すばらしくてNICE CHOICE

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アルバート氏の人生 / Albert Nobbs

66点/100点満点中

2011年のアイルランド映画。最近では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の女性司令官を演じていたグレン・クローズが30年前に主演した舞台劇を共同で脚本・製作に携わり、再び主役を演じた人間ドラマ。監督は作家ガブリエル・ガルシア=マルケスの息子で『パッセンジャーズ』のロドリゴ・ガルシア。クローズとはこれで3作目の仕事になる。共演にはミア・ワシコウスカ、アーロン・ジョンソン、本作でオスカー助演女優賞候補になったジャネット・マクティア、「ハリー・ポッター」シリーズのマッドアイ・ムーディでお馴染みブレンダン・グリーソンら。製作費600万ユーロ。

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19世紀のアイルランド・ダブリン。女主人マーガレット・ベイカーが経営するモリソンズ・ホテルで、アルバート・ノッブスは常連客からの信頼も厚い優秀なベテラン・ウェイターとして住み込みで働く。しかし私生活では人付き合いを避け、殻に閉じこもる孤独な生活を送っている。アルバートは実は女性であり、男装することで孤児だった彼女が貧しさから抜け出せたのだ。そんな秘密を抱える彼女はある日自分らしく生きるヒューバート・ペイジと出会う。
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14歳で唯一の肉親である母親を亡くしたアルバート・ノッブスは、男性のスーツを着て駄目元で受けたウェイターの面接を通ったことで生活のために男装を始める。女性らしい細やかな仕事ぶりが認められ、そのまま男として給仕の仕事を続け、具体的な年齢は明らかにされないが初老(扮するグレン・クローズの撮影時の年齢は63歳前後)の域に達するまで女であることをひた隠しにし、懸命に生きてきた。秘密を明かすことは仕事を失うことであり、十代の一時期暮らしことがあるスラム街に逆戻りすることでもあり、女性としての幸せを切り捨てでも彼女はウェイターの道を選んだ。

同僚の若いメイドのヘレン・ドウズを演じるのがオーストラリア出身のミア・ワシコウスカ。ボイラー修復の腕を買われホテルで働き始める若い男ジョー・マキンスには、もはや『キック・アス』のとはいえないぐらい立派に成長してしまったアーロン・ジョンソン。この若いふたりのゴタゴタが物語を動かす。また、ジャネット・マクティア演じる内装業のヒューバート・ペイジと出会うことで、アルバートは自身でも女性としての顔がどうだったのか忘れてしまうほど心の奥底に長年押し込んでいた本当の自分を取り戻していいのだという希望を抱く。

ただ、よく分からないのはヘレンへのアルバートの感情だ。ヒューバートが同性愛者だというのは推し量れるよう描かれるが、アルバート自身は生きるために男装してるだけで、性的指向についてはストレートに思える。ヒューバートが理解者に出会えた僥倖を自分も授かれるかもと考えるには、性を隠して以降恋愛・性愛方面には確かに疎かったかもしれないが、それでもホテルのウェイターをしていれば世事によく通じそうなものだし、のぼせてたにしてもあまりに無邪気だ。

一方、いささか世間ずれしてるアルバートを演じるクローズの演技は本当に見事だ。小柄で女性的ではあるものの、ずっと見続けていると彼女が女性の服を着た時にはそれが本来の姿であるのに、男性が女装しているようにしか見えない。また特徴的な人形のような瞳には長い年月偽り続けた人間の虚無が広がっているようで心底怖い。そんな彼女がようやく明るい未来を見出せると思った矢先に事件があり、しかも天罰などの分かりやすいケリを付けずに幕を下ろすラストが続くわけで、単純な勧善懲悪など現実にはないのだと理解していて、いささか物足りなさが残る。

ろくでもない口先だけの男ジョーを演じるアーロン・ジョンソンはその出演作を見るたびに、ああ彼だったのかとなり、なかなか顔を覚えられないのだけど、本作でのムカムカさせる完璧なゲスい男ぶりはなかなか。


この映画の舞台の背景には、1945年にアイルランド人の主食であるジャガイモの疫病が発生し、数年にわたり不作が続いたため起きたジャガイモ飢饉がある。同時に、この頃流行したのがチフスで、1849年までに死者はおよそ100万人に達し、1841年には820万人だった同国の人口のうち100万人がイギリス、アメリカへ移民したそうだ



【本日の英単語】
"salubrious": (気候・土地など)健康によい、健康的な

ミセス・ベイカーがヒューバートの仕事ぶりを"清々しい"と褒めた時に使った形容詞。ヒューバートとその奥さんキャスリーンは英国女王か何かのように持って回った表現だとツボに入っていた。

"porridge": ポリッジ。オーツ麦のおかゆ(参考)。
2014.10.26 Sunday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:58 | - | - | -
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