87点/100点満点中
アダム・サンドラーとドン・チードル共演の2007年公開作品。
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9.11テロで妻子を失い、心に深い傷を負って殻に閉じこもってしまったチャーリーと、
彼の大学時代のルームメイトで仕事も家庭も恵まれた生活を送りながら、
どこか満たされない感情を抱えるアラン。そんな2人がニューヨークで再会し、
再び友情を育んでいく中、少しずつ互いの心を癒やしていく姿を描く。
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ネタ的には悪くなるはずがない作品で、
アダム・サンドラーもいい演技を見せていた(自ら殻を破る場面は涙なしには見られない)し、
ドン・チードルも相変わらずのうまさだった。
脇の俳優もよくやっていた。
ウィル・スミスの奥さん(知らなかったけど)でもあるアランの妻役の、
ジェイダ・ピンケット=スミスも美人で完璧であるがゆえに、
夫が窮屈に感じてしまうという役どころをしっかりこなしていたし、
サフロン・バロウズのおかしな女役も面白かった。
ああ、あとドナルド・サザーランドの迫力はすごいね。
あれでは息子も大変だ。どら息子のネタバレで激怒したという話だけど、本気で怖そう。
で、まあ映画終了後に泣き顔を見られてもいいよと思いながら見に来ているというのに、
そうさせてくれなかったのは、脚本のせいだろう。
マイク・バインダー。
出演している場合(会計士シュガーマン役。知らなかったけれど)じゃないよ。
劇中でもドナルド・サザーランドに叱られていたけれど、
せっかく9.11を正面から捉えた感動作品で、爪の甘さを露呈させてどうする。
映画を陸上トラック一周分を走る競技に例えるとするならば、
直線コースでのドラマは申し分ない。
いくつも名場面はあった。
先に挙げた家族について話すシーンはすごく良かった。
チャーリーを励ますように耳元で歌い続けるボス(でよかったかな?)もいい演出だった。
義理の両親にしっかりと自分の気持ちを伝える場面も感涙モノだ(予告編には入れるなよ)。
それなのに、カーブにさしかかると、どうも急に直角に曲がってしまうのだ。
伏線が全くなく、ひょいとチャーリーの心情が変わったりする。
直線と直線を繋ぐコーナリングがとても下手だから、見ている方はしばらく取り残されてしまう。
なんだかもったいない映画だった。
残念といえば、リブ・タイラーも。
頼りない精神科医役で出てくるけれど、顔がムーミンになっていて驚いた。
どうしちゃったのだ。
誰もがクソだと認める『アルマゲドン』だけど、彼女の眉毛のラインの美しさに、
ラストシーンで涙を流したファンとしてはびっくりだ。
予告編を見ていて、アダム・サンドラーがボブ・ディランに見ているなぁと思っていた。
映像も『The Freewheelin' Bob Dylan』のジャケットそのものだし。
けど、エンドロールでテーマ曲をPearl Jamが歌っているのを知って、
ああ、エディ・ベダーの方が似ているかもと思った。
Pearl Jamなんてひっさし振りに聴いたけど、あんな高い音を出せたんだ。
エンジン付きのキックボード。
あれだけ映画の中で登場すると欲しくなる。
だけど、『ワンダと巨像』は鬱陶しいな。
いくらソニー出資の作品だからって、いい加減にしろといいたくなるね。