ソフィア・コッポラはもはや親の七光りという後光がなくても十分活躍している。

そんなわけで、まだまだ父親デヴィッドも元気に映画を撮り続けているその息子のデビュー作はというと、決して悪いわけではない。やりたいことは分かる。けど、やや頭でっかちになり過ぎている感は否めない。

マスコミが垂れ流しにするセレブリティがあれしただのこれしただのといった益体もないニュースに踊らされる現代社会や、とめどなく進むバイオ科学を揶揄しているのだろう。特に前者は有名人側も注目を集めたいがために私生活を切り売りし、私たち一般庶民もあざけり半分憧れ半分な気持ちで求めることで、ますます加速していっている。プライベートの究極は本人の体とクローネンバーグ息子は考えたのか、セレブのウイルスを自分の体に取り込むという狂気のような未来を描いてみせる。

その発想自体は面白いし、主人公のシド役のケイレブ・ランドリー・ジョーンズは終始よれた立ち振る舞いで体調の悪さを演じるため、物語のテンポに大きく影響を与えはするが、よく頑張っている。初期のクローネンバーグ父の雰囲気をうまく引き継いでいるともいえる腕の質感を保ったままの配管もすごくいい感じだ。

ただ、最初に他人のウイルスを体に注入することで見られる景色や気分(なのかな)が映像化されないために結局のところあのクリニックが行っていることがなんなのか見ず、それは物語自体の分かりにくさにも直結してしまっている。
2014.03.22 Saturday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:58 | - | - | -
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