すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
12 / 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2021.02.10 Wednesday | - | - | -
2008年ベストアルバム
恒例となった当ブログが選ぶ今年の10枚。とはいえ、今年からベスト10として10枚を選びつつ、他にもジャンルごとにそれぞれ5枚を選んでみた。昨年ぐらいからとてもではないけれど、たった10枚しか選べないのは厳しいと感じていたので、邦楽ではポップスとロック、ヒップホップ、R&B、洋楽ではヒップホップとR&Bというように分けた。

今年は日本語ラップが豊作だったという話をいろんな所で耳にした。確かにリリース量は多かったものの、これという1枚がなかったように感じていて、本当に豊作なのかという印象ではあったのだけど、自分で選んだ10枚を見てみたら見事に日本語ラップが並んでいて、もしかしたら豊作だったのかも。ロックが元気なかっただけだとも思うけど。



第1位 SUIKA / 『カッコいい』 →記事

ダントツでトップ。これまでの柔らかい音を一新し、低音の利いたビートがめちゃくちゃかっこよく、3人のフロントも自在に言葉を重ねていき、グルーヴを作り出している。音源もすごいけれど、ライブはさらにすごい。


第2位 tobaccojuice / 『HEADPHONE GHOST』 →記事

期待通りの音と共に、新たな一面ものぞかせたタバコジュースの3枚目。一度はインディーズに落ちてしまったけれど、音楽的にはずっといいメロディを作っていたわけで、それが報われてのメジャー復帰は本当に嬉しい。惜しむらくはやはり「工場町」のアレンジ。あれだけはもったいない。


第3位 キリコ / 『BLAST』 →記事

相変わらず刺激的な日本語ラップを届けてくれるキリコの2枚目。ファースト超えは難しそうだったのに、たった2年のインターバルでやってしまうとは驚いた。ライブもうまいし、ただの奇才で終わっていないのが彼のすごいところ。次はどう変わるのか期待。


第4位 STERUSS / 『円鋭』 →記事

横浜のステルスの3枚目。中身ももちろんいいのだけど、ジャケもいい。画像を大きくするとさらに良く見える。今年一番良かったジャケかも。crime6とBELAMA2のふたりが紡ぐ言葉の温かさ、DJ KAZZ-Kのビートの温もり。年を重ねてもヒップホップをやれるというひとつの証明だと思う。というか、年齢を積んだ方が経験も増えるわけで、ラップすることは増える一方であり、彼らはこれからますます面白くなると思う。


第5位 神門 / 『こころ』 →記事

22歳の若造の言葉にどれだけ熱くさせられてるんだよという話ではあるが、たった1年ちょっとでここまで成長するとは想像していなかった。まだまだ伸びシロはあるわけで、楽しみ。リリックから読み取れる正直さがこれまで通りにいい方向に転がるといいのだけど。


第6位 ORANGE RANGE / 『PANIC FANCY』 →記事

いやいや自分でもまさかランキングに入れるとは、数年前に「上海ハニー」を聴いたときには想像だにしなかったけれど、この5枚目のアルバムはいい。ここに「おしゃれ番長」が入っていれば完璧だった。だから、10曲目の「O2」と次の「イカSUMMER」を抜かして、代わりに「おしゃれ番長」を入れて聴いている。


第7位 安藤裕子 / 『chronicle.』 →記事

彼女のポップ感覚は独特で、多分にアーティスティックなのだけど、同時に分かりやすさも兼ね備えていて、シングルリリースでも気になってしまう。


第8位 Lion's ROCK / 『NO'17』 →記事

ダメレコの1000円シリーズとしてリリースされたファーストアルバム。値段と内容が釣り合っていない作品で、もっと高くても買ったと思う。リズム感のある跳ねるラップがひたすら耳に心地良く、スウィングしまくりのトラックと相まって楽しめた。あとは、ライブでどれだけリリックを聴き取らせるかだと思う。音源と違って荒削りすぎる。


第9位 Shing02 / 『歪曲』 →記事

セカンドアルバムから6年。ようやくリリースされた3枚目。それだけでも嬉しいのに、狭いとはいえそれなりに個性豊かなラッパーが多い日本語ラップ村のなかでも、比べものにならないぐらい強烈な世界観を提示した1枚。1枚目のような無邪気なユーモアはここにはないけれど、とてつもなく重い言葉のひとつひとつで作り上げられた深い世界がある。


第10位 般若 / 『ドクタートーキョー』 →記事

内省度をさらに深めた般若の4枚目。BBOY PARKでの短いステージしか見たことないのだけど、それでもエンターテイナーぶりは十分伝わってきた。ステージング、フロウ、押韻、リリックの内容。どれをとっても今一番油が乗っているラッパーだと思う。ワンマンが見たい。



<ジャンル別>

【邦楽ロック】

・サカナクション / 『NIGHT FISHING
・ZAZEN BOYS / 『ZAZEN BOYS 4
・ミドリ / 『あらためまして、はじめまして、ミドリです。
・serial TV drama / 『シリアルキラー
・avengers in sci-fi / 『SCIENCE ROCK


【邦楽ポップス】

・藤岡藤巻と大橋のぞみ / 『崖の上のポニョ』(シングルでしかも昨年12月リリースなんだけど)
・Peridots / 『EVERY LOVE SONG
・原田郁子 / 『ケモノと魔法
・キセル / 『magic hour
・LITTLE TEMPO / 『山と海


【日本語ラップ】

・TAK THE CODONA / 『RED EYE CONTACT
・Small Circle of Friends / 『FUTURE
・EVISBEATS / 『AMIDA
・MICHITA / 『Two
・環ROY×fragment / 『MAD POP


【邦楽R&B】

・JAMOSA / 『CRY
・SATOMI' / 『Angelite
・加藤ミリヤ / 『TOKYO STAR
・EMI MARIA / 『A Ballad Of My Own
・宏実 / 『True Colors


【洋楽ヒップホップ】

・Illa J / 『Yancey Boys
・MURS & 9th Wonder / 『SWEET LORD
・Atmosphere / 『When Life Gives You Lemons, You Paint That Shit Gold
・Q-Tip / 『The Renaissance
・Lil Wayne / 『Tha Carter III


【洋楽R&B】

・Raphael Saadiq / 『The Way I See It
・Usher / 『Here I Stand
・Raheem DeVaughn / 『Love Behind The Melody
・Mariah Carey / 『E=MC²
・Jaheim / 『The Makings of a Man
2008.12.31 Wednesday 23:59 | 音楽 | comments(6) | trackbacks(0)
2008年ベスト映画
今年は映画館で見たのが、新作とリバイバル上映含めて73本。映画好きと自称するにはあまりに少ないし、邦画よりも洋画を見に行くことが多いので、かなり偏りがあるものの、恒例の2008年のマイベスト映画10本と選外の5本の発表です。

昨年に比べ、順位付けが難しかったのが正直なところで、ここに挙げた15本はどれも同じぐらいに楽しめたものです。



第1位 崖の上のポニョ  →記事

宮崎駿の久方振りの傑作映画。『もののけ姫』以降どうなっちゃってるのという作品が多かったけれど、これでひと安心。頭からエンドクレジットまでキャラクターの勢いに魅せられた映画。"ぽ~にょぽ~にょぽにょ"もいいんだ。ついつい口ずさんでしまう魔力があった。


第2位 ダークナイト / The Dark Knight  →記事

アメコミ映画とは思えないシリアスさと重厚感に圧倒された。音楽というか、低音がずっと響いていて、ずっと緊張しながら見ていた。次のバットマンの話も漏れ聞こえているけれど、駄作の予感がプンプンする配役で、どうなんでしょう。


第3位 アメリカン・ギャングスター / American Gangster  →記事

長尺だったにもかかわらず、最後までスクリーンに釘付けだった。館内が明るくなってからもしばらく立ち上がれなかったほど、お腹いっぱいになった。俳優陣、美術、監督、音楽、どれをとっても一流の仕事ぶりで、映画っていいなとしみじみ呟いていた。


第4位 ミスト / The Mist  →記事

これはもうラストの衝撃。それに尽きる。途中でのスーパーマーケットに閉じ込められた人々の間で繰り広げられる人間の本質を突いたドラマもそれなりに楽しめるけれど、やはりラストで突きつけられる恐怖はまさにホラーだった。


第5位 ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン! / Hot Fuzz  →記事

これは笑いに笑った映画。ずっと笑ってた。後半のおバカな展開になってからはさらに笑いに拍車がかかり、女子高生かというぐらいに何を見ても笑っていたように思う。


第6位 トロピック・サンダー/史上最低の作戦 / Tropic Thunder  →記事

これも爆笑だった。批判しているブログやサイトも目にしたけれど、なぜか分からない。このアップした画像を見るだけでも笑えてくるのに。オープニングのばかばかしさから、中盤のどうしたいのか分からないけれど、いちいち小ネタで突っついてくるところも、アホな演劇論も、もちろん彼のダンスも最高だった。


第7位 ノーカントリー / No Country For Old Men  →記事

ひたすら重苦しい映画。もう一度見たいかと問われれば、首をブンブン振って断りたい作品なのだけど、ずっしりと心に残った。コーエン兄弟ってすごい。ブラッド・ピット始め豪華俳優陣の新作も今から楽しみ。


第8位 ウォーリー / WALL・E  →記事

ピクサーのCG技術はもちろんのこと、ディズニーの物語るうまさに惹かれた作品。初めの方で、自分の家に帰ってきたウォーリーがキャタピラーを明日ために入り口付近に掛けるシーンとか、何気ない動きなのだけど、クスッと笑わせるうまさが随所にあった。


第9位 1408号室 / 1408  →記事

このランキングでは2本目のスティーヴン・キングの映画化。原作もそれなりに面白かったけれど、映画の方がさらに面白くなっているのは『ミスト』同様で、でもそれってかなり珍しいことだから嬉しい限り。


第10位 落下の王国 / The Falls  →記事

きっちり撮られた構図や広がっていく物語、衣装の美しさ等々見所はたくさんあるのだけど、ヒロインの愛らしさにも惹かれた。彼女がいたからこそ、物語にリアリティが生まれたのだと思う。映画自体はだいぶ前のものだけど、公開されて良かった。


選外

スピード・レーサー / Speed Racer


告発のとき / In The Valley Of Elah


アース / Earth


クローバーフィールド/HAKAISHA / Cloverfield


無ケーカクの命中男/ノックアウト / Knocked Up
2008.12.31 Wednesday 23:59 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
twenty4-7『Life』

2008年2月20日リリースのファーストアルバム。

ラッパーのMIKAとシンガーのMEによるユニット。2004年から関西を中心に活動を始め、2006年にrhythm zone主催のオーディションの大阪大会で優勝。2007年、メジャーデビュー。

こんなレベルでもメジャーデビューできるんだというぐらいにラップが下手! あまりに下手くそすぎてあきれてしまう。音源を批判する場合は普通は徹底的に聴き込むのだけど、これはもう3周が我慢の限界だった。

"disりも指摘もみな受け止める 強くなきゃ残れない この世界では・・・"などといっぱしのことをラップしているが、多分ラッパーのMIKAという人は指摘されても批判されても全く耳を貸さないでここまで来た人なんだろうと思う。でないと、ここまで酷いラップを披露できるはずがない。

しかし、本作はタワレコの「2008年邦楽ジャンル別TOP10」の「J-HIP HOP」部門で第4位の売り上げなのだ。その事実をしっかり見据えてもう一度聴き直してみたものの、耳が腐るかと思った。こんなラッパーでも通用するというのはひょっとしたら童子-Tが売れたことによる弊害のひとつなのだろか。

シンガーの方はこれといって特徴のない人で、極めつけの下手でもなく、また特記するほどのうまさがあるわけでもない。それが良いことなのか良くないことなのか分からないけれど。


**************************
2007.04.11 1st mini AL『twenty4-7』
2007.08.29 1st SG『Fly Out』
2007.11.21 2nd SG『Endless Road』
2008.02.20 1st AL『Life』
2008.07.16 3rd SG『summer story』
2008.11.05 4th SG『Back AGAIN -the black crown ep-』
2008.12.03 5th SG『BELIEVE -the white cross ep-』
2009.02.04 6th SG『Get A Life ~Again~』
**************************
2008.12.29 Monday 23:59 | 音楽 | comments(6) | trackbacks(0)
Musiq Soulchild『ONMYRADIO』

2008年12月9日リリースの5枚目のアルバム。

前作から1年半と比較的短いスパンでのニューアルバム。その前作は可もなく不可もなく、ただ戻ってきてくれたのが嬉しいという作品だったが、今作は印象的な曲が増え、聴き応えがある。

Warryn Campbellが関わる最初の2曲こそ、性急なリズムにおやっとなるが、その上に乗るのは変わることのない温かい歌声にシルキーなメロディだ。Mary J. Bligeが絡むM3「Ifuleave」からM7「Loveofmylife」までの中盤がこのアルバムの肝になっている。当然手掛けるのはCarvin & Ivanであり、心ゆくまでR&Bの世界にひたることができる。

M3ではリズムが固くやや引っかかりを覚えるものの、ピアノ、ストリングスが心地良く、メアリーとの世界をもっと聴いていたくなる。アウトロを長めで聴きたい。M4「Deserveumore」、M6「Dearjohn」(これはウォーリン・キャンベル仕事)、M7での足し過ぎもせず、引き過ぎもせずという、ほど良いアレンジは見事。

John Legendは新譜で少し向こう側に足を踏み外してしまったけれど、ミュージック・ソウルチャイルドがいるなら、まだまだR&Bは大丈夫だと思えた良作。ただ、サウス風味のM12「Radio」だけは明らかに蛇足。もちろん収録されている他の曲にも荒くれたビートを採用している楽曲はあるのだけど、それすらも持ち前の歌声でR&Bに昇華してしまうのが彼のうまさなのに、この曲は明らかに逸脱していて、その冒険心が成功していないのが気に掛かる。最終曲以外はほとんど不満がないだけに残念。
2008.12.29 Monday 23:59 | 音楽 | comments(2) | trackbacks(0)
本多孝好『正義のミカタ ~I'm a loser~』

読了。
☆☆☆/5点中

************************************
高校時代にとことんイジメられていた根っからのいじめられっ子・蓮見亮太は、一念発起し猛勉強の末、大学に入学した。しかし入学式でいきなり高校で自分をいじめていた畠田に会ってしまうのだった。
************************************

若手の中でもかなり好きな作家である本多孝好の昨年の作品。ようやく読んだ。

久し振りの長篇小説なわけだけど、ずいぶんと文章が分かりやすくなり、また展開のせいもあり、多分に漫画的である。

終わり方が少し不満。「正義」というとても多面的な概念に対する疑問を投げかける展開は面白かったのだけど、ヒロインの過去との対峙も主人公の成長のため、あるいはヒロインを救うためにも必要だったのでは。というか、元いじめられっ子がクラスで一番かわいい子を恋人にできるのかどうか、そこを読みたいだけかもしれないけど。



************************************
本多 孝好(ほんだ たかよし)
1971年、東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒。
1994年、大学在学中に同級生の金城一紀に触発されて書いた『眠りの海』で第16回小説推理新人賞受賞。
2004年、『真夜中の五分前』で第132回直木賞候補に。

1999.06 『MISSING』(双葉社)
       →双葉社文庫
2000.10 『ALONE TOGETHER』(双葉社)
       →双葉社文庫
2002.08 『MOMENT』(集英社)
       →集英社文庫
2003.03 『FINE DAYS』(祥伝社)
       →祥伝社文庫
2004.10 『真夜中の五分前 -five minutes to tomorrow side-A』(新潮社)
       →新潮文庫
2004.10 『真夜中の五分前 -five minutes to tomorrow side-B』(新潮社)
       →新潮文庫
2005.07 【アンソロジー】『I LOVE YOU』(祥伝社)
       →祥伝社文庫
2006.07 【アンソロジー】『LOVE or LIKE』(祥伝社)
       →祥伝社文庫
2007.05 『正義のミカタ― ~I'm a loser~』(双葉社)
2008.11 『チェーン・ポイズン』(講談社)
************************************
2008.12.28 Sunday 23:59 | | comments(0) | trackbacks(0)
宏実『True Colors』

2008年5月21日リリースのファーストミニアルバム。

安っぽいジャケに、捻りすぎて平凡になってしまった芸名「宏実("美"ではなく"実"とのこと)」。かなり長いことためらっていたのだけど、2008年のものは2008年に聴いてしまえと、手に取ってみたら思わぬめっけものじゃない。

歌はうまい。でもそれって当然の話(日本ではその最低条件さえなかなかままならない)で、そこに個性がどれだけ出せるのかがとても重要になってくるのだけど、彼女は残念ながら個性の確立まではできていない。初音源でもあるし、しょうがないのだろう。

これから徐々に歌声なり、歌詞なり、作曲なりで個を見せて欲しいところではある。ただ、M6「恋頬い」のクライマックスで聴ける高音にはゾクッとさせられた。気持ちがすごく乗った歌い方でとてもいい。



*****************************
2006.10.15 1st SG『L.O.V.E feat. FRG』(iTunes配信限定)
2007.12.12 2nd SG『OUR CHRISTMAS SONG』(iTunes配信限定)
2008.05.21 1st mini AL『True Colors』
2009.06.24 1st ALRAINBOW
2009.09.16 3rd SG『愛されたい
*****************************
2008.12.28 Sunday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
Common『Universal Mind Control』

2008年12月9日リリースの8枚目のアルバム。

事前情報として伝わってきたのは、5枚目の『The Electric Circus』に近いらしいことと、ほとんどの曲をThe Neptunesが手掛けているということだった。『The Electric Circus』は賛否両論な作品ではあるけれど、私はかなり気に入っていて、Kanye Westが関わった直近の2枚よりも今聴き直してみると好きだったりする。カニエのプロデュース作は平均点は高いし、当時は結構満足したものだけど、小さくまとまっているように思うのだ。その点で5枚目は野心に富んでいて面白い。

本題。10曲中7曲がネプチューンズ。他3曲はMr.DJ。で、音はどうなのかといえば、う~んと首を捻らざるを得ない。ネプチューンズの作る跳ねた音にCommonがうまく乗れていない。コモンというラッパーは決して下手なラッパーではないけれど、どうしてそんなビートを選んでしまったのかと思うぐらいに乗りきれていない。

『Electric Circus』収録曲にもネプチューンズ曲はあって、例えばシングルにもなっている「Come Close feat. Mary J.Blige」はアルバムの中でも1、2を争う仕上がりだ。こんな曲が1曲でもあれば今作の満足度は格段に違っていたはず。

ネプチューンズのトラックはM4「Sex 4 Suga」のようにビートとベースが攻めてる、とてもらしいのもあれば、M6「Gladiator」のようにホーンの使い方がユニークで、いつもとは違うアプローチを見せたりもするわけで、彼らが悪いわけでもない。単に噛み合わなかっただけだと思う。

良かったのはギターループがかっこいいM9「What A World」。トラックだけで見るとM6もいい。

次のアルバムはカニエに戻るのも勘弁だし、No IDと再び手を組んで欲しい。でもできることならSoulquariansとまたやって欲しい。J Dillaの替わりにIlla Jを入れて。
2008.12.27 Saturday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
神門『こころ』

2008年12月17日リリースのセカンドアルバム。

簡潔に書けば、ラップはいいけど、トラックがダメダメ。これに尽きる。M8「道」で客演を交えた他は神門の真摯な思いが積み重なり、言葉の重みを知った上でのリリックは非常に胸を打つ。が、ほとんどのトラックを担当したDJ NAPEYがあまりにひどい。安っぽい上にださい。神門に合わせてメロディアスなトラックに仕立て上げたりもするが失敗ばかり。

だからラップとトラックが共に良かったのは、M4「○月×日」、M11「零時」、M15「成長IV」、M17「さて、どう生きようか?」だけだ。しかもM17は唯一DJナペイではなくDJ YOKOIが作った曲である。

彼のトラックメイクの失敗はM16「HERE IS HAPPINESS remix」によく表れている。ライブで聴いたI-DeAバージョンはすごく良かったのに、DJナペイバージョンでは同じリリックなのに自分がどこで感動したのかすら思い出せなかった。だからもしかしたら、いやもしかしなくてもトラックを差し替えたらもっともっと輝き出す曲が本作にはあるに違いない。


M1「表明」でいみじくも神門自身がヴァースでラップしているように"いろんな俺"が"散りばめられた"作品であり、ファーストアルバム『三日月』よりも聴きやすくなっている。『三日月』は恋愛という誰にでも分かりやすいテーマをコンセプトにしたアルバムだったが、そのテーマのみを扱っていたため次第に重くなっていったことも事実で繰り返し聴くのは大変だった。今作は風通しが良い。

2枚目を作り上げたラッパーとしての決意表明をした後、M2「異種混合書闘技ヘビー級」では周りの仲間を含め、大麻に溺れているラッパー、地位に安住している先輩に中指を突き立てる。極めて正論であり、普通そんなことをラップされても鼻白むものだけど、神門の場合その真摯さから思わず聴いてしまう。音が抜かれて、フロウがよれているのが分かっても、それがマイナスになるのではなく、エモーショナルに聴こえてしまうのは役得だろう。

曲説明のスキットに導かれて始まるのが、ギターのワンループの上で、何かを始めたい人の背中を押すM4。補足する必要もないと思うけれど、リリックの下のところにこの曲は押韻なしで書きましたという説明が載せられている。伝えたいメッセージがあり、それがビートの上にがっちり乗っていればラップになるという見本のような曲だ。

お金はあるにこしたことはないけれどというM5「金金かね?」、酒での失敗を描き、酔いにまかせてフックを下手に歌い上げるM6「酔言」。この曲での"サンキュ・ザ・ポリス"が実に神門らしい。M7「訴えるワタシ」はキリコの「ありがとう。名無しの2チャンネラー諸君」と同じく、2ちゃんねるを始めとしたネットでの批判に対する決意表明。なかなか興味深いが、キリコほどユーモアがないのは残念。"MCは商品ではない"けれど、人間であるMCが作った音源は商品であり、ネットに限らずどの媒体どの状況でやいのやいのと取り上げられても仕方がないだろう。

逮捕された仲間を励ますM8はアルバム唯一の客演曲。そのネスタは捕まった仲間と同じグループに所属する相棒であり、特にうまいわけではないけれど、ドラマがあるから涙なしには聴けない。"無理だなんて誰が決めた? 前例がないなら先駆者になる"というパンチラインが眩しいM9「頂み」では自分を奮い立たせる。

DJナペイの特徴ともいえる平板な音像のインスト(M10)を抜けた後は、鬱なリリックが全編を覆うM11。アルペジオをつま弾くギターのワンループトラックで、珍しくラップとトラックが噛み合う。しかし、こういうテーマを扱えるのが神門の強みであり、人としても強いところなのだろう。ラップよりもトラックが良いという希少価値のあるM12「→―→」。彼にとっては意味がある曲なのだろうが、ここではベースラインを聴いてしまう。続くM13「カーテン (四時九九分)」は歌うようなフロウというより下手な歌であり、ベースと和風の音を基調としたトラックに耳がいく。鬱を表現するなら直接的にいうよりも、ここでのトラックのようにもっと病んだ感じにすれば面白い。

前向きに生きよう、明るく生きようという自己啓発なM14「五時」。生真面目に胸の内を語るが、語りすぎな感がなくもない。でもそれこそが神門なのだろう。歌ものフックが珍しいM15はピアノメインのトラックとも相性が良い。外でもラップを始めたのが2005年6月11日ということはたったの3年でここまで成長しているわけだ。タイトルナンバーは"IV"だけど、この数字が大きくなるごとに今以上に良くっていくのかと思うと期待が高まるばかりだ。

本編はここまで。ボーナストラックとしてDJナペイリミックスの「HERE IS HAPPINESS」が16曲目に収録されいる。DJナペイのトラックとしてはまともな方だけど、オリジナルがいいだけに開きが大きすぎる。

スペシャルボーナストラックがM18「さて、どう生きようか?」。赤裸々すぎるからこそ、誰の心にも響くリリックが秀逸。神門の吐き出す言葉はいくら重ねても薄まることはなく、反対に説得力が増していく。"ギャンブルをしない俺が唯一したハイリスクハイリターンな博打 / オッズは「富」「名声」「幸せ」 ベッドはたった一つ「人生」"。8分27秒と長尺の曲だけど聴き入ってしまう。


秋口にダメレコの4周年パーティで神門のライブを見たとき、迫力に圧倒された。一瞬の言葉の破壊力、説得力ならIll-Bosstinoにも負けていないと思った(まあ彼の場合は長丁場のライブができて、しかもその間ずっと爆弾を落とし続けられるわけで、比べるのも何だけど)。人生を嘘偽りなくリリックにしてしまうラップは本当にかっこよく、たった20分ほどのライブだったのにしびれたものだ。そこではこのセカンドからの曲を中心に披露していたということもあり、本作には過度な期待を抱いていた。だからこそ、トラックのしょぼさには悔しさすら感じてしまう。ラップは悪くない。捨て曲も少なくなった。それだけに残念な印象が残ってしまう。SEEDAの『ROOTS & BUDS』のように誰かにリミックスアルバムを頼むのも一興かと。
2008.12.26 Friday 23:59 | 音楽 | comments(15) | trackbacks(0)
Akon『Freedom』

2008年12月2日リリースのサードアルバム。

T-Painをフックアップした人程度の知識しかないので、全編オートチューンスタイルの本作はKanye Westの新譜の場合とは異なり、戸惑いもなくすんなり受け入れることができる。Tペインとの比較でいえば、あそこまで泥臭くねっちこい歌い方ではなく、非常にスマートでポップなうえ、シンセ多用のプロダクションということもあり、分かりやすい。ただそれが故にサラッと聴けてしまい、何も残らない。

良かったと思えたのは、Wyclef Jeanが参加したM13「Sunny Day」ぐらいか。YouTubeで聴いた限りではそれほどの完成度ではなかったけれど、一応マイケル・ジャクソンが参加したということで話題にはなりそうな「Hold My Hand」を収録すれば良かったのに。


***************
2004.06.29 1st AL『Trouble』
2006.11.14 2nd AL『Konvicted』
2008.12.02 3rd AL『Freedom』
***************
2008.12.26 Friday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
安彦良和『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』第18巻

2008年12月発売。

ララァ編・後編。

ダースレイダーのブログで発売していたことを知る。最近こんなのばかりだ。漫画にそれほど興味を持てなくなったということか。漫画雑誌を読むことも立ち読みすらしなくなったし、ようやく三十路にして大人の階段なのか。


ララァ編とはいえ、内容はテキサスコロニーでのガンダムとシャア専用ゲルググの一騎打ち、それとシャアとセイラの再会まで。そして、ガンダムシリーズのテーマのひとつである「人は判り合える」という概念がシャアの言葉によって明確に語られ始める。

人類が宇宙に進出したことにより「人の革新」ともいうべき「ニュータイプ」と呼ばれる人たちが現れ始める。それまで暮らしてきた狭い地球とは異なり、膨大な広さの宇宙で生活するために、人と人との距離がとてつもなく離れてしまう。その距離を埋めるかのように、「判り合うこと」に特化した力に目覚めた人間たちをニュータイプと呼んだのだ。しかしシリーズの中では戦争において著しい力を発揮することが分かっていき、彼らは時代の波に翻弄されていく。

オウム真理教でも引用された設定らしく、原作者の富野由悠季は最近ではその概念を否定しているようなのだけど、中学生ぐらいまでの思春期華やかなりし頃、小説版ガンダムシリーズを愛読し、その「判り合える」という力の設定に魅了されたものだ。懐かしい。

その後、『MASTERキートン』4巻(新書版)の「喜びの壁」で、「他人と判り合える」ということについてまた別の見解を得るわけなのだけど、よくよく考えると実地で学ぶことが多いにせよ、哲学書よりも漫画から真理を得ることの方が多いというのもアレだなと思った。


ともかく、今巻ではゲルググの造形もかっこいいけれど、実戦投入されたニュータイプ専用モビルアーマー「ブラウ・ブロ」がいい。ファンネルのプロトタイプともいうべきオールレンジ攻撃がすばらしい。
2008.12.26 Friday 23:59 | 漫画 | comments(1) | trackbacks(0)
Profile
Search This Site
Category
New Entries
Comment


Archives

今日も愚痴り中