すばらしくてNICE CHOICE

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プリズナーズ / Prisoners

78点/100点満点中

アカデミー賞外国語映画賞候補にもなった『灼熱の魂』のカナダ人監督ドゥニ・ヴィルヌーヴによるサスペンス映画。主演はヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホール。共演にポール・ダノ、テレンス・ハワード、『ダウト』『ヘルプ 心がつなぐストーリー』のヴィオラ・デイヴィス、メリッサ・レオら。製作費4600万ドル。2014年公開作品。

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ペンシルヴェニア州の田舎町。ご近所同士のドーヴァー家とバーチ家が一緒に感謝祭を祝っていると、両家の幼い妹アナとジョイが姿を消す。目撃されたRV車から、両親を早くに亡くし伯母ホリー・ジョーンズと同居するアレックスが逮捕される。しかし、彼の知能は10歳程度で、満足な証言を得られないまま証拠不十分で釈放に。進展しない捜査にアナの父ケラーは指揮を執るロキ刑事への不満を募らせると共に、自ら娘の居場所を聞き出すべくアレックスを監禁する。
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よくできた重厚なサスペンス映画。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の前作『灼熱の魂』が衝撃のラストを用意したミステリー仕立てのドラマであったように、本作にも意外な真相が準備されるという謎解き要素もしっかりある。それ以上にこの作品の良さは、最愛の娘を奪われた父親の憤りと、卑劣な事件を前にしての刑事のプライドが、ゆったり過ぎるのではと思い始めるギリギリのところまで物語のテンポを落とし、みっちり描いてることだ。

登場人物の人となりや状況を伝えるのに説明的にならず、何気ない会話から想像させる点や、ここぞというところで鳴らす緊張感のある音楽で集中を切らせないなど演出上の巧さが随所に光る。撮影もコーエン兄弟作品で活躍しているロジャー・A・ディーキンスとなる。私自身は本作でピンと来る絵はないものの、今回オスカーで唯一ノミネートされたのは撮影部門となる。

そして、何より素晴らしいのは主演のふたりの演技だ。『エンド・オブ・ウォッチ』に続いて警察を演じるジェイク・ギレンホールは役柄的に目立つものではないが、常に冷静に真相へ肉薄しようとするロキ刑事に扮する。一方のヒュー・ジャックマンは家長として家族を守れず("あなたといれば安心だと思っていたのに")、その悔恨から暴走する父親ケラーを分かりやすく熱演する。

知恵遅れのアレックスはあくまで容疑者のひとりであり、しかも証拠が乏しく釈放されたにも関わらず、ケラーは"こいつは人間じゃない"と思い込み、監禁という暴挙に出る。リフォーム業を営むケラーらしくちゃちゃっとお手製の拷問部屋まで作り、居場所を聞き出そうとする。我が子を想うあまりに藁をも掴む気持ちからであり、理解できなくもないが、この問題は被害者家族が実際に・・・とより直接的な形でなくても、マスコミが正義の名の下に刑が下されるまでは一容疑者に過ぎないのに"犯人"だと断定するかのように報道し、結果免罪だったことは実際に起きてる問題であり、本作ではその危うさを決して声高にはではないが描いてもいる。

また、キリスト教の聖書の言葉が幾度となく引用され、題名の"囚われ人"もそこに寄っている部分はあるのだろうが、本作をより深い部分で理解するにはキリスト教への見識があった方がいいのかもしれない(ケラーの終末思想、子供を殺すことへの動機等)。その視点込みで書かれた文章を読んでみたい。

ただ、アルカリ剤などのミスリード要素が余計だ。犯罪においてその犯人として最も疑われるのが身内であることから、両家の家族を一顧だにしないというのも確かに不自然ではある。でもそのおかげで終盤の重要な証言"あなたもそこにいた"に混乱が生まれる。その意味するところに困惑するだけならまだしも、折角真相に行き着いたのに唐突さが否めなくなってしまうのが問題だ。また、場面転換の際に結構省略があったりして、その飛ばし方の思いっきりの良さに感心しつつも、ラストシーンでの暗転は分かりやすい前振りがあってこそだし、確かにいつ"それ"を活躍させるのだ?と思いながら鑑賞してるわけで何ら不思議のない解決方法ではあるが、2時間30分弱も見てきた物語の幕としてはあまりにあっさりとし過ぎてはいないだろうか。驚くべき真相を用意していることは評価するが、同時にカタルシスも欲しい。
2014.10.01 Wednesday 23:58 | 映画 | comments(2) | trackbacks(0)
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2017.07.21 Friday 23:58 | - | - | -
コメント
ジェイクギレンホールは本当にいい俳優だなぁと改めて感じました。確かに、ラストは呆気ないですし迷路やミイラ死体などのミスリードもあって分かりなくいですが演技は完璧でした。ポールダノ太りましたね。久々のレビュー楽しみにしていました!
コモリ | 2014.11.24 Mon 14:24
コモリ様

こんにちは。
コメントありがとうございます。

> ジェイクギレンホールは本当にいい俳優だなぁと改めて感じました

それホント思いましたね。彼は『ドニー・ダーコ』のイメージが強いためか、いわゆる普通の青年役がはまり役という印象だったんですけど、マット・デイモンがジェイソン・ボーンでがらりと変わったように、彼もどんどん脱皮してるんだなぁというのをここ2作で思いました。

> ポールダノ太りましたね

太ったんですかねぇ。『それでも夜は明ける』で遅まきながらその良さに気づいたぐらいで、記事にはしてないのですが、『ロバート・デ・ニーロ エグザイル』(出来はイマイチでした)を見たりしてます。個性的な顔立ちと演技上手なとこ、好きな感じです。

> 久々のレビュー楽しみにしていました

ありがとうございます!まだまだ上げてない記事があるので順次アップしていきます。どうぞよろしくです。
gogonyanta | 2014.11.24 Mon 17:44
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