2000年10月30日リリースの9枚目のアルバム。
今週いよいよ発売される、4年ぶりのニューアルバムを聴く前に、発売当時に買ったはいいが、ほとんど聴いてこなかった前々作を聴いたみた。
そもそもU2との出会いは、高校生の時にTVKから流れてきた「Mysterious Ways」のPVだった。それが収録されているアルバム『Achtung Baby』は繰り返し繰り返しホント飽きずに聴いた。レコードだったらすり切れていたと思う。ベースとドラムのグルーヴ、ボーカル・Bonoの包容力がありながらもグラマラスな歌声、ギター・The Edgeの切れるようなリフ、そしてメロディ。今とは違いあの頃は英詩を自分で訳し、理解を深めようとしていた頃だから、「Love Is Blindness」に涙したりしたものだ。
既発アルバムをさかのぼって聴き始めると、『アクトン・ベイビー』とはまた違った音の世界が広がり、素直に驚かされた。『The Unforgettable Fire』と『The Joshua Tree』でのアメリか文化への接近は音楽の求道者としての真摯なU2が垣間見られて、より好きになったし、それより何より、ドキュメンタリー映画『Rattle and Hum』(ちなみに邦題は"魂の叫び")がかっこよすぎた。ジャケットにもなっている、ボノがエッジにスポットライトを浴びせるシーンにはしびれが走った。
当然初期の三部作も聴き込むわけで、80年代前半の音だからどうかなと不安もあったが、エッジのギターの音が清らかに澄んでいて、でも攻撃性も失わず、アイルランドの純粋な少年性をそのまま音にしたような楽曲に圧倒された。
その後の『Zooropa』、『POP』というアルバムも以前のようには強く惹かれはしなかったものの、同じ所に留まらずに音を鳴らし続けるU2が好きだった。
で、本作が2000年に発表されるわけだが、失望だけだった。プロデューサーは4枚目から『アクトン・ベイビー』まで組んでいたBrian EnoとDaniel Lanoisなわけだけど、新しい音を蒔き、育て、それまでとは違ったU2を見せるというかつての姿勢はそこにはなく、あったのは自分たちが作り出した果実をもぎ取ることだけに満足した楽曲群だった。
山手線の扉にもたれかかり、MDウォークマンから流れてくる音に、こんなのは自分の知っているU2ではないと思ったのを今でも覚えている。
あれから8年と少しが過ぎたわけで、今聴けばちょっとは思いも変わるかなと思いきや、そんなこともなく、M4「Walk On」やM5「Kite」、ストーンズっぽいM7「Wild Honey」といった曲にメロディの良さは感じられても、以前のような高揚感はやっぱり覚えない。
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1980.10.20
1st AL『Boy』
1981.10.20
2nd AL『October』
1983.02.28
3rd AL『War』
1983.11.?? live mini AL『Under a Blood Red Sky』
1984.10.01
4th AL『The Unforgettable Fire』
1987.03.09
5th AL『The Joshua Tree』
1988.10.10 live AL『Rattle and Hum』
1991.11.19
6th AL『Achtung Baby』
1993.07.06
7th AL『Zooropa』
1997.03.03
8th AL『Pop』
1998.11.10 best AL『The Best of 1980-1990』
2000.10.30
9th AL『All That You Can't Leave Behind』
2002.11.12 best AL『The Best of 1990-2000』
2004.11.22
10th AL『
How to Dismantle an Atomic Bomb』
2006.11.17 best AL『U2 18 Singles』
2009.02.27
11th AL『
No Line On The Horizon』
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