すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
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2021.02.10 Wednesday | - | - | -
フェーズ6 / Carriers

80点/100点満点中

スペイン・バルセロナ生まれのアレックスとデヴィッドのパストール兄弟が共同監督・脚本をした終末もの。2010年公開作品。

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致死率100%の謎のウイルスが蔓延し、人類が滅亡寸前となった世界。兄ブライアンと弟ダニー、ブライアンの恋人ボビーにダニーの女友達ケイトの4人は、車でメキシコ湾に面した思い出のビーチを目指す。
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先日の『レギオン』と同じ終末もの(そういうジャンル名があるのかは知らないが)。本作もまた廃墟と化した大都市を映し、人類がまさに滅びかけているといった描写を避けることで低予算映画であることの陳腐さから脱し、またウイルスが何であるのかという説明すらもせず、たんにそういった苦境に追い込まれた男女4人の逃避行というロードムービーにしたことが功を奏している。

問題のウイルスは空気感染でも発症する強力なものではあるが、この手の映画の常としてのゾンビ化はしない。そのためホラー色は薄れる。けれど、生き延びている人類は少ないにもかかわらず、繰り広げられる生存をかけた陰惨な争いを通して、人を人たらしめている文化的なものが次々とはがれ落ちていき、むき出しの生を露わにさせる人間ドラマに帰結させ、どんよりとしたラストを迎えるのが何ともすばらしい。
2010.12.26 Sunday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
レギオン / Legion

66点/100点満点中

視覚効果担当として大作映画に携わってきたスコット・スチュワートの初長編作品。ホラーアクション。製作費2600万ドル。2010年公開作品。

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広大な砂漠に佇む一軒の食堂。客としてやってきた老婆が突然凶暴化し、店内を混乱に陥れる。客のひとりが射殺するも、男が首を食いちぎられ、病院に搬送することに。しかし、虫の大群に囲まれ、引き返す。外部との連絡も取れず、困惑していたところに、武装したひとりの男が現われた。彼はミカエルと名乗るのだが・・・。
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低予算ながら、人類存亡の危機という大きなテーマを描いたにもかかわらず、あまり安っぽくならずにすんでいる映画。ひとつには、『バグダッド・カフェ』そのままに、砂漠(両方ともモハーヴェ砂漠)に走る裏道のうらぶれた食堂を舞台にしているためで、無理矢理にCGを使い、荒廃した都市を現出させなかったことが大きい。もうひとつは設定の面白さだ。

神はかつて大洪水を引き起こし、堕落した人類を絶滅寸前まで追いやった。同じ失敗を繰り返す人間を再び破滅させるべく、今度は天使の軍団"レギオン"を派遣することにした。しかし、その命を受けた大天使ミカエル(アメリカ映画なので"マイケル")は、人間に絶望した神とは異なり、まだ人間を信じているので、人間と共に戦うことを決意、食堂にやってきたのだった。

そして、なぜ砂漠の食堂かといえば、そこで働くウェイトレスのチャーリーが身ごもっている赤ん坊が将来人類を救う子だからだという。

この手の映画の常として、悪魔が人類に襲いかかるのではなく、神/天使と戦わざるを得ないという設定、また人類の未来を担う子供を神の手から守るという設定。まあ、どこかですでに見たり聞いたりした話ではあるのだけど、悪くはない。ミカエルが裸で空から落ちてきて、人類にとって大切な子供を守るという話は『ターミネーター』に酷似しすぎかなとも思うけれど。レギオンが攻めてくるときに鳴らされる、黙示録さながらのラッパの音も効果的だ。

世界観は大きいけれど、実際の舞台は小さくし、100分と短くまとめたことが成功したと思う。1000円以上払い、映画館で見たら、評価をもっと低くしたかもしれないが、DVDなら合格点。
2010.12.24 Friday 23:59 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
MEGA-G、TETRAD THE GANG OF FOUR & ISSUGI@上野アメ横センタービル

CASTLE RECORDS主催のインストアイベントに行ってきた。

まずは上野公園噴水横で行われていた日本酒の試飲会(想像よりもだいぶしょぼかったけど)で体を温め、公園を抜けアメ横までぶらぶら歩き、"おいし〜よおいし〜よ〜"とおかしな節をつけた呼び込みでアラブ人が訴えかける、アメ横センタービル1階に入っている路面店のケバブを腹ごしらえにとほおばり、会場となる4階に向かった。が、案の定客は数人。DJが爆音で回しているものの、まだ準備中だった。16時が一応の開始予定時刻で、これまでの経験から20分過ぎに着くようにしたのだけど、ヒップホップタイムをまだ分かっていなかった。

師走のアメ横を歩き、最後はセンタービル地下1階の食料品売り場を眺めて時間を潰す。学生の頃に、中国人の同僚に連れられて来たことがある。普通の店には置いてない食材が所狭しと並べられているすてきな場所だ。グラム85円の排骨(骨付きあばら肉)が詰まった箱から状態の良い肉を一心不乱に選んでいる男の様子をずっと見ていたのだけど、結局最後までどういう基準で選んでいるのか分からなかった。

ようやく17時も過ぎたので、さすがにそろそろだろうと4階に登った。17時5分過ぎ、フロアに観客が集まり始めている。しばらくすると、キャッスルレコーズのオーナーであり、ヒップホップグループICE DYNASTYの一員でもあるG.Oがマイクを取り、簡単な挨拶と来場への感謝を述べると共にイベントの始まりを告げた。今回のライブの持ち時間や曲などはそれぞれのアーティストの裁量に任せていて、完全に自由らしい。


【DAG FORCE】 17:12〜17:49

一発目はDAG FORCE。昨夜の酒がまだ残っていたらしいが、二日酔いを迎え酒で蹴散らしてのライブとなった。語りが多めのパフォーマンスで、でも曲が始まれば、それがラップだろうと、ラガなフロウだろうと、完全に歌であっても、ブルーズの色合いを帯びる。

そういう意味ではSHINGO★西成に似ている。ダグ・フォースの場合はそのブルーズが今ひとつ説得力に欠けるのが惜しいところ。シンゴ★西成はやはり地元が地元なだけに聴く側も意識せざるを得ないし、いっそう深みが増す。先日のタワレコでのインストアライブではグッとさせられる言葉を持っていることを改めて証明していた。

でも、ダグ・フォースは今年の夏に横浜の赤煉瓦倉庫で、エクストリームスポーツの本当に小さなイベントの司会をしているのを見ていて、かなりの好印象を抱いている。休日の昼下がり、観客は家族連れやカップル。ノリがイマイチな彼らにめげることなく煽り、最後には大盛り上がりに導いていた。もちろん、選手たちの豪快な技のおかげもあったけれど。その時は彼だとは知らず、でもこれこそが真のMC(マスターオブ・セレモニー)なんだろうなと感銘を受けた。だから彼がどんなパフォーマンスをしようが、あの日があるからあまり悪印象を受けない。

タイトとはいいがたかったが、40分弱で10曲もライブしたのは、何とも太っ腹。エンターテイナーだ。途中のMCで彼が話していたのは、事前に披露する曲をバックDJと打ち合わせず、その場の雰囲気で構成を組み立てていくという。そのやり方は勇気がいることだし、相当自信がなければできないだろう。でもそれこそがライブ(生)だとも思うし、さらに好感度が上がった。


【EGO】 17:58〜18:12

2番手はEGO。"今日はリリックを聴いてくれればいいよ"といってスタート。4月リリースのアルバム『EGOLOGY』の印象は聴き取りやすいラップというものだった。でも、ライブは言葉をルーズにビートにはめようとしているようで、そこにグルーヴが生まれるなら踊ることもできようが、全くそんな効果はなく、ラップをしているのかお経を読んでいるのか分からなかった。本人が自信を持っているリリックもひどく凡庸。フックでのオケのかぶせが大きすぎて、肉声が消えてしまっていたのもださい。


【ISSUGI】 18:14〜18:27

何回かライブを見ているが、どこでも照明を完璧に落としたステージでパフォーマンスしていたので、今回のように明るい蛍光灯の下で見られたというのは何だか得した気分だ。

「NEWDAY」は仙人掌が不在だったのが残念。アルバムでのあの切り込みはかっこよかったので聴きたかった。しかし、複雑に入り組んだビートが地の底からグルーヴを掘り起こしていく一方で、ISSUGIはそのほんの一瞬後を言葉のグルーヴで追いかける。そのラップにはまだまだ荒々しさが見え隠れするものの、うねりを創り出そうとビートを貪欲に飲み込んでいく様は勇ましかった。

"(作品の形態が)イリーガルでもリーガルでもブートでも愛があればいい。だからビガップするぜ、MEGA-G!"とフリースタイルでエールを送り、最後の「KINGDOM」へ。あっという間だったが、終始笑みをたたえながらのライブで、ラップすることが本当に楽しそうだったのが強く印象に残った。

1.フリースタイル
2.NEWDAY
3.Mr.Rampage feat. Mr.PUG
4.morning
5.フリースタイル
6.KINGDOM


【MEGA-G】 18:30〜18:57

この日一番魅せたライブをしたのはメガジーだ。最新ミックスCD『BASIC TRAINING』と同じように、RYHMESTERの「R.E.S.P.E.C.T.」のイントロが鳴り響けば、体を揺らさないわけにはいかない。攻めたスクラッチをちょいちょい挟んでくるバックDJのDJ DOMMONに、メガジーもにんまりで、"おおドモン、お前、今日切れ味いいじゃねぇか。へへ"との声が飛ぶ。

DJドモンはJUSWANNAの初期メンバーとのこと。この日はメシアTHEフライも横浜でインストアライブがあり、そっちにDJ MUTAが取られてしまったために、急遽依頼したらしく、でも、前夜の練習では彼がすぐに寝てしまい、ほとんどできず、さらにはライブの構成も起きたら忘れていたというありさまでこの日のステージに臨むことになったという。

2曲目のMicrophone Pagerをリミックスした「Rapperz R Danger」は無難にこなしていたものの、ZEEBRAの「東京の真ん中」では早くもDJドモン失敗。メガジーから最初のダメ出しが入った。でも、その諭し方がとても柔らかく、ブログを読んでいても偲ばれる人柄の良さが滲み出ていて、場が和んでくるから不思議。

続いて、TETRAD THE GANG OF FOURのVIKNが登場し、ゆっくりとしたイントロからSHAKKAZOMBIEのリミックス「共に行こう」に入ろうとするが、今度はいつまで経っても曲が始まらず、再びのミス。でも場の緊張感を切らさず、笑いに変えて、良い雰囲気のままにしていたのは、細かくツッコミを入れるメガジーのドモンに対する優しさを感じられたからだろう。"緊張はほぐれたか?"なんて声をかけられた次の瞬間にとちったりするのもコントみたいで面白かった。

「耳ヲ貸スベキ」のフックで連呼された"耳を貸すべき"には、音源にはない熱さがあった。気づかなかったけれど、ここでもドモンミスがあったようだから、それをカバーするためだったのかもしれないが、ライブならではの躍動感だ。

大晦日の『24 HOUR KARATE SCHOOL JAPAN』リリースパーティの前売りチケット入場者全員に配られるという特典CDに収録される「24 BARS TO KILL REMIX」の彼のバースも披露された。入口でスチャダラパーを引用していたが、全体的に窮屈そうにラップしてる印象だ。

その後の少し長めのMCが振るっていた。"ブッダの説教を受けつつもミックスCD絶賛発売中です"。説教は真摯に受け止めているが、同時にミックスCD自体はヒップホップの文化のひとつであると話し、さらに、"とりあえず、ブッダブランドというのは、こう、むやみやたらに手を出すと火傷するグループだというのを身をもって証明したんで、みんなブッダブランドをミックスCDに入れるときはマジで気をつけろ!"。そんな場を盛り上げるセリフを吐きながらも、同時に誰もが心配してしまうD.Lとの関係について、自分の想いをしっかり話すから彼は好男子なのだ。

"だけど俺は、そんなこんながあっても、俺がブッダブランドを、俺がDEV LARGEさんを好きなことに何の変わりもねぇ"。

キングギドラの「行方不明」(イスギはリリックを忘れたため不参加。残念)から、最後は「今すぐ欲しい」。この曲には音源でも客演していたMARINが登場。意外に前に伸びる歌声で、悪くなかった。


ともかくメガジーのラップは柔らかい。ライブでは、その韻の固さよりもビートにぴったりと張り付くフロウのしなやかさに耳を奪われた。例えは悪いかもしれないが、力士が肉の鎧の下に鋼のような筋肉を隠し持ち、同時にそれは非常に柔らかく瞬発力のある筋肉であることに似ている。メシアTHEフライという対照的なスタイルの相方がいて初めて生きるのかなとも思っていたけれど、ソロでも十分楽しめる実力の持ち主だった。本当に良かった。


1.R.E.S.P.E.C.T.
2.Rapperz R Danger
3.東京の真ん中 (Remix)
4.共に行こう feat. VIKN
5.耳ヲ貸スベキ
6.24 BARS TO KILL REMIX
7.行方不明
8.今すぐ欲しい feat. MARIN


【TETRAD THE GANG OF FOUR】 19:01〜19:42

大遅刻のNIPPSが不在のまま始まったテトラド・ザ・ギャング・オブ・フォーのライブは呆気にとられるほど響かないものだった。彼らは以前にもBBOY PARKのステージで見たことがある。その時はニップスの怪人ぶりをB.D The Brobusがそつなくまとめ、ライブを引っ張っている印象だった。しかし、その怪人ひとりがいないだけで途端に精彩に欠け、ただ勢いだけのグループになってしまったのは驚きだった。

4曲を終えた後の19時13分、ニップスが上野に着いたとの報告が入り、主催者G.Oがフルメンバーで1曲やってもらうから、5分ほど待って下さいと告げた。

バックDJのDJ J-SCHEMEがしばらくひとりで回す。

19時23分、ニップスがようやく到着。披露されたのは、『24 HOUR KARATE SCHOOL JAPAN』に収録された「JAPANESE TOKKOTAI BANCHO」。ニップスの"まずはここでワンテンポずれた"を生で聴けたのは嬉しい。

まあ、そのことよりも、真っ昼間の公園のベンチに座っていたら、子供を遊ばせていたお母さんたちが一斉に帰り出しそうな姿──野球帽を目深にかぶり怪しげな眼鏡──をした小太り中年男がひとり入るだけで、他のメンバーが一気に覚醒したことに目を見張った。BDザブラバスなんて今までどこにいたのか気づかなかったぐらいなのに、急に輝き始めた。

1曲終えて帰りかけるテトラドに、G.Oが"もう1曲お願いします"と声を張り上げたので、ニップスも"もう1曲やっちゃおうかな"とファーストアルバムに入っている「SHINOBI」をパフォーマンス。それが終わると、エンジンがかかってきたのか、中国語や卑語ぎりぎりの言葉まで飛び出し、さらに"もう1曲やっちゃいます?"と自らいい出した。

急遽その場で選曲され、同じく1枚目から「K.G.B. (killer green budz)」。最後の1曲はメガジーのステージでも客演していたマリンを交えての「殺しのナンバー」だった。


1.TETRAD STRUT
2.HERON
3.ON THE AVENUE
4.LAILA
<中断>
5.JAPANESE TOKKOTAI BANCHO
6.SHINOBI
7.K.G.B. (killer green budz)
8.殺しのナンバー feat. MARIN


イベントの最後はG.Oの言葉で締められた。キャッスルレコーズは来年も積極的にインストアライブを行い、秋葉原の歩行者天国での路上イベントも考えているという。楽しみだ。
2010.12.19 Sunday 23:58 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
トロン:レガシー / Tron: Legacy

77点/100点満点中

1982年のジェフ・ブリッジス主演作『トロン』の続編。監督はCMクリエイター上がりで本作がデビュー作となるジョセフ・コシンスキー。主演は前回に引き続き、ジェフ・ブリッジス。その息子サム役にギャレット・ヘドランド。音楽はDaft Punk。製作費1.7億ドル。2010年公開作品。

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ソフトウェアメーカー・エンコム社CEOのケヴィン・フリンが突然失踪してから20年。27歳となった息子サムのもとに、父から謎のメッセージが届く。父が営んでいたゲームセンター地下の秘密の部屋から、サムはバーチャル世界グリッドに迷い込むことになる。侵入早々に捕らえられ、命をかけたゲームに参加することに。その窮地を救ったのが謎の女性クオラだった。
************************************

28年前の前作『トロン』は、世界で初めてCGを本格導入した映画だという。先に前作を見ておくべきとの声を聞いてはいたが、本作をリメイクと勘違いしていたために、それだとオチが分かってしまうしイヤだなと見なかったのだけど、未見のままというのは賢明でなかったようだ。

"コンピュータの内部世界を美麗な映像とプログラムの擬人化という手法で表現した点が特徴"(wiki参照)だった前作と同じく、今回もコンピュータ内を擬人化したスタイリッシュな映像を楽しめる。それと、最新の3D映像。これを体験するだけでも見た方がいいような映画だ。

冒頭のタイトルロールからしてワクワクさせられる。フワッと体が浮く感覚や視点が一瞬狂わされる映画タイトルの入り方。ちゃんとした3Dは『アバター』以来なので、視覚だけではなく全身で味わうちょっと独特な映像感覚に期待が高まる。

しかし、本編が始まるとしばらくの間、3Dではなく通常の映像が続く。現実世界は2Dで、バーチャルの"グリッド"世界が3D映像で描かれるのだ。コンピュータ内では何でもありだからという意識があるので、その描写には『アバター』ほどの驚きはないものの、それでもバイクレースシーンや空中戦は圧巻。ほぼ透明な道を疾走するためにどういうコースかはっきりとはしないのだけど、だからこその突然のクラッシュに驚きがあり、見入ってしまう。

バイクに始まり、四輪、武器等々のかっこよさに目を奪われていると、世界観の説明についていけなくなるのも事実で、前作を見て予習しなかったツケが回ったかっこうだ。

まあでも物語の骨子は分かる。父ケヴィンと同じ顔をしたクルーが支配する世界グリッドがあり、彼はプログラムを使役し、現実世界への侵略を企んでいる。そのために必要な鍵がグリッドの創造者ケヴィンが持つディスクであり、それを巡り、ふたりは敵対する。ただ、クオラや、かつてはゲイリー・オールドマンが今はジョニー・デップがやりたがりそうなクラブ経営者の立ち位置・出自が最後までよく分からないままだった。でも、あの映像を見られたわけで、別にいいかなとも思う。

クライマックス直前の空中戦での唐突な裏切りは前作のウィキペディアを読み、何となくふたりの因縁に思いを馳せ納得させたし、いきなり目覚めたフォースもまた、前作に似たような力の使い方があったのだろうと想像する。ハードSFの体をなしているものの物語の精緻さが売りではなく、現在表現できる最高の技術を盛り込んだ映像を楽しむべきなのだろう。
2010.12.19 Sunday 23:57 | 映画 | comments(1) | trackbacks(0)
いくえみ綾『スカイウォーカー』

2008年1月発売。

奥田民生の歌詞をネタにした短篇集。「MANY」「スカイウォーカー」「無限の風」「マシマロ」の4曲が使われている。「マシマロ」だけ3ページの作品。奥田が撮った写真がモノクロで掲載されているが、デザインの酷さもあり、余計に思える。トリビュートアルバム『奥田民生・カバーズ』と同時期だったらしく、その作品に参加したミュージシャンから奥田へのコメントも載っている。

ユニコーン時代はともかくとして、ソロになってからは、「イージュー★ライダー」以外に、歌詞で感銘を受けた覚えがないわけだけど、いくえみ綾曰く、"あれだけの少ない歌詞であれだけの物語や情景が浮かんでくる"らしい。

物語の前ページに載っている歌詞を読んでから漫画に進み、読み終えもう一度歌詞に戻ると、そこをそう物語化したのかと分かり、なかなかに面白い試みだと思った。どれも青春物語なのも良い。とりわけ「スカイウォーカー」がじんわり染みてきた。
2010.12.18 Saturday 23:59 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
HAIIRO DE ROSSI vs. show-k

絡まれるのは勘弁だけど、他人のケンカを見るのはたまらないというビーフ好きにはかっこうの争いが起きた。まずは赤コーナーの紹介から。次々と若手ラッパーが頭角を現すなかで、最初から目立つ存在であり、今年6月にはその成長ぶりを実感できるセカンドアルバム『same same but different』をリリースしたHIIRO DE ROSSI。一方、挑戦者はshow-kというまだまだ無名のラッパー。9月末に「日本人stand up!!」という右傾ラップを発表し、じんわりと注目を集め、また無料ダウンロード曲の発表や客演で少しずつ知名度を上げているMCだ。

事の発端は2010年11月28日にハイイロデロッシが、TAKUMA THE GREATという彼がフックアップするラッパーと共に発表した「WE'RE THE SAME ASIAN」だった。以下時系列でPVを貼り付けていく。


【2010年11月28日】
HAIIRO DE ROSSI & TAKUMA THE GREAT「WE'RE THE SAME ASIAN」



【2010年12月15日 15:48 (http://bit.ly/flDDz2)】
show-k「WE'RE THE SAME ASIAN 〜Real version〜」



【2010年12月16日 01:15 (http://bit.ly/haL1FQ)】
HAIIRO DE ROSSI「ズレてる論点"国"と"人"理想も語れないMCは肉」



【2010年12月16日 04:02 (http://bit.ly/eL7n47)】
ZEEBRAがTwitterで、"この流れ興味深い。RT @benzeezy: #JPRAP HAIIRO DE ROSSI “ズレた論点”国”と”人”理想も語れないMCは肉” http://bit.ly/fdWFwz"と発言。

【2010年12月16日 07:50 (http://bit.ly/hlPJj7)】
国産ヒップホップのポータルサイトJPRAP.COMの管理人benzeezyさんが同じくトゥイッターで発言。"@zeebrathedaddy の反応を待つのではなく、@HAIIRODEROSSI x @takuma310 、@showk_rozyo の動きをフォローしなきゃ。当事者は彼らだから。#JPRAP http://bit.ly/fdWFwz"。


【2010年12月16日 08:09 (http://bit.ly/eVQCfy)】
show-k「ズレてるか論点」



【2010年12月16日 16:13 (http://bit.ly/i5odJI)】
HAIIRO DE ROSSI「【LAST ANSWER】この戦争を終わらせに来た。byシャンクス」



【2010年12月16日 18:30 (http://bit.ly/hyrfM0)】
この様子を追っていたと思われる韻踏合組合のERONEが、"勝負あったな。"と呟く。


【2010年12月16日 21:38】
ショックが自身のブログに"今回の事"という題名の記事をアップ(http://amba.to/hJC8Qh)。続きを出さないことを表明し、ビーフ終結。


このビーフは社会性のあるテーマを巡りなされたという特色もあるが、それよりも驚かされたのはやりとりの速さだった。矢継ぎ早に曲が発表され、相互に2曲ずつ繰り出したと思ったら、あっという間に終わった。

ショックの最初の一撃は15日の夕方16時前だ。テーマ的に面倒そうとはいえ、肉は肉なので湧いたが、ハイイロがどういう対応をするのか見物だとも思った。彼は即座に応戦。日付が変わったばかりの深夜1時過ぎ、高速カウンターを放った。その強烈な一発にしびれ、一リスナーとしては眠りにつけたけれど、当事者のショックはもちろん安眠などできるはずもなく、16日の朝8時に見えない角度からのパンチを打った。YouTubeへのアップをトゥイッターにもブログにも告知しなかったために、この時刻はJPRAP.COMの第一報による。もしかしたら、もう少し早かったのかもしれない。

時間が時間なために彼の2発目を知ったのは昼頃だった。ハイイロは次も素早くカウンターを合わせるのだろうなと思っていると、案の定その日の夕方16時過ぎにとてつもないパンチを捻り込む。そして同日夜21時半、ショックはブログで3発目はないことを記し、ビーフは終わった。

ビーフ勃発から終結までわずか30時間。その間に2曲ずつ計4曲が発表された。ユーチューブなどのネット環境の発達やMCバトルの一般化のおかげがあるにせよ、ビーフはどんどん高速化している印象を受けた。昨年のSEEDAとGUINNESSのビーフと比較しても素早さが増している。D.LとK DUB SHINEのやりとりが懐かしいと思ってしまったのも事実。首を長くして次の攻撃を待ちながら何度も繰り返し曲を聴いていたものだった。


2010年9月7日の「尖閣諸島中国漁船衝突事件」に端を発した日中間の緊張状態が続くなか、中国では反日デモが行われ、24日には中国で日本人会社員4人が逮捕拘留されたことが明らかになった。翌25日未明に衝突事件で逮捕した中国人船長を保釈。10月2日には日本でもデモが起き、渋谷でのそれは約3千人規模(ウィキペディア参照)の大きなものとなった。一方で、中国でも10月中旬に各地で数万人規模のデモが発生。日中間が相変わらずギクシャクするなかで、11月4日今度は政府判断で公表しないとされた先の衝突事件の映像が義憤に駆られた一介の海上保安官によって流出した。


こうした背景のもとで作られたのが、ハイイロとタクマザグレートの「WE'RE THE SAME ASIAN」だった。最初に聴いたときは、確かに同じアジアで暮らす人間ではあるけれど、話す言葉はもとより考え方が決定的に違うのではないかと思わせる報道が洪水のように流されているなか、やや楽天的過ぎるかなと思った。ただ、その状況下であえて曲を発表する姿勢はすばらしいと感じた。

この曲は、bmr.jpに「日本のラッパーが中国、韓国との差別解消を訴える」と題された記事で紹介され、それが12月6日Yahoo!ニュースにも取り上げられた(http://bit.ly/gyuR1E)。そこに書き込まれた中傷コメント(今見てきたらコメント数だけで200件もあった)に憤った狐火というラッパーが12月7日ユーチューブに曲をアップした。

狐火「ラッパーて時点で問題内」
http://www.youtube.com/watch?v=lzKF1kAsjeg

ハイイロのアンサー1本目のアウトロで、"あと先にいっとくけど 狐火さん 今回首突っ込まないでくれよ"というのは、この7日の曲を踏まえている。


ショックは、1本目「WE'RE THE SAME ASIAN 〜Real version〜」で、中国が行ってきた政策の危うさを考慮せずに、ただ平和を希求する歌をラップすることは現実を見ておらず、危険ですらあると切り込む。中国だけが悪く、日本はただ一方的な被害者であるとする視点には、彼の「日本人stand up!!」を聴いたときに覚えた不愉快さが甦ってきた。あの曲での、まず国ありきの視点が、私の信条と真っ向からぶつかるのだ。国があるから人がいるのではなく、人がいるから国がある。そこをはき違えると、また愚かな戦争を起こすことになる。

ともかく、ハイイロの速攻アンサーは題名がものの見事に内容を語っている。「ズレてる論点"国"と"人" 理想も語れないMCは肉」。1ヴァース目で、"人と人の話してる俺等に国の話"と批判の矛先のずれを指摘する。さらに、私もある意味でショック的な考えに陥りかけていたと気づかされたのが、フックの"理想論で何が悪い? 理想も語れないMCは肉だ"という一節だ。

このやりとりがあるまで、原曲「WE'RE THE SAME ASIAN」は単純にアジアの平和を求めるという広い視点で描かれた曲だと思っていた。セカンドアルバム本編の最後に置かれた表題曲「SAME SAME BUT DIFFERENT」で"出身は地球 国籍は世界"とラップした彼だからこそ、現在の状況に対し、こうあって欲しいという希望を述べたのだろうと。

しかし、原曲は彼の地続きの現実を足場に作られた曲だったのだとようやく理解できた。そうなると、地に足をつけ、自分の半径5メートルの"現実"から少しずつ射程を伸ばすハイイロに対し、ショックの言葉はいきなり国を語るだけに土台のゆるさが露呈する。

"理想論で何が悪い?"とすっぱりと開き直り、さらに"理想も語れないMCは肉だ"とNIPPSのパンチラインを引用しつつのいい切りには爽快感すらあった。こういった言葉の切っ先の鋭さはMCバトルでしっかり戦っている成果なのだろう。

2本目のショックは、アウトロでも、"人が政治家を選び その政治家が国を作"ると語るように、"人と人の話"と"国と国の話"は結局は密接に繋がり、論点はずれていないと主張。

しかし、ハイイロたちが原曲で呼びかけたのは、人々だ。中国人、韓国人、日本人、それ以外のアジアで暮らす人々への問いかけだった。60年代、70年代のロックように、音楽で政治を変えようとし、国に平和を問うのではなく、その国の基盤となる人々に語りかけているのだ。

ショックは、"「中国を信頼できますか」だってさ / 国の問題ならばはっきりとノーだろ!!"とラップする。"国の問題"ならば話は違ってくるかもしれないが、ハイイロたちは最初から国の話をしているわけではない。そこが最後まで理解できず、どうしても大きな話に持って行ってしまうのがショックだった。ハイイロたちは自分たちの現実に立った分かりやすい話をしていたのだ。

週刊少年ジャンプの大人気漫画「ONE PIECE」に登場するシャンクス(主人公ルフィが憧れる海賊らしい)の言葉を引用した「【LAST ANSWER】この戦争を終わらせに来た。byシャンクス」では、ハイイロの苛立ちが頂点に達しているのがはっきりとうかがえる。

タイトルに始まり、嘲笑の仕方や"中国が悪い ただそれ言わせたいだけでしょ"の一節など、ギネス戦でのシーダのラップをなぞる部分が多く楽しめる。また、それ以外にもいい回しが「DEAR JAPAN」以降の社会的テーマを扱うときのシーダを想起させる。例えば、"一般の人に不満植え付けるお前の音楽希望見えない"というフレーズがそうだ。もちろん批判されることではないし、偶然そうなったのかもしれない。魅力的な物いいであることには変わりなく、その後の、"アーティストは夢や希望理想ヘッズに見せれるからアーティストだろ"は今年聴いたなかでも指折りのパンチラインだ。


このビーフの勝敗はただラップの出来不出来だけでいえば、ハイイロデロッシに軍配を挙がる。言葉をビートに合わせず、小節の終わりで慌てて言葉を詰め込むショックのスタイルが苦手ということもあるが、単純に魅力的なパンチラインを多く放ち、気分を高揚させたのはハイイロだった。


ただ、ぶつかり合ったところが主義信条に関わることであり、それを相手に納得させるところまではさすがに厳しい。それに、ショックは2本目で"アンサーも理解の上の指摘"とラップしているものの、ハイイロたちの真意は最後まで理解できていなかった。

だけど、彼が今回ディス曲を発表したことで、原曲「WE'RE THE SAME ASIAN」への理解が深まったことは事実であり、その点でも有意義だったと思う。"TAKUMAの覚悟 解るかよ"とのショックの突っ込みがあった。原曲だけではおそらく誰も理解できなかっただろう。そもそもタクマザグレートの出自を知らないのだ。あの中国語のラップがどれほど正確に発音されているのかも分からないわけで、ただ中国語に訳してラップしてみたと取られてもおかしくない。

曲への理解とは別にハイイロというラッパーの資質をつまびらかにしたこともショックの功績だと思う。毎夜クラブに通い、MCバトルを見ている人にとっては周知のことなのかもしれないが、彼がここまで戦闘的なラップをするとは知らなかった。シーダに挑んだギネスと同じく、ややかませ犬的ではあるけれど、ショックが絡んだからこそ表れたアルバムアーティストとは違う一面だった。そして、それがかっこいいことがよく分かった。

ショックにしても、あれだけの短時間で応戦できる実力があることを証明し、またその結果として名前も売れたはずだ。



【参照】
<Twitter>
・HAIIRO DE ROSSI: http://twitter.com/haiiroderossi
・show-k: http://twitter.com/showk_rozyo

<show-k「日本人stand up!!」>
http://www.youtube.com/watch?v=cB_S2R4VkqY

<狐火 vs. ELOQ>
今回釘を刺された狐火は、以前に自身がビーフに巻き込まれている。発端は10月1日に狐火がユーチューブにアップした「尖閣諸島沖モンスターペアレント」という曲(現在は削除済)。その曲に対し、11月15日、LOW HIGH WHO?PRODUCTION所属のELOQがディス曲を発表。高度な技術を見せつけると共に、恐ろしく突き刺さるパンチラインは見事。

ELOQ「A Fox Is Burning (狐火のとある一曲について)」
http://eloq.bandcamp.com/track/a-fox-is-burning
http://twitter.com/ELOQ_RAP/status/4109535983702016

一方の狐火も翌日にはアンサー曲を発表。

狐火「Re:『A Fox Is Burning / ELOQ』」
http://www.youtube.com/watch?v=E7a8GCssW5E

そして、11月17日20時19分、ELOQはトゥイッターで"終戦"を宣言。
http://twitter.com/ELOQ_RAP/status/4856232171016193

唐突に始まったと思ったら、いきなり終わり、呆気にとられたビーフだった。しかし、ELOQの切れ味と狐火の名前を覚えた諍いでもあった。



【追記】2010.12.19
原曲を含めた5曲分のリリック。show-kの1本目だけ聴き取り。


HAIIRO DE ROSSI & TAKUMA THE GREAT「WE'RE THE SAME ASIAN」
【TAKUMA THE GREAT】
聽我説、我們只是新時代的年輕人
<訳:聞いてくれ、俺たちは新時代の若者>
We don't wanna war, we don't wanna makes thing worst
<訳:戦争なんかしたくないし、これ以上事態を悪化させたくもない>
問題不是我們、只是國家對國家
<訳:問題は人ではなく、国と国>
They just wanna keep fighting over and over...
<訳:奴等はいつも争ってばかり>
不管? 是誰、住在? 裡、想怎樣
<訳:君が誰で、何処の人で、何を考えててもいい>
各位先生小姐、大家來來大聲叫「自由、平和」 that's what we want
<訳:皆で「欲しいのは自由と平和」と叫ぼう>
為了我們的未來,所以開始行動
<訳:俺たちの未来のために動かなければ>
(There's a too much pride) 結果變成不禮貌
<訳:過剰なプライドは"失礼"になる>
(There's a too much lies) 可是我們不需要
<訳:そこには嘘ばかり、しかし俺たちには必要ない)
我希望能解開過去的問題
<訳:ただ望んでいるのは過去のしがらみを解く事)
我只有希望能聽到大家開心的聲音
<訳:そして皆が笑っている声を聴きたいだけ)
什麼是政府? 什麼是國家?
<訳:何が政府で 何が国家?)
看看了電視、他們都作假
<訳:テレビをつけてみな、そこには"ごまかし"ばかり)
We're not the soldier, there's no reason to fight
<訳:俺たちは兵士ではないし、争う理由もない)
中國和日本一起來做新時代
<訳:中国も日本も、一緒に新時代を作ろう)

【HAIIRO DE ROSSI】
国を人として見たら 末路に待つのは無差別な差別
反中、反日感情、上の都合、差別用語とか人としてどう?
小さなアジアの同じ世代へ しがらみの中で何を学べる?
近い世代で変えれば いつか互い笑顔で海や国も跨げる
君の読んだ歴史の大半がどちらの国も反対に書かれてる
洗脳、集団心理、20世紀少年Everyday
China、korea、Japan、全てAsia 「目には目」は古い
腐れたメディア 報道されない渋谷のデモ
手本はまるでブッシュの起こしたテロ
日中関係より 人と人 Chinaの凄い奴等と出会いたい
俺や君より音楽出来る人達とセッション出来れば素晴らしい
オリンピックでお互いを応援するマインド 一つになって挑戦
国単位じゃなく世界で表現 言葉知らずとも心で共鳴

NEW WORLD ORDER 巨万の冨や名声巡る冷戦をStop
まだ見ぬ才能 国籍は世界 国の機能より人の今日
NEW WORLD ORDER 巨万の冨や名声巡る冷戦をStop
まだ見ぬ才能 国籍は世界 国の機能より人の今日

show-k「WE'RE THE SAME ASIAN 〜Real version〜」
この曲はHAIIRO DE ROSSI & TAKUMA THE GREATの
「WE'RE THE SAME ASIAN」に対しての俺なりのアンサーソングです
良かったら聴いて下さい

************

えーまず 自由と平和とか平等とか そういったことを叫ぼうとか中国語で言うんだったらばさぁ
ウイグル人とかチベット人とか そういう人に向けて言ってやってくれよ

ああ聴きたくない 現実見ない戯れ言 理想だけで触れてない腫れ物
中国の現実 ミサイルは日本 反日を教育 歴史を捏造
中国国内ググれない文革は排除 ウイグルチベットを弾圧
中共でも干渉するなと感情入れさせず 反省はどうしたと掘り起こす過去だろ
ニホンガスベテワルイ ワタシワルクナイ 反論は差別か ならない議論
真の平和 事実を問いたい したくない戦争はもち俺も一緒
だから持つ危機感 守りたい日本 そんな渋谷のデモがまるでテロだと?
来てないだろ お前! 差別なんてない 嘘つき野郎に飲ます針千本


中共と友好 できりゃそれがいい だが武器下ろせば 忍び寄る背後
リスクを無視する盲目はBull Shit 事実を知らなきゃ 染まりゆく最後
同じSAME ASIANで解決できれば それがいい だが武器下ろせば 忍び寄る背後
弱肉強食のこの世の中だぞ! 現実を見なければ 染まりゆく最後

政治と文化 スポーツは別 当たり前の話 だが中華は違う lika a SMAPの中止
都合が悪けりゃ やりたい放題 外交のために日本人誘拐
ビデオ見ましたか? 明らかな故意だろ! 歴史を見てみろ! 日本の領土だぞ!
目には目をだと でも比べてみろ 日本のデモにはいないだろ 暴徒
誰も国旗燃やしたりはしない 侮辱せずに自分の言い分を通す武士
それかされるがままで言いたい事も言わずに無視
どちらが正しい大人の付き合い方か?
理想はそれは俺も同じSAME ASIAN 価値観の違いも乗り越えはしたいから
現実を語りたい じゃなきゃ未来見えない 数年後 その曲に持ちな 恥じらい



理想を語ることは素晴らしいことだし その理想は確かに共感できる部分も多いけど
だけど 単純すぎるんじゃないのかな
現実への視点や事が起きた背景 そういったことを考えないとね
頭でっかちの理想ばっかり先行主義だと人々を惑わせてしまうから
この曲を書かせていただきました

HAIIRO DE ROSSI「ズレてる論点"国"と"人"理想も語れないMCは肉」
Yeah アンサーありがとう 返すぜ
Hey 理想も言えないで何がMCだよ! ズレた論点で共感求めてるのどっちだ?
中国じゃねぇ 中国の人に言ってんだよ! 何言いたいかちゃんと整理してから歌えよ!

BOSSの"発声"参考にするより Shing02の"発想"参考にしなさいね

どちらが頭デッカチの先行主義か 「アンサー」そして「日本人STAND UP!!」
どちらの(曲も)国の話ばかり 到底言い掛かりに過ぎねーなWANNA BE
"人"と"人"の話してる俺等に"国"の話 いきなり
しかも「よかったら聴いて下さい」 リスナーに媚び売るイントロダクション
君の言う侮辱せずに言い分通す武士の発想がそれなら 俺らの曲へのアンサーも侮辱
ぶっちゃけ それこそ「ワタシワルクナイ」
渋谷のデモがテロ? どこをどう聴けばそう取れる?
デモが報道されてない テロも事実は報道されてない それ(を)言っただけ
TAKUMAの覚悟(を)汲み取れない思いやりない奴には誰も守れない
針千本飲ます? 待ってるぜ 代わりにTAKUMAの爪のあか持ってくぜ


武器を降ろせば忍び寄る背後 理論武装もナマクラじゃ迷子
理想論で何が悪い? 理想も語れないMCは肉だ
数年後の恥じらい(を)恐れて 言う事言わなきゃそれは間違い
呪いにもならない念仏(じゃ) 媚びもBEEFも平行線だろ?

SHOW-K 焦点 超ズレてる 喋ってばっかラップはいつ始まる?
戯れ事はどっちか? 果たして しつこく表示するテロップ露出狂
「評価(が)欲しい」の見え見えなPV YouTubeがお前のマーケット
チープなライムにチープな主張 理想も提示できぬエセMC
「日本人STAND UP!!」の馬鹿さ加減も影を潜める
笑えねー(よ) その悪口(を)念じる趣味
活字並べてりゃ現実主義? 俺等は世界中同じビジョンで人を人として見るよ
これからもそれは変わらない 共感よりも共鳴求めてる それは変わらない
貴方は声を大にして国の話を その素敵な武士道を語ればいいじゃない
それでいーんじゃない? むしろ俺に絡む意味ないんじゃない?



Yeah 中華街近くに住んでる友達や友達の家族の危険感じて作った曲だよ
俺等なりに考えてんだよ 別に俺等右でも左でもねぇーから
あと先に言っとくけど 狐火さん 今回首突っ込まないでくれよ
forte BLUE BAGGY HOO RE:GUNZ 2010

show-k「ズレてるか論点」
ってか BOSSのモノマネ巧いッスね 俺BOSS好きなんでありがたいですね
いやぁ人と人の話だったらさ アジアとか持ち出さないで
自分とTAKUMAの話でいいんじゃね?

意識が足んねぇhiiroではいどーも どこ住んでます 日本国ですよ
人と人なら アジアとか語るな 自分とTAKUMAの話で良かっただろうが
礼儀を大事に生きてきた25 それが媚びか あら悲しい勘ぐり
あの曲へアンサーも理解の上の指摘 侮辱とは心がせまい 危機的じゃん
力まずお聞き 気になったフレーズならばデモからテロ
解りづらいリリック 解説のテロップ プリーズ!! 必要なるくらいなら辞めろ
TAKUMAの覚悟解るかよ say no 逆に現実解っての say どう?
答えてないけどウイグルチベットどうなの? 同じアジアの人と人ですが?


国をすっとばす あんたは何人? 世界から見たらば貴方日本人
made in japに守られてる現実 だから地に足着いての討論を建築
国をすっとばす あんたは何人? 人と人 大事なのは当たり前の話
made in japに守られてる現実 だから地に足着いての討論を建築

評価は欲しいのは当たり前の話 解りやすく伝えたい そこの気持ち
先行でもいい 伝わらなきゃ意味ない like a うーん デモ テロ
俺の言い分 受けてるぞ支持 意味探ってみな アップしろYouTube
そこでやろうぜ どっちが正しいか 本当に論点ずれていたですのかな?
人だと言いつつ 中華をフォロー ナレーションはどうなの 信用できないよ
「中国を信頼できますか」だってさ 国の問題ならばはっきりとノーだろ!!
こうゆう部分が勘違いの元じゃね? だから絡んでる意味ならあるんじゃね?
あとはUPして放置でいいんじゃね?



人が政治家を選び その政治家が国を作り その国の中で人々が育つ
だから「人」と「人」の話も「国」と「国」の話も 結局は繋がってると思うけれどもね

HAIIRO DE ROSSI「【LAST ANSWER】この戦争を終わらせに来た。by シャンクス」
Yeah 何が建築 yeah 建設的じゃねぇ エンターテイメントにもなんねぇ 平行線
でもお前の言ってるマナー 後攻2本目 これだけ返すぜ

YouTubeで勝負 YouTubeで勝負 YouTubeってどこ? お前んち? お前んち?
YouTubeで勝負 YouTubeってどこ? お前んち? お前んち? Yo

お前はマジで何が言いてんだよ 名前売りたいだけに聴こえてきた
やっつけ仕事 手抜きバース 手抜きじゃねーなら それこそただのカス
俺とTAKUMAで話しとけ? それじゃ曲出す意味がないでしょう
ウイグル チベット 中国が悪い ただそれ言わせたいだけでしょ
中国が悪いとしても中国人全員そうだとは思えない
国民の人数違うだけ クソもマイメンも何処にでもいるよ
それをまたチャイニーズだからコリアンだからで決めたら勿体ない
それを言ってる これが最後だ "国"と"人"を混同するな(よ) 下手くそ


お前に対しアンサーはしたハズ 武士道語って国を歌えよ
俺等は変わらず国関係なく イケてる仲間探し続けるよ
一般の人に不満植え付けるお前の音楽希望(が)見えない
アーティストは夢や希望理想ヘッズに見せ(れ)るからアーティストだろ
バースがみるみる減ってく 引くに引けなくなって無理に蹴ってる
8小節×2でフックはコピー パンチインだらけの張りぼてライマー

素人しか騙せねー 人の反応気にしすぎたアマチュア
お前が支持されてるって? 笑える YouTubeにすがったエセリアル
噛み合わない平行線 ズレてるか? じゃなく絶対ズレてるから
ダラダラふぬけたラップぬかして 一体何がしたいの武士道君
頭が酷くかたくなってる 勢いだけどんどんなくなってく
バースは減る一方 日本 確かに俺MADE IN JAPAN
英語でJapan 世界を観てる 良いか悪いかとかじゃない問題
今回で終わらす後攻二本目 しつけー言及 的外れだ(な)



この戦いを終わらせに来た 最後のアンサーまかせてみな
支持を集めるそれもYouTube クリックはプロップスじゃねーからな
Yeah This is 2010 forte BLUE BAGGY HOO RE:GUNZ
Yeah show-k 楽しかったぜ What's up?


【追記】2010.12.20
コメント欄でshow-kの読みが、"ショウケー"ではなく、"ショック"と教わり、修正。


show-k『ruff aka 宇宙』

2010年7月1日アップの無料ダウンロードアルバム。
http://show-k.bandcamp.com/

書き終えてから見つけたフリーDLアルバム。ちょっとクセのある声質で、慣れるまで時間がかかるのは事実だけど、3曲目で早くもブレイクタイムに入ったりして、結構楽しんで聴ける。M5「雨」は素敵なラブソングだ。ヒップホップってこの手のテーマがどうしても少なくなりがちだけど、こんな風にロマンティックにもっと歌われればいいのにと思う。

表題曲M6はクレジットにはない客演ラッパーがビートにタイトなラップをしていて気持ち良い。M7「chain」もまた客演がアクセントとなり、ショックの声音のクセがやや薄れて聴きやすい。そうなると、M8「ウイスキーハイボール」はショックのリラックスしたリリックが心地良く響き始める。つんのめりながらのM9「tamatama」も応援したくなるから不思議。

人がどのような主義思想を持とうが自由だけど、折角このアルバムのようなラップができるのに、あっちに行ってしまっているのは残念だなと思う。


show-kのビート販売ページ。フリーDLも有り。
http://dr-pap.net/index.php?main_page=artist&cPath=12&artists_id=1
2010.12.18 Saturday 23:59 | 音楽 | comments(13) | trackbacks(0)
ブロークン / The Broken

76点/100点満点中

『フローズン・タイム』のショーン・エリスによる2本目の監督作(脚本も)。2008年のサスペンスホラー。

************************************
ロンドンに暮らすX線技師のジーナは、恋人ステファンや弟カップルと共に父のサプライズ誕生日パーティを催していた。そんな中、突然大鏡が大破。戸惑いつつも"鏡が割れると7年間不幸が続く"という迷信を話しながら後片付けをする。翌日、ジーナは帰り道に自分と同じ車に乗る自分と瓜ふたつの女性を目撃。衝動的に後を付けるのだが・・・。
************************************

これは良くできたホラー映画だ。ファッション界でカメラマンとしても活躍する監督らしく、細やかに神経を行き渡らせたカメラワークがかっこよくきまり、また青を強く意識した画面からは冷え冷えとした怖気が伝わってくる。前作はコメディタッチの青春物だったが、今回はホラー。異なるジャンルなのだけど、絵についての確固とした美意識と同じように、監督は物語ることにもその才を発揮していて、見事な上質ホラー作品に仕上がった。

主人公ジーナは自分とそっくりな存在に気づいた直後に車で大事故に遭う。それからは彼女だけではなく、家族の周辺でも異変が起き、はっきりとは姿を現さないものの、何か不気味なものが忍び寄ってくる気配だけを感じるようになる。

話は飛ぶが、ジョン・カーペンターの作品に『ゼイリブ』(1988)という風刺ホラーがある。あるサングラスを掛けると、人間に擬態しているエイリアンを見抜くことができるという設定が面白かった。本作でのX線写真がいってみればそのサングラスだ。『ゼイリブ』のように、X線写真を使ってどうこうするという話ではないが、物語の核は少しずつ人間ではない何モノかに取って代わられていくというもので、鏡を使った「ボディ・スナッチャー」ともいえる。病院の医師やジーナの弟ダニエルの上階に住むアジア系夫婦は静かに観察している。もし『ゼイリブ』のごとく戦うとなると、彼らを見抜くのはかなりやっかいだろう。

エリスが上品なのは彼らが何モノなのかを最後まで明らかにせず、ホラー映画らしい惨殺シーンも少な目にし、ただ人類が静かに侵食されつつあるという不気味さだけを描いたところだ。想像力に訴えかけるのは良かった。車の大事故でジーナの記憶が飛んでしまうという設定も、分かりにくさに拍車を掛けてはいるが、最後まで見ればそれはそれで別の物語を生み出していて、実に巧妙だ。

分かりにくさは確かにある。90分弱の短い作品なのに、一度見ただけではよく分からず、早送りをしながらもう一度見てようやく納得できた。その点では減点だが、背筋を伝う恐怖を描ければ、ホラー映画としては成功だと思う。

描かれていることの分かりにくさよりも、鏡の向こうから忍び寄る彼らの発生条件に説明がないのが気になった。説明しすぎて興を削ぐのは愚の骨頂だろうし、現実社会でも"最悪"は何の前触れもなく訪れるものだ。それはそうなのだが、映画としてジーナたちが襲われる因果関係に少しも説明がないのは不親切だと思う。
2010.12.12 Sunday 23:59 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
スルース / Sleuth

89点/100点満点中

1972年の『探偵<スルース>』のリメイク。マイケル・ケインとジュード・ロウ競演、ケネス・ブラナー監督による2007年のミステリー映画。

************************************
人気ミステリー作家アンドリュー・ワイクが暮らす最新機器に囲まれた郊外の豪邸。そこにワイクの妻マギーの浮気相手で駆け出し俳優のマイロ・ティンドルが訪ねてくる。ティンドルはワイクに離婚を迫るが・・・。
************************************

老獪なアンドリュー・ワイクを演じるのは、最近ではクリストファー・ノーランの作品でお馴染みのマイケル・ケイン。一方の若手俳優マイロ・ティンドルにジュード・ロウ。1972年の原作(元々は英国の劇作家・映画脚本家のアンソニー・シェイファーの舞台劇がオリジナル)では、本作の作家役のケインがティンドル役をし、ローレンス・オリヴィエとの競演作だった。それから35年が経ち、今度はジュード・ロウを迎えてのリメイクとなった。

ジュード・ロウは以前もケインがプレイボーイ役を演じた1966年の『アルフィー』を2004年にリメイクしたという縁がある。

ともかく、元は舞台劇だったということもあり、完全なふたり芝居だ。富と名声は得ているものの妻を奪われてしまった老いたベストセラー作家と実績も蓄えもなくただやる気だけがある若手俳優の知恵比べという、鬼気迫る展開の面白さはもちろんなのだけど、ふたりの俳優としての一騎打ち感がすごく出ていて、気づくと見入っていた。これは面白い。

有名俳優同士の一騎打ちといえば、最近ではメリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマンが激しくぶつかった『ダウト 〜あるカトリック学校で〜』もすばらしかったが、本作は完全なる1対1の果たし合いであり、見応えがある。

ワイクのいかにも眉唾な提案ながらも若いティンドルが乗せられてしまう1セット目、まさかのまさかな2セット目、と来て、最後の思わぬ展開に迷い込む3セット目。一歩も引かずに挑むジュード・ロウも立派だが、ケインの目付きがひたすら怖かった。じっとヒキガエルのようなまなこで若いティンドルが吐き出す言葉の真意を見極めようとする。

そして、奔放な性をまとい、抗いがたい魅力の化身となったティンドルに思わず拳銃を向けてしまったときにその勝敗がついてしまう。勝って得たものもなければ、当然負けて得するものもない。それまでの熱戦に比べてやや拍子抜け感のあるオチではあるけれど、でもこれが最適だったのかもしれない。

舞台となる建物はそれ自体は時代を感じさせるが、最新機器に彩られた内装はシンプルながらも金のかかったモダンなデザインであり、無機質な監視カメラからの画像を挟むことで、演出に幅を持たすなどいってみれば3人目の俳優としての存在感があった。1972年の原作は未見であり、演出上の違いも気になるし、機会があれば見てみたい。
2010.12.12 Sunday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
南波志帆@新宿タワーレコード

シングル『オーロラに隠れて』のリリースにともなって行われた南波志帆のインストアライブに行ってきた。

南波志帆。1993年生まれの現在17歳の現役女子高生でホリプロ所属。インディーズの頃から元シンバルズの矢野博康がプロデュースに関わり、キリンジやノーナリーヴスの面々が楽曲提供をし、またメジャーデビュー作となった3枚目のミニアルバム『ごめんね、私。』ではコトリンゴや土岐麻子、おおはた雄一、末光篤などが参加し、微妙に豪華だったりする。今回のシングルも作詞はYUKIで、作曲はキリンジ・堀込泰行とのこと。

私が聴いたのは今年出たサードミニアルバムだけなのだが、今回はタワレコで無料、しかも近場で見られるというのでついつい行ってしまった。途中で魅力的なノラ猫と遊んでしまい、開始予定時刻から8分も過ぎて7階フロアに降り立つと、もうすでに始まっていた。

女子高生の歌手だし、ファンも多いのかなと思っていたのだが、想像していたよりも控えめだった。ただ、客層は思っていたとおりに、それっぽい人たちで占められ、別の意味で安心してしまった。生暖かく愛でる感じがなんとも・・・。手拍子とか始めるともう・・・。

MCでの声を聞くになんとも逃げ出したくなるアイドル声で、完全アウェーな気分に陥るが、遅刻した理由を寝坊と断定された悲しい気分を今から歌いますと話し、次の「ごめんね、私。」に繋げたのは面白かった。

ギターがひとりだけ、バックで音を鳴らしていたが、基本はカラオケで、やや音が大きく出ていたこともあり、歌が負けていた。でもまあ、音源と同じ不安定さを楽しめるならライブも認めることができそうだ。作品でも何かを表現するところまではできていなかったけれど、ライブもまた忠実に歌うことに精一杯の印象。まあ、高校生にどこまで求めるのかという話ではあるのだけど。

ベッキーをもう少しマイルドにさせた、多分"かわいい"に分類できる顔立ちに、トーク時のある種過剰なかわいらしさの演出(ひねくれているのでどうもそう思えてしまう。本当は天使のような子かもしれないけどね)、それと残念な歌唱力。きっとアイドルなのだろう。いろんな意味でアウェーだったし、どうしてわざわざ大掃除をさぼってまでして行ったのだろうという後悔の念が最後には頭の中でグルグルと渦巻いていた。

13時27分終了。


・じさくじえんど
・ごめんね、私。
・楽園にて
・オーロラに隠れて
2010.12.12 Sunday 23:57 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
降神&wonderboy@代々木公園

代々木公園で行われた「Bottle/Exercise/Cypher vol.5」に行ってきた。

その前に寄った新宿タワーレコードでのSHINGO★西成のインストアライブが終わったのが21時3分。今回のゲストの降神や谷川俊太郎のパフォーマンスは21時からの第二部に予定されていて、終了時刻も22時頃と公式ブログにあり、まあ主賓は最後だろうと急ぎ向かった。

原宿駅改札を抜け、ダブルダッチに興じる男女の間を小走りで駆け抜け、深い闇が降りた代々木公園内をずんずんと進む。開催場所("中央広場時計台付近")のだいたいの位置は把握していたものの、頻繁に行くヨヨコーといえども最奥地に近いその場所に脚を伸ばすことはあまりなく、近くまで行けばきっと気づくだろうと運動不足でなまった足に檄を飛ばす。

21時19分、先を歩いていた女性がふと道を外れたので、何かあると踏み、そっちの方に注意を向けると案の定街灯のわずかな光の下に人が集り、輪を作っていた。50人ぐらいだろうか。恐る恐る近寄ると、確かに詩が読まれている。渋谷の街角を歩く詩のようだ。輪に加わり、耳をすました。

聴き始めて1分経ったか経たないかでいきなり中断となった。公園職員が闖入してきたのだ。許可を取って開催しているのか、宗教的なものではないのか、マイクは使うな、動画を含めた映像を使ってくれるな等々の確認や注意を主催者に突きつけ、最後には後ほど聴取するからと電話番号を聞き出し、とりあえずの続行が許された。

いかにもな事なかれ主義に笑いが飛んだが、ややしらけた雰囲気になったのも確かでどうなるのかなと思いきや、主催者の男性(先ほどまで詩を読んでいた人)が職員が退場した瞬間に、"、という詩でした"とその突然の珍客すらもひとつのパフォーマンスに仕立て上げてしまったので再び良い空気が戻ってきた。"言葉を話す人は全員詩人なのですから"とのひと言も良かった。

気を取り直した主催者は次は2篇用意してきた人のために2巡目の始まりを告げた。ということは、すでに降神の1回目のパフォーマンスは終わっていたようだ。残念。

まずはwonderboyがリーディングし始めた。終了後に本人に名前を確認するまで誰だか分からなかったのだが、生で聴いてもなかなか魅力的な声の持ち主だった。タイのプロサッカーリーグで選手として活躍する同級生に向けて書かれた詩は、時に友人が目の前にいて語りかけるように、時にいまだ何も持ち得ていない、何も成し得ていない自分たちを自嘲しながら進んでいく。テーマとしてはありがちなものだが、それを読み上げる彼の声には切なさが混じり、そこが良い。来年5月にアルバムリリースを考えているらしく、期待したい。

次は降神のなのるなもない。彼が口を開くだけであっという間に別世界を創り出す。"できることなら何も感じない機械になりたい なんて正気かい? 伝わらないもどかしさに疲れの取れぬ日々の忙しさに置き去り"。歌うようなフロウはとても音楽的で耳には心地良いのだが、正直書けばその歌われる内容は理解しにくい。"ガイドラインは俺たちのワイルドさ"はどのタイミングで飛び出したのか覚えていないが、脳にこびりつく一節だった。

1分ぐらいで終わり、間髪入れずに志人へ。"隣国を愛す我らひとつの民族と捉える 信仰する宗教やまとわりつくナショナリズムはさておいて 目には見えぬ壁という壁を通り抜けるのだね 邪念を捨て 誰もが似て非なる各々だけの風となる"。いきなりとうとう始まる志人のリーディングは、なのるなもないに比べれば、イメージしやすい言葉が使われているために幾分物語性を感じる。が、深いところで理解できていないのは同じ。

緩急をつけ、さらには動と静を意識しながら、韻は踏みまくり、馴染みのフレーズを盛り込み、聴く者を圧倒していく。やっぱりこのふたりはすごい。ヒップホップとかそういった狭いジャンルにとらわれることなく、自分たちのスタイルを模索し、深化させ、それを確実にエンターテインメントに落とし込んでいる。

最後は谷川俊太郎が読むということで、みんなで彼に近づき輪を狭めた。そのことで生まれた妙な一体感が面白い。谷川が読んだのは「詩人の亡霊」と題された1分ほどの詩だった。

"詩人の亡霊が佇んでいる"で始まる、なかなか意味深長な詩だ。"文学史の片隅に名を残した"詩人の亡霊は"書棚の奥でいまだに親友と名声を競い合っている"という。しかし、生前の詩人はわずかばかりの名声を得たのかもしれないが、実際は詩の真理を理解せず、また自然の神秘を言葉にできたと思っているだけだった。なぜなら詩人は"一滴の汗も血も流"すことをしなかったからだ。

この詩を選んだ理由が気になった。若い詩人たちにそうならないように気をつけろよというエールなのか、それともこの日に読まれた詩があんまりな出来であり、詩人を名乗るのは結構だが、この詩人の亡霊と同じことだぞとの苦言だったのか。

ともかく、谷川のリーディングで終了。21時34分。


たった4人のパフォーマンスしか見られなかったわけだけど、すでに完成されたスタイルを持ち、見せることに磨きを掛けている人たちだったこともあり、何のストレスもなく、短い時間ではあったものの楽しめた。wonderboyを目撃できたのも嬉しかった。
2010.12.10 Friday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
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