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エウロパ / Europa Report

80点/100点満点中

社会派サスペンスドラマの秀作『タブロイド』(2004)のエクアドル人監督セバスチャン・コルデロによるSFホラー。宇宙飛行士ローサ役にはパルムドール受賞作『4ヶ月、3週と2日』のルーマニア人女優クリスチャン・カマルゴ、アンドレイは本国スウェーデン版ミレニアム・シリーズの主演ミカエル・ニクヴィスト、カーシャが『スモーク』のヒロインだったポーランド人カロリーナ・ヴィドラ、ジェームズに『第9地区』でデビューし『オールド・ボーイ』にも出演している南アフリカ出身のシャールト・コプリーら。製作費1000万ドル以下。2014年公開作品。

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近未来。水の存在が確認されている木星の第2衛星エウロパを調べるべく民間企業による初の有人惑星探査プロジェクト・エウロパ計画が実行される。世界中から6人の宇宙飛行士が集い、打ち上げにも成功。長い航海の末にようやく辿り着くも消息不明に。16ヶ月後、計画の総責任者アンガー博士はエウロパ・レポートを発表し、驚くべき真相を告白する。
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日本ではいざ知らずハリウッドで1000万ドルの製作費といえば低予算ホラーに比べれば多いものの、それでもこの予算でSF映画を撮るとなったらずいぶんとしょぼいものが出来上がりそうと危惧してしまうが、本作はなかなかどうして奮闘している。いいSF作品を作ろうという意欲がある。

SFは積極的に好きといえるジャンルではないので、それほど率先して見ているわけではないが、『月に囚われた男』(製作費500万ドル)から少し流れが変わった印象がある。先日鑑賞した『地球、最後の男』(製作費50万ドル)もそうだったが、近未来にもしかしたらあり得るかもしれないという現実と陸続きな世界観の、ある意味で硬派なサイエンスフィクションが以前に比べ増えた気がするのだ。本作は基本的にはファウンドフッテージ・スタイルともいえるけれど、同じSFホラーでも『アポロ18』(製作費500万ドル)のような驚かせればいいのだろうといった安直さはなく、構成の妙で魅せる映画になっている。

エウロパ計画を総括する形でアンガー博士は6人のクルーに何が起きたのかを公表していく。具体的な映像は宇宙船内に設置された複数のカメラが捉えたものとなる。それと同時に、船長のウィリアムと共に操縦士を務めるローサの述懐が時折挟まれていく。

NASAからおそらく借りた打ち上げの映像を盛り込み、臨場感を引き出しつつ、いかにも無重力っぽい演技でそれっぽさを出したり、少しずつ6人のキャラを把握できるような演出が試みられる。製作費が少ないとどうしても粗が出てくるCG映像に関してはその限界を割り切っているようだ(特に終盤)。物語の構成や演出といった工夫次第で差が出る部分に力を注いでいるともいえる。

エウロパで何が起き、6人は何を見たのか。結局はそこが焦点になり、ラストではそういうことだったのかという驚きをしっかり得られる。ビジュアル面での不足は俳優たちがそれぞれに演技力を発揮することでも補い、各専門分野のプロ意識が発揮される展開は熱いものがある。

1点だけよく分からなかったのは、通信システムの不具合を修理すべく、アンドレイとジェームズが船外活動を行っている最中に起きる事故が、エウロパへの着陸後と並行して描かれるので少し混乱してしまう。英ウィキのプロット欄を読むと、出発から6ヶ月後のこととある。確かに彼を失って云々というやりとりが前半に出てくるし、整合するわけだけど、アンドレイとジェームズのふたりは探査船に乗り込まず母船で待機している間の出来事と鑑賞中思ってしまった。そうなると直後に、なんでその人が探査船にもいるんだ?と混乱することになるのだ。ただ、それ以外は演出次第で低予算であってもハードSFはできるのだという証明のようなよくできた映画といえる。
2014.08.02 Saturday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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