2015年5月発売。
これは良い漫画。『
ダンジョン飯』や『
A子さんの恋人』が掲載されている(ほぼ)月刊誌の「ハルタ」が気になって、最新号「ハルタ 2015 - OCTOBER volume 28」を買ってみたのだけど、これが面白くない。その2作が際立っていて、読み切りの作品でもいくつか光るものはあったが、連載物は軒並みダメだった。その中でも唯一良かったのが本作。ウィキで雑誌の
ページを見ると、"新人作家を中心に掲載するというコンセプトを持つ隔月刊の漫画誌として2008年10月14日に刊行を開始する。連載作品数の割に読み切り作品の数も比較的多いという珍しい誌面構成の漫画誌となった"とあったから生きの良い漫画家に出会えると期待しただけに残念だ。
明治初頭、まだ外国人の自由な旅行が認められていなかった時代に、伊藤鶴吉という通訳ひとりを従えて、蝦夷まで旅をし、『Unbeaten Tracks in Japan / 日本奥地紀行』を記した英国人女流冒険家イザベラ・バードの日本発見紀行漫画。
その旅行記を読んでいないので、どこからが創作なのか分からないが、江戸期までの奇跡的に純粋培養されていたような日本が、西洋文明と出会ったことで"ひとつの文明が滅びた"わけだけど、その端境期の人々の生活や慣習が切り取られている。とはいえ江戸までの日本が何も本当のこの国の姿ではないし、もともと中国や朝鮮半島からの文化を土台として発展した文明であり、"純粋培養"でもなんでもないわけだけど、それでもかつての日本の姿を垣間見られるのは面白い。
願わくば、外国人が日本を絶賛するのを映すだけの今の気持ち悪いテレビ番組のようにはならないで欲しい。当時の西洋人(もちろんそれは決して文明人というわけではない)が忌憚のない視点で見て感じとったことこそが興味深いのであり、勉強にもなるのだから。以前は、『菊と刀』を持ち出すまでもなく、そうした外国人の批評や感想をありがたく頂戴して教えられていたように思うのだけど、国が弱くなると持ち上げてもらうことに汲々として、何とも浅ましい限りだ。