すばらしくてNICE CHOICE

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2021.02.10 Wednesday | - | - | -
2012年ベストアルバム
今年1年間のアルバムランキングは、国産ヒップホップの有料盤から選出したもの(2Dcolvicsにて発表)と、無料配信ミックステープだけを順位づけしたもののふたつを作り、すでに飽きが来ているし、この1年ミックステープ中心に聴いてきたことを考えれば"総合"と銘打ってみても、洋楽は端から排除しているし、先のふたつと変わり映えしないものにならざるを得ず、どうにも刺激のない選別になってはいるが、できるだけヒップホップを除外できたらと思いながら並べてみた。

邦楽ロックは若手の音を中心に聴いてはいたが、アルバム1枚を通して素晴らしいと思える作品にはなかなか出会えなかった。それは有望な若手がいないということではなく、私自身が問題であることは理解しているつもりだ。年齢を重ねるごとに好みのストライクゾーンが確実に狭まってきている。最初から耳に合わないと以前のように理解しようと努力をしなくなった。良くない傾向だとは自分で分かっているが、楽な方、分かりやすい方に流れてしまう。


1位 志人・スガダイロー『詩種』 →記事

梱包作業の手伝いをさせてもらうというなかなか得難い体験ができたということも大きいが、それ以上にアンダーグラウンドで確固たる評価を得ているラッパーの志人が、ジャズピアニストのスガダイローの力を借りることでさらなる進化を試み、成長を続け、それが結果としてしっかり結実させていることがなんとも頼もしい。


2位 OMSB『Mr. "All Bad" Jordan』

リーダーが脱退するという驚きの展開があったヒップホップグループSIMI LABを支える屋台骨となったオムスビの待望のファーストソロアルバム。フリーダウンロードで頻繁に曲を発表していたので、こんな音になるだろうと予測していたレベルをはるかに超える強靭で黒いビートを構築し、その土台の上で彼が大暴れしているものだから本当に驚かされた。


3位 acari『陽がよく当たる』

2年ぶりとなるサードアルバム。今日本で活躍するギターポップバンドの中で最も理想とする声質とメロディを備えたグループであると改めて知らされた。前作はやや作り込まれている印象を抱いたが、今回はファーストの頃の素朴さを今一度取り戻し、メロディに全てを託している。


4位 志人『Zymolytic Human -発酵人間-』 →記事

数年前までのライブはするけれど音源を出さないという活動状況が嘘のように、今年は昨年に引き続き、1年に2枚も作品をリリースした志人だったわけで、ファンとしては嬉しい限りだ。本作は2011年の夏に1ヶ月間カナダで暮らし、そこで行なったレコーディングをまとめたものとなる。2005年に『Heaven's 恋文』を出して以降ずいぶんと変化を遂げた彼の思想や哲学がしっかり曲に宿り、ようような場所で録音され、多くの人間の手が入っているにも関わらず、アルバム全体でもって今の志人の想いが表現されている。


5位 ACO『LUCK』 →記事

ようやく戻ってきた歌姫。90年代の傑作のひとつに挙げられる『Lady Soul』に匹敵する完成度だ。わずか3人での生演奏に支えられ、歌の力を存分に見せつける。


6位 蛇『悶談蛇頭』

以前はNakajiの名前で活動していた滋賀県在住のソロラッパー・蛇の通算4作目となるフリーダウンロードミックステープ(DL)。前作も素晴らしかったし、ミックステープとはいえ十分その実力を知っているつもりだったけれど、言葉に切れ味が増し、語り口も滑らかになり、その一段上がった感に驚かされた。


7位 QN『New Country』 →記事

2位に挙げているオムスビに全てを託し、というかっこいいものではなく、いってみれば後ろ脚で砂をかけてシミラボを飛び出したQNのソロ3作目。ラッパーとしてもトラックメイカーとしてもその才能は疑いようがないわけだけど、アルバム1枚での完成度となると、そのリリースペースの速さもあり、これまでは微妙ではあった。しかし今回は前作からわずか6か月での発表だったにも関わらず、曲数を絞り焦点をぼやけさせなかったことで、ポップで聴きやすさが生まれ、新境地開拓といえる。


8位 LBとOtowa『インターネットラブ』

2010年頃から盛り上がり始めた国産ヒップホップのミックステープ・ブームで、常に話題を提供し続けたという意味ではAKLOやKLOOZよりも楽しませてくれた彼らがついにCDデビューを果たした。米国と違い、ミックステープでの成功が売上に即繋がるわけではないのがなんとも歯がゆい話だが、確かな技量に裏打ちされたLBのラップが高揚感のあるポップなトラックに乗ることで、ラップファン以外の音楽好きを惹きつける魅力が生まれているとは思う。


9位 クリープハイプ『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』

バンド名やアルバムタイトルを見た時は色物かと思ったが、ボーカルの一人称の歌ではあるのだけど、聴き手の深いところにまで刺さる歌詞が耳馴染の良いメロディと組むことで、意外や意外飽きのこないアルバムになった。勢いやネタだけで勝負せず、音楽的な基礎体力の高さがあるのか安心感がある。


10位 AKLO『THE PACKAGE』

今年の日本語ラップを総括できる1枚。最初は"待ち望んだ"ラップとは違ったので、忌避感を持ったが、BACHLOGICのプロダクションの巧さが光り、なんだかんだと聴き込んでいた。
2012.12.31 Monday 23:59 | 音楽 | comments(5) | trackbacks(0)
2012年国産ヒップホップ・ミックステープ15選 & ベスト20
愛憎入り混じりながらもなんだかんだ聴き続けている国産ヒップホップ。今年も2010年からのフリーダウンロードのブームは続いていて、後半は全体的に質が低下した印象があったものの、若い才能が次々に現れ、市場の売上が反映されるランキングからはうかがい知れないところで着実にジャンルの再びの隆起を狙う下地ができつつあるのかなという期待すら抱いてしまいそうになる。

その誕生の瞬間を目の当たりできるのもひとえにアーティストが大切な音源を無料で配布してくれるおかげであり、最大級の感謝を送りたいし、同時に日本語ラップ情報サイトのJPRAP.COM2Dcolvicsが毎日のように新しい作品を紹介してくれるおかげでもある。何度となく溺れかけながらもどうにかこうにか2012年を乗り切ることができた。昨年は10月に撃沈したので、その失敗からコツを掴んだのだとは思うけれど、やはり代償もあるわけで、来年は適当に流して聴きたい。

市場流通された製品盤のベスト10については、例年通り2Dcolvicsの企画で発表済み。

まずはミックステープのベスト15。続いて無料配信された曲から20曲。最後に今年最も活躍し、楽しませてくれたトラックメイカー10人を挙げてみた。


<フリーダウンロード・ミックステープ>

1位 LB『KOJUN MIXTAPE』 →YouTube(DL可)
LBとOtowaとして今年ついにCDデビューを果たした新潟出身のラッパーLBの、ソロでは『AOAOAO』(DL)以来となるミックステープ。完璧な完成度を誇る。多くのアーティストが無料で配信するのだから少しぐらい質が低くくてもという甘えがある中で、彼は前作同様にひたすら作り込んできて、聴き手を楽しませようとする。フリーのこの1本から次に繋がることを考えている。もちろん卓越したラップ技術という裏付けがあってこそだけど、ミックステープでここまでやれるのだという証明だし、フリーだからこその遊びを随所に盛り込んでいる点でも素晴らしい。


2位 蛇『悶談蛇頭』 →bandcamp(DL可)
滋賀県を拠点に活動する近江Records所属のソロラッパーNakajiが蛇名義で発表した通算4本目の作品。今回はモダンジャズということだけど、日本独特の情緒を音や言葉に落とし込む姿勢は変わらず、しかも好戦的(ラッパーならM4[視聴]を聴き喝をもらうことをお勧めする)でストーリーテラーでもある。常に挑戦し続けようとするスタンスが本当にかっこいい。スワッグが主流なら自分だけは違う道を行くこともまたヒップホップだ。


3位 KZ & doiken『Plain』 →HP(DL可)
大阪・梅田駅近くの歩道橋で毎週土曜日にサイファーをしている中心人物ふたりが仲間と共に作り上げたミックステープ。MCバトルやフリースタイルで名を馳せたラッパーの作品に駄作が多いのは定説だが、彼らはラップスキルをしっかり曲としての完成度に結び付けている。梅田サイファー名義のサウンドクラウドに定期的にアップされる単曲もお勧め。


4位 RAq『Detention』 →blog(DL可)
ニコニコ動画出身のラッパー・ラックの今年3本目となる作品。「I Don't Like」をリミックスしたM1を発表したことで起きたビーフを契機に急遽制作された7曲入りではあるのだけど、彼の生き方の哲学が鮮明に打ち出されていて、痛快なライムが並ぶ仕上がりになった。ビーフのいい面が如実に表れた作品でもある。いいたいことをいって何が悪いという姿勢は、責任が伴うものではあるけれど、大事なことだ。

[beef] 2012.12.12 21:43 Tw → 12.13 00:54 Tw → 12.13 02:38 Tw → 12.14 01:40 Tw


5位 掌幻×Yue Cue『Jackin' 4 JP Vol.1』 →Twitter(DL可)
東京下町出身のラッパー掌幻とトラックメイカー兼ラッパーのユーキューが邦楽ポップスの有名曲をリミックス。飛び道具的に一丁かましてやろうといった勢い任せではなく、ポップスをしっかり消化した上でラップが違和感なく乗せていて、しかも誰もが楽しめる音楽になっている。こうなると第2弾も期待したい。


6位 KOJOE『The "J" Mixtape』 →datpiff(DL可)
2010年に1本目のミックステープ(DL)を出し、活動の場を日本に移したバイリンガルラッパー・コージョー。本場仕込みの挑戦的な売り出し方をこれまで実践してきた。2枚のミックスCDに続き、今年はついにファーストアルバムをリリース。その作品でも見せていた出し惜しみのないエンターテイメント性はこのフリーの作品からも十分うかがえる。


7位 MUMA『EXIT』 →Twitter(DL可)
北海道出身横浜在住の22歳のラッパー兼トラックメイカー・ムマ。その才気を余すところなく詰め込んだ6曲入り。いわゆる最近の流行りのフロウの中に、右から左に流させない耳に突き刺さるパンチラインを盛り込んでいて、しかも自作のビートにはきらびやかさと人懐っこさがあり、たいした才能だ。


8位 VA『REV TAPE VOL.1』 →bandcamp(DL可)
去年の『#Nibiru』(DL)に続き、今年も9月11日にJPラップコムが発表したコンピレーション。今回は主宰者benzeezyさんの優れた嗅覚に認められた若手ラッパーを集めた青田買い的な趣向であり、初めてその声を耳にするMCもいて、新鮮な刺激がある。


9位 絶招×Kerberos『Remixed EP』 →bandcamp(DL可)
現在はNF Zesshoを名乗っている福岡在住の10代のラッパーでトラックメイカーとしても活動する絶招が昨年発表した初のミックステープを、普段はpigeondust名義での活躍が多い気鋭のトラックメイカーがケルベロスとしてマルっとリミックスしたら、まあ生まれ変わったように傑作になってしまった作品。音の力って偉大と改めて思わされた。


10位 UNIVERSAL TOSHIKI『BEST IS "C"HEAPEST-UNIVERSAL IS BACK-』 →Twitter(DL可)
メジャーからインディーズ、ウエッサイまで常に新しい才能を生み出し続ける名古屋からまた新しい才人が現れた(流通盤で1枚すでにリリースしているけれど)。ビートへの適応力が抜群に高く、しかも言葉に鋭さまであって、ラップがひたすら耳に気持ち良い。トラックメイカーでもあって、本作のリミックスやインストを収録した裏バージョン(DL)も発表している。


11位 Jay-Z『The Black Album XenRoN Remix』 →Tumblr(DL可)
今年突如国産ヒップホップ界に現れた新星といってもいい才能豊かなトラックメイカー・シェンロンがJay-Zの『The Black Album』を丸々リミックス。音のきらめきと豊かなメロディ、ポップ魂といった彼の良さがこれでもかというぐらいに込められている。


12位 HASAN『Randam magik』 →Twitter(DL終了)
このハサンもまた名古屋出身のラッパー兼トラックメイカーであり、独特な資質の持ち主だ。名古屋は何かそういう磁場でもあるのだろうか。ham-Rに通じるどこか人を寄せ付けない孤高さと、不思議なポップさが同居していて、作品を多く発表することで才能をさらに開花させそうだ。


13位 LowPass『Interludes from "Where Are You Going?"』 →HP(DL可)
神奈川県相模原のふたり組ロウパス。昨年リリースしたファーストアルバム(良盤!)に収録されていたインタールードをそのまま曲として使い、ラップまで乗せてしまった作品。曲の切れ端に置いておくにはもったいない上質なサンプリングビートを巧みに利用することで、フリーミックステープから製品版のアルバムへの確かな動線にもなり新しくも面白く、そして実に効果的な戦略だ。


14位 Jinmenusagi『I MAY SICK』 →blog(DL終了)
今年はついにファーストアルバムをリリースし、さらに来年冒頭には2枚目が控えている、まだ21歳と若いのにキャリアを着実に積み上げつつあるスキルフルなラッパー兼トラックメイカー・ジンメンウサギの何本目かのミックステープ。主戦場をCDに移しながらもコンスタントに新曲をフリーDLで発表し、こうしてミックステープまで作り、しかも常にラップ技術の向上を図っている。本作でのラップは凡人にも分かりやすい域にまで降りてきてくれていて助かる。


15位 Yuuyu Aensland『Reeemix EP』 →blog(DL可)
今最も正規アルバムのリリースが待ち望まれているCherry Brownのトラックメイカー名義でのリミックス集。日本人ラッパーから洋物ラッパー、アイドルまで完璧に彼の色に染め上げている。市場流通された作品に彼の名前を見かけることが本当に多くなってきたし、日本のフリーDLミックステープの先駆者として、彼こそがぜひとも成功を掴んで欲しい。



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2012年
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
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<フリーダウンロード単曲>

流通盤のベスト10については、アルバムベストと同じように2Dcolvics企画で発表しているので、この記事では毎日数曲は無料配信され、落としてはざっと聴いて放り込み続けた結果この1年で2982曲に膨れ上がったプレイリスト"free DL song 2012"からと、ミックステープの中から特に良かった20曲を選んだ。順位を一応付けてみたものの、1位以外はその時々の気分によって大きく変わるし、書きやすいよう文脈を大事にした面もある。


1位 Takatsuki「恋は流星_Takatsuki_RMX」 →DL終了

今年の数あるDL曲の中でも文句なしにずば抜けている。吉田美奈子の同曲を使ったトラックといい、よく練られたリリックといい、プロが誇りと技術を持って作り上げた本当に素晴らしい曲だ。残念なことに動画サイトにも上げられていないため、もはや視聴もできない。


2位 NIHA-C「Lonely」 →DL終了

4曲入り無料配信シングル『CHOCO CHIP COOKIE』収録曲。大切なものを失った男の慟哭を聴くがいい!涙なしに再生できないし、安易な気持ちで視聴すると深い悲しみに巻き取られることになるから要注意だ。


3位 LB「Tiro Finale feat. RANL」 →YouTube(DL可)

フリーダウンロード・ミックステープ『KOJUN』に収録されている2次元女性ラッパーRANLの曲。"アングラヒップホップに光を射す"彼女のセカンドミックステープはまだか?


4位 FA-MAS a.k.a. 菩薩「呼吸」 →YouTube(DL可)

詩情豊かなリリックは完全に好み。この曲以外もリンク先に上げられている音源はどれも良い。今年出会えた才気溢れるラッパーのひとり。


5位 QN「My Street Knock」 →DL終了

ZeebraへのRAU DEFのディス曲(YouTube)がそうだったように、ビーフの最初の1曲目は味わい深い曲になる。攻撃的な気持ちとかすかな不安、それを押し隠そうとする過剰な勝気さ。ビーフ自体は終結したが、高ぶる気持ちはいつまでも曲に込められたままでなんともたまらない。


6位 RAq「超キライ (G.O.O.D. ver. Don't Like Remix)」 →YouTube(DL可)

彼自身はビーフを起こすつもりではなく、単純にいいたいことをいっただけだったのだろうが、思わぬところから信者の茶々が入った曲。こんなこともラップできないようではどうしようもない。


7位 MEKA, NIHA-C, 黄猿 & MUMA「STAND HARD [平成STAND HARD REMIX]」 →YouTube(DL可)

フリーDLブームに乗り、スワッグを引っさげ、20歳前後の若いラッパーやトラックメイカーが本当に多く出てきた。その中でも特に実力のあるラッパーたちが集い、原曲とはまた違う新鮮さを吹き込むことに成功している。


8位 徳利「徳利からの手紙」 →SoundCloud(DL可)

トゥイッターでの自分の呟きをただ読むという斬新な表現方法を生み出し、トゥギャッターラップと表現する人もいたけれど、それはともかく話題になったのはやはり内容の素晴らしさであり、膝から崩れ落ちる男の悲哀や、やるせなくもきらめきを放ち続ける青春が聴く者をなんともいえない気持ちにさせる。名曲。


9位 koedawg「Wash the dishes」 →SoundCloud(DL可)

koedawgことこえだちゃんのラップ曲。憎まれ口を叩きつつ、不安や願望、諦念を素直に吐露するリリックには2012年を生きた日本の若者の姿が確かにある。アウトロでも語られるように8月に出たミックステープ『YOUR $MILE MAKE$ ME $MILE』(DL)も想像以上に良い仕上がり。


10位 jaja rizz「My blooklyn」 →SoundCloud(DL可)

神奈川県は藤沢市在住のラッパー。この"Fujisawa Zombie"もまた今年知った才気溢れる若手MCのひとりで、フロウこそはスワッグな流れを汲むよくあるものだけど、リリックが特異な世界観を作り出していて、期待させる才能だ。リンク先のサウンドクラウドにはハズレのない曲が10曲以上も上げられている。


11位 蛇「おまじない」 →bandcamp(DL可)
ミックステープ・ランキングで2位に上げた蛇ことナカジの『悶談蛇頭』収録曲。語り口の巧さはかなりのもので、実話かフィクションかはともかく喉元を圧迫する哀しみに満ちている。来年は新曲満載の正規アルバムを聴きたい。


12位 KZ & doiken「family feat. まっくす」 →HP(DL可)

こちらはミックステープ・ランキングで3位の『Plain』収録曲。蛇の「おまじない」と同じく、育った環境が違うふたりのラッパーが家族への想いを歌う。両者の個性がくっきりと際立ち、曲の魅力を倍増させる。同ミックステープに収められた「手紙 feat. たまこぅ」というメロウな曲も良曲でかなり迷った。「手紙」の方はペンを置こうかと考えている表現者に届くといい。


13位 Kentbig Maler「Be Strong」 →SoundCloud(DL可)

恋人に振られた悲しみを綴ったラップ。ふざけたMC名はともかく、どうしても抱いてしまう負の気持ちを自分の中でなんとか立て直し、強くありたいと願う心の揺れる様がよく描けていて、関係ない聴き手までをも激しく揺さぶる。

この人は普段はまじめな会社員として働いている。週末に日本語ラップファンとしてクラブに行き熱く盛り上がっていた(YouTube: 1"06過ぎに注目)のが、いつの間にか好きが高じてラップを始めてしまったというアマチュアであり、それは上で挙げたこえだちゃんも同じだと思うが、この1年でそうしたラッパーがずいぶん増えた印象がある。録音環境を整えやすくなり、またフリーDLブームでネットでの発表がしやすくなったこともあるが、何よりトゥイッターの浸透によって、ミュージシャンとファンとの垣根がさらに低くなったことも大きそうだ。この間まで一音楽リスナーだと思っていたフォロワーが気づくとラップしていたり、トラックを作っていたりすることが普通になった。

表現者にしろ聴き手にしろジャンルの裾野が広がることは悪いことではないし、この曲のように新鮮な驚きも味わえる。培ってきた名声や評判だけで評価されるのではなく、曲の内容がさらに問われる方向に進むならそれは歓迎すべきことだ。


14位 Shing02 / Yakkle「愛密集 / I Miss You」 →HP(DL可)

シンゴ2の日本語詞曲。昨年のHungerとの「革命はテレビには映らない」(DL)も鋭い視点を持った良曲だったように、じっくり堪能できる日本語のリリックを生み出せる彼だからこそ告知だけされているアルバム『有事通信社』が待たれる。


15位 JOE IRON「ジャパニーズギャル feat. MICHO」 →blog(DL可)

以前PVが動画サイトにアップされていたが、現在は削除されてしまったようだ。JOE IRONのミックステープ『BANZAI BOY』から先行DLシングルとして発表された女性ラッパー・ミッチョの客演曲。ギャルあるあるが楽しい。普通の女の子ラップも大事だけど、ギャル賛美ラップも大切。


16位 YOUNG HASTLE「Blackout feat. JAZEE MINOR」 →DL終了

アルバムリリース直前に音楽サイトototoyから無料配信された黒肌礼讃ラップ。「V-Neck T」(YouTube)、「Workout」(YouTube)に続く、趣味を曲にして、リスナーを楽しませて、お金まで稼げちゃうというとても実用的な曲シリーズ第3弾。


17位 レモンハート「Gin Buck Tonight」 →SoundCloud(DL可)

神戸のthamesbeatとMCタナピー(MCシラフ改め)によるユニット・レモンハートのメロウな酔いどれソング。思わず体が揺れる気持ち良さ。


18位 Decayxodus a.k.a DKXO「Summer Ends」 →SoundCloud(DL可)

過去の偉大な夏曲に敬意を送りながら、紡がれる景色は2012年の夏模様で、私やあなたが迎えた夏の終わりの情景でもある。最初に聴いたのは『SUMMER SOUND TRACK』と題されたミックス(DL)のエクスクルーシブ曲としてであり、思わずハッとさせられる夏の余韻があった。


19位 YAV「女たち」 →SoundCloud(DL可)

ソロとして、あるいはユニットMadSomaとしてコンスタントに新曲を発表している鹿児島在住のラッパー兼トラックメイカー。おそらく"趣味"について歌っているのだろうけれど、淀んだ空気感や換気されず渦巻く煙草の煙、染みついた酒の染みや香りといったものが浮遊するメロディに閉じ込められ、本来想定していたテーマに収まらない広がりを生んでいる。発表直後にチェリー・ブラウンがスクリュー版をアップ(DL)しさらにメロウさを加速させていた。


20位 monkeypunks「懐郷病」 →SoundCloud(DL可)

最近はCampanellaやERAのリミックスに勤しんでいるトラックメイカー・モンキーパンクスのインスト曲。故郷をなつかしく思う気持ちを意味する"懐郷"とその英訳"homesick"を漢字上で融合させてしまった曲名が、聴くことで目の前に広がる景色をまさに表している。おそらく誰もが同じ気持ちになるのではと思うほど強い音の連なりだ。



<トラックメイカー>

ここまで列記した作品を見れば明らかなように、私はヒップホップという同じ音楽ジャンルでも音より言葉を重視する傾向にある。とはいえ、ラッパー以上に新しいトラックメイカーたちがめきめきと頭角を現しているのも事実で、この1年間で格段の飛躍を遂げたと考える10人を選んでみた。作品を無料で配信せず、視聴のみに留めている人たちの中にも優秀なトラックメイカーはいるだろうが、私のリスニングの環境上そうした音源に触れることはまずないので除外されている。


【XenRoN】 視聴 →SoundCloud / DL →Tumblr

DIORI a.k.a. D-ORIGINU "Green Light Ft.KEN THE 390 & KLOOZ XenRoN Remix"
美大を今年卒業したばかりの東京在住のトラックメイカー。今年2月に突如現れ、瞬く間の内に洋邦問わずにリミックスを発表していき(重複も当然あるが、彼のクレジットの入った曲が私のiTunesには178曲ある。驚異的な数字だ)、その品質の確かさからフリーDL界隈の信頼を勝ち取った。本人もリミックスワークはもう十分だろうといった趣旨の呟きをしていることだし、2013年はその先のオリジナルはもちろんだけど、一般流通のCDをリリースしているラッパーにどう食い込んでいくのか楽しみでもある。


【Beats Zan】視聴 & DL →YouTube

Beats Zan Presents... "ASSERTIVENESS" Trailer
洋楽ヒップホップのリミックスを主体にした『Beats Zan Remixies Vol.2』(DL)と邦楽版の『Beats Zan Remixies Vol.3』(DL)、さらには若手日本人ラッパーを集結させ制作した『ASSERTIVENESS』(DL)と3本ものミックステープを1年間で発表し、単曲でのDL曲も常に出し続けている、まだ19歳と驚きのトラックメイカー。年齢に似合わない落ち着いた音を紡ぎ出し、またメロディの使い方も巧みだ。


【ist】 視聴 & DL →YouTube & SoundCloud

NIHA-C "Yes Sir" (produced by ist)
KEN THE 390のアルバムに参加するなどすでに実績を積み始めているトラックメイカーであり、このランキングの趣旨とは若干外れる感がなくもないが、それでもニハシとの一連のDL作品(特に『HITLIST』[DL])での色彩豊かな音や引き出しの多さなど、プロが認め始めているのも納得。


【MUDDY THUMB】 視聴 & DL →HP & SoundCloud

MUDDY THUMB "My Episodes"
日本人ラッパーとの絡みはSNEEEZEと1曲あるのみで、洋楽ヒップホップのリミックスやインストの発表に終始しているトラックメイカーではあるのだけど、かなりのクオリティを誇るし、私がよく知らないだけですでにプロとして活動しているのかもと思わせる。


【Artbakely】 視聴 & DL →SoundCloud & bandcamp
ジャジーな音を武器に、強面ラップからポエトリーまで幅広く日本語ラップのリミックスを行い、選ぶラッパーのユニークさという点でも楽しませてくれるトラックメイカー。今年は『Vol.1』(DL)と『Vol.2』(DL)という簡潔な題名のミックステープを2本発表した。


【sugarkane】 視聴 & DL →SoundCloud

sugarkane "Best Of JP Rap vol.1 -chopped & screwed"
チョップド&スクリュードと呼ばれるリミックス手法を用い、洋楽邦楽関係なく紫の魔法の粉を振り続けてきたトラックメイカー。それまでは意味不明だったそのリミックス手法が、彼のおかげでようやく理解できるようになった。今では話題曲の紫化が待ち遠しいほどだ。


【Littlescare】 視聴 & DL →SoundCloud

ZZ PRODUCTION "ガイドライツ(Littlescare's keep it remix)"
マッシュアップを得意とする横浜のトラックメイカー。同郷のためかZZ PRODUCTIONを手掛けることに情熱を燃やしているようで数々の名リミックスが生まれている。


【SAI BEATZ】 視聴 & DL →SoundCloud & YouTube

MOMENT "Errthing" (produced by SAI BEATZ)
彼もまた上のイスト同様にケンザ390のアルバムに参加するなど、以前から流通盤での仕事をこなし、結果を残しているトラックメイカーではある。サウンドクラウドやユーチューブを通して時折発表するインストやリミックスでは間違いのないビートを聴かせてくれた。


【dbs(dope beat science)】 視聴 & DL →SoundCloud

Talib Kweli "GET BY (dbs REMIX)"
正月早々にSUIKAのアルバム『スイカ夜話』(DL)を丸々リミックスしたミックステープを発表するなど、前半は目立った活躍をしながらも、後半で散発的な活動になってしまったのは残念だったが、「dbs REMIX & BEATS (仮)」と題された米ヒップホップのリミックスシリーズなどでは黒さとポップさが巧く融合していた。


【Arch】 視聴 & DL →SoundCloud

MURO "CONCRETE JUNGLE [Arch remix]"
彼はここに挙げた他の9人と比べると、今年はほとんど作品を発表していないものの、出すリミックスはどれも耳馴染の良いかっこよさがあり、来年はもっと聴かせてくれることを願って最後の10人目に選んだ。
2012.12.31 Monday 23:58 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
2012年ベスト映画
毎年この記事の冒頭にはその年に見た映画の本数を申告している。劇場での鑑賞数は順当に減っていて、今年はついに35本にまで落ち込んでしまった。その一方で、DVDで見た本数は驚異の伸びを見せ、集計したその数字に自分であきれてしまい、正確な本数を書くのをためらう。やはり夏ぐらいからレンタル料が百円になったことが大きい。ただ、消化するスピードがそれを記事にする速度よりもはるかに上回ったため、ほとんど更新できていないという弊害も生まれ、2013年はインプットしたらしっかりアウトプットする、というそのバランスをうまく取りたい。

そんなわけで2012年に劇場で見た35本の中から10本。DVDで鑑賞した映画の中で特に素晴らしかった15本。今年はランキングをもうひとつ加えて、韓国映画から10本を選んだ。


<劇場鑑賞>

1位 ダークナイト ライジング / The Dark Knight Rises →記事

クリストファー・ノーラン版バットマン三部作の完結編。敵役が弱いとか核を軽々しく扱っているなど不満も確かにあるが、それでも圧倒的な質量と人間ドラマ、俳優たちの演技力が生み出す164分間の映像世界は見応えのあるエンターテイメント作品であり、シリーズをしっかり収めたという点でも評価したい。


2位 ドラゴン・タトゥーの女 / The Girl with the Dragon Tattoo →記事

キレのあるデヴィッド・フィンチャー監督がようやく戻ってきてくれたという喜びがまず大きい。力による暴力と複雑な設定を手際よく説明するのではなく、観客を置いてきぼりしてしまうぐらいに勢いよく展開させていく見せ方での暴力にも爽快感があり、こういうフィンチャー作品をずっと待ち望んでいた。


3位 裏切りのサーカス / Tinker Tailor Soldier Spy

世界各国を転々としながら迫力のあるアクションシーンで魅了するスパイシリーズが人気を集め続ける中で、本作は本当に静かで、ほとんど銃声が鳴らないスパイ映画となる。ただ、緊張感はすさまじい。演出や脚本はもちろんだけど、ゲイリー・オールドマンを始めコリン・ファースやトム・ハーディといった渋い実力派揃いの俳優陣の演技に息をのむ。


4位 サニー 永遠の仲間たち / 써니 →記事

笑いも涙も憤りも喜びも全てが詰まっている青春群像劇。見せ方から脚本、テーマ、カメラ、音楽、演技、どれをとってもほぼ完璧に近い。


5位 ヒミズ →記事

園子温監督が古谷実の同名漫画を映像化。原作はギャグ漫画家から人間ドラマを描く路線に変更した古谷にとって現時点での最高傑作であり、ファンはいまだに同作を基準に彼の新作を判断してしまうわけで、それを映画にするということはハードルをかなり上げて臨むことになるが、さすがは園監督というしかない。漫画同様あるいはそれ以上に狂おしい展開を見せる物語を作り込んできて、改めて監督への信頼が高まった。園は今年2本目の作品『希望の国』も制作しているが、こちらは原発を正面から描いている。その心意気は評価するし、それでこそ園子温とも思うが、物語の完成度は微妙だ。


6位 サラの鍵 / Elle s'appelait Sarah

ナチスドイツのパリ占領下で、フランス人が見て見ぬふりをしたユダヤ人迫害事件について真っ向から描いたフランス映画。後世の人間が過去を断罪することは容易だし、『縞模様のパジャマの少年』のようなヒステリックな正義心を振りかざす作品も多い中で、本作は常にフェアであろうとし、そのために人間の愚かしさや恐ろしさがより浮き彫りになる。


7位 プロメテウス / Prometheus →記事

長い監督人生の中で一度も続編を制作してこなかったリドリー・スコットが、完全な続編ではないものの、1979年の『エイリアン』とほぼ同じ世界観での新しい物語を生み出してくれた。映像が本当に素晴らしくて、3D映画で初めて違和感を覚えることなく鑑賞できた作品でもある。現在75歳だというから驚かされる。


8位 哀しき獣 / 황해 →記事

チェイサー』の監督の第2作目。前作よりもアクションをパワーアップさせつつ、物語に謎を含む複雑さまであって、見応え十分。


9位 007 スカイフォール / Skyfall

まさかのサム・メンデス監督がメガホンを取ったシリーズ50周年記念作。よくよく考えると007シリーズを劇場で見るのは初めてだった。冒頭でのオートバイを使ったチェイスシーンでいきなりライバルのボーンシリーズのクライマックスを上回るテンションの高さを見せつけ、さすが本家スパイシリーズとなるが、その後はややトーンダウンしていく感は否めない。


10位 メランコリア / Melancholia

大震災を経験した日本人にとっていまだ癒えることのない傷をファンタジーの形ではあるけれど、がっつりえぐる映画。この監督の前作『アンチクライスト』(去年5位)も痛みが伴う作品だったが、今回もなかなかに辛さを体験できる仕上がりで、なんだかもう素晴らしい。鑑賞中に比較的大きな余震があったものだから、怖さ倍増だった。



<DVD鑑賞>

本国での公開から5年以内の作品から15本を選出。その条件がないと、昔の名作で本当に感動させられた作品なども入れなければならなくなり、そうなるとランキングが非常に不恰好になるので除外した。

1位:
アジョシ / 아저씨 (2010) →記事

本作を見るまでは韓国映画というと話題になるバイオレンス物は好んで見ていたものの、韓国の映画そのものには関心がいかなかった。しかし、米ハリウッドに迫るこんなにも完成度の高いエンターテイメントアクションを製作できるのかという驚きと共に他もすごいのではないかとしばらくの間だいぶ遅い韓流ブームが自分の中で巻き起こった。


2位:
ミスター・ノーバディ / Mr. Nobody (2009) →記事

映画の楽しみのひとつは全く違う別世界に連れて行ってくれることで、本作は完璧な世界観を作り出し、映画だからこその楽しみを存分に味わわせてくれる。劇場で見たかった。


3位:
ステキな金縛り (2011) →記事

恥ずかしながら三谷幸喜映画を見るのは初めてで、深津絵里のかわいさに魅了されると共に、ミステリとしても惹かれるし、人間ドラマもよくできてるし、出演している俳優は豪華だし、幸せな時間を堪能できる。この流れで『ラヂオの時間』や『みんなのいえ』も見たけれど、同じように面白かった。

4位:
フライペーパー! 史上最低の銀行強盗 / Flypaper (2011) →記事

ハングオーバー!』の脚本家コンビが脚本したクライムサスペンス。これまで見た中で最も『ユージュアル・サスペクツ』を彷彿させる作品。確かにちょっとズルはするものの、その分登場人物のキャラが立っていて、見終えた後の爽快感はかなりのもの。


5位:
ロスト・アイズ / Los ojos de Julia (2010) →記事

ギレルモ・デル・トロ製作によるサスペンスホラー。彼は監督業をするよりも、ひょっとしたら製作に回った作品にこそ良作が多いのでは、と確信しそうになった作品。怖い。


6位:
ラスト・エクソシズム / The Last Exorcism (2010) →記事

イーライ・ロスが共同制作者として関わっているフェイク・ドキュメンタリ。近年一気に増えたエクソシズム物の中では一番。カメラの使い方や謎を深める話の展開などホラー映画としても秀逸。


7位:
タブロイド / Cronicas (2004)

上でも書いたようにギレルモ・デル・トロ関連作を見ていく中で出会ったメキシコ・エクアドル映画。情け容赦ない連続殺人鬼を描きつつも、その悪行に駆り立てる抑えようのない哀れな衝動をも映し出し、人の業の深さを綴るサスペンス。


8位:
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い / Extremely Loud and Incredibly Close (2011) →記事

9.11を正面から描いた救済の物語。主人公の少年の演技が本当に素晴らしい。


9位:
スーパー! / Super (2010) →記事

アメリカンコミックスのスーパーヒーローたちが映画でも活躍する中、そんな非現実な英雄に自分もなり、悪を退治しようとする中年の物語。監督が悪乗りし、俳優たちもそれに乗っかってしまい、まあ酷い展開を辿るのだけど、それでもこういうのが好きだから仕方がない。


10位:
SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム (2010)→記事

今年シリーズ完結編の第3弾も公開されたが、この2作目が一番面白い。ヒップホップにとって大事な価値観のひとつである"リアルさ"が、夢見がちな男子ラッパーよりも、年齢の問題などを抱える女性のラップの中にこそぎっしり詰まっていて、その言葉は重い。抱える苦しみや悔しさ、怒りをラップとして吐き出すことに必然性まで感じる。


11位:
完全なる報復 / Law Abiding Citizen (2009) →記事

ジェラルド・バトラー、ジェイミー・フォックス共演によるクライムサスペンス。仕掛けが分かってしまえば、なーんだとはなるものの、種明かしされる終盤まで先の読めない展開が続き、すごくワクワクさせられる。


12位:
マージン・コール / Margin Call (2010) →記事

アカデミー賞オリジナル脚本賞の候補にも挙がった経済ドラマ。リーマンショック前夜の慌てふためくウォール街の住人を、インディーズ作とも思えない豪華な俳優陣が演じている。


13位:
ブルーバレンタイン / Blue Valentine (2010) →記事

若手の実力派ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズが共演した恋愛映画。どこにでもいる普通の男女の出会いと別れが描かれる。演出と演技力。このふたつががっつり噛み合い、平凡な物語を特別な1本に輝かせる。


14位:
ザ・レッジ -12時の死刑台- / The Ledge (2011) →記事

今年日本公開されたサスペンス映画。語り口の巧さと、それとオチの非情さ。物語を語る上でおかしな情緒に流されずきっちり幕を引くから、より強く印象に残る。


15位:
DATSUGOKU -脱獄- / The Escapist (2008) →記事

日本未公開のサスペンス映画。脱獄物なのだけど、見終えた時に、ああやられたとなる巧さがある。気持ち良く騙されてしまう。DVDスルーなのにこんな良作が眠っているのだから侮れない。




<韓国映画>

6月中旬に『アジョシ』で感銘を受けて以降、集中して韓国映画を見始め、劇場で見た分も含めて結局今年だけで55作品鑑賞したことになる。ただ、これまでバイオレンス物やパク・チャヌクの新作以外はほとんど見ていなかったわけで、2000年以降の『カル』や『シュリ』、『JSA』といった有名どころをようやく見たためにそれだけの数になった。でも、その55本のジャンルはバイオレンス、ホラー、戦争映画、サスペンスに偏っていて、コメディや恋愛物、人間ドラマは完全に除かれている。以下は劇場鑑賞映画3本を入れない52作の中からジャンル問わずに特に良かった10本となる。

1位:
アジョシ / 아저씨 (2010) →記事



2位:
4人の食卓 / 4인용 식탁 (2003) →記事

サイコホラー。独特な展開と緩急のある恐怖描写、持続する緊張感など、巧さが光る1本。監督脚本のイ・スヨンは本作がデビュー作らしいのだけど、これ以降長編を撮っていないのが残念。かなりの才能だと思う。


3位:
箪笥 / 장화, 홍련 (2003) →記事

ホラー。監督のキム・ジウンは2010年の『悪魔を見た』後にハリウッドに渡り、その最新作はアーノルド・シュワルツェネッガーの10年ぶりの主演復帰作だというから驚きだ。ホラー映画としての不気味さはもちろんだけど、特筆すべきはミステリとしての見事さ。


4位:
ブラザーフッド / 태극기 휘날리며 (2004) →記事

朝鮮戦争で生き別れになる兄弟の物語。既存のハリウッド映画を彷彿させる場面も多々あるが、それはそれだけの迫力を生み出せる証左であり、激烈な戦闘シーンに目を見張るし、人間ドラマでもしっかり魅せるから素晴らしい。冒頭と最後に置かれた現代のパートが実に良い余韻を残す。


5位:
熱血男児 / 열혈남아 (2006) →記事

アジョシ』を監督したイ・ジョンボムのデビュー作。ヤクザな男が片田舎で標的の男の母親と出会い、交流を重ねる中で、芽生えた感情や笑いを、『アジョシ』のような大きな物語ではないけれど、丁寧に描いている。


6位:
ボイス / 폰 (2002) →記事

前半はジャパニーズホラーの影響下にあるおどかしが満載で本当に怖いが、後半に向かうにつれてその丁寧な恐怖描写がだんだん疎かになりつつも、今度は濃厚なサスペンス色が強まり、なかなかどうして複雑な真相が明らかになる興味深い展開を辿る。題名はさすがに知っていたが、こんな良作ならもっと早く見ておけば良かった。


7位:
亀、走る / 거북이 달린다 (2009) →記事

チェイサー』『哀しき獣』のキム・ユンソクが刑事役で主演した犯罪コメディ。人間の悲哀が不思議なノリの笑いにくるまれ、ひょうひょうとした語り口で紡がれていく。


8位:
トンマッコルへようこそ / 웰컴 투 동막골 (2005) →記事

戦争コメディ。朝鮮戦争末期、国境線近くの浮世離れした村で出会った両軍の話で、その設定が示唆するものや、こうした作品が製作できることはこれまでの韓国における表現の自由の歴史を考えると画期的なことなのだろう。緩い笑いはやがてシュールになり、果てはブラックな笑いへと変貌していく。戦争なんてなければいいのにね。


9位:
ベストセラー / 베스트셀러 (2010) →記事

ヒット作を次々に生み出していた女流作家に降りかかる盗作の疑い。人里離れた別荘で再起を図ろうとするも、娘にしか見えない何者かがいる。欧米のホラーをきちんと昇華した恐怖映画で、ミステリとしての要素も多分にあり、中だるみなく最後まで楽しめる1本。


10位:
ひまわり / 해바라기 (2006) →記事

町の厄介者として蔑まれてきた青年が長い刑務所暮らしを経て、真っ当な人生を歩もうと故郷に帰ってくるが、彼を知っている昔の仲間がその決意を疑う。背負ってしまった業に正面から立ち向かう誠実さを描きつつも、最後でずいぶんな大立ち回りがあるのは愉快。ヒロインがかなり魅力的。
2012.12.31 Monday 23:57 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
2011〜2012年国産ヒップホップ音源売上 その1
これまではAK-69のアルバムにかこつけてまとめてきた売上数字をそれだけの特集記事にしてみた。おおよそ2008年から2009年分はここで、2010年分はこの記事の中で触れている。

左端の黄色い数字が発売週の売上枚数(初動)で、これを基準に順位付けしている。続いてアーティスト名に作品名。2段目が発売日、初登場の順位、何日付だったのかを示し、最後が累計枚数だ。横のかっこ内の数字はチャートに何週いたのかを表す。その数字がないものは1週のみとなる。

"累計"は廃盤にならない限り増えていくわけで、ここでは便宜上のものだ。オリコンランキングはアルバムは300位まで、シングルだと200位まで発表される。そこでアルバムなら300位圏外になるまでの合計売上枚数を"累計"とする。

チャートの仕組み上注意が必要で、作品はたいていピークを過ぎたら順位を下げ、やがて300位の外に出て行く。ただ、まれに売上好調で数週間後にひょっこり戻ってくることがある。でも、その圏外にいた間の売上枚数までは計上されない。オリコン上での"正確さ"ではあるが、この記事では一度圏外となり、再度上ってきた作品であっても、最初にランク外となった時点での累計数を採用している。

いくつか入手できなかった週があり、滞在週の隣にアスタリスク(*)があるものは確かな数字ではなく分かる範囲内の数値だ。同じく、入ってるはずのあのラッパーがどうしていないのだろうというのは単に抜けか、もともと売れてないか、その週のランキングそのものが未入手だからとなる。

シングルについてはその2にまとめた。

【アルバム(269)】
☆100,000〜200,000(2)
255,376枚 FUNKY MONKEY BABYS / FUNKY MONKEY BABYS BEST
       2010.02.10 / 1位 / 02.22付 →累計719,681枚(137)
109,888枚 FUNKY MONKEY BABYS / FUNKY MONKEY BABYS 4
       2011.12.21 / 1位 / 01.02付 →累計259,965枚(27)
☆20,000〜80,000(16)
87,722枚 ケツメイシ / ケツメイシ 7
       2011.03.16 / 1位 / 03.28付 →累計219,230枚(27)
82,655枚 FUNKY MONKEY BABYS / FUNKY MONKEY BABYS 5
       2012.12.26 / 2位 / 01.07付 →累計163,289枚(15)
56,179枚 ケツメイシ / KETSUNOPOLIS 8
       2012.12.12 / 4位 / 12.24付 →累計94,114枚(15)
53,328枚 ケツメイシ / ケツの嵐 〜春BEST〜
       2011.12.21 / 2位 / 01.02付 →累計95,706枚(20)
50,716枚 ケツメイシ / ケツの嵐 〜冬BEST〜
       2011.12.21 / 3位 / 01.02付 →累計78,362枚(11)
50,669枚 ケツメイシ / ケツの嵐 〜夏BEST〜
       2011.12.21 / 4位 / 01.02付 →累計80,763枚(12)
50,214枚 ケツメイシ / ケツの嵐 〜秋BEST〜
       2011.12.21 / 5位 / 01.02付 →累計79,033枚(11)
48,330枚 ソナーポケット / ソナポケイズム 〜君との365日〜
       2012.01.15 / 2位 / 02.06付 →累計119,729枚(27)
40,522枚 Def Tech / Mind Shift
       2010.10.27 / 4位 / 11.08付 →累計89,526枚(18)
37,249枚 Hilcrhyme / MESSAGE
       2010.11.24 / 5位 / 12.06付 →累計69,941枚(17)
32,625枚 Def Tech / GREATEST HITS
       2012.04.18 / 2位 / 04.30付 →累計107,770枚(25)
28,132枚 KREVA / GO
       2011.09.07 / 2位 / 09.19付 →累計42,628枚(8)*
26,849枚 AK-69 / THE RED MAGIC
       2011.01.26 / 3位 / 02.07付 →累計55,368枚(19)
26,049枚 Def Tech / UP
       2011.10.05 / 4位 / 10.17付 →累計81,497枚(29)
22,311枚 RIP SLYME / STAR
       2011.03.02 / 10位 / 03.14付 →累計33,840枚(8)
21,407枚 RIP SLYME / BAD TIMES
       2010.12.01 / 11位 / 12.13付 →累計30,933枚(8)
☆10,000(15)
19,095枚 DJ KAORI / DJ KAORI'S JMIX IV
       2010.12.15 / 8位 / 12.27付 →累計86,867枚(13)
18,533枚 Hilcrhyme / Best of Hilcrhyme 〜GOLD〜
       2012.04.25 / 2位 / 05.07付 →累計34,158枚(12)*
17,705枚 DJ KAORI / DJ KAORI'S PARTY MIX 2
       2011.06.22 / 8位 / 07.04付 →累計88,796枚(22)
17,668枚 DJ KAORI / DJ KAORI'S INMIX VI
       2010.09.22 / 6位 / 10.04付 →累計81,252枚(18)
16,485枚 DJ KAORI / DJ KAORI'S PARTY MIX 3
       2012.04.18 / 3位 / 04.30付 →累計89,600枚(24)
15,867枚 DJ KAORI / DJ KAORI'S JMIX V
       2012.03.28 / 8位 / 04.09付 →累計56,611枚(16)*
15,713枚 Hilcrhyme / RISING
       2011.12.07 / 9位 / 12.19付 →累計25,348枚(8)
15,515枚 Hilcrhyme / Best of Hilcrhyme 〜SILVER〜
       2012.04.25 / 2位 / 05.07付 →累計22,835枚(7)*
14,525枚 ☆Taku Takahashi (TCY FORCE名義) from m-flo / Panty & Stocking ...
       2010.12.29 / 10位 / 01.10付 →累計30,045枚(9)
13,538枚 DJ KAORI / DJ KAORI'S PARTY MIX IV
       2012.12.19 / 12位 / 12.31付 →累計65,154枚(21)
12,700枚 LGYankees / GO! GO! LGYankees!!!
       2012.02.15 / 9位 / 02.27付 →累計31,103枚(11)
12,688枚 m-flo / SQUARE ONE
       2012.03.14 / 10位 / 03.26付 →累計26,096枚(11)
11,981枚 LGYankees / BARIBARI LGYankees
       2011.02.16 / 9位 / 02.28付 →累計27,225枚(10)
10,818枚 RHYMESTER / POP LIFE
       2011.03.02 / 10位 / 03.14付 →累計17,147枚(7)
10,050枚 Hilcrhyme / LIKE A NOVEL
       2012.11.28 / 14位 / 12.10付 →累計14,507枚(7)
☆5,000〜9,000(11)
*9,531枚 ソナーポケット / ソナポケイズム 〜あなたのうた〜
       2011.01.26 / 10位 / 02.07付 →累計70,807枚(63)
*8,839枚 mihimaru GT / mihimalight
       2011.09.07 / 12位 / 09.19付 →累計14,279枚(6)
*8,287枚 Def Tech / Official Bootleg Mix CD
       2012.08.29 / 9位 / 09.10付 →累計14,057枚(6)
*8,212枚 ヒャダイン / 20112012
       2012.11.28 / 24位 / 12.10付 →累計15,121枚(7)
*7,532枚 RHYMESTER / フラッシュバック、夏。
       2011.07.27 / 16位 / 08.08付 →累計11,666枚(5)
*7,520枚 DJ KAORI / DJ KAORI'S JMIX Classics
       2011.10.12 / 12位 / 10.24付 →累計19,465枚(7)
*7,059枚 LGMonkees / あいことば
       2012.11.28 / 26位 / 12.10付 →累計17,198枚(12)
*6,361枚 mihimaru GT / THE BEST of mihimaru GT 2
       2012.05.30 / 12位 / 06.11付 →累計9,081枚(4)
*5,294枚 THA BLUE HERB / TOTAL
       2012.05.09 / 15位 / 05.21付 →累計12,224枚(9)
*5,121枚 DJ PMX from DS455 / THE ORIGINAL II
       2012.09.05 / 16位 / 09.17付 →累計12,568枚(9)
*5,074枚 OZROSAURUS / OZBUM 〜A:UN〜
       2012.04.04 / 16位 / 04.16付 →累計9,953枚(7)
☆4,000(9)
*4,793枚 HOME MADE 家族 / Seven Emotions
       2011.02.02 / 18位 / 02.14付 →累計5,900枚(2)*
*4,720枚 SEAMO / messenger
       2011.04.27 / 20位 / 05.09付 →累計7,254枚(4)
*4,706枚 般若 / BLACK RAIN
       2011.07.20 / 24位 / 08.01付 →累計9,685枚(7)
*4,618枚 SOUL'd OUT / so_mania
       2012.08.29 / 19位 / 09.10付 →累計6,668枚(4)
*4,605枚 NO DOUBT FLASH / GOLD MEMBER
       2011.09.14 / 15位 / 09.26付 →累計8,936枚(5)
*4,520枚 HOME MADE 家族 / AKATSUKI
       2011.09.28 / 24位 / 10.10付 →累計6,254枚(3)
*4,197枚 NITRO MICROPHONE UNDERGROUND / THE LABORATORY
       2011.01.01 / 36位 / 01.10付 →累計10,226枚(6)
*4,092枚 童子-T / 12 Love Stories 2
       2011.11.30 / 30位 / 12.12付 →累計7,300枚(3)*
*4,026枚 NO DOUBT TRACKS / SWEETNESS BEST COLLECTION DJ PSYCHO
       2010.11.10 / 27位 / 11.22付 →累計9,648枚(4)*
☆3,000(21)
*3,996枚 m-flo / m-flo DJ MIX "BON! ENKAI"
       2012.12.19 / 34位 / 12.31付 →累計10,623枚(8)
*3,978枚 DJ PMX from DS455 / LocoHAMA CRUISING 003
       2011.02.09 / 20位 / 02.21付 →累計9,848枚(8)
*3,930枚 VA / m-flo TRIBUTE
       2011.04.20 / 30位 / 05.02付 →累計9,171枚(4)*
*3,888枚 twenty4-7 / BEST OF twenty4-7
       2010.12.01 / 41位 / 12.13付 →累計8,125枚(6)
*3,732枚 PES from RIP SLYME / 素敵なこと
       2012.09.12 / 20位 / 09.24付 →累計4,596枚(2)
*3,622枚 CLIFF EDGE / Best of LOVE
       2011.04.13 / 28位 / 04.25付 →累計8,711枚(5)
*3,570枚 DJ☆GO / THE BLUE LINE
       2011.09.21 / 28位 / 10.03付 →累計7,139枚(5)
*3,443枚 童子-T / 10th ANNIVERSARY BEST
       2011.05.04 / 26位 / 05.16付 →累計8,122枚(6)
*3,392枚 CLIFF EDGE / CLIFF EDGE
       2012.10.10 / 29位 / 10.22付 →累計7,002枚(6)
*3,379枚 HOME MADE 家族 / 3RISE
       2012.09.12 / 21位 / 09.24付 →累計4,486枚(3)
*3,374枚 DJ PMX from DS455 / LocoHAMA CRUISING DVD MIX II
       2011.10.26 / 27位 / 11.07付 →累計9,507枚(7)
*3,368枚 Anarchy / Diggin' Anarchy
       2011.08.03 / 37位 / 08.15付 →累計6,535枚(5)
*3,327枚 SEAMO / コラボ伝説
       2011.08.24 / 38位 / 09.05付 →累計5,837枚(4)
*3,324枚 DJ☆GO / MY AZZURRO
       2012.07.25 / 60位 / 08.06付 →累計7,196枚(6)
*3,316枚 SKY-HI / FLOATIN'LAB
       2012.05.30 / 25位 / 06.11付 →累計4,064枚(2)*
*3,154枚 ET-KING / 恋愛歌集
       2010.12.15 / 56位 / 12.27付 →累計5,955枚(5)
*3,132枚 DJ☆GO / BEST OF HOOD SOUND 04
       2010.12.22 / 60位 / 01.03付 →累計7,526枚(5)
*3,095枚 Zeebra / Black World/White Heat
       2011.12.14 / 39位 / 12.26付 →累計6,260枚(4)*
*3,079枚 WISE / Heart Connection 〜BEST COLLABORATIONS〜
       2011.05.11 / 18位 / 05.23付 →累計6,755枚(5)
*3,078枚 NO DOUBT FLASH / HIGH ROLLER
       2012.09.12 / 25位 / 09.24付 →累計6,670枚(6)
*3,008枚 DJ☆GO / BEST OF HOOD SOUND 05
       2011.12.07 / 46位 / 12.19付 →累計7,383枚(5)*
☆2,000(25)
*2,990枚 mihimaru GT / mihimania III 〜コレクションアルバム〜
       2011.12.14 / 42位 / 12.26付*
*2,899枚 DJ FILLMORE / Westup -TV DVD- MIX 06 + "NEW GENERATIONS"
       2012.09.12 / 28位 / 09.24付 →累計9,862枚(9)
*2,892枚 Nujabes / SPIRITUAL STATE
       2011.12.03 / 40位 / 12.12付 →累計13,019枚(11)
*2,814枚 SEEDA / IN THE MOMENT
       2011.09.14 / 37位 / 09.26付 →累計4,260枚(3)
*2,801枚 CLIFF EDGE / LOVE Symphony
       2011.10.12 / 37位 / 10.24付 →累計5,798枚(5)
*2,712枚 DJ KAORI / DJ KAORI'S KMIX
       2012.11.24 / 45位 / 12.03付 →累計26,389枚(14)
*2,672枚 VERBAL from m-flo / VISIONAIR
       2011.03.16 / 35位 / 03.16付 →累計5,776枚(4)
*2,626枚 SEAMO / ONE LIFE
       2011.07.27 / 42位 / 08.08付*
*2,483枚 DJ DEEQUITE / Westup -TV DVD- MIX 04
       2011.08.10 / 42位 / 08.22付 →累計8,333枚(7)
*2,467枚 hiroko from mihimaru GT / ヒロコラボ♪ 〜Featuring Collection〜
       2012.08.29 / 33位 / 09.10付 →累計3,062枚(2)
*2,400枚 DJ FILLMORE / Westup -TV DVD- MIX 05 + "NEW GENERATIONS"
       2012.03.07 / 48位 / 03.19付 →累計8,270枚(7)
*2,386枚 DS455 / JACK THA PARTY wit' THA DSC
       2011.12.21 / 62位 / 01.02付 →累計5,370枚(5)
*2,332枚 DJ☆GO / BEST OF HOOD SOUND 06
       2012.12.12 / 64位 / 12.24付 →累計6,198枚(6)
*2,286枚 前回のLGMonkeesこと山猿です。 / 前回のLGMonkeesこと山猿です。
       2011.03.16 / 38位 / 03.16付 →累計6,029枚(5)
*2,264枚 ET-KING / 応援歌集
       2011.07.20 / 43位 / 08.01付 →累計3,862枚(5)
*2,254枚 SEAMO / REVOLUTION
       2012.11.07 / 42位 / 11.19付 累計2,762枚(2)
*2,235枚 SALU / NEW IN MY SHOES
       2012.03.07 / 54位 / 03.19付 →累計3,845枚(4)
*2,205枚 ISSA×SoulJa / ISM
       2012.02.29 / 48位 / 03.12付 →累計3,181枚(2)*
*2,199枚 KREVA / BEST OF MIX CD No.2
       2012.02.22 / 47位 / 03.05付 →累計2,821枚(2)
*2,181枚 AKLO / THE PACKAGE
       2012.09.05 / 41位 / 09.17付 →累計3,385枚(3)
*2,097枚 NORIKIYO from SD JUNKSTA / メランコリック現代
       2011.06.10 / 47位 / 06.20付 →累計4,763枚(5)*
*2,095枚 BIG RON / KING OF HOOK -THA BEST WORKS-
       2011.04.27 / 65位 / 05.09付 →累計5,968枚(6)
*2,088枚 SEEDA / 23edge
       2012.02.29 / 49位 / 03.12付 →累計2,803枚(2)*
*2,029枚 DJ PMX from DS455 / THE CHRONICLE II
       2012.03.14 / 51位 / 03.26付 →累計5,443枚(6)
*2,010枚 HALCALI / ハルカリノオワリ
       2012.05.30 / 42位 / 06.11付 →累計2,708枚(2)*
☆1,500〜1,900 (17)
*1,973枚 DJ RYOW / MORE THAN MUSIC
       2011.05.25 / 57位 / 06.06付 →累計3,948枚(4)
*1,960枚 TOKYO No.1 SOUL SET / 全ての光
       2011.02.09 / 50位 / 02.21付 →累計3,293枚(3)
*1,955枚 NO DOUBT TRACKS / NEW NO DOUBT TRACKS ALL STARS MIX 2012
       2012.03.14 / 55位 / 03.26付 →累計4,483枚(5)
*1,913枚 MoNa aka sad girl / Never say never
       2012.05.23 / 52位 / 06.04付 →累計4,463枚(5)
*1,841枚 group_inou / DAY
       2012.10.10 / 49位 / 10.22付 →累計2,379枚(2)
*1,841枚 HOKT from North Coast Bad Boyz / NO LIMIT
       2011.07.13 / 49位 / 07.25付 →累計3,265枚(3)*
*1,837枚 RUFF NECK / RUFF TREATMENT
       2012.05.02 / 51位 / 0514付 →累計3,384枚(4)
*1,808枚 ET-KING / SEVEN STARS
       2011.11.30 / 57位 / 12.12付 →累計2,616枚(2)
*1,758枚 SIMON / TWICE BORN
       2011.06.08 / **位 / 06.20付 →累計3,335枚(3)
*1,754枚 MEGARYU / メガトンチョップ
       2011.07.20 / 56位 / 08.01付 →累計2,379枚(2)*
*1,692枚 KOHEI JAPAN (K.J.名義) / K.J. with...
       2011.03.02 / 73位 / 03.14付 →累計3,316枚(4)*
*1,691枚 口口口 / CD
       2011.02.23 / 70位 / 03.07付 →累計2,199枚(2)
*1,672枚 SOULHEAD / JUMP UP THE WALL
       2011.09.28 / 73位 / 10.10付 →累計2,730枚(3)
*1,630枚 かせきさいだぁ / SOUND BURGER PLANET
       2011.06.29 / 65位 / 07.11付 →累計2,415枚(2)*
*1,622枚 ET-KING / 家族歌集
       2012.05.23 / 60位 / 06.04付 →累計2,041枚(2)
*1,595枚 SHINGO★西成 / ブレない
       2012.07.18 / 60位 / 07.30付 →累計2,193枚(2)
*1,556枚 S.l.a.c.k. / 我時想う愛
       2011.02.16 / 70位 / 02.28付 →累計2,821枚(3)
☆1,000〜1,400 (35)
*1,491枚 DJ HAZIME / Manhattan Records The Exclusives JAPANESE HIP HOP ...
       2011.11.23 / 81位 / 12.05付 →累計3,738枚(4)
*1,483枚 HALCALI / TOKYO CONNECTION
       2011.02.09 / 67位 / 02.21付*
*1,472枚 TERRY & ERIKA / Be Alright -GOLDEN COLLABORATIONS-
       2012.06.13 / 54位 / 06.25付 →累計3,759枚(5)
*1,433枚 クレンチ & ブリスタ / 10th Anniversary Best Album LOVE & MESSAGE
       2011.07.20 / 56位 / 08.01付 →累計2,171枚(2)*
*1,420枚 大地 / What's My Name?
       2011.06.22 / 84位 / 07.04付 →累計3,512枚(5)
*1,388枚 ET-KING / ストライク
       2012.12.19 / 96位 / 12.31付
*1,360枚 らっぷびと / RAP BLEND
       2011.06.01 / 72位 / 06.13付*
*1,324枚 DJ RYOW / LIFE GOES ON
       2012.09.26 / 96位 / 10.08付 →累計2,272枚(3)
*1,319枚 EVISBEATS / ひとつになるとき
       2012.07.11 / 65位 / 07.23付*
*1,305枚 ILMARI (The Beatmoss名義) from RIP SLYME / The Beatmoss Vol.1
       2012.11.21 / 79位 / 12.03付 →累計1,806枚(2)
*1,293枚 かせきさいだぁ / ミスターシティポップ
       2012.09.19 / 91位 / 10.01付 →累計1,774枚(2)
*1,290枚 DJ SN-Z FOR OZROSAURUS / Hard Pack
       2011.04.13 / 80位 / 04.25付 →累計2,875枚(4)
*1,242枚 ☆Taku Takahashi (THE SUITBOYS名義) from m-flo / AFTER 5 VOL. 1
       2011.04.20 / 88位 / 05.02付 →累計1,711枚(2)
*1,214枚 DJ GEORGIA from CLIFF EDGE / Sweet Grande 2
       2011.08.03 / 91位 / 08.15付 →累計3,766枚(5)
*1,207枚 NO DOUBT FLASH / ALL COVER TRACKS
       2012.12.19 / 134位 / 12.31付 →累計1,529枚(2)
*1,192枚 TOKYO No.1 SOUL SET / Grinding Sound
       2012.03.14 / 86位 / 03.26付 →累計1,605枚(2)
*1,184枚 SHUN / AFTER SCHOOL
       2011.03.23 / 74位 / 04.04付 →累計3,259枚(4)
*1,181枚 ALLY & DIAZ (TAKESHI from 山嵐) / ALLY & DIAZ
       2011.06.29 / 88位 / 07.11付 →累計1,689枚(2)*
*1,178枚 Mr.Low-D / 800DAYZ
       2011.07.20 / 91位 / 08.01付 →累計1,882枚(2)*
*1,161枚 N.C.B.B (North Coast Bad Boyz) / ANALOG II
       2011.11.23 / 104位 / 12.05付 →累計1,797枚(2)
*1,156枚 "E"qual / TATTOOSTA 〜BEST COLLABORATIONS〜
       2011.02.09 / 88位 / 02.21付*
*1,155枚 Bes / Bes Ill Lounge: The Mix
       2012.07.25 / 90位 / 08.06付 →累計1,593枚(2)
*1,145枚 Rafvery / Rafvery's GIFT
       2012.11.21 / 91位 / 12.03付
*1,141枚 HOKT from North Coast Bad Boyz / Galaxy
       2012.08.08 / 80位 / 08.20付 →累計1,829枚(2)
*1,125枚 Sick Team / Sick Team
       2011.06.02 / 93位 / 06.13付 →累計1,585枚(2)*
*1,109枚 BRON-K from SD JUNKSTA / 松風
       2012.11.29 / 87位 / 12.10付 →累計1,705枚(2)
*1,106枚 DAZZLE 4 LIFE / DAZZLE 4 LIFE
       2011.05.25 / 102位 / 06.06付 →累計2,011枚(3)
*1,098枚 twenty4-7 / Last Message
       2012.04.04 / 84位 / 04.16付 →累計1,497枚(2)
*1,089枚 SHUN / TEEN SOLDIER
       2012.05.09 / 67位 / 05.21付 →累計2,063枚(3)
*1,078枚 DJ KOMORI / Manhattan Records The Exclusives DANCE HITS!!
       2012.10.10 / 88位 / 10.22付 →累計3,745枚(5)
*1,069枚 TERRY / FREE WAY
       2011.05.25 / 102位 / 06.06付 →累計2,696枚(4)
*1,063枚 サイプレス上野とロベルト吉野 / MUSIC EXPRES$
       2012.03.07 / 98位 / 03.19付*
*1,047枚 MEGARYU / 登竜門
       2012.07.04 / 90位 / 07.16付 →累計1,447枚(2)*
*1,025枚 miCKun from mihimaru GT / DNA
       2011.01.12 / 99位 / 01.24付
*1,017枚 ROWSHI / AFFECTION & HATE
       2011.05.18 / 74位 / 05.30付 →累計2,123枚(3)
☆800〜900(10)
**,997枚 EL LATINO / YOUR HEART BEAT
       2011.08.24 / 110位 / 09.05付 →累計1,422枚(2)
**,985枚  /
       2011.04.20 / 108位 / 05.02付 →累計1,538枚(2)
**,920枚 RYUZO / Hazard
       2011.04.13 / 108位 / 04.25付 →累計1,351枚(2)
**,915枚 "E"qual / STAY GOLD
       2011.10.26 / 135位 / 11.07付*
**,886枚 HOKT from North Coast Bad Boyz / X-RAY
       2012.11.21 / 116位 / 12.03付 →累計1,346枚(2)
**,876枚 S.l.a.c.k. & CES2 / All in a daze work
       2011.09.14 / 127位 / 09.26付*
**,866枚 DJ Fumiya from RIP SLYME / Beats For Daddy
       2012.11.07 / 97位 / 11.19付
**,831枚 Mr. Beats / BON-VOYAGE LOVERS 〜HEART OF MOMENT〜
       2011.04.27 / 157位 / 04.09付 →累計4,030枚(7)
**,830枚 MC漢 & DJ琥珀 / MURDARATION
       2012.08.08 / 103位 / 08.20付 →累計1,813枚(3)
**,825枚 DJ TY-KOH / YOU KNOW WHAT IT IZ THE MIXTAPE
       2011.09.07 / 127位 / 09.19付 →累計1,177枚(2)
☆700(18)
**,788枚 TWO-J / RIDIN' HIGH
       2011.11.02 / 126位 / 11.14付 →累計1,198枚(2)
**,784枚 DJ LICCA / SPREAD LOVE
       2012.11.21 / 128位 / 12.03付 →累計1,676枚(3)
**,778枚 DOBERMAN INC / ONE 〜俺たちは1つ〜
       2011.11.09 / 117位 / 11.21付*
**,776枚 D.O / ネリル & JO
       2011.01.19 / 128位 / 01.31付 →累計1,205枚(2)
**,773枚 DJ KENTARO / Contrast
       2012.06.27 / 172位 / 07.09付 →累計1,161枚(2)
**,773枚 ILL-BOSSTINO from THA BLUE HERB / INSPIRATIONS COMPILED
       2011.03.02 / 144位 / 03.14付
**,770枚 JOYSTICKK / Antikythera
       2012.07.11 / 117位 / 07.23付*
**,761枚 ROWSHI / THE OWN LIFE
       2012.04.25 / 242位 / 05.07付 →累計1,664枚(3)
**,754枚 田我流 / B級映画のように2
       2012.04.11 / 122位 / 04.23付
**,753枚 Romancrew / ロマンのテーマ
       2011.03.09 / 121位 / 03.21付
**,749枚 "E"qual / 12 Tone Apartment
       2012.10.10 / 133位 / 10.22付
**,733枚 re:plus / Ordinary Landscape
       2011.11.09 / 126位 / 11.21付 →累計1,192枚(2)
**,732枚 mabanua from Ovall / only the facts
       2012.11.21 / 142位 / 12.03付 →累計1,190枚(2)
**,731枚 KEN THE 390 / One
       2011.02.23 / 170位 / 03.07付
**,723枚 DJ KOMORI / After Party -Private Mixtape-
       2011.07.27 / 146位 / 08.08付*
**,709枚 Mr.Low-D / THE TYRANT
       2012.05.23 / 133位 / 06.04付 →累計1,133枚(2)
**,708枚 MEGARYU / メガトンLOVE 〜コラボ・ベスト〜
       2012.02.15 / 133位 / 02.27付
**,702枚 口口口 / マンパワー
       2012.03.28 / 166位 / 04.09付
☆600(20)
**,699枚 サイプレス上野とロベルト吉野 / YOKOHAMA LAUGHTER
       2011.09.14 / 163位 / 09.26付
**,698枚 SoulJa / BEST 2007-2010
       2011.01.12 / 137位 / 01.24付 →累計1,105枚(2)
**,685枚 SOFFet / SOFFet Collaborations Best "With"
       2011.03.09 / 131位 / 03.21付
**,681枚 アルファ / BOYS & GIRLS
       2011.04.20 / 152位 / 05.02付
**,674枚 D.L / "ILLDWELLERS" g.k.a ILLMATIC BUDDHA MC'S Mixed by MUTA
       2011.01.19 / 150位 / 01.31付
**,673枚 TERRY THE AKI-06 / かませ
       2011.04.20 / 153位 / 05.02付*
**,662枚 G.CUE / BEST ALBUM: SCAB
       2011.09.21 / 187位 / 10.03付 →累計1,020枚(2)
**,654枚 DJ MUNARI / OVER DOZE MUSIC
       2012.08.22 / 150位 / 02.06付 →累計1,040枚(2)
**,654枚 神門 / 神門
       2011.09.07 / 159位 / 09.19付
**,646枚 HORI / K.O.N
       2011.06.29 / 183位 / 07.11付 →累計1,007枚(2)*
**,645枚 DJ MASTERKEY / SMASH MIX
       2012.12.12 / 186位 / 12.24付
**,641枚 TAGG THE SICKNESS / OTHERWISE
       2011.10.12 / 169位 / 10.24付 →累計995枚(2)
**,632枚 エイジアエンジニア / The Last Live "Positive & Smile 4ever"
       2012.11.28 / 157位 / 12.10付
**,629枚 DJ ROC THE MASAKI / Manhattan Records presents The Best Hot ...
       2012.12.12 / 198位 / 12.24付
**,629枚 GAGLE×Ovall / GAGLE×Ovall
       2012.07.04 / 90位 / 07.16付 →累計1,009枚(2)*
**,623枚 童子-T / RAP×COVER
       2012.12.19 / 197位 / 12.31付
**,620枚 環ROY / あっちとこっち
       2011.05.04 / 180位 / 05.16付 →累計952枚(2)
**,619枚 DJ PMX from DS455 / LocoHAMA CRUISING 001
       2011.08.24 / 173位 / 09.05付 →累計1,039枚(2)
**,618枚 MIC JACK PRODUCTION / M.I.C
       2011.06.15 / 169位 / 06.27付
**,617枚 OMSB from SIMI LAB / Mr. "All Bad" Jordan
       2012.10.26 / 164位 / 11.05付 →累計944枚(2)
☆500(22)
**,598枚 KOHEI JAPAN (K.J.名義) / K.J. Loved...
       2012.09.05 / 151位 / 09.17付 →累計954枚(2)
**,595枚 DJ ISSO / BEST OF JAPANESE HIP HOP HITS 2011
       2011.12.14 / 206位 / 12.26付
**,591枚 DJ OLDE-E / STREET MUSIC MIXXX
       2011.11.16 / 156位 / 11.28付 →累計1,512枚(3)
**,589枚 DJ ISSO / Best Of Japanese Hip Hop Hits 2012
       2012.11.28 / 166位 / 12.10付 →累計1,058枚(2)
**,589枚 DJ FILLMORE / AZIAN RAPSTA -THE FINAL-
       2011.04.13 / 166位 / 04.25付
**,585枚 DJ OLDE-E / HI POWER MIXXX -for Players-
       2011.08.24 / 181位 / 09.05付 →累計952枚(2)
**,583枚 BRIDGET / EN.FOLD
       2012.05.16 / 138位 / 05.28付
**,578枚 キエるマキュウ / HAKONIWA
       2012.06.20 / 176位 / 07.02付
**,578枚 DJ OKAWARI / Kaleidoscope
       2011.06.29 / 204位 / 07.11付 →累計930枚(2)*
**,573枚 S.l.a.c.k. / この島の上で
       2011.11.02 / 176位 / 11.14付 →累計924枚(2)
**,566枚 JOYSTICKK / FLOSSIN MAN
       2011.08.24 / 188位 / 09.05付 →累計905枚(2)
**,559枚 (((さらうんど)))[イルリメ & Traks Boys] / (((さらうんど)))
       2012.03.07 / 198位 / 03.19付
**,553枚 DJ FILLMORE / Califas Luv 2
       2012.06.06 / 167位 / 06.18付*
**,549枚 KEN THE 390 / THE BEST OF COLLABORATION
       2012.01.25 / 213位 / 02.06付
**,547枚 GIPPER / GIP' UP
       2012.04.11 / 172位 / 04.23付 →累計896枚(2)
**,544枚 tengal6 / CITY
       2012.05.23 / 173位 / 06.04付
**,532枚 DJ KOMORI / After Party: The Night Out
       2012.02.22 / 217位 / 03.05付 →累計961枚(2)
**,529枚  / 嗚咽
       2011.10.19 / 197位 / 10.31付
**,514枚 DJ KOMORI / After Party: Cocktail Effect
       2012.07.25 / 198位 / 08.06付
**,509枚 HYENA / LYRICAL PIMPSTA
       2012.05.23 / 173位 / 06.04付
**,505枚 DJ MAYUMI / BERRY JAM COLLABORATION
       2012.10.31 / 195位 / 11.12付
**,501枚 mckj / NK流儀
       2012.02.15 / 199位 / 02.27付
☆400(25)
**,496枚 B.D. / ILLSON
       2012.01.18 / 202位 / 01.30付
**,495枚 RAU DEF / CARNAGE
       2011.06.10 / 209位 / 06.20付
**,493枚 Shing02×Chimp Beams / ASDR
       2012.04.25 / 242位 / 05.07付 →累計914枚(2)
**,487枚 Twigy / Blue Thought
       2011.09.07 / 208位 / 09.19付
**,483枚 韻シスト / BIG FARM
       2011.04.27 / 270位 / 05.09付
**,481枚 タイツォン / No-iD.
       2012.10.10 / 202位 / 10.22付
**,473枚 RHYME BOYA / MIND VOOK
       2012.09.14 / 189位 / 09.24付
**,472枚 COMA-CHI / GOLDEN SOURCE
       2012.12.12 / 245位 / 12.24付
**,467枚 A-1 / NEVER MIND
       2012.01.25 / 253位 / 02.06付 →累計837枚(2)
**,459枚 L-VOKAL / LIVIN'
       2011.10.14 / 217位 / 10.24付 →累計822枚(2)
**,458枚 DJ WATARAI / Unstoppable -Rockin Da Floor Primetime Party Mix-
       2012.01.25 / 257位 / 02.06付 →累計1,290枚(3)
**,456枚 Ovall / Heart Fever
       2011.10.26 / 263位 / 11.07付
**,455枚 DESTINO / I'm Here
       2012.04.18 / 207位 / 04.30付
**,451枚 Mr. Beats / BON-VOYAGE LOVERS 〜Peaceful Journey〜
       2012.04.25 / 258位 / 05.14付
**,448枚 DJ HAZIME / NITRAID PRESENTS TOKYO23 THE MIX CD
       2012.07.11 / 225位 / 07.23付*
**,444枚 DJ FILLMORE / Westaholic Records Vol.1
       2012.07.25 / 237位 / 08.06付
**,440枚 ECD / Don't worry be daddy
       2011.03.07 / 260位 / 03.19付
**,439枚 re:plus×Robert de Boron×Hidetake Takayama / New Age of Beats
       2011.10.05 / 240位 / 10.17付 →累計811枚(2)
**,433枚 DJ FILLMORE / IN CALIFORNIA 〜CRUISIN'CLASSICS
       2011.09.28 / 244位 / 10.10付
**,428枚 AKIO BEATS / WORKS -THE BEST OF AKIO BEATS MIX-
       2011.02.02 / 242位 / 02.14付
**,426枚 EVISBEATS / Sketchbook
       2012.11.14 / 225位 / 11.26付
**,424枚 DJ NOBU a.k.a. BOMBRUSH! / YOU KNOW HOW WE DO
       2011.09.28 / 248位 / 10.10付
**,417枚 神門 / 上弦下弦
       2012.11.14 / 231位 / 11.26付
**,408枚 S.T.M / 03
       2012.10.17 / 231位 / 10.29付
**,403枚 !!!KYONO + DJ BAKU!!! / !!!+!!! (Unknown Music Allianz)
       2012.10.24 / 250位 / 11.05付
☆300(17)
**,392枚 STERUSS / THE RAP MESSENGERS
       2012.09.05 / 231位 / 09.17付
**,391枚 NORIKIYO & OJIBA / OJIKIYO×NORIBAH
       2012.07.27 / 244位 / 08.13付
**,389枚 DJ FILLMORE / CALIFAS LUV
       2011.11.23 / 298位 / 12.05付
**,384枚 cro-magnon×Hyouge Mono /
       2012.07.25 / 284位 / 08.06付
**,384枚  /
       2012.04.18 / 260位 / 04.30付
**,383枚 Mr. Beats / BON-VOYAGE LOVERS 〜Evergreen Memories〜
       2011.11.30 / 293位 / 12.12付
**,379枚 ICE BAHN / Loose Blues
       2011.11.11 / 269位 / 11.21付
**,378枚 D.O / THE CITY OF DOGG
       2012.05.23 / 281位 / 06.04付
**,376枚 Mr. Beats / BON-VOYAGE MELLOW 〜Hawaiian Rhythm〜
       2012.07.25 / 291位 / 08.06付
**,373枚 KOJOE / MIXED IDENTITIES 2.0
       2012.04.11 / 258位 / 04.23付
**,367枚 DORIAN / studio vacation
       2011.08.10 / 294位 / 08.22付
**,366枚 KEN THE 390 / DREAM BOY
       2012.06.06 / 275位 / 06.18付*
**,355枚 ISH-ONE / NEXT
       2012.11.07 / 267位 / 11.19付
**,349枚 D.L a.k.a. BOBO JAMES / OOPARTS (LOST 10 YEARS ブッダの遺産)
       2011.05.11 / 275位 / 05.23付
**,348枚 Mr. Beats / BON-VOYAGE LOVERS 〜Japanese Sky〜
       2012.06.06 / 167位 / 06.18付*
**,347枚 BUDAMUNK / Blunted Monkey Fist
       2011.11.16 / 278位 / 11.28付
**,334枚 イルリメ (鴨田潤名義) /
       2011.03.09 / 208位 / 03.21付

[初動枚数&順位不明]
**,***枚 DJ HASEBE / Manhattan Records "The Exclusives" Japanese R&B Hits
       2011.08.03 / **位 / 08.15付 →累計4,579枚(6)
**,***枚 SHUN / CHANNEL 19
       2011.09.07 / **位 / 09.19付 →累計2,537枚(3)
**,***枚 DJ KOMORI / Manhattan Records "The Exclusives" R&B Hits Vol.4
       2011.10.12 / 66位 / 10.24付 →累計
2012.12.31 Monday 23:56 | 音楽 | comments(14) | trackbacks(0)
2011〜2012年国産ヒップホップ音源売上 その2
アルバム編に引き続き、国産ヒップホップ・シングル売上一覧。表の見方は「その1」の冒頭に。


【シングル】

26,243枚 ケツメイシ / バラード / 君とつくる未来
       2011.01.26 / 5位 / 02.07付 →累計43,667枚(9)
20,781枚 ケツメイシ / こだま
       2011.06.10 / 9位 / 06.20付 →累計31,377枚(6)
20,746枚 ケツメイシ / LOVE LOVE Summer
       2012.07.11 / 4位 / 07.23付 →累計32,182枚(8)
20,116枚 FUNKY MONKEY BABYS / それでも信じてる / ラブレター
       2011.06.10 / 10位 / 06.20付 →累計32,002枚(8)*
16,235枚 FUNKY MONKEY BABYS / LOVE SONG
       2011.11.16 / 10位 / 11.28付 →累計26,735枚(8)*
15,928枚 FUNKY MONKEY BABYS / この世界に生まれたわけ
       2012.02.15 / 4位 / 02.27付 →累計28,145枚(9)*
14,248枚 AK-69 / 69
       2011.07.27 / 10位 / 08.08付 →累計28,042枚(15)
13,597枚 KREVA / 挑め
       2011.02.16 / 8位 / 02.28付 →累計16,658枚(4)
13,400枚 ケツメイシ / moyamoya / guruguru
       2012.11.14 / 10位 / 11.26付 →累計16,776枚(5)
12,001枚 FUNKY MONKEY BABYS / LIFE IS A PARTY
       2012.08.29 / 16位 / 09.10付 →累計16,727枚(5)
11,146枚 FUNKY MONKEY BABYS / ランウェイ☆ビート
       2011.03.16 / 5位 / 03.28付 →累計24,280枚(7)
10,610枚 FUNKY MONKEY BABYS / サヨナラじゃない
       2012.11.21 / 17位 / 12.03付 →累計17,887枚(8)
10,495枚 ソナーポケット / 君と見る未来。
       2012.08.01 / 8位 / 08.13付 →累計15,542枚(5)
*9,869枚 ソナーポケット / キミ記念日 〜生まれて来てくれてアリガトウ。
       2012.11.07 / 9位 / 11.19付 →累計14,727枚(5)
*9,288枚 KREVA / OH YEAH
       2012.06.20 / 9位 / 07.02付 →累計11,744枚(4)*
*9,248枚 ソナーポケット / 月火水木金土日。〜君に贈る歌〜
       2012.04.25 / 9位 / 05.07付 →累計17,005枚(6)
*8,641枚 Hilcrhyme / 臆病な狼
       2011.03.02 / 14位 / 03.07付 →累計11,584枚(6)
*8,227枚 AK-69 / SWAG IN DA BAG
       2012.03.21 / 14位 / 04.02付 →累計17,566枚(9)
*7,914枚 Hilcrhyme / no one
       2011.06.29 / 15位 / 07.11付 →累計9,989枚(4)
*7,577枚 KREVA / C'mon, Let's go
       2011.05.11 / 13位 / 05.23付 →累計10,252枚(4)
*7,550枚 KREVA / Na Na Na
       2012.09.05 / 17位 / 09.17付 →累計8,689枚(3)
*7,215枚 AK-69 / SWAG WALK
       2012.09.26 / 11位 / 10.08付 →累計12,521枚(7)
*7,199枚 AK-69 / THE SHOW MUST GO ON
       2012.11.21 / 22位 / 12.03付 →累計12,080枚(7)
*5,862枚 Hilcrhyme / パーソナルCOLOR
       2011.09.07 / 20位 / 09.19付 →累計6,817枚(2)*
*6,640枚 KREVA / KILA KILA
       2011.07.20 / 16位 / 08.01付*
*6,467枚 ソナーポケット / 365日のラブストーリー。
       2011.10.19 / 13位 / 10.31付 →累計22,563枚(12)
*5,428枚 mihimaru GT / マスターピース
       2011.06.08 / 20位 / 06.20付 →累計7,570枚(4)
*5,245枚 Hilcrhyme /
       2012.06.27 / 20位 / 07.09付 →累計6,394枚(3)*
*5,009枚 PES from RIP SLYME / 女神のKISS
       2012.05.30 / 25位 / 06.11付 →累計7,107枚(4)
*4,715枚 Hilcrhyme / ジグソーパズル
       2012.09.12 / 20位 / 09.24付 →累計5,729枚(3)
*4,711枚 Hilcrhyme / Kaleidoscope
       2012.11.07 / 18位 / 11.19付 →累計5,190枚(2)
*4,555枚 MAJOR MUSIC / HOPE
       2011.12.14 / 22位 / 12.26付 →累計6,651枚(4)*
*4,350枚 SOUL'd OUT / and 7
       2011.04.27 / 22位 / 05.09付 →累計5,751枚(4)
*4,088枚 RHYMESTER / The Choice Is Yours
       2012.08.22 / 25位 / 09.03付 →累計6,491枚(4)
*3,850枚 LGMonkees / 3090 〜愛のうた〜
       2011.10.26 / 25位 / 11.07付 →累計9,317枚(5)
*3,444枚 mihimaru GT / バンザイ賛唱!!!
       2012.10.31 / 33位 / 11.12付 →累計3,750枚(2)
*3,371枚 ソナーポケット / ラブレター。〜いつだって逢いたくて〜
       2011.04.27 / 30位 / 05.09付 →累計7,451枚(5)
*3,218枚 HOME MADE 家族 / FREEDOM
       2011.06.01 / 26位 / 06.13付 →累計4,195枚(3)
*3,155枚 THA BLUE HERB / STILL RAINING, STILL WINNING / HEADS UP
       2012.03.14 / 32位 / 03.26付 →累計4,502枚(2)*
*3,146枚 MIYAVI vs KREVA / STRONG
       2011.10.05 / 22位 / 10.17付 →累計4,818枚(4)
*2,997枚 mihimaru GT / エボ★レボリューション
       2011.08.03 / 36位 / 08.15付 →累計3,409枚(2)
*2,896枚 mihimaru GT / One Time
       2011.12.14 / 34位 / 12.26付 →累計3,200枚(2)
*2,759枚 SEEDA×S.L.A.C.K.×Zeebra / White Out...
       2010.12.22 / 32位 / 01.03付 →累計5,429枚(4)*
*2,442枚 WISE / By your side feat. 西野カナ
       2011.03.16 / 20位 / 03.28付 →累計7,361枚(8)
*2,411枚 SEEDA, OHLD & BRON-K / Desert River
       2010.12.22 / 36位 / 01.03付 →累計4,886枚(3)*
*2,370枚 SOUL'd OUT / SUPERFEEL
       2012.04.25 / 44位 / 05.07付 →累計2,856枚(2)
*2,339枚 SOUL'd OUT / Singin' My Lu
       2012.08.01 / 38位 / 08.13付 →累計2,740枚(2)
*2,070枚 ET-KING / 男は気持ちを伝えたい
       2012.07.25 / 42位 / 08.06付 →累計2,554枚(2)
*1,898枚 PES from RIP SLYME / シーサイドラバーズ / 真夜中のレインボー
       2012.07.18 / 39位 / 07.30付 →累計2,271枚(2)
*1,880枚 SEAMO / 約束
       2011.04.06 / 36位 / 04.18付 →累計2,605枚(3)
*1,870枚 SEAMO×SPYAIR / ROCK THIS WAY
       2012.10.17 / 39位 / 10.29付 →累計2,328枚(2)
*1,824枚 ISSA×SoulJa + ROLA / i hate u
       2011.10.12 / 26位 / 10.24付 →累計3,270枚(4)
*1,753枚 lyrical school (ex. tengal6) / リボンをぎゅっと
       2012.12.12 / 48位 / 12.24付 →累計2,628枚(3)
*1,723枚 HOME MADE 家族 / Love is... feat. Ms. OOJA
       2012.08.08 / 60位 / 08.20付 →累計2,080枚(2)
*1,708枚 HOME MADE 家族 / 琥珀色に染まるこの街は
       2012.01.25 / 50位 / 02.06付 →累計2,014枚(2)
*1,308枚 SEAMO / 君に1日1回「好き」と言う
       2012.06.06 / 57位 / 06.18付*
*1,215枚 SEAMO / 汚れた翼で
       2012.08.08 / 79位 / 08.20付
*1,207枚 HOME MADE 家族 / 気分はまるでJackpot!
       2012.05.30 / 59位 / 06.11付
*1,198枚 lyrical school (ex. tengal6) / そりゃ夏だ! / おいでよ
       2012.08.22 / 70位 / 09.03付
*1,121枚 ISSA×SoulJa / 4 chords
       2011.03.09 / 57位 / 03.21付 →累計1,337枚(2)
**,989枚 ET-KING / mother
       2012.04.11 / 58位 / 04.23付
**,985枚 So' Fly / i BELIEVE 〜星に願いを〜
       2011.02.23 / 96位 / 03.07付 →累計1,347枚(2)
**,875枚 group_inou / MONKEY / JUDGE
       2012.04.04 / 154位 / 04.16付 →累計1,176枚(2)
**,851枚 SALU / I Gotta Go / ホームウェイ24号
       2012.06.20 / 77位 / 07.02付 →累計1,221枚(2)
**,784枚 AKLO / RED PILL
       2012.07.25 / 89位 / 08.06付
**,734枚 ET-KING / PRIDE 〜君がくれたもの〜
       2011.03.02 / 110位 / 03.14付
**,655枚 童子-T / 誓い feat. YU-A
       2011.07.20 / 100位 / 08.01付*
**,645枚 ET-KING / 約束 / 情熱のランナー
       2011.09.14 / 113位 / 09.26付*
**,606枚 Zeebra / Blue feat. AI
       2011.07.27 / 119位 / 08.08付*
**,595枚 group_inou / HEART (single mix)
       2011.03.16 / 77位 / 03.28付 →累計859枚(2)
**,550枚 Miss Monday / 一生懸命
       2011.05.25 / 126位 / 06.06付 →累計837枚(2)
**,519枚 KLOOZ / It's My Turn
       2012.12.05 / 129位 / 12.17付
**,495枚 ET-KING / 寿
       2012.11.21 / 174位 / 12.03付
**,474枚 MEGARYU / 言えなかった「ありがとう」 / アンコール feat. ET-KING
       2011.04.20 / 110位 / 05.02付
**,453枚 WISE / I love you feat. hiroko
       2011.04.27 / 148位 / 05.09付
**,401枚 mc2 / 今夜はパーリラッ!! feat. NaNa, CO-KEY & BOY-KEN
       2011.11.30 / 142位 / 12.12付
**,384枚 Song Riders / ON FIRE
       2012.11.28 / 168位 / 12.10付
**,370枚 tengal6 / プチャヘンザ!
       2011.10.28 / 144位 / 11.07付
**,351枚 SALU / Rebirth
       2012.11.07 / 160位 / 11.19付
**,346枚 K DUB SHINE / 沈まぬ太陽
       2012.09.19 / 161位 / 10.01付 
**,322枚 ライムベリー / HEY! BROTHER
       2012.07.11 / 165位 / 07.23付
**.281枚 童子-T / HOME feat. SA.RI.NA
       2012.11.14 / 186位 / 11.26付
**,241枚 AKLO / HEAT OVER HERE (REMIX)
       2012.10.24 / 196位 / 11.05付


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2011〜2012年国産ヒップホップ音源売上 その1」でも触れているように、アルバム売上、シングル売上は共にオリコンが発表している"推定売上枚数"を引用している。それはつまり、オリコンの調査店の売上だけで導き出された数字であり、特典狙いで買いに走るwenodやディスクユニオンはもちろん、i チューンズストアなどのダウンロード販売の売上も含まれていない。インディーズの日本語ラップの場合、パイが小さいだけにそうした小規模な小売店での売上もバカにならないわけで、ここでの数字は必ずしも"正しい"売上枚数を表しているわけではない。

AKB48やジャニーズ、EXILEなどと比べるとあまりに数字が違い過ぎて驚く向きもあるかもしれないが、インディーズの邦楽ロックやR&Bも似たような状況だ。アイドルたちの活況こそがおかしいともいえるが、しかし少し前まではメジャーとアングラヒップホップを同じランキングに入れると差があり過ぎるため分けていたのに、今はその差も縮まり、それが全体的な地盤沈下でしかないのは、この数字が全てではないと分かってはいても、悲しいことだ。


その昔、北の偉大なラッパーは"全く新しい勝ちパターンを教えてやる"と豪語していた。ヒップホップ・ゲームには確かに勝てたろうが、売上という意味では今は誰もが低迷を強いられている。そんな中で、特典CD-RやTシャツを付けたりするといった当たり障りのない方法ではなく、いくつか興味深い戦略も生まれている。

PUNPEEが9月にリリースした『Movie On the Sunday MIX CD』が面白い。ディスクユニオンと組み、同チェーン店舗のみで2000枚限定で発売し、ほぼ即日で売り切った。すでに認められた才能の持ち主だからできることではあるが、2000枚という数字は日本語ラップ村の中では悪くない数字だ。しかも在庫を抱えることなく、無駄な仲介もないわけで、賢い戦略に思えた。

MEGA-Gや仙人掌が行なっているプロジェクトもユニークだ。以前米ヒップホップグループのPublic Enemyが似たような方式を用い、日本でも話題になっていたが、売上枚数を見れば明らかなように、600枚という数字はひとつの指標となるもので、その600人に無理をせず確実に売っていく方法論もありだとは思う。また、配信販売が一般化してきている中で、北海道のB.I.G. JOEが始めた販売方法は、ロックミュージシャンの七尾旅人が開発から携わっていた"自力音源配信ウェブサービスDIY STARS"と同じシステムだとは思うが、まだ若いアーティストにとっては自身の作品を売りやすく、リスナーにとっても買いやすい仕組みといえる。


もちろん、私が新しい勝ちパターンを知っているわけではないし、考えたこともない。第一それらはこの記事の趣旨ではないわけで、ただ音楽作品を売ることだけで儲けようというのは世界の音楽業界のあり方からいっても時流(あるいは2010年だとここ)ではないわけで、そうしたことは日本でも例えばアクロやサルといった今をときめくラップスターを擁するOne Year War Musicを見てもよく分かることだ。
2012.12.31 Monday 23:55 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
無料配信ミックステープ12月号(2012)
2012年12月に発表された国産ヒップホップのフリーダウンロードミックステープの一覧。日本語ラップ情報サイトJPRAP.COM、並びに2Dcolvicsのおかげでこの1年間毎日のように新しいDL情報を仕入れることができ、音源と生まれたばかりの才能をいち早く堪能することができた。心の底から感謝です。もちろん、無料で音楽を提供して下さるアーティストたちにも最大級の賛辞を贈ります。ありがとうございます。



てっとり早くお勧めを教えてくれという方には上の3枚!左端は滋賀のNakajiが蛇名義で発表した新作。偏りがちな日本語ラップに鋭いクロスカウンターをぶち込む。真ん中が今年3枚目となるニコ動出身ラッパーRAq。当然必聴。右端は元ズットズレテルズのMCだった呂布がIOというラッパーとのコラボ作。ジャケットクリックでDL先に飛びます。



【○】NF Zessho『training EP』
2012.12.01 / 全8曲18分 / 320kbps / YouTube
以前は絶招として活動し、このNF Zessho名義では5ヶ月ぶり2本目となるミックステープ(前作はここから)。若いラッパーに顕著な日本語を崩しグルーヴを優先するラップはこれまで通り。フロウがかっこいいだけのラップから、リリックの内容や楽曲としても優れている方向にそろそろ向かってもいい。前作にはその片鱗が垣間見えたし、若くも才能溢れるアーティストだけに一歩進んだラップを聴きたい。


【○】maru-ai『fuck my life』
2012.12.01 / 全12曲36分 / 256kbps(m4a) / Twitter
1994年生まれ長野の現役高校生ラッパーの初作。同郷のBGYが率いるクルーのミックステープでも2曲で参加している。オリジナルと洋楽リミックスを混ぜた構成で、年齢を考えれば堂々としたラップを披露。M10ではB.I.G. JOEを彷彿させる感情過多なフロウを見せ、若さゆえの勢いだけではない。一方、歌フックの多用は良いが、ヴァースと噛み合わず悪目立ちする。歌詞に内容が欲しいけれど、さすがに求めすぎか。


【◎】蛇『悶談蛇頭』
2012.12.01 / 全13曲41分 / 320kbps / bandcamp
滋賀を拠点に活動している近江Records主宰のNakajiが蛇名義で発表した通算4作目のミックステープ。本作がフリーでの最後の作品になるのではと思うほどにこれまでに発表してきた彼の持ち味が存分に注ぎ込まれ、ひとつの到達点に達している。

三味線に始まるトラックからも明らかなようにレトロな音色を意識的に使ったビートは健在で、さらにラップ技術の高さを証明せんばかりに最新のビート(今回はジューク)をも鮮やかに乗りこなす。鋭くとがった攻撃的なラップと、古びた言葉ながら耳馴染という点でも郷愁を含んだ語感という意味においてもこれ以上ない単語を巧みな押韻を駆使して畳み掛ける。そして重要なことは、そうした道具立てに振り回されるのではなく、独自性の支えとしながら伝えたいテーマのための装置にしていることだ。

同時に彼が素晴らしいのはストーリーテリングの巧さだ。それはヒップホップ的な男の世界でだけではなく、艶歌としても発揮される。今回は名義を変えたこともあり、前半はやや陰鬱な雰囲気を漂わせるが、M6から一気に明るさを増す。ここでの転換は作品としての聴きやすさに繋がる。終盤の2曲での物悲しさにはこれまでにない説得力がある。

フリーダウンロードのミックステープはお金を出して買った作品に比べ粗雑に扱われがちだが、それでもその完成度の高さからしばらく経っても聴き直したくなるものがある。KAKATOだったり、LB、RANL、ミンちゃんのだったりするわけだけど、本作もそうした製品版では代替できない、ここにしかない良さがある。


【×】Siro da funk『ALIVE』
2012.12.02 / 全8曲30分 / 160kbps / Twitter
新潟のラッパー。昨年末にファーストアルバム『不夜城』をリリースしているようだが、その前の7月に8曲入りミックステープ『光明』を発表していて、彼のラップを聴くのはそれ以来となる。

本作はフリーDLする上で私が最悪だと考えることを全て行っている。気持ちいいぐらいに。無料ミックステープがブームとなり、国産ヒップホップだけでも月に30本前後が発表されている。そのまま商品化できるレベルのものから目も当てられないものまで、その出来はピンきりで、また作品の中身だけではなくその装いの作り込みも色々だ。大事なのは楽曲の出来なのはもっともだし、フリー作にどこまで求めるのかという話にもなる。しかし、本作の問題点を見れば分かるように、すぐにでも解決可能なことばかりだ。あとは曲さえ良ければ認知度をより高めることに繋がるし、丁寧な作りは音楽ファイルであっても聴き手の愛着にも繋がり得る。

.ファイルアップロードサイトにFirestorageを使用。
.曲順が分からない。
.トラックメイカーが不明。
.ビットレートがわずか160kbps。
.アーティスト名欄に客演を"feat."の形で付記する。
.ファイルの"読みがな"タブにご丁寧にも平仮名を記入。

のファイアストレージは少しでも混雑する可能性があるならば、DL先を多く作り対処するか、より安定したmediafire(最近は不甲斐ないが・・・)やLimelinxShareBeastRapidShareDepositFilesなど、ただで利用できるサイトがいくらでもある。

は言語道断だ。確かにDL販売の普及でアルバム本位から曲単位で聴かれることが多くなってはきたけれど、ひとつのファイルを落させてまとまった楽曲を聴かせるならば、そこには曲順によって作られる、アーティストが当初意図した展開があるはずで、それは大事な表現のひとつだ。曲順が分からずに、ただ"A"から並んでいる作品は本当に自分の表現物をリスナーに聴かせたいのか疑問だ。のトラックメイカーの名前が明記していないのはトラックを提供、あるいは許諾してくれたミュージシャンを侮辱しているとしか思えない。

シロダファンクの場合、数日後にアップしたブログ記事(それと発表の1週間前の記事にも)に曲順やトラックメイカーを掲載している。が、トゥイッター経由でダウンロードした場合、その大事な情報を手にすることはできない。アカウントのプロフィール欄にブログのURLを記載するだけでも違うのに、彼はそれすらもしない。以前に比べるとはるかに自分の売込みが容易になっている時代に、彼は少しも有効活用せず、楽曲が良ければそれでいいというスタンスを取る。ヒップホップ精神にのっとれば、リスナーは与えられたものを享受するだけではなく、自らの手で欲しい情報を探索すべしとなるのかもしれないが、本作に関していえばアーティストが怠惰で傲慢なだけだ。

のビットレートについていえば、それぞれに思惑があるだろう。誰もがパソコンからダウンロードするわけではなく、可能な限り小さい容量で配布する意図もあれば、今は低ビットレートで流し、後から販売用に高音質をというパターンもある。ただ、DJたちにクラブで流してくださいなどと宣伝しているファイルが128kbpsだったりするとどんな冗談だろうと思う時はある。

もまた人それぞれで、私のように不快に思う人間もいれば、情報タブの"アルバムアーティスト"を有効利用することでアーティスト欄に客演陣が入っている方が良いとする積極派もいる。トゥイッターなどでも周期的に起きる話題のひとつだが、前者の方がいささか多数派な印象だ。人それぞれということではも同じで、"読みがな"を記入すると、アルファベットのアーティスト名でも、例えば"Siro da funk"の場合だと、"S"の行ではなく、日本語の"し"の並びになってしまう。非常に不便だ。

不便でひとつ思い出したが、"歌詞"タブにもあった。リリックを記したことは素晴らしいが、一行空きの表記はアメーバブログみたいで見にくく、間が抜けている。

しかし、彼は"音量調整"を最大値の"+100%"にしていないだけまだマシなのかもしれない。とはいえ、無料ではあっても愛情と心血を注いで作り上げた作品であるのに、音楽以外のところで手を抜き、作品の魅力を半減させてしまうのはもったいない話だ。同じ新潟出身のラッパー・LBはフリー作品であっても細部まで丹念に作り上げ、巧みにネットを活用しているわけで、シロダファンクが彼の先輩に当たるのか後輩なのかは知らないが、しっかり見習うべきだ。

肝心のラップについては、過去があり今があるといった至極当たり前のことをドヤ顔で語る辺りが全てを物語るわけだけど、和をやや意識させたトラックに、不幸物語とそこからの脱出を与太者めいた口調で、前のめりの浪花節をも取り入れてつつラップする。そうした熱さを好む向きにはたまらないのだろう。客演している空也MCがひとり光っている印象だ。


【○】ZONE THE DARKNESS『日々』
2012.12.07 / 全11曲26分 / 160kbps / Twitter
配信終了。ゾーン・ザ・ダークネスのまさかのフリーDL作。彼は自分を安売りすることなくきっちり値札を(しかもやや高めに)付けるラッパーと考えていたので驚きだ。彼と同じ新小岩で育ち、現在は香港で働くトラックメイカーMarmelloが全曲を担当する。フックアップの意味合い、あるいは前半でのややアーバンな音色に合わせて、SALUを思い出させるフロウを試したりと実験的な趣を備えていることからも今回はフリーなのかもしれない。最新作の『DARK SIDE』よりリラックスした語り口で猥雑な街や気の置けない仲間たちを描写していく。Marmelloは5月に外国人ラッパーとのコラボミックステープを発表していて、それも聴き応えがある。→DL


【○】VA『On the RAWS (rework)』
2012.12.09 / 全10曲21分 / 320kbps / bandcamp
トラックメーカーが生バンドの演奏をその場で調理し、新しいビートを生み出すというOgiyy主宰のパーティ「RAWS-ONE」のネット版企画。募集で集まったビートは制作に24時間という制限があるためか、どの楽曲も素朴な味わいだ。じっくり煮込んだシチューではなく、浅漬けのような素材の瑞々しさを楽しめる。ただ、それが目の前で構築されるなら感動を覚えるだろうが、数多く出回るビート集のひとつとなるといささか味気ない。PigeondustやYoshinumaといった気鋭トラックメイカーが参加しているので、お気に入りのアーティストが普段見せない一面を垣間見られるという意味で面白いかもしれない。


【○】Andherpackage『Drawing EP』
2012.12.10 / 全12曲21分 / 320kbps / bandcamp
配信終了。4月にNaoto Taguchi名義で作品を発表し始め、やがてN▲OTO T△G▼CHⓘに表記が変わり、8月からは現在のAndherpackageとなったナオトタグチの、手元にあるだけで18本目となるミックステープ。ずいぶんと出したものだ。音はまた新たな段階に突入しているようで、攻撃的な弾けた音が繰り出される。特に後半が良い。


【○】DARTHREIDER『ROCKIN IN THE 90S VOL.0』
2012.12.11 / 全6曲15分 / 320kbps / blog
配信終了。M1の曲名そのままに、2012年12月12日が"ダース"の日ということで、Da.Me.RecordsのCEO・ダースレイダーの初フリーDLミックステープ。作品名から彼の傑作ソロアルバム『CHANGE YOUR WORLD』的なものかと一瞬期待させるが、今回はヘビーロックを中心にサンプリングしていて勝手な期待はものの見事に打ち砕かれる。録音の粗さや最後の歌物も含めて無料ならこの程度でいいかという思いが透けて見える。


【○】DJOKWR『JACKIN O MIX』
2012.12.11 / 全13曲45分 / 320kbps / blog
名古屋を拠点とする國枝UrbanCampの一員であり、DJオカワリ、O.della名義でも活動している1990年生まれのトラックメイカー。フリーDLミックステープの体裁としてとても理想的だ。リンク先に飛べば分かるように、参加者ひとりひとりを丁寧に紹介し、彼は以前から実施していることではあるが、1枚のファイルにまとめたバージョンとトラック分けした版を用意している周到さだ。彼が選んだ洋楽曲に同年代の若手MCたちが乗る趣向で、前半ではM4やM5に惹かれるものの、後半はクルー仲間のNIHA-Cの孤軍奮闘ぶりが際立つのみで、他はことごとく取るに足らないパフォーマンスに終わる。初のリーダー作ということで期待があっただけに残念だ。


【○】mikE maTida『Hey MIKEE vol.5』
2012.12.11 / 全6曲18分 / 192kbps / Tumlbr
2010年に始まるこのシリーズはその年に一気にVol.3まで出て、昨年『vol.4』(DL先)を、今年はKREVAの楽曲を丸々使ったミックステープもあったりして、そして待望のシリーズ最新作の登場だ。マイク・マティーダはご存じ大分県出身、現在は東京暮らしで、つまるところ杉並の星だ。リリックにあるように、Cherry Brownと共に正規リリースが待たれるフリーDL界隈の最後の怪物といえる。オリジナルトラック分では注目の若手トラックメイカーのひとりistが2曲を提供し、L-VOKALが参加したりと内容は盛り沢山。M1で宣言している来年発売予定のアルバムが待ち遠しい。


【○】KILLASUGA『SUGAR FREE vol.2』
2012.12.11 / 全12曲37分 / 192kbps / Twitter
F.E.S(FarEastSiders)というクルーに所属し、池袋を拠点に活躍するソロラッパーによる4月に発表した『vol.1』(DL先)に続く第2弾ミックステープ。スワッグを自称し、マネー・ビッチ・ドラッグをテーマにラップし続けるのかと思いきやM3でセーフセックスを唱え、自分の誕生パーティを面白おかしく語り、おでんをネタにしたり、今年2月にFBIによって閉鎖に追い込まれたアップロードサイトMegaUploadへの哀悼の意を表したりと、切り口がユニークだ。しかしそれも続かず、その後は紋切型の社会批判となり、意外性が失われる。基本姿勢は前作と変わらず、洋楽トラックのリミックスを主体にしたイケイケなラップであり、全く好みではないが、前半だけは上述した通りに楽しんで聴ける。


【○】DJ PERRO『Please use in order to stop a nuclear』
2012.12.12 / 全9曲28分 / 320kbps / bandcamp
配信終了。北海道を代表するMIC JACK PRODUCTIONの屋台骨のひとりであり、DOGGやP.QUESTION名義でも活躍するDJペロのビート集。空虚なだけの派手な鳴りを廃し、良くも悪くもストイックな音が詰め込まれている。一番強く主張しているのは作品名だ。ラッパーによるリミックスというといまだに向こうのヒット曲が定番だけど、日本人が作る良質なビートもこうして日々アップされているわけで、本作の音に反原発のメッセージを乗せる乗せないは別にして使ってみるのも一興だ。


【○】MIRROR『Gently The Blackness』
2012.12.12 / 全6曲16分 / wav / blog, Twitter
大阪のラッパー、ミラーが同郷のトラックメイカーFAT ONE TRACKSと作り上げた新作。ブログや事前にアップされた動画の説明から、もしかしたら本作の名義は題名と同じかもしれない。いずれにせよ、ジャケットが端的に表しているように、大阪でイメージさせる音とは違い、非常にスムースで成熟した音の上で、その雰囲気の良さを邪魔しない、しなやかなラップを乗せる。大阪ということもあり韻シストのラップを連想する。


【○】T@K『Let'S Dance』
2012.12.12 / 全7曲20分 / 160,192kbps / YouTube
今年のBBOY PARK MCバトルでは踊らせるフロウで魅了していた大阪の20歳のラッパー。把握しているだけで本作で4本目となる。Japp pepperというラッパーと72SKaleというユニットを組む。ダブステップのビートをリミックスするという挑戦心は買うものの、M7でham-Rの名前を出し同じ曲に乗っているが、彼のようには印象的なフレーズを残せず、音としてはビートの荒波に乗れても、日本語としては溺れてしまう。フリー音源を"遊び"(blog)とし、果敢に新しい試みに挑む姿勢は正しいが、夏にリリースしたミニアルバム『Neverland』で見せていた素直なラップも時には聴いてみたい。


【○】VA『W Record vol.01』
2012.12.12 / 全8曲27分 / 320kbps / HP
渋谷シネマライズの地階劇場だった場所に、2010年音楽チャンネル・スペースシャワーTVがライブハウスWWWを作り、そのWWWが今年立ち上げたレーベルがW Recordとなる。"多様なジャンルから気鋭のビートメーカーをフューチャーするべくLAの人気パーティー「LOW END THEORY」の名物企画「BEAT INVITATIONAL」とタッグを組んで"発表との説明がなされているように、本作はテクノ畑の日本人アーティストを中心としたビート集となる。ヒップホップ畑からはstillichimiyaのYOUNG-GやSIMI LABのOMSB、ILL.SUGIとの活動でも知られるyagiらが参加。また日本語ラップ勢に楽曲を提供しているJemapurやHimuro Yoshiteruもいる。参加陣は確かに興味深いが、面白いかと問われると微妙。


【○】3ISLE『LOST STEEZ』
2012.12.14 / 全8曲25分 / 160kbps,wav / YouTube
北海道札幌市の東に位置する北広島市在住のラッパー・スリーアイル。本作にも参加しているDaCowやKou(KOH?)と組んでいるRa-Tribeの一員でもある。JPラップコムが今年9月に出したミックステープ『REV TAPE VOL.1』(DL先)にもM4が収録されていた。そのM4はQNが昨年発表したビート集からのインストであり、他のトラックも洋邦混じったものとなる。それらの上に乗せられるフロウは今はやりのスタイルで、確かにまたこの手のラップかという声に同調したくなるが、フロウに破綻がなくすでに自分の物としているため安心して聴ける。その手のラップでは特にパンチラインが重要となる。流暢なフロウだけに言葉が右から左に流れて終わってしまう自称スワッグが多い中、彼は最後の最後で、"向上心が俺を眠らせない"という強烈な言葉を繰り出し、一気にラップが光り出す。耳を惹きつけるフレーズは大切だ。


【◎】RAq『Detention』
2012.12.14 / 全7曲20分 / 320kbps / blog
いきなり冒頭にKEN THE 390が主宰するDREAM BOYを名指しで批判していると話題になった「超嫌い」が収録されている。大阪のラッパーがすぐさま追従に走り、ラックへのろくでもないディス曲を発表(YouTube)したがすぐに返り討ちに合っていた(YouTube)。M1をさらに説明したのがM2であり、その大阪のこわっぱが出した2本目(YouTube)への返答も兼ねているのだろう。しかし、M2はそんな小さいテーマに留まる曲ではなく、いまだ社会全体に重く漂う同調圧力への強い疑念を含んでいる。HAIIRO DE ROSSIがshow-kとのビーフの際に、"理想も語れないMCは肉だ"とラップしたことにハッとさせられたが、本作での前半の3曲にも同じように背筋を伸ばさせる力強さがある。一方、主義主張に引きずられることで、持ち味である軽快なフロウが失われているが、それでもラップに力がみなぎり魅力的なリリックがここには確かにある。

終わりの2曲は"結構前の曲"と説明にあるが、M6は11月に、M7は5月にニコニコ動画にアップされていて、それほど前にも思えないけれど、彼の状況の変化を考えると実感として"結構前"になるのかもしれない。その2曲もまた今回のテーマに関連している。特にM7では"KEN THE 390は良い人でラップは下手"とまたずいぶんときれいに的を射た歌詞が含まれる。最初から首尾一貫していることがうかがえる。


【○】乳歯人BEATS a.k.a. DJ Koki『乳歯人BEATS REMIXES VOL.1』
2012.12.14 / 全14曲49分 / 320kbps(m4a) / SoundCloud
東京在住の弱冠20歳のトラックメイカー。同い年のBeats ZanとプロデュースユニットRole Model Tracksを組んだりもしている乳歯人ビーツが、初作となる先月の刺激的なミックステープ(DL先)に続き、2作目の本作はまとまることをかねてより待ち望んでいた日本語ラップ・リミックス集だ。前作でも声ネタ程度の取り入れ方はしていたが、今回はラップそのものを聴かせるリミックスとなる。ただ、あれだけ暴力的な気持ちの良い音を先に聴いてしまったので、不幸ではあるけれど、今回は刺激という点で薄い。彼が得意とする荒れ狂うビートは般若や漢、A-Thug、RUMIのようなアクの強いラッパーだけが堂々と立ち向かうことができるもので、中盤に物足りなさが生じる。般若を多く起用しているのもそういうことなのだろう。しかし、M3の彼のラップは本当に最低で楽しい。


【○】前迫潤哉『oidon』
2012.12.17 / 全17曲47分 / 160kbps / HP
鹿児島出身で現在は東京で暮らすR&B歌手の初ミックステープ。日本語ラップのフリーDL界隈でよく見かけるOtowaやRESTiBTRAX、gesubiらによるオリジナルトラックとリミックスが半々となる構成で、柔らかくいかにもR&Bといった雰囲気の歌声が乗る。中音域のマイルドさには魅力を覚えるものの、EXILEならそれでいいのかもしれないが高音だと苦しく、聴き続けると曲数が多いこともあり、粗がどんどん見えてくる。声質とも相まって、熱いテーマであっても歌詞が空疎。本人は面白いと思っているらしいスキットにしても全く笑えず、最後のネタとなる江南スタイルリミックスにいたってはダダスベりだ。初歩の音量調整すらできていない(M5に注意)わけで、ミキシングの出来は推して知るべし。R&Bからのミックステープはまだ物珍しさがあるが、無料でも1周できるかどうかという作品。


【○】Enya-Sang『まさかサイドカーで来るなんて』
2012.12.17 / 全7曲28分 / 192kbps / HP
ヒップホップのミックステープを紹介する記事に、本作を取り上げるのは場違いかもしれないが、名古屋のヒップホップレーベルJET CITY PEOPLEと近い関係にあり、鷹の目がリミックスを手掛けたりもする(DL先)わけだけど、まず何より音楽性が独特で面白いのでこの記事に並べてみた。エンヤサンはボーカルを担当する兄のY-クルーズ・エンヤと、その実弟でギターやトラックメイクを担うJr.TEAによる兄弟ユニットとなる。

直前に発表された兄Y-クルーズ・エンヤのソロフリーDLシングル(DL先)ではフィッシュマンズを彷彿させる浮遊感のある歌声を聴かせていたが、本作では今や飛ぶ鳥を落とす勢いの星野源を連想させるアコースティックなポップスとなっている。吹っ切れない想いを歌うM3やポエトリーリーディングを取り入れたM5に特に惹かれる。しかし、聴き手とは本当に勝手なもので、真面目な路線の楽曲が収録されていると今度はシングルにあったエロさが足りないと思ってしまうのだ。そのバランスはやはり難しいのだろうか。


【○】MICHO『THE MACHINE』
2012.12.18 / 全13曲46分 / 320kbps / Twitter
歌を大胆に取り入れ聴きやすさを意識した3月発表の前作(DL先)での予想外の良作ぶりに驚かされ、キャッチーな「ジャパニーズギャル」も生み出しつつ、TOKYO SOUTHからの仲間であり、彼女を全面的に支えるプロデューサーJOE IRONが先月出したリーダー作(DL先)では7曲で活躍と、まだまだ少ない女性ラッパーの中でもコンスタントに曲を発表しているミッチョの今年2本目となるミックステープ。

前半は以前のような攻めのラップに固執することで、期待をあっさり裏切る。ラッパー魂を忘れない姿勢は褒められて然るべきものだけど、ラップ技術そのものについては依然として平均点以下なのを忘れてはいけない。SCARSのSTICKYやEGOらが参加するもたいした手助けにはなっていない。女性ラッパーだってハーコーなスタイルがあっていいし、その方が面白い。ただ、男女の区別は関係なしに、そこでは言葉のセンスが問われる。本作は全体的にその要素を失いがちだ。M8から歌を取り入れているも、聴けるのはM11のみ。


【○】KLOOZ『It's My Turn XenRoN Remix EP』
2012.12.18 / 全6曲16分 / 320kbps / Tumblr
配信終了。今年はクルーズサンタだけではなく、シェンロンサンタも現れて、1週間限定でのプレゼントを振る舞ってくれた。その趣向に沿う形で音を表現するなら、キラキラと点滅する電飾とツリーを美しく飾り立てるモールやオーナメントのようなまばゆく親しみやすい音使いであり、インタールードを挟み、音の表情をがらりと変えるなど、全体の構成も小気味良い。客演のY'sやGoku Greenのようなのっぺりとしたラップに明るい配色が意外に映えて聴きやすさの増す配慮がある。その一方で、表題曲でいえばY.G.S.Pが手掛けたリミックス(SoundCloud)との比較が分かりやすいのだけど、ビートに強さがないのは気になる。その代わりに、いつになく力強いクルーズのラップだからこそだとは思うが、複雑に色を重ねたトラックを敢えてぶつけていて、そういう意味でも非常にスリリングだ。全体のデザインも含めシェンロンというトラックメイカーが持つ強みを凝縮した作品になっている。


【○】ANPYO & PARKGOLF『1990』
2012.12.19 / 全5曲19分 / 320kbps / Twitter
8月にBUZZ BOXのMC、VANILLAとダブル名義でミックステープを出している日本語ラップウェブマガジンCOMPASS出身のラッパー・あんぴょうが今度はトラックメイカーのパークゴルフと共に5曲入りを発表。先の作品がバニラの勢いの良いラップに牽引されていたからこそ良作になったのだということが詳らかになる。緩めの聴かせるラップを試みているが、厳しい仕上がりだ。一方のトラックは魅せる絵を描きつつもその筆致は淡く、音とラップの相性は悪くないもののふたりして押し出しが弱い。ならばとM3でイルリメっぽいポップさを指向するも反対に作品の雰囲気を壊してしまう。


【△】雪猫『お別れ.zip』
2012.12.19 / 全5曲18分 / 320kbps / ニコニコ動画
愛媛県在住のニコ動ラッパー。本作では祖母を亡くした悲しみをラップする。その深い嘆きはリリックから理解できても、ラップそのものが稚拙であり、表現への理解となるとかなり難題だ。オートチューンをかけてもごまかせない歌唱力のなさも問題。


【○】PR0P0SE『PR0P0SE』
2012.12.20 / 全7曲25分 / 320kbps / HP
tofubeatsとのコラボでも知られるラッパー・オノマトペ大臣とそのトーフビーツと同じ大学に通う友人でもあるthamesbeatのふたりが新たに組んだユニット。アーバンなトラックの上で青春と恋心と日常を少しのロマンティックで味付けしたラップを乗せる。本作は評価も高く、気に入りたいのだけど、いまだにオノマトペ大臣のラップと相性が悪い。M4にかなり惹かれるが、M5からの調子っぱずれな歌パートにポップスになろうと試みて、でも敢えて外すといった作り手のひねくれ心を感じてしまい、微妙な出来という印象に終わる。


【○】A$K×DJ ABELT『Project Again』
2012.12.20 / 全18曲35分 / 320kbps / blog
新潟の20歳になるラッパー・アスクとDJアベルトとのダブル名義ミックステープ第2弾。5月に出した『Project A』(DL先)の続編となる。最新洋楽トラックにアスクがラップを乗せるリミックス曲を本来的な意味でのミックステープのようにDJアベルトが繋いでいく趣向は変わらない。サンプル元との組み合わせなど面白いが、その一方で肝心のラップは原曲のフロウのトレースであることが多い。習作ではそれも仕方ないにせよ、言葉をビートにただ乗せるだけではなく、言葉遊びでもいいから耳に引っかかるラップが欲しい。


【○】NICE GUY$『Kissin n Dreamin』
2012.12.22 / 全11曲38分 / 320kbps / Twitter
OH!KISS、赤いリボン、THUGRAS、BLACKMONNEY、kkmi、そして女性ラッパーのlil Mらからなり、一部で高評価を受けている東京のヒップホップグループ・ナイスガイズの初作。中心はオーキスと赤いリボンというふたりのラッパーと、サグラスとブラックマネーが作り出す黒いループトラックのようだ。ERA後のフロウで日常を活写するやさぐれ社会人ラップともいう感じで、リリックの雰囲気はBLACK SMOKERにも近い。ヒップホップ本来のかっこ良さを体現しているといえるのだろうが、アクの強さの前に尻尾が丸まってしまう。


【○】VA『LOW HIGH WHO? NEWS LETTER LIMITED FREEDOWNLOAD ALBUM Vol.2』
2012.12.22 / 全14曲52分 / 160kbps / mail
Paranel主宰のLOW HIGH WHO?から今年もクリスマスプレゼントが届いた。HPから一度でもフリーDLしたことがある人にはきっと届いているはずだ。今年は6曲の既発曲と8曲の未発表曲から成り、旬のdaokoを始めとしたレーベルメンバーの楽曲が揃う。来年から加入するwaniwaveのお披露目ともなっている。所属アーティストは増えたけれど、理知的な音を基調とするそのカラーにブレがなく、充実しながらも静かな躍進だった2012年に引き続き、2013年も信頼できるインディーズレーベルであり続けるのだろう。


【○】Ryohu×IO『Fellas Ship』
2012.12.23 / 全7曲22分 / 192kbps / Tw,SoundCloud
ロックバンドOKAMOTO'Sの中核メンバーが組んでいた日本語ラップ×ファンクバンド、ズットズレテルズ(解散後アルバム1枚をリリース)でMC担当だった呂布がIOと共に出したミックステープ。呂布は以前からサウンドクラウドにラップ曲を発表していて、そのどこかさんピンCAMP期の懐かしさを感じさせる語り口の優しいラップに惹かれていたのだけど、今作でも孔雀の菊丸を始めとした仲間を多く呼び、リラックスしながら自分の街をクルージングしている感のあるラップが非常に心地良く響く。


【○】Leaseka『Dive to droom』
2012.12.23 / 全7曲15分 / VBR / Twitter
以前LHW?に所属していたmocsmallとのんかによるユニット・リーセカの、7月のデビュー作『1 week rain』(DL先)に続く第2弾。世紀末に飛び込むのか部屋で没入するのか分からないが、エレクトロなインスト曲はM7の曲名の世界に到達する音の旅のようだ。一方で歌の入るM2やM4では途端に耳馴染の良い音となり、こちらが"room"なのだろうか。収録時間が短いこともあり全体として音に統一感が失われていて、もったいない印象を受ける。"doom"な音をもっと聴きたい。


【△】Takachangman & TAKUMI『Re: Poppin' Luv』
2012.12.24 / 全8曲31分 / 128kbps / YouTube
矢継ぎ早にミックステープを濫造し続けているようにしか映らない東京の20歳になるソロラッパー・タカチャンマンが7月の『Poppin' Luv』(DL先)に続く歌手のタクミとのコラボ作第2弾。ラップには目に見える成長がなく、また歌い手は歌唱力のなさをオートチューンでごまかそうとするが、その掛け方の粗さが出来をさらに酷くしていて目も当てられない。


【○】mototag『mototag ep』
2012.12.24 / 全8曲15分 / 320kbps / bandcamp
長崎在住のdj motoraと博多のOilworks.rec所属のトラックメイカー、ナオトタグチによるユニット・モトタグからのクリスマスプレゼント。さすがにナオトタグチのソロ名義ではないために、得意の音のよれは弱めで、いくらか流麗さを感じさせるぶっといビートが集められている。


【○】Lil'諭吉『Ghetto Pop Idol』
2012.12.24 / 全5曲19分 / 320kbps / bandcamp
配信終了。チェリー・ブラウン/リル諭吉からの今年のプレゼントは本作。女性アイドル曲をリミックスしている。とはいえ楽曲の一部に手を加えるというよりも、素材として一部を利用することで全く新しい魅力を引き出そうとする。同じリル諭吉名義で2月に発表した『FewScoops』(現在視聴のみ)の続編なのだろう。M4でのしっとりとした雰囲気は素晴らしく、後藤真希を誉める日が来るとは思いもしなかった。オマケもあって、ロシアからの逆輸入ギャングスタラッパーKAAKOの曲があるのは嬉しい。


【×】3.2ch『RAPLOID -vol.1-』
2012.12.26 / 全7曲26分 / 192,320kbps / Twitter
徹頭徹尾ダサい。久し振りにこんなにも肌に合わないラップを聴いた。"3.2ch"と書いて"みずち"と読む、1991年生まれのニコ動ラッパーらしいが、最近はニコニコ動画出身のラッパーたちもかっこいいフロウを聴かせ、その差がなくなりつつあるのかなと思っていたところに、ニコ動から連想させるラップがむき出しのままイヤホンから流れ込んできたものだから唖然とする。ただ、その揺るぎのなさは完成度といい換えることも可能であり、また、私が感じるダサいという感情は結局のところアメリカのヒップホップに多大な影響を受けたさんピン以降の価値観でもあるわけで、3.2chのラップは正しく純国産といえるのだろう。とはいえ、ギターの音色を利かしたトラックも含めて、全てが受け付けない。


【△】3.2ch『音戯話』
2012.12.26 / 全8曲35分 / 192kbps / Twitter
その3.2chが同時に出した2枚目が本作。息も絶え絶えにスタートボタンを押したが、ビートは耳慣れたヒップホップ寄りで、また客演陣にはよく見かけるラッパー(WARUSHIの安心感よ)が揃っていることもあり、先程のに比べるとまだマシ。が、油断していると後半で足を引っ掛けられ、膝から崩れ落ちる。しかしフックの歌はラップ以上に難ありだ。あと、show-kがこんなところにまで顔を出して、いつもの演説をぶっているのが興味深い。


【○】COMPASS POSSE『COMPOSITE : kerberos remixes』
2012.12.27 / 全10曲46分 / 320kbps / bandcamp
今は亡き日本語ラップウェブマガジン・コンパスの主力メンバー(上記のあんぴょうも参加)が昨年再結集し、なんとペンをマイクに持ち替え「COMPOSITE」という曲を発表(SoundCloud)した。それぞれの想いが詰まった聴かせる曲で、それをピジョンダスト名義で普段活動しているケルベロスがひとりで8パターンものリミックスを作ってしまったのが本作。どこか似た雰囲気を漂わせつつ、バリエーション豊かに仕上げてくる辺りは若手トラックメイカーの中でもひとり突出しているだけある。歌謡曲を使った異色のM7が特に良い塩梅だ。


【○】Andherpackage『Sundance.LP』
2012.12.27 / 全21曲49分 / 320kbps / bandcamp
配信終了。今月2本目のナオトタグチの別名プロジェクト。珍しくLPサイズ。例のよれた音(覚えた)でラップ曲が多めにリミックスされている。気に入ったのはM15以降の後半のメロウなインストか。


【○】ssRAMUNE『佐倉杏子DEMO ver.2.0』
2012.12.28 / 全6曲15分 / 160,192kbps / YouTube
題名の女性の名前はテレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の登場人物だという。そのアニメを知らないが、全編で使われている声ネタやエピソードがそうなのだろう。アニメのキャラクターに向けたラップは気持ち悪いとしか思えないが、でも映画の中の架空の人物になりきったり、自己を投映するラッパーも多いわけで、人それぞれだ。もっといえばブロガーがネットで好きなものを語るのと同じく、ラッパーが好きなものを曲にすることに何ら違いはない。ラップそのものは普通でテーマの新しさ以上のものはない。


【○】Skare Skale『Sketchbook』
2012.12.28 / 全9曲29分 / 192kbps / Twitter
1989年生まれの栃木県育ち、ニコニコ動画を中心に活動をしているソロラッパー、スケア・スケイルのこの3年間のラップから再録曲を中心にまとめたミックステープ。序盤の2曲を聴くと感受性が高く詩的な表現に向かうことに納得できるが、リリックが説明的だったり、押韻を意識するためか選んだ言葉が日本語として不自然になってしまうことが多い。またビートに素直にならず刃向いがちな点ももったいない。ただ、声質が良いのでラップの印象自体は悪くない。M7では子持ちの人妻との不倫をラップしていて珍しくも面白い。


【○】Mr.officeBeats & LilWest『無言以降』
2012.12.28 / 全11曲29分 / 192kbps / HP
大阪のトラックメイカー兼ラッパーMr.オフィスビーツとトラックメイカー・リルウエストが前月リリースのCD-Rインストアルバム『無言』に続けて発表したラップ曲入りのミックステープ。インスト曲も多く含まれているが、ふたりの音は無表情なものが多く、取り立てて興味を惹かれない。一方でMr.オフィスビーツがラップする4曲は大阪特有の粘りのあるフロウが冴え、また歌えもするので一気に華やかさが増す。


【○】VA『おならBOOの「BOOST COMPI」vol.1』
2012.12.29 / 全14曲54分 / 320kbps / blog
ネットでも日本語ラップに触れている人は、その呟きやユーストリームなどを通して一度は目にしたことがあるだろう界隈の有名リスナー、おならBOOさんが発表したコンピレーション・ミックステープ。リンク先のブログ記事にもあるように、フリーDLのコンピはまだまだ少ないし、新曲のみとなると皆無に近く、本作は快挙といえる。

無料配信の一般化や録音環境の向上化で演者と聴き手の境がますますなくなり、同時に、問題をはらみつつではあるけれど、両者の垣根も低くなる一方だ。それなのにこのようなコンピがこれまでなかったのには理由がある。単純に難しいからだ。行動しなければ何も始まらないが、ただ動いただけでも困難が待ち受けている。

ひとつにはまとめる側の"信頼"が問われることが大きい。日本語ラップ界の発展や啓蒙に尽力し、聴き手の代表ともいえるおならBOOさんだからこそ、これだけの若手有力ラッパーや気鋭トラックメイカーを全国から集められたのだ。神戸のP-PONGやSNEEEZE、京都のYAMAO THE 12、金沢のCARREC、黒ギャル派代表Yuto.com™、長野を盛り上げているバギーに、ニコ動から全国区に駆け上がろうと虎視眈々狙っている若武者RAq、とフリーDL界隈でも人気の役者が顔を揃え、さらにはラッパ我リヤの山田マンまでいる。この布陣を整えられるのは並外れた人望があってこそだ。

もうひとつ問題なのはディレクション。本作発表直後に、アイドルグループAAAに属しながら本格的なラッパーとの評価も獲得しているSKY-HIがお祝いの呟きを彼に送っている。彼のファーストソロアルバムは客演が多く、その難しさを身を持って体験したに違いない。以前から好きで自らお願いしたアーティストの楽曲にどう判断を下すのか。その如何によっては両者の関係にヒビが入りかねない。しかし、その曲の出来がどうなのか第三者的な冷徹な視点を持つ必要がある。アーティストがその時点でのベストを尽くしたと確信する新曲であっても、いざ受け取った作品が期待を下回る時にどうするのか。

今回はリスナーが制作するコンピだが、二十歳前後とはいえ実力十分のトラックメイカーのBeats Zanとdjokwrがそれぞれ10月(DL先)と今月(DL先)にリーダー作を発表している。それを聴けばその困難さが明らかだ。加えて自分の名前を冠する作品ともなると、それまで築き上げてきた信頼やブランドにも影響を及ぼす。

そうした中で敢えて無料でコンピを制作し、ベテランから新鋭ラッパー、まだ知られぬグループまで発掘し、紹介しようとする意気込みは本当に素晴らしい。そしてディレクションを強化した第2弾が待たれる。


【△】CHESTNUT『BELIEVE』
2012.12.29 / 全18曲70分 / 256kbps / YouTube
東京在住24歳のニコ動ラッパー・チェスナットが、病気明けに出した前作(DL先)から約4ケ月の短い間隔で発表した新作ミックステープ。その前作はしっかり想いの入ったリリックが並ぶ聴き応えのあるものだったが、本作は冒頭M1のフロウで早くもげんなりさせられ、小学生が綴る作文のような同じことをダラダラと描写するラップに辟易させられる。テーマも似通っていて、ラップすること、クレジットカード怖い、ピーターパンになりたい、仲間大事、彼女も大事と、本編14曲がわずか5曲で収まる。しかし彼はそれを水増しするものだから無駄に収録曲が多くなる(ただでさえリリース量が激増するこの時期に!)。どちらかといえばボーナストラック扱いの曲の方がまだ楽しめる。ニコ動ラッパーに限らずだけど、3ヴァースにフック3つという構成に必ずするのはそういう取り決めみたいなものがあるのだろうか。思い浮かばなければ、1ヴァースのみでいいだろうし、魅力が皆無のフックを繰り返す必要はない。


【○】Andherpackage『Adult.Mood.Type.Prt.1』
2012.12.30 / 全12曲29分 / 320kbps / bandcamp
配信終了。年の瀬も押し迫ったこの時期の最後の1本は彼でした。さすが。DJモトラとの共作も含めると今月4作目。そうなると2012年の落とせたものだけで21作品。その間には正規アルバムもリリースしたようだし、その多作ぶりは群を抜く。今作は静寂さから荘厳さまでも醸し出すビート集になっていて、年末年始の静かな街の雰囲気を音にしたかのよう。いい。




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<まとめ>
2010年〜2011年1月〜9月分 Tegetther
2012年1月分 blog
2012年2月分 blog
2012年3月分 blog
2012年4月分 blog
2012年5月分 blog
2012年6月分 blog
2012年7月分 blog
2012年8月分 blog
2012年9月分 blog
2012年10月分 blog
2012年11月分 blog

・「JPRAP.COM presents "The Se7en Deadly Sins"」 →記事(2011.05.26記)
  2010年の主要フリーダウンロードミックステープについてもある程度まとめてある。
・「昨今の国産ヒップホップ・無料DLミックステープ事情」 →記事(2011.09.30記)
  2011年前半の作品に焦点を当てて書いた記事。
・「VA『Fat Bob's ORDER vol.1』」 →記事(2011.10.07記)
  記事の最後に名古屋関連のミックステープのまとめがある。
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2012.12.31 Monday 23:54 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
ゾンビ・クロニクル2 / Zombie Apocalypse

51点/100点満点中

2011年に製作されたテレビ用映画。ホラー。時々脇役で見かけることがあるがたいの良い黒人俳優ヴィング・レイムスが出演している。DVDスルー作。

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わずか6日間でヨーロッパの人口の80%以上を死亡させたVM2ウィルスは世界を破滅に追いやり、アメリカにも上陸。わずかな生存者たちは避難所があるという噂を信じ、群がるゾンビを避けながらロサンゼルス沖のカタリナ島を目指す。
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ここ数日の駄作ホラーに比べれば幾分マシという程度。生き残った少人数のグループが出会い、協力してゾンビを撃退しつつ、脱落者を出しながらも西へ西へと一歩ずつ足を運んでいく。同じく世紀末を描いたデンゼル・ワシントン主演の『ザ・ウォーカー』のように潤沢な予算があるならまだしも低予算の、しかもテレビムービーとなれば、安っぽいCGに頼らざるを得ないのは仕方ないことだろうし、心優しいB級映画ファンはそれすらも妙味として受け入れ、堪能するのだろう。

登場人物たちがゾンビを種類別に名前を付けていて、その内の足がめちゃくちゃ速くて狙われたら危険という"ランナー"と呼ばれるゾンビがいつ出てくるのかと少し期待しながら見ていたのだけど、結局最後まで現れず、ラスボスはしょぼい腐乱したCG虎というありさまで、ゾンビの設定自体も彼らは柵を登れないといっておきながら、その直前のシーンで登ってるゾンビがいたし、まあそういうご愛嬌も含めてゾンビ映画というジャンルだとは思うが、たいしてそのゾンビに愛着がない身としては緩さはただの甘えとしか思えない。

そもそも序盤でヒロインとなるラモーナを演じるタリン・マニングの演技にイライラさせられる。現実を受け入れられず、うだうだと悩むという映画のキャラ設定自体に不満があるわけではもちろんない。欧米の映画は、どんな低予算でもそこそこ演技力のある俳優が出てくるわけだけど、彼女の場合はひとり浮いてしまっている。だから、その彼女の出番が引っ込み、グループが二手に別れる辺りから少し面白さが増す。

略奪目的の悪い人間たちを出さないのは予算や時間との兼ね合いもあるだろうし、そういう意味では生き残った人間グループの数が増えても同じだけ減らされ、どうにかこうにか目的に向かうというすっきりとした話になってはいるのだろう。

本作の見どころはなんといっても新宿が一瞬映るシーンだろう。多分東南口だろうが、"大人のオモチャ"という看板がくっきりと映し出される。世界中の人たちから大通りにそんな店の看板が出ている国と思われるのはどうだろうという話ではあるけれど、ある意味あっけらかんとした光景でもあり、性におおらかなことは良いことだとも思う。
2012.12.31 Monday 23:53 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
ファイナル・デッドスクール / Kill Katie Malone

39点/100点満点中

2010年のホラー映画。DVDスルー作。製作費105万ドル。

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学生寮で暮らすジムはネットオークションで"霊が閉じ込められている箱"を競り落とす。同室のディクシーや幼馴染で妹的な存在のジンジャーと共に、届いた箱を開けてみたところ、少女の写真を収めたロケットペンダントが入っているだけだった。しかし、その日から彼らの周りで不可解な死亡事件が続くようになる。
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現世に恨みを残して死んだ少女の霊が閉じ込められた木箱。それを開けると、災いが降りかかるというのだけど、彼ら自身も最初勘違いしていたようにランプの精としての働きもあれば、全く関係ないと思える人まで殺してしまう霊でもあり、その設定が非常に甘い。この手のご都合主義なホラーが一番嫌いだ。それでも恐怖表現に特筆すべき点があるならば話も変わるが、レイティングを気にしているのか、血を豪快に吹き飛ばすこともなく、妙にお行儀いいのもマイナス。

本作で一番面白いのは、邦題以上にふざけた予告編だろう。先に別のDVDに収録された予告編でたまたま見ていたのだけど、今思えば本編の映像は使われつつも、全く関係のない煽りだった。それはそれでスポーツ新聞の見出しみたいなもので楽しめた。
2012.12.30 Sunday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
NITRO ニトロ / Sudor frío

53点/100点満点中

2011年のアルゼンチン製スリラー。製作費43万ドル。DVDスルー作。

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ローマンは突然別れを告げ姿を消した彼女ジャッキーの行方を捜しているうちにあるビルに辿り着く。女友達のアリに探らせるも連絡が取れなくなる。自ら潜入すると、地下で監禁されているジャッキーを発見。全身には取り扱いが非常に難しいニトログリセリンが塗り付けられていた。
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アルゼンチン映画もこれまで数本しか見てきていないと思う。遠い昔に授業で習ったスペイン語が使われるが、英語以上にさっぱり分からない。検索してみたら、2010年にアカデミー賞外国語映画賞を受賞した『瞳の奥の秘密』もアルゼンチンで、あと同国出身のチェ・ゲバラの青春期を描いた『モーターサイクル・ダイアリーズ』もそのようだ。後者はともかく、前者はメロドラマをふんだんに盛り込みつつもラストでの意外性に驚かされた記憶があるので、本作をそこそこ期待して見たのだけど、これがとても雑なソリッド・シチュエーションスリラーで残念すぎる出来だった。

政治が揺れ動いていた約40年前に強奪した大量のダイナマイトを秘匿し続ける政治結社の生き残りの老人ふたりが、そのダイナマイトから原料のニトログリセリンを抽出し、住居をリフォームして作った拷問部屋で、ろくに勉強もせず遊び歩き国をダメにすると一方的に決めつけた若者を次々に始末していた。

そんな荒くれ老人たちのアパートにのこのこやって来た若者3人が大変なことになるというまあよくある物語だ。建物内は携帯電話が使えない設定なのに、なぜか携帯からネットにはアクセス可能で、ニトログリセリンの危険性を急ぎ調べたりできる。その危険物を大量に塗られいつ爆発するか分からない状態のジャッキーは、どうしたことかダイナマイト保管所の近くで監禁されている。色々雑だ。しかも舞台となるアパートは街中にある。

ジャッキーはローマンからニトログリセリンの爆発条件を教わる。登場人物たちは自分の命がかかっているためか理解力が素晴らしく高いが、漫然と見ている身としてはいやいやよく分からない!となってしまう(こんなことならスティーヴン・キング大推薦の『恐怖の報酬』を見ておけば良かった!)。よぼよぼ歩きの老人との一進一退の追いかけっこも見せ場のひとつなのだろうが、緊張感の欠片もないただユーモラスなだけだ。

この手の映画は結局誰が生き残るのかが気になったりもするわけだけど、本作は意外な結果に終わる。多分それも微妙に感じる点のひとつだ。
2012.12.27 Thursday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
ダークネス / Darkness

67点/100点満点中

REC/レック』のジャウマ・バラゲロが2002年に監督脚本したホラー映画。10歳の時にホリー・ハンターの娘役で出演した『ピアノ・レッスン』でアカデミー助演女優賞受賞に輝いたアンナ・パキンが主演し、現007シリーズの前2作にも出ていたイタリア人俳優ジャンカルロ・ジャンニーニも出演している。製作費1060万ドル。

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父マークに妻メアリー、長女のレジーナとまだ幼い弟ポールの一家は神経症を患うマークの療養のため、彼が生まれ育った土地であり、祖父アルベルトが今も医者として働くスペインの郊外にアメリカから越してきた。しかし原因不明の停電に始まり、怪異な現象が度々起きるようになる。ポールは怯え、マークも情緒不安定になっていく。原因がこの家にあると感じたレジーナは調べを進めていくうち、40年前の皆既日蝕の日に7人の子供が失踪したという事件に行き着く。
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スペイン産ホラーの良作『REC/レック』で初めてジャウマ・バラゲロ監督を知ったわけだけど、世間的にはもっと前から注目されていたようで、本作は彼の長編デビュー作『ネイムレス/無名恐怖』に続く2作目となり、全米デビューも果たしたそうだ。日本でも劇場公開されている。


呪われた家の話。再びスティーヴン・キングの作品に例えるなら『シャイニング』だ。本作はホテルではなく、一軒家だけれど、ある秘密を抱え、深い闇を秘め、そこで暮らすものに悪影響を与える。その邪悪な磁場を顕著に受けてしまうのがかの作品と同じく父親であり、本作のマークもまた次第に常軌を失い始めていく。『シャイニング』はスタンリー・キューブリックが映画化し、ホラー映画の名作の一本にも挙げられる怖い作品ではあるが、原作者のキングが否定的なことは有名な話で、実際に彼自身が製作を手掛け原作に忠実な映像化もしている。何が気に入らなかったのかといえば、キューブリックはジャック・ニコルソン演じる父親をモンスターに仕立て上げ、ただの恐怖映画で終わらせてしまったのが問題だった。原作を読めば明らかなのだけど、父と息子との愛情の物語でもあるのだ。キューブリック版ではその点が完全に欠けている。

そして、本作もまた愛情が重大なポイントになっていて、それは同時に"家"の秘密にも繋がる。また、『シャイニング』ではほとんど語られなかった、そもそもの呪いの原点はなんなのかという点にも踏み込んでいて、そういう意味ではただのオマージュに終わっていない意欲的な作品に映る。

愛情が向く矢印の方向にもひと工夫加えてあり、クライマックスで明らかにされる大いなる野望とそのために駒のように人間を利用しようとする算段などサスペンスにもなっている。ただ、この盛り上げはいいなと思った矢先に、突然物語がぶち切られ、唖然とさせられる。エンドロール直前までは間違いなく良作の香りしかしないわけで、このオチは納得がいかない。

序盤や中盤での夜中に揺れるブランコをただ映し出すだけの地味に怖いカットや、40年前にも凄惨な事件があったのだと伝える短いカットが一瞬ずつ挟み込んだりとずいぶんと基本的な映画の怖さが演出されていて、本作の7年後に『REC/レック』をほぼ主観撮影(POV方式)一本で作り上げることになるとはここからは想像できない。
2012.12.26 Wednesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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