すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
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2021.02.10 Wednesday | - | - | -
毛皮のマリーズ『毛皮のマリーズ』

2010年4月21日リリースの4枚目のアルバム。
/5点中

2003年結成。ボーカルの志磨遼平、ギター・越川和磨、ベース・栗本ヒロコ、ドラム・富士山富士夫という4人組バンド。バンド名の由来は寺山修司の戯曲『毛皮のマリー』から。

ジャケットの印象で聴くと肩すかしをくらう。グラマラスな音はほとんどなくて、間を生かしたギターリフのかっこよさで聴かせる真っ正直なロックが並ぶ。ボーカル志磨の声質からすぐに思い出すのは忌野清志郎だ。メイクも納得できる。曲によっては鍵盤が入ったり、ホーンが入ったりするが、基本はざっくりとしたロックであり、黒人音楽を咀嚼した英国白人が生み出したそれである。今どきこんな音を出す人たちがいたのかとも思うが、昨日のTHE BAWDIESを思い出せば、この懐古路線はある意味ではやりなのかなとも理解する。それに古いスタイルとはいえロックの基本でもあるわけで、ださくはない。

迫害され続けたまま死んだ男の伝説を綴った、まさにブルーズなM4「悲しい男」や、別れた恋人との思い出をしまい込むM7「サンデーモーニング」に惹かれた。白眉はM8「それすらできない」。愚直に夢を追いかける男を描いたこの曲は、まさに"かっこ悪いとはかっこいいこと"を歌っていてすばらしい。ベースの栗本ヒロコがリードボーカルを取るM10「すてきなモリー」はアルバムに変化を付けていて面白かった。

さかのぼって他のアルバムも聴いてみたくなった。


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2006.09.20 1st AL『戦争をしよう』
2007.12.05 2nd AL『マイ・ネーム・イズ・ロマンス』
2008.05.14 1st miniAL『Faust C.D.』
2008.12.03 1st SG『ビューティフル / 愛する or die』
2009.04.08 3rd AL『Gloomy』
2010.04.07 2nd SG『NO MUSIC, NO LIFE.』(タワレコ限定)
2010.04.21 4th AL『毛皮のマリーズ』
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2010.04.30 Friday 23:59 | 音楽 | comments(6) | trackbacks(0)
THE BAWDIES『THERE'S NO TURNING BACK』

2010年4月21日リリースの4枚目のアルバム。
/5点中

メジャーデビューアルバムとなった前作『THIS IS MY STORY』からたった1年で新作発表。前作同様にロックしてロールしながらグルーヴィーに全11曲33分を駆け抜けるアルバムだ。"嫌いな要素はないのだけど、どうにも受け入れられないのは、彼らが何か新しいものを作り出していないからだろう"なんて評したことなど華麗に忘れ去り、猛烈な勢いで評価したい良盤。

ともかく聴いていて思うのは、かっけーということ。音楽を意識的に聴き始めた当時、出会う音全てが新しく、そこには余計な言葉なんていらなくて、ただかっこいいだけがあった。このバンドの音を聴くと、あの頃の"かっこいい"が思い出される。

どうしても意識はボーカルROYの日本人離れしたしゃがれ声に行きがちだけど、ギターのリフに、鳴りに、ブルーズを引きずったソロにも魅了される。それと前作に比べメロディが良くなったように思う。古色然としたロックンロールを溌剌としたリフと歌メロでよみがえらせるのはもちろんのこと、初期のThe Rolling Stonesが歌っていたようなアコースティックギターの味わいを生かした素朴な曲があったり、ポップなコーラスをまぶしたりと、最後まで音の組み立てで飽きさせない。

最後のM11「MOVIN' AND GROOVIN'」のかっこよさは格別。左右から襲いかかってくる悪魔声に追い立てられながら前へ前へと逃げていると最後にいきなり正面から"Baby, there's no turnin' back"と歌われ、のけぞってしまう。

端正な顔立ちなのにしわがれた泥臭い声で歌われるのは、全て英語による歌詞であり、歌メロからは完璧に和の要素が取り除かれ、ロックンロールが躍動していた半世紀前を思い起こさせる音を奏でる。それでいながらオリコンアルバムチャートで初登場第6位、初動枚数も1.6万枚。つまり、"みんなのうた"的な分かりやすさがなくても音のかっこよさが売上に繋がるのだ。すごいよ。
2010.04.29 Thursday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
ゴーン・ベイビー・ゴーン / Gone Baby Gone

48点/100点満点中

2007年のベン・アフレック初監督作品。原作は『ミスティック・リバー』のデニス・レヘイン。製作費1900万ドル。

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パトリック・ケンジーとアンジー・ジェナーロは、ボストンで私立探偵として働くカップル。ある日、4歳の少女アマンダが行方不明となる。事件から3日目、アマンダの叔母夫婦がパトリックたちのもとに捜索依頼に現われ、ふたりは真相を探り始めるが・・・。
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アメリカで公開されたときから、原作がデニス・レヘインであり、ベン・アフレックが初めてメガホンを取った作品ということもあり、見たいと切望していたのだけど、あいにく日本では見事ビデオスルー(今はDVDスルーというのかな)となった作品。

でもそれも納得の出来ではあった。本作は、"事件の背後に広がる現代アメリカ社会の深い闇"を描いた"社会派ミステリー・サスペンス"だという。本作でアカデミー賞助演女優賞候補になったエイミー・ライアン演じるアマンダの母ヘリーンは、日本でもたびたびニュースとなり、一時世間を騒がせる子供を虐待する母親だ。アメリカの場合はそこから麻薬問題に繋がりやすく、性的虐待にも通じるわけで、深い闇なのかもしれない。そんな苛酷な運命に抗うために行われた"善意"が最後に描かれ、それなりの衝撃は受けることになる。

けれど、映画自体は事件の表面だけを追いかけるだけで、本作の語り手パトリックの内面が見えない。そのパトリックを演じた監督ベン・アフレックの弟ケイシー・アフレックは童顔で、役柄的には合うのだが、重みが足りず、強気な態度を取りがちなのに説得力がない。また、この手のハードボイルドな一人称物語に、突然他者視点がわって入ってきて、主人公が関知しない事実を観客だけに明らかにする後半の一場面にも不満。

パトリックが苦渋に満ちた決断を下すわけだけど、そこに"苦汁"が感じられない。やや無理があるのかもしれないが、屋根裏で九九を唱えていた少年がかつてのパトリックだったという事実を差し込みでもすれば、彼の選択に少しの重みが付与されたかもしれない。彼のもうひとつの心を表現した相棒兼恋人のアンジーも疑問で、映画ではうまく機能していなかっただけに切り捨てて良かったように思う。

原作を読んでみる必要があるのだろう。
2010.04.29 Thursday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
9mm Parabellum Bullet『Revolutionary』

2010年4月21日リリースのサードアルバム。
/5点中

前作『VAMPIRE』から1年半、はまれなさがますますはっきりしてきたバンドの3枚目。初のセルフプロデュース作品とのことだが、低音の出てなさは狙ったものなのだろうか。過去作品を聴き返すのも面倒なので前作との比較はなしだが、同時期に聴いたロックアルバムの中では明らかにボトムが弱い。2本のギターと歌という武器を生かした作品作りといえば聞こえはいいが、低音がこれだけ軽いとアルバムを聴いただけでは乗れない。

メロディのべたつき具合が増し、時折完全に歌謡曲に行き着く。それは決して悪いわけではないけれど、艶っぽすぎる声で象徴的な言葉を選びつつも内容のない歌詞が歌われると、何を楽しめばいいのか分からない。

聴けば彼らと分かる記名性のある音を確立している点は立派。CDが売れないといわれるこの時代に、全10曲収録時間33分と非常に簡素なアルバムを初動で3.7万枚も売っているのもすごいとは思う。ただ、それだけ。やっぱりはまれない。
2010.04.28 Wednesday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
月に囚われた男 / Moon

77点/100点満点中

監督はデヴィッド・ボウイの長男ダンカン・ジョーンズ。本作が長編デビュー作となる。製作費500万ドル。2010年公開作品。

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新たなエネルギー源を月に求めた近未来。宇宙飛行士サム・ベルはルナ産業と3年契約し、採掘したヘリウム3を地球に送るという仕事のため月へたったひとり派遣されていた。人工知能を搭載したロボット・ガーティを相棒とし、愛妻テスとのビデオレターを唯一の慰めに孤独に耐えていた。任期が残り2週間となったときに作業中に事故を起こしてしまう。
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監督のダンカン・ジョーンズは、デヴィッド・ボウイの最初の結婚相手アンジェラ・ボウイとの間に1971年に生まれる。母親のアンジェラは1993年に出版した本で、ある日家に帰ってきたら旦那であるデヴィッドとミック・ジャガーが一緒にベッドで寝ていたと暴露した人でもある。当人たちは否定しているけれど。

よく出来たSF映画。サム・ロックウェル演じる主人公サム・ベルの輪郭を丁寧に描き、懐かしさ漂うレトロなデザインのセットを使うことで、低予算ではあるけれど、それほど安っぽくさせずに、月面の静謐さや孤独を巧みに表現している。そんなデザインだからこそ、『2001年宇宙の旅』のHAL9000を想起させる(声はケヴィン・スペイシー!)ガーティの存在が効果的で、事故後のミステリー要素が俄然生きてくる。

ネタ的にはすでにSF小説や漫画にありそうだが、作りも展開も丁寧なため、すごく好感を持って見られる。ただ、体調も関係してたのかもしれないけど、ところどころで強烈な睡魔に襲われたのも事実。でも、次作からはデヴィッド・ボウイの名前を出すこともないぐらいによくできている映画ではある。
2010.04.28 Wednesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(1)
サンボマスター『きみのためにつよくなりたい』

2010年4月21日リリースの5枚目のアルバム。
/5点中

前作『音楽の子供はみな歌う』をどういうわけかスルーしてしまい、ずいぶんと久しぶりのサンボマスター。彼らのすばらしさに変わりはないようだ。迷いもない言葉と音は力強く胸に迫る。スピーカーの前の聴き手はもちろんのこと、世界中の誰も彼もをも奮い立たせようと意気込むまっすぐさはひたすらまぶしい。ブルーハーツがかつてそうだったように、率直に自分の気持ちを歌う山口隆は、落ち込んだ人間を包み込むライナスの毛布のようであり、メソメソするな全力で蹴飛ばしてくれるありがたいキックだ。

そんな山口がM1「ラブソング」でいきなりむせび泣く。ストリングスが導入されたこのはかない失恋歌は昨年のシングル曲でもあり、どうして爆発的ヒットにならなかったのか本当に不思議な曲だ。サザンオールスターズのラブソングのごとく個人的であると同時に深い共感を呼ぶ歌詞があり、親しみやすいメロディもあるのに。そんな曲を頭に持ってくるのは何ともずるい。

M1と同じくM5「僕の好きな君に」もまた"美しすぎた人"に向けて歌われる。アコースティックギターによる弾き語りから中盤から加わるバンドサウンド。その構成も良いのだが、メロディの良さと歌詞の切なさのおかげで6分と長尺なのに飽きがこない。

いつまでも泣きっ面なのは似合わないとばかりに、続くM6「愛とは 愛とは」では、"待ってたぜトラウマたち お前を返り討ちにすんぜ"と威勢良く叫び、"愛とは 愛とは 悲しみにくれることじゃないよ"とサビで歌い上げる。輪郭のはっきりしたメロディに元気いっぱいの山口のボーカル、小手先のテクを省きコンパクトにまとめた演奏。もっともっと評価されても良いバンドだ。

悲しみを振り切って走り出した彼は、次曲M7「君を守って 君を愛して」で、"僕はそばにいたいんだ 君の涙を全て 受けとめる"と人の悲しみも受け入れようとする。

彼らは本作で何度も何度も"愛してる"と歌う。山口の熱の入った声は、その種のことを歌われるときに伴う胡散臭さを一瞬で吹き飛ばす。愚直に歌われる"愛"という言葉や行為がどれほど尊くはかなくもろく守っていかなければいけないものなのかよく知っているからだ。

一概にロックやポップスとラップミュージックを比較することはできないが、前者よりも言葉を多く駆使するラップはなぜ愛や恋を正面から捉えることができないのか不思議に思うことがある。こと恋愛に関してサンボマスターと同じぐらいまっすぐに表現できる日本人ラッパーは神門だけだ。恋愛をラップするなんてチャラチャラしているというどうしようもない風潮があるのだろうが、サンボマスターや神門を聴けば、自己の確立をテーマにするのと同じぐらい大切な題材だと気づくはずだ。

失恋の痛手から立ち直ったはずの山口は、M9「スローなディスコにしてくれ」で"あの日の思い出 どこに捨てたらばいいだろ"と再びのたうち回る。"You so beautiful beautiful beautiful"。これだけ美しすぎると連呼されると、どれほどきれいな人だったんだよと興味も湧くが、別れたその恋人にとってみても悪い気はしないだろうし、縒りを戻そうかしらと思い直しそうだ。

"あなたの傘になりたかった"と歌うM11「傘にさせてくれ」を最後に美しすぎた人への想いを断ち切り、最後の2曲では片想いを歌い、好きな君と一緒にいたいんだと上向きな曲で終わる。aikoの新作『BABY』も本作と同じように別れを引きずる歌詞に彩られていた。あちらは最後までトンネルを抜け出られなかったのと比較すると本作にはかなりの救いがある。


音の足し算をほとんどせずにスリーピースバンドとしてそのままの音で体当たりを続けている彼らは"愛"というかなり陳腐に思える言葉を大真面目に歌うことのできる数少ないバンドだ。アルバムを5枚出してもいまだに色褪せていないことが嬉しい。
2010.04.27 Tuesday 23:59 | 音楽 | comments(2) | trackbacks(0)
サニーデイ・サービス『本日は晴天なり』

2010年4月21日リリースの8枚目のアルバム。
/5点中

ギターボーカルの曽我部恵一、ベース・田中貴、ドラム・丸山晴茂という1992年結成のスリーピースバンド。1994年にメジャーデビューし、2000年に一度解散。2008年7月25日に再結成が発表され、いくつかの夏フェスに出演。音源としては『LOVE ALBUM』以来約10年ぶりの新作となる。

先日のインストアライブを見て色々思うところがあったし、愛憎入り交じってはいるのだけど、中心メンバー曽我部のソロ活動はすでにバンド歴より長く、評価も定まっているなかでの再結成であり、後ろ向きなものではないだろうし、iPodにシングルからアルバムまで全曲入れているのにもかかわらずいまだに昔の曲を聴くことができないのとは対照的に、意外に冷静に耳にできた。

もちろん格別良いわけではない。でも悪くないアルバム。彼らは1作ごとにその道程を推し量れる作品を残してきたが、さすがに10年後の本作はそういった格闘の歴史と地続きではない。セカンドアルバム『東京』や4枚目の『サニーデイ・サービス』といったアルバム収録曲を彷彿させるものが多く、1曲目「恋人たち」のイントロで軽やかに鳴らされるアコースティックギターの音色からして、いかにも彼ららしい。

もったりしたドラムにもっさりしたベース。演奏のマイナス点を補い、さらにはそんな弱点をプラスに変えてしまえる曽我部のメロディ。ですます調で優しく語りかける歌詞。あの頃に比べれば、演奏には厚みが生まれているし、M3「ふたつのハート」のサビでの曽我部の表現力は充実したソロ活動があったからこそだろう。

この10年の成長を自然な形でサニーデイ・サービスとして音にしている。曽我部はソロもあれば、曽我部恵一BANDもあるわけで、かつてのように音楽への情熱を全てサニーデイ・サービスに捧げるわけではないだろう。でもだからこそ安心して聴けるバンドになったのかもしれない。少し寂しくはあるけれど。
2010.04.26 Monday 23:59 | 音楽 | comments(2) | trackbacks(1)
40歳の童貞男 / 40 Year Old Virgin

62点/100点満点中

2005年のジャド・アパトーの劇場監督デビュー作。製作費2600万ドル。

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家電量販店で働くアンディは、フィギュア収集やテレビゲームを愛する40歳の独身男。ある日、彼が童貞であることを仕事仲間のデビッド、ジェイ、キャルたちに知られてしまう。驚いた3人はどうにかしてアンディに初体験をさせようと世話を焼き始める。そんな中、アンディはネット競売の仕事をしているトリシュという女性と知り合い、ついに初デートに漕ぎ着けるのだったが・・・。
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大学時代の寮でアダム・サンドラーと同室だった本作の監督ジャド・アパトーはスタンダップ・コメディアンとしては大成しなかったものの、テレビの脚本を手掛け評価を得た後、映画製作や脚本に進み、頭角を顕す。そして初監督作となった本作でいきなりの1億ドル越えを果たした。

監督2作目の『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』や、製作に回った『寝取られ男のラブ ♂バカンス』がかなり当たりな作品で、それでは1作目もと手に取ったわけだけど、これがあんまり面白くない。劇場公開版116分よりも長い無修正版133分だったためか、いささか冗長であり、下品な笑いの中にもキャラクターの内面までしっかり描いて見せた2作目の良さが見られない。

営業後の店内で男4人がポーカーをする序盤のシーン。ここでアンディが40歳でいまだバージンであることが判明するわけだけど、4人のたわいない話が全くもってたわいなさ過ぎて笑えない。クエンティン・タランティーノの『レザボア・ドッグス』かあるいは『デス・プルーフ』でのガールズトーク並に面白ければ、グッと作品に惹きつけられるのだけど、そこまでの会話力がない。もしかしたら字幕の問題なのかもしれないけど。

字幕といえば、趣味のフィギュア製作やテレビゲームをしてひとり過ごすことの多いアンディは、その外見とは裏腹に汚い言葉を使いがちなのだけど、そのギャップの面白さが日本語訳に表れていなかったのも笑いが少なかった要因だろうか。

アンディをポーカーに誘うまでは他の3人は彼のことをよく知らなかったが、アンディと親しくなり三者三様で彼の脱童貞計画を練ろうとする。それはそれで面白いのだけど、アンディ自身はこの手の日本のドラマにありがちな女性恐怖症などはほとんどなく、普通に女性に声をかけ、意外にもすぐにいい感じになる。そこでの笑いの少なさも問題。一方で彼が気に入った女性トリシュとの関係では彼女の家族との交流などもあり、人間を描こうとするわけだけど、ありがちな関係に終始し、物語性が薄い。

馬鹿らしくいいなと思ったのはエンディングのミュージカル調のところぐらい。あれはスクリーンであきれ返りながら見たかった。
2010.04.24 Saturday 23:59 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
あの頃ペニー・レインと / Almost Famous

66点/100点満点中

エリザベスタウン』のキャメロン・クロウが監督・脚本・製作を務めた2000年の映画。第73回アカデミー賞脚本賞受賞。製作費6000万ドル。

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厳格な母に育てられ、飛び級で進学する優等生のウィリアム・ミラー。地元誌に書いた原稿がローリングストーン誌の目に留まり、15歳にしてロックの世界に踏み込むことに。ブレイク寸前のバンドStill Waterに同行取材することになった彼は、グルーピーのペニー・レインと出会う。
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ウィキペディアによれば、監督自身も実際に15歳でローリング・ストーン誌の記者になり、レッド・ツェッペリン、ニール・ヤングなど数多くのミュージシャンのインタビューに成功した人物であり、本作はその経験が基になった自伝的物語とのこと。

1973年が舞台となる。ロックが最も熱く燃えさかった69年も終わり、今でも伝説と呼ばれるミュージシャンたちがクスリを打ちすぎたり、酒をかっくらって嘔吐物を喉に詰まらせて消えていき、反対に金になることを知った資本家がロックに群がり始めた頃だ。もちろん当時を生きていたわけではないので、適当書いているわけだけど。

架空のバンド、スティル・ウォーターは3枚目のアルバムを出したばかりで、ギターのラッセルだけが他からも一目置かれる才能の持ち主だが、今は1台のバスに乗り町から町へと地道にツアーをする駆け出しのバンドだ。

ひょんなことから彼らと知り合い、その後ローリング・ストーン誌に依頼されたことで、彼らのツアーに同行することになったウィリアムは、ラッセルと付き合うペニー・レインに淡い恋心を抱く。一方で、ラッセルと彼の突出した才能を妬むメンバーとの確執なども描かれる。同時にロックがまだ牧歌的だったころの雰囲気や当時の骨太ロックが流れるわけで、悪くないわけはないのだけど、評判ほどの作品とは思えなかった。あの時代への憧憬を加味すればそれなりに見られる程度。

それまで見たこともないきらめく世界に突然入っていったことで戸惑いつつも、ただ流されている15歳の少年ウィリアムを演じたパトリック・フュジットはその無垢そうな笑顔が役にぴったりだが、ひとたび声を荒げると途端に演技の拙さが顔を出してしまう。大事なシーンでそれだともったいない。

本作の一番の魅力はペニー・レインを演じたケイト・ハドソンだ。私生活ではロックバンド、ブラック・クロウズのボーカルとうまいこと結婚までこぎ着けた彼女だった(まあ6年間で幕を閉じるわけだけど)が、役柄はグルーピーではないと自分では否定しながらも結局は現地妻を強いられるペニー・レインを巧みに演じる。決して美人とはいえない顔立ちなのだけど、目まぐるしく変わる表情に魅了され、映画が終わる頃にはウィリアム少年の気持ちがよく理解できた気分になる。
2010.04.23 Friday 23:59 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
サニーデイ・サービス@新宿タワーレコード

開始予定時間の2分ほど前に大慌てで入店するとそこは人だらけのフロアだった。音楽ニュースサイトによれば600人集まったらしい。後方とはいえどうにか落ち着いて見られる場所を確保。

いつ以来のサニーデイ・サービスのライブだろう。新宿にあった頃のリキッドルームで見たのが最後だと思う。ニューアルバムのリリース前に1作目から聴き直そうとも思ったのだけど、想い出が色々とフラッシュバックしてきてとてもではないが耐えられず、断念してしまった。生で見られる機会もそうそうないと思ってやって来たわけだけど、固唾を飲んで彼らの登場を待つ同年代っぽい人たちも多く、同じような気持ちなのだろう。

20時4分。ギターボーカルの曽我部恵一とベースの田中貴が姿を現す。田中はギリギリ見えるが、曽我部は彼らの販促ブースに邪魔されて全く見られない。ステージ後ろの大型モニターすら無理。開口一番曽我部が放った言葉は、"サニーデイ・サービスです、といいたいところですが、晴茂君、来ません"。ドラムの丸山晴茂と連絡が取れないらしい。いきなりずっこけさせてくれる。

丸山が来てから新しいアルバムの曲をやろう。それまでは古い曲を演奏しようとふたりが話し、この日は雨だったこともあり、雨にちなんだ曲ということで、セカンドアルバムに収録された「あじさい」でスタート。

イントロのギターの音色で一気にあの頃の景色が思い出されてくる。メロディに詰め込まれた記憶は体の奥深いところにずいぶんと生き長らえているのだなと改めて実感しながら聴いていると、サビで再び現実に引き戻らされた。今の曽我部恵一が古い自分のメロディという枠に収まりきらず、溢れ出てしまっているのだ。間奏部ではシャウトまで飛び出した。良い悪いの問題ではなく、仕方ないのだろう。現役のミュージシャンなのだから。

インストアライブで音の出力が弱いということもあるのだろうが、田中のベースに力がないのも実にサニーデイらしくていい。「雨の土曜日」に「街へ出ようよ」と涙腺を刺激する曲が続く。

長めのMCでは、田中が新宿のおいしいラーメン屋を3軒紹介。ゴールデン街にある「凪」、歌舞伎町のラーメン二郎、タワレコ近くの「海神」。

丸山が来る気配は一向になく、新譜から「水色の世界」を披露。Twitterで、"前に見たときにあの顔であの声が出ることにショッキングだった"という@付きコメントをもらったという話を曽我部がしてから、みんなでコール&レスポンスができる曲をということで「スロウライダー」へ。この曲で田中がちゃんとベースを弾いていることをようやく確認。

ニューアルバムからPVも作られた「ふたつのハート」が演奏され、最後の曲は、新作『本日は晴天なり』の発売日4月21日は実は15年前に彼らのファーストアルバムがリリースされた日でもあると話し、その表題曲の「若者たち」で締めた。20時49分終了。



1.あじさい
2.雨の土曜日
3.街へ出ようよ
4.水色の世界
5.スロウライダー
6.ふたつのハート
7.若者たち
2010.04.22 Thursday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
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