2012年4月にアップされた国産ヒップホップ・フリーダウンロードミックステープ一覧。
JPRAP.COMに、
2Dcolvics、そして
@KSK1988さんのおかげで今回も様々な作品と出会えることができました。毎回簡単に済ませていますが、本当にありがとうございます。それと、素晴らしい楽曲にも関わらず無料でダウンロードさせてくれるアーティストにも大きな感謝です。
てっとり早くお勧めを教えてくれという方には上の3枚!左は最近活躍が目覚ましい1988年生まれの東京在住のトラックメイカーXenRoNによるJay-Z『Black Album』のリミックスアルバム。かなり短時間で量産しているにもかかわらず、多彩な音を生み出している。すごい。真ん中は西東京を拠点にするKOOGIのトラックメイカー名義で仲間と共に出したミックステープ。前作同様に安定した品質で楽しめる。右端は今回初めて知った埼玉のラッパーで勢いのあるラップを堪能できる。ジャケットクリックでDLリンク先へ。
【△】VA『GOLDEN DEMO 2』
2012.04.01 / 全14曲44分 / 160kbps /
HP
快進撃を続けるLOW HIGH WHO? PRODUCTIONに送られてきたデモ音源をまとめたもの。第1弾はずいぶんと楽しんで聴いた覚えがあるが、今回は小振りな才能が多い印象だ。LHW?に送られたものだけあって、レーベルカラーにあった楽曲が並ぶのだけど、その中で蝦夷の剛腕フロウは目立つ。他にも知っている名前がちらほら見られるが、各人とももっといい曲があったはずだ。ひとりポエトリーリーディングだった近藤孝次は雰囲気があって良い。でも何といってもY-クルーズ・エンヤが全てをかっさらっていく。LHW?に送るということは広く聴かれるということで折角のチャンスなんだからもっと気合の入った曲を送るべきだと思うよ。M13は突飛なテーマだけではなく、メロディもあるからこそ耳を惹く。
【◎】絶招×Kerberos『Remixed EP』
2012.04.01 / 全7曲17分 / 320kbps /
bandcamp
配信終了。HAIIRO DE ROSSI主宰レーベルforteに所属するトラックメイカーKerberos(Pigeondustの別名義)が、昨年10月に出されていた絶招のフリーDLミックステープ『DEMO EP』の収録曲をジャジーな音でリミックスした作品。原曲を聴いた時はそれほど良いとは思わなかったラップがこれほどまでにかっこよく聴こえるようになるとはかなりの衝撃。リミックスとはこうあるべきという模範のような作品。
【○】ジャスタウェイ『Jazzical』
2012.04.04 / 全10曲37分 / 192kbps /
YouTube
配信終了。夢僧とKing-jの2MCに、CLOWNの1DJによる名古屋のグループ。洒脱なジャズトラックの上に乗せられるラップの大半がそうであるように、ラップだけを取り出すとそれほど特徴はないが、ジャズを基調にしたヒップホップは最近では珍しく、音の雰囲気を壊さないラップといえないこともない。もちろんラップが下手なわけではない、ただ目立ったのが10曲の中で唯一挑発的な言葉を投げかけるM5というのは彼らにとってはきっと不本意だろうが、まあ耳を素通りするタイプの言葉の羅列になっているので仕方のない話。
【△】Shintalow『What You Here Is S』
2012.04.04 / 全7曲19分 / 160kbps /
Twitter
NIHA-CやDJオカワリがいる名古屋の國枝URBAN CAMPに所属する3人組Ethnic Blendから、まずはラッパーのシンタロウがソロ作を発表。昨年末にフリーDLで出した「Gloria」(
YouTube)の出来が本作への期待値を分不相応に上げてしまう。本隊と同じようにジャジーな音の上に真面目さが伝わるラップ。悪くはないし、伝えたいことも確かにあるのだろうが、言葉が上滑りし、結局何がいいたいの?となる。致命傷はファイル名にも曲名にも曲順が埋め込められていないため、正しい順番が分からない事。内容で勝負するアーティストにはとても大事なことだと思うのだけど。
【○】KILLASUGA『Sugar Free Vol.1』
2012.04.06 / 全7曲24分 / 192kbps /
Twitter
"俺がキラシュガァ 今日もどでかく稼いでるぜぇ"で始まるラップは誇大妄想気味のラッパー特有のそれであるが、"現場"という価値観がいまだ重視されているヒップホップにおいて実戦で盛り上がるならそれは正義なのだろう。使われている洋物トラックともよく合っている。池袋のクラブbedを中心に活動しているF.E.S(FarEastSiders)というクルーに所属しているそうだ。
【○】Radoo『Sky Berry』
2012.04.08 / 全11曲39分 / 192kbps /
Twitter
ラッパーのBBとDJのWarkarと共に大阪でGhost Dogというグループを組んでいるラドゥのソロ作。直前の1週間に毎日1曲ずつ配信することで期待を煽り、米国産のように裏ジャケまで用意し作り込んでいる。オリジナルトラックを揃えた意欲作だし悪くはないが、大阪らしいアクの強さが消臭されているためか、渋谷宇田川辺りのすかした印象を受ける。音も派手だし、フリーだからという安っぽさがないのに、もったいなさは最後まで残る。
【△】DJ 49『Da Cypher』
2012.04.09 / 全28曲53分 / VBR /
Twitter
配信終了。2004年のリリースパーティ時に配布されたミックスCDをアップしたもの。1997年から5年間に渡りJ-WAVEで放送された「J-Wave Hip Hop Journey -Da Cypher-」(詳しくは
ここ)から、Shing02に始まり、KREVA、ラッパ我リヤ、K.O.D.P、K DUB SHINE、ニトロ勢などがゲストで来た際に録り下ろしたフリースタイルをミックス。当時のCMをスキットに挟んだり、感動的な最後の挨拶なども収録されていて、国産ヒップホップの歴史を感じさせる。が、現在のフリースタイル技術の劇的な向上を考えると、ここで聴けるそれはあまりに化石然としていて(シンゴ2に至っては黒歴史)、歴史的価値以上のものは見出せない。懐かしい人にはたまらないだろうけど。
【○】Jay-Z『The Black Album XenRoN Remix』
2012.04.09 / 全14曲51分 / 192kbps /
Twitter
これはちょっとすごいね。オリジナルを聴き込んでいないこともあるのだけど、こんなトラックが並ぶなら一発で気に入る。耳を惹きつける明るい旋律の脇をいくつも補足するラインを走らせたりして、音を追う耳の心地良さといったらない。音をいくら飾リ立てても、ラップそのものに華やかさがあり、過剰だということにはならないが、抜くところではしっかり抜くし、そのメリハリも含めて、ここ数カ月でいきなり登場したトラックメイカーとは思えない。
【○】Jay-Z『American Gangster XenRoN Remix Tape』
2012.04 / 全15曲54分 / 128kbps /
Tumblr
猛烈な勢いで洋邦問わずリミックスを発表し続けているシェンロンによる、こちらはジェイZの2007年のアルバム『
American Gangster』の全曲リミックス作。聴き手を飽きさせない音で構築され、全く琴線を震わせなかったオリジナルよりもずっと楽しめる。ただ、上記のブラックアルバムはラップに力があるため、本作よりも上に思える。
【△】歪瞳『サ行LP bootleg』
2012.04.11 / 12曲32分 / 128kbps /
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配信終了。ワイドウと読むニコニコ動画で活躍するソロラッパーの海賊版ミックステープ。直前のツイートに、"勝手に動画から音源ブッコ抜いて勝手に解説つけてZIPにして横流しする"とあったので、詳しくは不明だが、出す出す詐欺に憤った友人が発表したもののよう。私がイメージするニコ動ラップそのもので誉める点を探そうにも見つからない。まさに肉。曲名だけユニーク。
【△】SNEEEZE『Humility』
2012.04.13 / 全20曲30分 / 320kbps /
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2月の『Feel So Good』、3月配信限定アルバム『DEVICE』に続く4本目のミックステープであり、本日(30日)配信のミニアルバム『MIND』の露払い的作品でもある。まあよくリリックを書いている。ただ、少々飽きてきたのも事実で、目立つのはアルバムにも収録されていたM11ぐらい。客演が必要かも。あるいはSALUの『In My Shoes』の丸々リミックスとか。同時期に出てきて、似たようなスタイルで、互いに思うところはあるだろうし、同じビートに乗っかり自分がどれほどやれるのか、リリックでは勇ましいけれど実際に証明できる良い機会かと。
【○】NORI aka Takachang『a multiple personality』
2012.04.13 / 全20曲35分 / 128kbps /
blog
東京のラッパー兼トラックメイカー。昨年9月にソロ名義で最初のミックステープを発表し、本作でついに3本目となる。その間、クルーのN.R.Bでも1本出し、仲間のMI'zの作品では大半のトラックをプロデュースした。本作はリミックスを主体に例のぬめったラップを聴かせる。お世辞にも巧いとはいえないし、ミックスも微妙で、狭い日本語ラップ界隈でも話題にならないのは仕方ないにしても、二十歳前の若さでこれほどの行動力は評価できる。
【○】KO35H32『RONIN BEAT TAPE PT5』
2012.04.10 / 全10曲33分 / 320kbps /
HP
大阪のトラックメイカーのシリーズ最終章となるビート集。情感豊かな和のテイストをしっかり重いヒップホップビートに落とし込んでいるのが面白いし、短編小説のようなさらりとした展開にも妙味を覚え、私のようなインストが苦手な耳にも物語を感じさせる音がある。ただ、はまらないのはそれはもう単純に相性の問題だろう。
【○】れと『FANCY for REAL+2 〜INST〜』
2012.04.13 / 全7曲24分 / 256kbps /
Twitter
配信終了。れと名義の1月の7曲入り初ミックステープ『FANCY for REAL』から、栃木のトラックメイカーAhosによる5曲と、彼がリミックスしたMIDCRONICA「rust」のインストや番crewの楽曲のリミックスインストの2曲を加えた、いわばアホスのインスト集。1月にも書いたようにビートはあっけらかんと軽快に打ち鳴らされる。強い個性があるわけではないが、小難しいことを考えず、まず音を作ってみよう出してみようという姿勢が吉と出ている。
【×】C.W.C『DEMO』
2012.04.12 / 全6曲25分 / 160,VBR /
Twitter
配信終了。C.W.Cは"Castle West Crew"の略で、茨城県は龍ヶ崎のグループだそう("城西"由来かと思ったらそういうことでもないのか。あの辺の人たちが好きそうなネーミングだけど)。確かに常磐線周辺な90年代ニューヨーク好きです武骨ですみたいな雰囲気を醸し出している。今もまだこんなグループがいるのね、温故知新って素敵と思えるのは耳が復活したからで、曲順は振られていないし、何より音量調整最大値という罠にはまり、鼓膜直撃を食らった。作品として最悪。
【○】釈迦坊主『中二病 LP』
2012.04.14 / 全9曲34分 / 192kbps /
HP
東京在住のラッパー兼トラックメイカー。レイトのような不幸ラップを得意とするようだが、彼は世界の不幸を自分に引き寄せていたのに比べると、釈迦坊主は伝え方がイマイチなため(ビートを強調しすぎて、音のバランスがラップと対等になっている)、どこにでも転がっている不幸物語で終わってしまっている。言葉やテーマが重要になってくるスタイルだけにビートを従とした方がいいし、できない早口ラップも同じ理由から止めた方が良い。
【○】Beats Zan『Beats Zan Remixies Vol.3』
2012.04.15 / 全12曲49分 / 320kbps /
YouTube
2月のVol.2は洋楽リミックスだったが、第3弾の今回は日本のヒップホップやR&B編。しかもKREVAやm-flo、RHYMESTER、安室奈美恵、AIと大物を手掛けている。NORIKIYOファンも存分に楽しめる。原曲から大きく改変しているわけでもなく、雰囲気を大事にしているのでどの曲も違和感なく聴けるし、もしかしたらこっちの方がいいかもしれないという曲もある。
【○】VA『Japanese Lyrics VS Underground Musics』
2012.04.15 / 全10曲48分 / 320kbps /
Tumblr
ネットレーベルedsillforRecordingsがアップしたコンピ。IDMやブレイクコア(前者はインテリジェント・ダンス・ミュージックの略で、後者はウィキによると、"高速ブレイクビーツにディストーションをかけたスネアキック"を特徴とする音楽ジャンル)に分類される作品を出しているレーベルで、今回は日本語ラップを題材に大幅に改変していて面白い。NMRをネタにしたM7なんてまず曲名が秀逸すぎる。少し前に話題になったミルクラッパーの曲も登場したりするが、基本的には日本語詞に対していい意味で敬意を払わず好き勝手やっているので、新鮮な驚きがある。
【○】Kicker & Reason『1986: The EP』
2012.04.20 / 全8曲24分 / 320kbps /
bandcamp
岐阜のヒップホップクルーBEAT CONNECTION CREWに所属するラッパー・キッカーと、思い出したように木曜日にフリーDL曲を発表していた名古屋のトラックメイカーReezy"B"によるコラボ作品。リリックの内容自体はたいしことはなく大方は麻についてで、重心を後ろにややずらしたフロウで聴かせるスタイルのキッカーのラップがソウルフルな音の上に乗る。平坦になりがちなラップを多彩なトラックで支えている感はなきにもし非ず。
【○】ILL BLOCK CORNER MUSIC『NATURAL RE:BORN』
2012.04.20 / 全15曲40分 / 192kbps /
Tumblr
Greedy、Khaos、Hadesという3MCのグループ。インパクトのあるジャケットそのままの不良ラップ。こういう機会でもなければ聴かないたぐいのスタイルであり、笑ってしまうのは事実だが、フリーDL界隈にこの手のラップはまだまだ少なく、幅が広がるの良いことだ。しかもノーDJ版だけではなく、BEERTMAN JUNIORがホスト役をしている版や1枚ファイルになっているものまで3種類も仕様があるのは見かけによらず聴き手に優しく、見習うべきことが多い。
【○】RUMCHOP『Play Ya Color』
2012.04.20 / 全20曲54分 / 192kbps /
Twitter
ラッパー・コージのトラックメイカー名義ラムチョップが西東京の仲間を集めて作った2本目のミックステープ。さしずめ上のIBCMが成長したらこうなるといったスタイルだが、M2でいきなり社会派の側面を見せたりしているのは興味深い。1年前の1作目(
DL先)同様によくまとまっている1枚で、M8での和みやコージのM14はかなり聴かせる。女性ラッパーMIChinoも良いアクセント。地味に人気のある元ICE DYNASTYのKNZも参加している。
【○】CORVET『BEAT COMPANION SERVICE』
2012.04.20 / 全13曲29分 / 320kbps /
bandcamp
"遂にMPCと結婚しちまったイカしたトラックメイカー"と刃頭も注目する大阪在住のコルベットのミックステープ。マイケル・ジャクソンで遊んだM1で始まり、軽やかにポップでお洒落らしさも演出され、外に向けられた音が並ぶ。が、曲自体は短いにも関わらず単調であるためにやや飽きが来やすいのだけど、鍵盤が小気味良いM8から尻上がりに良くなる。
【○】XenRoN『KREVA Remixes&Instrumentals Mixtape』
2012.04.22 / 全5曲17分 / 192kbps /
Tumblr
聴きやすさと同時にアクの強いクレバのラップにいささかも負けることなく渡り合っている音作りは立派。リミキサーの個性だけを全面に押し出すことで曲に新しい表情を付けるのもリミックスの面白さだが、素材となるラップの良さ(クレバだから可能という一面もあるが)を引き立たせつつ同時に音の構築の妙も表現。残念なのはサウンドクラウドで連日発表してきた曲だけをまとめているため新作がなく、逐一チェックしている身には物足りないこと。
【○】KITAKANTO SKILLZ『URAKANTO -CHOPPED & SCREWED mix-』
2012.04.22 / 全18曲72分 / 128kbps /
blog
昨年最も勢いがあったとされるヒップホップクルーSIMI LABよりも衝撃だったとの声も聞かれる北関東スキルズ。そのファーストアルバム『BUFFALO REPORT CODE:』以前に自主流通させていた3枚からなる「ILLAKANTO」シリーズの曲をチョップド・アンド・スクリュードさせたのが本作。韻踏合組合が『紫盤』を先日発表していたが、いまいちこの改変の面白味が分からない。ただ、何か1曲でも引っかかると意外に楽しめてくるのはいつものことで、M7での間延びしたラメラメに不思議な酩酊感を覚えるとその後の数曲がいいなと思えたので、聴き込めばはまるのかも。
【△】Sweet William『WILLDONE BEATSTRUMENTAL FOR DANCERS』
2012.04.22 / 全7曲12分 / 160kbps /
HP
配信終了。今月上旬に出たシンタロウに続き、名古屋のエスニック・ブレンドから今度はトラックメイカーのスイート・ウィリアムがソロ作となるビート集を発表。"FOR DANCERS"となっているわりには全くもってグルーヴを感じさせない。作り手の部屋の中だけで完結してしまっていて、頭を振ろうという気にもならないが、もしかしたらヒップホップよりも電子音楽好きに好まれる音なのかもしれない。
【○】trinitytiny1『wasted wasted wasted wasted』
2012.04.23 / 全19曲78分 / 320kbps /
bandcamp
タイで広告マンとして働く日本人ツイッタラ―・trinitytiny1の初音源。ERAのスクリュー版や旧来の意味でのミックステープを昨年辺りから精力的に発表する一方で、少しずつ出していたオリジナル作やリミックスを新曲と共にまとめたもの。最近はやりの薄く引き伸ばしたような音を特徴とし、前半こそはその眠気の前に屈服してしまうものの(M2は別)、M9からの3曲のチキチキに覚醒させられ、次第に心地良くなる。
【○】Boz Bug & PEACE『Starter』
2012.04.25 / 全12曲40分 / VBR /
YouTube
配信終了。ボズバグとピースによる福岡のヒップホップデュオ。ふたり共高校3年生とのこと。ボズバグについては2月に発表されたフリーDLのシングルやノリ aka タカチャンのミックステープで見かけたが、まあふたりともお世辞にもラップがうまいとはいえない。ただ、"やりたいことをやる、ただそれだけ!"との意気込みは立派だし、なにより"全曲ビートジャック、レコーディングはアイフォン"という行動力は賞賛に値する。
【○】Nasty Ill Brother S.U.G.I.『BOREDOM EP』
2012.04.25 / 全13曲23分 / 320kbps /
bandcamp
神奈川のトラックメイカーILL.SUGIが別名義(?)で出したビート集。後半3曲はRapper Big PoohやJ-LIVEといったヒップホップの良心ともいえそうな良質ラップのリミックス。M7を頂点にしたキラキラさと、音の黒さのバランスが素晴らしく、それぞれの曲自体は短いにも関わらず、自分の美学をきっちり表現できているものだから、短くとも確かな聴き応えがある。
【○】Naoto Taguchi『Nameless.Ep』
2012.04.26 / 全8曲11分 / 320kbps /
bandcamp
福岡Oilworks Rec所属、東京在住のトラックメイカーが2枚同時に発表したビート集の1枚。1分半前後のそっけないビートが並ぶ。M4のように分かりやすいメロディがあると楽しめるのだけど。
【○】Naoto Taguchi『Anticlocks.Ep』
2012.04.26 / 全8曲11分 / 320kbps /
bandcamp
もう1枚が本作。こちらは歌ものであり、その波状攻撃ともいえるエディット(?)具合にはよく利いた低音のおかげもあり、悪酔いしそう。
【○】Osurek Bertop『THE OSUREK SHOW Vol.1 Nepal Invasion』
2012.04.26 / 全11曲22分 / 320kbps /
bandcamp
上に書いたケルベロスと同じく、ハイイロデロッシのレーベル・フォルテ所属のトラックメイカーのビート集。そのハイイロのリミックスではダークなトーンを基調とする音を浮遊させていた。その印象が強かったので、ネパール・ポップスを全面使用することで異国情緒を醸し、同時にどこか日本の歌謡曲っぽさも忍ばせ、明るく開放的な音になっていることに驚く。外国の濃厚な音を使っても安易に染まらず、冷たさを含ませている辺りは先のリミックスに通じる。
【○】JUSTY ACE a.k.a JA飛龍『JUSTY ACE -street album-』
2012.04.27 / 全12曲45分 / 192kbps /
Twitter
SIMON JAP a.k.a KAMIKAZ、GRACE a.k.a 竜巻G、DJ HIROTO a.k.a DJ犬神の3人組グル―プによる2008年までに収録され、お蔵入りとなっていた音源。さんピンCAMP直系の悪ぶったラップだが、2007年、2008年といえばSEEDAの『花と雨』に始まるもっと真実味のあるワルを詩情豊かにラップするスタイルが一世風靡した時期であり、この古臭いラップを世に出さなかったのは賢明な選択だった。それから4年の月日が流れ、シーダ達にかつての勢いはなく、また英語風の発声を取り入れたフロウ重視のスタイルが流行となっている中で、あえてこの塩漬け音源を出すことは、それが手垢まみれのライムや声音であっても、さんピンのスタイルは日本のヒップホップの源流でもあるわけで、変わることのない普遍のスタイルとして今だからこそ素直に受け入れられるのかもしれない。
【△】Uncle Texx『Route 23 EP』
2012.04.29 / 全6曲20分 / 320kbps /
blog
最近よく目にするJuke/Footworkと呼ばれるシカゴハウスを源流に持つダンス音楽を制作する三重のトラックメイカーの音源。この直前に短い
紹介動画を見て知った気にはなったものの、実際は理解していない例のパターンに陥っている。動画での本場の音は間断なくチキチキが鳴らされ激しい踊りとの相性の良さが納得できたが、本作はそうではない。色々あるのだろう。それはともかく日本でこの音がはやったらみんなあのダンスを踊るのかな。
【○】himeshi『KURAYAMI NIRAI KANAI ep』
2012.04.29 / 全6曲21分 / 320kbps /
bandcamp
埼玉は浦和のソロラッパー・ヒメシ。初めて聴くのだけど、こんなかっこいいラップをする人と容易に出会えるのだから、現在のフリーダウンロードブームは素晴らしい。M3のようなグライムも良いが、M2やM4、M6のどこかTAK THE CODONAを思わせる若干スピードを落としつつも前に出てくる毒のあるスタイルはラップの素直なかっこよさを体現している。いい。
【○】soakubeats『粗悪忠臣蔵』
2012.04.29 / 全13曲40分 / 320kbps /
bandcamp
我慢しきれなくてやはり出してきたソアクビーツの20本目となるビート集。前半のイケイケドンドンなビートが好みだが、今作は日本人にお馴染みのあの物語を音で綴った一大音絵巻であり、最後の一音が鳴りやんだ時、粗悪内蔵助、あなたがいたことを私たちは忘れないと呟いてしまうコンセプチュアルな仕上がりこそを楽しむべきだろう。いつも以上に音を読み解く一助となる歌詞欄の言葉が面白い。人気役者・今夜が田中もカメオ出演!
【△】VA『Urban Sampler Session #7』
2012.04.29 / 全34曲101分 / 320kbps /
bandcamp
与えられたお題インストを使いわずか3日間(72時間)で曲として完成させるという恒例企画の第7弾。どうにも面白味を覚えずスルーしていたらもう7回もやっていて驚く。32人もトラックメイカーが参加しているということで、収録時間が長いのも敬遠してしまう要因のひとつ。EeMuやogopogoといったLHW?勢からフリーDL界隈でよく耳にする人たち、あるいは九州の奇才leeに至ってはラップを乗せているのでそれだけでも聴く価値はあるかも。
【△】MI'z『Nervous System In Brain』
2012.03.30 / 全13曲38分 / 128kbps /
blog
配信終了。本作の大半のトラックを手掛けているノリ aka タカチャンの作品や彼を中心としたヒップホップクルーN.R.Bの一員としても活躍するラッパーみっづの初ソロ作。大事なことを教えてくれる作品。素晴らしすぎてただで落とすことが申し訳なくなるようなミックステープが当たり前のように発表されている中で、でも同時にこのネットでの無料配信はラップ素人たちの腕試しとしての場でもあるわけだ。本作はそのことをとくと思い出させてくれる。
【○】VA『HAPPY BOOTLEG PARTY vol.1』
2011.12 / 全12曲65分 / 320kbps /
Tumblr
高校生トラックメイカーHerrokkinのアカウントを見ていて存在に気づいたコンピ。昨年クリスマス頃に発表され、今の季節とは合わないが、オザケンリミックスがなかなか楽しい出来栄えだったり、続く竹内まりやのも悪くなく、パブリック娘。のリミックスまであるので紹介。ヘロッキンは坂本龍一の例のクリスマス曲を手掛けていて、良い仕上がり。ただ、次曲も同じネタでずいぶん酷な印象もあるが、雰囲気が異なる改変具合で反対に面白い。
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<まとめ>
2010年〜2011年1月〜8月分
Tegetther
2012年1月分
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2012年2月分
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2012年3月分
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