すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
05 / 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2021.02.10 Wednesday | - | - | -
無料配信ミックステープ5月号(2013)
国産ヒップホップを中心としたフリーダウンロード・ミックステープの2013年5月発表分一覧。日本語ラップ専門情報サイトJPRAP.COM2Dcolvicsで紹介された作品からピックアップ。

<"これだけ聴いとけ作品"を簡潔に教えてくれというせっかちな人のための3枚>

左がLowPassのラッパー・Givvenのソロ作。客演が多く発見も多い。真ん中は大阪の悪い若手が集まった1本。Vol.2も今月出ていてどちらも良い。右端は聴く人を選ぶラップかもしれないが、スチャダラパー好きは気に入るかも。ジャケットをクリックするとDL先に飛びます。



【○】ACE COOL 『YOU OUGHT LOOK OUT』
2013.05.01 / 全12曲32分 / 320kbps / blog
広島の21歳になるソロラッパー、エース・クールの昨年9月の『RATS』(DL先)に続く2本目のミックステープ。前作ではAKLOやSARUの影響を指摘したが、今回も日本人ラッパーでいえばやはりアクロ、SEEDA、般若辺りを取り込んだと思われるすわっぐなラップを展開。ついでにSIMONのスタイルも自分のものとすれば面白い。以前の彼のようにビートの能力の限界を図るがごとくビートの後ろギリギリに立ち、音に鞭打ち酷使できれば、エース・クールのフロウにさらに幅ができる。唯一の客演曲M8で明らかになるのはリリックにユーモアが不足していることで、Tigaの出番をもう少し増やしても良かった。ボーナストラック的な最終曲が本編よりも際立っているのは前作と一緒。


【○】天狗マガジン 『高尾山EP』
2013.05.03 / 全7曲19分 / mp3,flac,... / bandcamp
アブストラクトヒップホップを標榜するDJRK a.k.a. Ryu KonnoとNOEL-KITによるビート集。キャラ付けはヒップホップでも大事だけど、ついに天狗様の登場。アブストラクトというからにはもっと鼓膜を揺さぶり脳みそをかき回すような音を想像していたけれど、自然音を取り入れた(高尾だし)意外に優しい音使い。M3のノリが好み。こんなのも→『天狗ブレイクス: 子』(DL先)


【○】HIYADAM 『HIYADAM DEMO』
2013.05.03 / 全6曲15分 / 256kbps,wav / Twitter
テレビ番組「BAZOOKA!!!」内企画の「第3回高校生RAP選手権全国大会」で優勝を果たした北海道札幌在住の16歳。MCバトル巧者は畳み掛けるような言葉の速射を楽曲にも取り入れてしまい、その質を損ねるという失敗をよく見かけるが、彼の場合は元からそのタイプではないのか、ビートとのシンクロ率が異様に高く、それだけですでに音楽として機能している。今回優勝したことでひとつ称号を手に入れ、また作品を発表したことでビートとの親和性の高いフロウが楽曲でも武器になることを証明した。次に何を手にするのか楽しみだ。その前にとりあえず、デモとはいえ誰もが落とせる環境にアップした"作品"ではあるのだから、ジャケットを付け、曲順を考え、見栄えを良くする必要がある。


【○】N9nety-One 『Lotus-eaters』
2013.05.04 / 全5曲15分 / 160kbps / YouTube
昨年正規盤をリリースしたGACOとSWITCHIの2MCから成るナインティ・ワンの、ミックステープとしては2月以来6本目。前作(DL可)からの覚醒は続いていて、曲数は少ないもののどの曲も楽しめる仕上がり。湘南乃風になっているM3こそは"ヤリスギ"に思えるが、それでも楽曲の幅を広げるという意味では正しく、何よりオリジナルトラックの出来栄えが良い。特にM4はアクロやサイモンならどうアプローチするのか聴いてみたい。


【○】ssRAMUNE 『煤夢DEMO』
2013.05.04 / 全5曲13分 / 160,192,320kbps / YouTube
アニメの女性キャラクターへの想いを綴ったミックステープ(DL先)を年末に発表しているスペースシャトル・ラムネ(このMC名本気なのか?)の新作。前回とは違い、今作では日常や恋愛を歌い、ラップの方向性でいえば不可思議/wonderboyや小林大吾といえるが、もちろんその両者ほどの熱量やスキルはなく、詩情豊かであろうともがいている段階。しかし、少なくともやろうとしていることは支持したい。


【○】asahiyan 『Floatin'』
2013.05.04 / 全5曲19分 / 320kbps / Twitter
アサヒヤン。彼が何者なのかその素顔もどんな心持ちの人間なのかも知らない。が、フリーDL界隈で長いことリミックスワークを手掛けてきた彼の印象はなんといってもあの6つに割れた腹筋だ。人込みでiPodが彼のリミックス曲を選んだ時、周囲の人間が私のiPod画面を見ていないか思わず確認してしまう。あらぬ疑いをもたれそうだからだ。そんな冗談はともかく、本作は音作りに定評のある彼が、"サンプリングネタはリサイクルショップで投げ売られていたレコードのみ"で作り上げたビート集となる。どの曲もアタックの強い低音を基調とし、まず人を楽しませてなんぼといった彼の姿勢が音によく表れている。どうして今までまとまった作品を発表してこなかったのか不思議なほど。


【○】SH BEATS 『COUCH POTATOES』
2013.05.05 / 全11曲19分 / 320kbps / Twitter
骨川スネア名義も使う大阪のトラックメイカーの新作ビート集。関西でイメージするコテコテな音の流れではなく、EVISBEATSの方向性からエスニック性を抜き、洒脱とユーモアで包んだ柔らかいビートを生み出す。同郷のMASS CUT ヘルツェゴビナらと組んだプロデューサー集団で2月にアルバムを出し、先日3曲入りシングルを無料配信(DL先)。7月には全曲プロデュースするC-L-C (ex. Coe-la-canth)のミニアルバムがリリースとなる。


【○】HASEGAWA-4200 『GWIK EP』
2013.05.06 / 全5曲23分 / mp3,flac,... / bandcamp
広島のジューク/フットワークのトラックメイカー。JPRAP.COM主催者benzeezyさんはこのジャンルに最近は強い関心があるようで、頻繁に取り上げているので自然と聴いている。スピード感溢れるビートを聴くとあの驚異の足さばきを見せるダンスを踊りたくはなるけれど、速攻で足がもつれ顔面着地必至なので、脳内で華麗なステップを踏むことにしている。本場シカゴの音と遜色なく、何よりM2がいい。ファンでも楽しめる良リミックス。


【△】Missy 『R.A.P.e -Demo vol.0-』
2013.05.07 / 全8曲22分 / 320kbps / Twitter
名古屋を拠点に活動しているソロラッパー。ラッパーのリミックスとなるとどうしても洋楽のヒット曲に乗せたものが多い中で、KREVAを中心とする日本語ラップのビートを使っている点で好感が持てる。しかし、その出来は当人があらかじめ予防線を張っているように"レイプ"でしかない。


【○】Narvubeats 『Good Bye Mine Mixette (Full Beat Tape)』
2013.05.07 / 1枚ファイル10分 / 320kbps / SoundCloud
Naoto Taguchiの別名義Narvubeatsでの今月の新作ビートは珍しくこの1本のみ。どこか郷愁を誘う甘やかで同時に苦味もある音で始まり、彼にしてはそのトレードマークともいえるよれた音使いを若干抑え、情感豊かな10分間の音の旅を楽しませてくれる。


【○】RYUHEYXXX 『不法投棄』
2013.05.08 / 全20曲28分 / mp3,flac,... / bandcamp
RITZZZと共に奈良のレーベルNARAPAGOSを主宰するリュウヘイトリプルエックスのビート集。バンドキャンプを見るとマイクピストンズという2MCグループのDJになっていて、あのグライムトラックを作っている彼と同一人物なのか一瞬疑問に思ったのだけど、結構以前から活動しているグループのようだ(彼らの2月の新曲と2009年のアルバムもDLできる)。それはともかく本作での彼はグライムではなく、映画ネタを散りばめた短めの小粋なビートに終始し、聴きやすい音を生み出している。こんな不法投棄ならありだ。


【○】DUFF×chop the onion 『HOT NOISE E.P』
2013.05.08 / 全6曲11分 / mp3,flac,... / bandcamp
KITAKANTO SKILLZのダフと、元韻シストのFUNKYMICのソロ活動に関わっていた大阪のトラックメイカー、チョップ・ザ・オニオンのふたりが今月リリースしたコラボ作『Night Cruise』に先駆ける形で、全6曲の完全新作で出した意欲的な1本。北関東スキルズで想像する性急なグライムではなく、重量のある男臭いラップとなる。このスタイルからは"TEAM44BLOX"に通じるものが見えてきて、なるほど常磐エリア出身かと納得する。


【◎】Youtrick 『Yutorism』
2013.05.10 / 全8曲28分 / 320kbps / blog
はい、出ました、掘り出し物!これがあるからミックステープ漁りは止められない。大阪の大学に通うサイトーハヤトとNegstumのふたり組の初作。題名やグループ名に彼ら世代を揶揄する言葉を使っているが、その括りで語るよりも「ヒマの過ごし方」の子供たちといった方が正しい印象を抱く。年齢的には孫に近いが。スチャダラパーが日常のだらだらを歌っているだけではないのと同じく、彼らは結構激しく政治に物申していて、その横顔も面白い。一方でこうしたラップには技術が足りない(録音も不安定)のは当然ともいえることで、指摘するのも野暮だ。


【○】VA 『FingΔtipS #1』
2013.05.14 / 全14曲41分 / mp3,flac,... / bandcamp
DL数上限到達。18日に岐阜で行われた同名イベントの出演者が中心となり、白人ピアニストBob Jamesが1974年に発表し、ヒップホップ界的には「Nautilus」が収録されていることで有名なアルバム『ONE』をネタに、それぞれがビートを競作するコンピ。DJ MotiveやReezy"B"、Katafuta、Mr.蓮らが参加。ほぼ同じメンツで昨年4月にアップされたビート集→『Frisbee Lap#1』(DL先)。どちらかといえばこっちの方が刺激的。


【○】Givvn 『Garbage Can Vol.0』
2013.05.15 / 全12曲48分 / mp3,flac,... / bandcamp
ヒップホップデュオLowPassとして月初にリリースしたセカンドアルバムが好評のラッパーで、PV監督としても活躍するギヴンがソロで発表したミックステープ。ロウパスでは相方のtee-rugがトラックを担当し、彼はラップに専念するが、最近の大方の若手ラッパーがそうであるように彼もビートを作り、これまでもサウンドクラウドに上げてきている。そのギヴンが全曲プロデュースし、SIMI LABのDyyPRIDEやDARTHREIDER、元ズットズレテルズの呂布の参加があり、さらに周辺のまだ無名ラッパーらをフックアップするなどほぼ客演曲で揃えたミックステープとなる。値札を付けるほどの際立ったヴァースがあるわけではないが、きっちり作り込んだ作品になっている。

そうはいっても、M2の1ヴァース目を聴けば、フロウこそは声質が似ているため元シミラボ・QNのいとこにも思えるが、その魅力にすぐに気づくだろうし、リリシストであることも一目瞭然だ。一方で、ロウパスの新作が素晴らしかった理由のひとつがティーラグ制作のビートの進化にあり、ギヴンのそれも悪くないとはいえ本隊で鳴らされる音と比較してしまうと数段落ちる。

また、ロウパスがファーストアルバム後に本作と同じようなタイミングで発表したミックステープ『Interludes from "Where Are You Going?"』は、その題名通りにアルバムのインタールードを利用するという秀逸なアイディアのもと作られ、ミックステープを商売と結び付けられるアーティストがほとんど出てきていない状況の中で、一歩進ませ立派な販促物として機能させていたことに内容の完成度以上に驚嘆させられた。ミックステープのそうした意味づけでいえば、今作は、確かに非凡とはいえ、ギヴンの一個人の才能を証明する場に留まるものであり、物足りなさがある。


【○】VA 『Spit Stock Vol.1』
2013.05.15 / 全8曲18分 / 320kbps / blog
大阪・船場にあるレコーディングスタジオBLUE VERY STUDIOに集う若手を集めた5曲入りコンピ。ミックステープを発表済みのGhost DogのRadoo(DL先/DL先)や、CRACKPOTZのCHAKRA(DL先)などがラップを吹き込み、名古屋からCampanellaとToshi蝮も参加している。煙たい黒さを色濃く醸し出すラップを志向する彼らは、同じ若手でも梅田サイファーの面々とはまた違う雰囲気で面白い存在だ。


【○】ISSEI & DJ KENZI 『#THERoomService』
2013.05.15 / 全12曲34分 / mp3,flac,... / bandcamp
日本ではいそうでいなかったタイプのラッパー。サイモンがとことんナンパになったようでもある。これまでだとサイプレス上野やZEN-LA-ROCKらがこの路線を積極的に開拓してたけど、それよりもう少し享楽的で歌物フロウ(というよりもほとんど歌もあったり)で楽しませてくれる。1週間限定だったボーナストラックM12に、"街のにぎわいは週末のアムウェイみたくワイワイ"とあるが、これはあのネズミ講のことでいいのかな。大丈夫?


【○】DJ Koki 『Mini Mix vol.3』
2013.05.16 / 1枚ファイル12分 / VBR / SoundCloud
トラックメイカー・乳歯人BEATS a.k.a. DJ Kokiの未発表リミックスやトラックを含むミニミックス。今回も当然EDM。2年ほど前までは日本語ラップの(本来の意味での)ミックステープ「Jackin' for beats」シリーズをかなりの頻度でアップしていた彼も、閉鎖的な日本語ラップ界よりもより刺激的な音が溢れるEDMに向かうのは必然か。


【△】Funny Boyz 『Happy?? Lucky?! Funny!! EP』
2013.05.17 / 全6曲19分 / 192kbps / blog
つい2ヶ月前までは中学生だったeightfor708を中心とした関西のグループ(記事にもあるように昨年聖夜に童貞を捨てたトラックメイカーが高校に進学し今度はラップを捨て部活を取ったそう)の初作。SALUやアクロなどのBACHLOGIC制作トラックで固めたミックステープとなる。彼もまたバズーカ!!!の高校生ラップ選手権への強い意気込みを表明しているし、こうした若手が続々と出てくることは本当に素晴らしい。


【○】MOMENT 『Bars from behind bars (mixed by DJ Kazzma)』
2013.05.19 / 全25曲47分 / 320kbps / blog
韓国ソウルで生まれ育ち、その後大阪大学に留学するために来日。現在は兵役義務のため2年間の軍隊生活を送っている韓国人ラッパー・モーメント。これまでに発表した3本のミックステープ(DL先)とJPラップコムから配信発売したミニアルバム、最近のフリーDL単曲を中心としたベストアルバム的な1本。本作収録のmuzi9uestによる新作リミックス4曲をまとめたNoDJ版シングルはここからDL可能。いわゆるスワッグ系のフロウではあるが、母国語の影響からか独特の粘りがある。こうしてまとめて聴くと、M1やM25などリリックでしっかり魅せる曲もあるにはあるが、ありふれた内容(疎外感や承認欲求)が大半で、M18にある"一回も民による変化がなかったのにびっくり"といった外国からの視点で鋭く突く曲をもっと聴きたい。


【○】ABLO 『Wind Up』
2013.05.19 / 全6曲20分 / 320kbps / Twitter
仙台のラッパー・アブロがトラックメイカーBarson Beatzの全面バックアップのもと完成させたミックステープ。意味のある楽曲にしようと真摯に言葉を紡ぐアブロは、その頑張りほどには曲に結実させてはいないものの、真面目さは好感が持てる。それ以上に惹かれ、発見かもとまで思わせてくれるのは温もりのある音を生み出すバーソンビーツだ。


【○】COBO 『4.0』
2013.05.19 / 全9曲26分 / mp3,flac,... / bandcamp
昨年8月の『3.5』(DL先)以来9ヶ月ぶり、5本目となるミックステープ。前作同様にフリーDLでの作品数は増えていくものの、それに見合う評価が得られないことへのいらだちを起爆剤に俺が俺がなラップ1本になっている。呟きを読むとそれは意図したもののようだが、最初の2本にあったユーモアのあるラップは彼にしかない持ち味であり、今のスタイルでは他のラッパーと全く同じことをしているわけでそれは埋没の道でしかない。


【△】SHIDO 『Someday in the Pocket, Memory to the Future』
2013.05.20 / 全12曲46分 / 128kbps / Twitter
トラックメイカー名義の黄昏ビーツとしても先月ミックステープ(DL先)を発表している大阪の22歳のラッパー・シドの約3年ぶりとなる2作目。2010年のBBOY PARK U20 MCバトルの優勝者KOPERUや昨年のBボーイパークでライブを披露した女性ラッパーMC式部らが所属する若手グループTinyTitanBoxの一員でもある。ただ、そうした情報から期待して本作を聴くと酷い目にあうので注意。言葉でビートの隙間を埋めないと不安でいてもたってもいられず、意味のない語彙でヴァースを塞いで自らの首を絞めるニコニコ動画によくいるタイプのラッパーといえる。


【○】TOSI 『TOSI EP VOL.1 "LET SAY!!"』
2013.05.24 / 全6曲22分 / 160kbps / Tumblr
昨年7月からラップを始めて今年頭に早くも1作目のミックステープを発表した神奈川は海老名市の19歳。この半年弱での成長がうかがえる。AKB48を始めとするアイドルブームを支えているのはファンが共有できるその成長ゲームにあって(まあ昔からではあるが)、情報を即時に取り交すことを可能にさせたネットの存在は大きい。PCやネットによって録音や発表の環境が整えられた現在はラッパーにとってもいい時代なのだろう。


【○】DJ Aflow 『Teknology EP』
2013.05.25 / 全5曲17分 / 320kbps / JPRAP.COM
こちらは豊橋在住のジューク/フットワークのトラックメイカー。これまでも海外の様々なジャンルの音がシカゴ発祥のこのビートに生まれ変わるのを聴いてはいたけれど、中島みゆきの歌声までが幾分おとなしいアレンジとはいえチキチキに乗せられるとは面白い。


【○】TKS 『new town』
2013.05.27 / 全11曲41分 / 160,192kbps / blog
いいラッパーだ。京都在住の1988年生まれとのことで、自分のスタイルをすでに見つけている。キャリアが長いと聞けばそうだろうなと納得するし、短いならそれはすごいと驚いてしまうほど(実際は2007年からラップしてるそう)、記名性のあるラップをする。評判になっていないのが不思議なぐらい。でも、CD屋で本作が並び視聴機で聴いたとして、買うかといえば私は微妙だ。いいラッパーではあるし、リリックも工夫を凝らしている、選んでいるトラックのセンスも悪くない、でも私には響いてこない。相性の問題だろう。


【○】CE$, Dekishi & Catarrh 『130327』
2013.05.29 / 1枚ファイル24分 / VBR / SoundCloud
西日本を代表するグライムラッパー4人が3月に発表した30分セッション『MTMTE201302』(DL先)に続き、今回はその中でも日本語グライムの雄ともいうべきデキシとその後輩のカタルナイシンが、大阪のトラックメイカー・セスの繰り出すビートの上で行った一騎打ちセッション。バックで轟く音の力も偉大とはいえ、言葉のみで作り出される圧迫感や切迫感は凄まじく、普段は眠っている内なる暴力性を激しく揺さぶる。


【○】VA 『Spit Stock Vol.2』
2013.05.29 / 全5曲17分 / 320kbps / Twitter
今月中旬に出された『Vol.1』に続いて早くも第2弾。大阪にあるブルーヴェリースタジオに集まる若手──ラドゥやチャクラを始め、MADSのPEPCEE、C-L-CのOOGAWA、ILLNANDESらがDJ Killer Soulの燻されたビートの上で違法行為についてマイクを回す。この不良性もまたヒップホップの魅力のひとつ。


【○】Goku Green 『Puff Puff Pass The Mixtape』
2013.05.30 / 全14曲38分 / 320kbps / Twitter
北海道の17歳ラッパー、ゴク・グリーン。昨年のファーストアルバムを聴いても数本のミックステープを聴いても全くピンと来なかったのに、とうとうここに来ていやいや悪くないじゃん、や、かなり気持ち良いフロウだよと思えるようになってきた。リミックス主体のビートの良さもあるのだろうが、かなりまったりとなれる1本。所属事務所にも知らせず、勝手に出したのも面白い。アルバムをリリースするからこそ、ミックステープを出すのだとは思うけど。彼のクルーNebo Gangの一員であり、本作にも参加しているKianie Jones(先月ミックステープを発表済み[DL先])がこのスキルでまだ13歳だというのもかなり驚きだ。


【○】Sly a.k.a 9llA Soundz 『マンスリーすらいしー5月号』
2013.05.31 / 全5曲17分 / 320kbps / SoundCloud
月末に発表される「マンスリーすらいしー」の今月号は通常のシングルサイズではなく、5曲入りとボリュームがある。兵庫・尼崎のスライのラップは、ヴァースでは爽やかなグルーヴを、フックでは親しみやすさを生み出すが、各号を聴いてもはっきりするようにリリックが弱く、パンチラインに欠ける。また、キュラサウンド名義で制作しているトラック(今回は全曲)は色々な音が鳴り鼓膜を楽しませはするものの、全ての音に同等の心配りをするためか、反対に何を主張したいのか分からなくなっている。ラップも含めて平均の鳴りでは面白くはない。






【○】Scissor Sonz 『StinkySnakes (MC2TE vol.1.5)』
2013.01.23 / 全6曲14分 / 320kbps / Twitter
モーターシティ浜松で音楽レーベルWhatevaMuzikを主宰するBlaqCZAと3rd Y KILLAHによるユニットの新作。最近浮上してきているNICE GUY$やKOITAMAとの絡みでその名前を耳にすることも多く、ブラックCZAはサウンドクラウドにも頻繁にフリーDL曲を上げている。向こうでいえば90年代東海岸の実験性を今も地下深くで継承し、こっちでいえば私の中では池袋のラップに近い印象を受ける。が、そう括ったところで両の手からこぼれ落ちる黒さみたいなものが確実にあって、その秘密のひとつはローファイをうまく作用させ生々しさに転換させているラップの吹き込みにありそう。題名に"vol. 1.5"とあるからにはvol. 1も当然あり、それが昨年10月発表のこちら→『MC2TE』(DL先)。




*********************************
<まとめ>
2010年〜2011年1月〜9月分 Tegetther
2012年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2013年 1月 2月 3月 4月

・「JPRAP.COM presents "The Se7en Deadly Sins"」 →記事(2011.05.26記)
  2010年の主要フリーダウンロードミックステープについてもある程度まとめてある。
・「昨今の国産ヒップホップ・無料DLミックステープ事情」 →記事(2011.09.30記)
  2011年前半の作品に焦点を当てた記事。
・「VA『Fat Bob's ORDER vol.1』」 →記事(2011.10.07記)
  記事の最後に名古屋関連のミックステープのまとめた。
*********************************
2013.05.31 Friday 23:59 | 音楽 | comments(5) | trackbacks(0)
ブレイキング・バッド (シーズン1) 第6〜7話 / Breaking Bad

アメリカのテレビドラマ。『ハンコック』の脚本家ヴィンス・ギリガン企画による犯罪ドラマ。本シリーズでは主演のブライアン・クランストンがエミー賞の部門別主演男優賞を受賞。同賞の編集賞でも栄冠に輝いている。今回は第6話「最凶のワル / Crazy Handful of Nothin'」と第7話「犯罪の境界線 / A-No-Rough-Stuff-Type-Deal」。監督と脚本はそれぞれ前者がブロンウェン・ヒューズとジョージ・マストラス、後者にはティム・ハンターとピーター グールド。2008年3月2日、9日放映。

************************************
末期ガンの化学教師ウォルター・ホワイトは治療費や家族に残す資産を得ようと、元教え子で現麻薬売人のジェシー・ピンクマンと共に"クリスタル・メス"(覚醒剤)を精製。卸し先と揉めたがどうにか解決。ガンのことを家族や親戚に告知し、理解を得られたところで一度止めていた"メス"の"調理"を再びジェシーと始めるが・・・。
************************************

余命十数ヶ月のウォルター・ホワイトは、知り合いとの小口取引で大量のメスを捌こうとするジェシーをどやしつけ、一気に儲けるべく、クレイジー・エイトの後任のトゥコ・サラマンカと交渉するよう指示。が、ヒスパニック系のそのトゥコは狂犬ぶりを発揮し一大事となるのが第6話。

爆発するビルを背にしてスキンヘッドのウォルターが悠然と車に向かうカットから始まる。それは第1話の序盤に通じる演出であり、狭間の回ともいえた第4話5話とは異なり、動の回の幕開きに思えて期待させる。

その予感自体は間違いではない。凶悪なトゥコのおかげでバイオレンス度が増し、また化学の知識を応用し、マスターキートンばりにウォルターが敵の油断を突くという大好きな演出もある。しかし、今回の2話分でシリーズを締めくくるには物語の小ささはやはり否めない。冒頭の爆発シーンがどういうことなのか、それこそ回をまたいで第7話で明らかになるぐらいの、第1話を超えるスケールの大きさが欲しい。

前回少し気になったクレイジー・エイトの処理(ちなみに"ジャム")や、ウォルターの義妹マリーの万引きについての言及もあるシーズン1最終話の第7話は、メスの原材料を手に入れるための奮闘が中心となり、最後はトゥコのヤバさを強調して終わる。

本シリーズは全9話を本来予定していたが、全米脚本家組合ストライキとぶつかったことで7話に短縮されたそうだ。その弊害が後半の失速に繋がっているのかもしれない。というよりも、やはり第1話の掴みが良過ぎたということに尽きるのだろうか。
2013.05.31 Friday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
Sonny Stitt『Sonny Stitt Plays Arrangements From The Pen Of Quincy Jones』

Sonny Stitt / Sonny Stitt Plays Arrangements From The Pen Of Quincy Jones
Label: Roost
Release: 1956

Personnel:
[Sonny Stitt With Quincy Jones Orchestra]
Thad Jones - trumpet (Tr.1-2, 6-7)
Joe Newman - trumpet (Tr.1-2, 6-7)
Jimmy Nottingham - trumpet (Tr.3-5, 8)
Ernie Royal - trumpet (Tr.3-5, 8)
Sonny Stitt - alto sax
Anthony Ortega - alto sax, flute
Seldon Powell - tenor sax
Cecil Payne - baritone sax
Jimmy Cleveland - trombone (Tr.1-2, 6-7)
J.J. Johnson - trombone (Tr.3-5, 8)
Hank Jones - piano
Freddie Green - guitar
Oscar Pettiford - bass
Jo Jones - drums
Quincy Jones - arranged, conductor

Recording Date:
1955.09.30: Tr.3-5, 8
1955.10.17: Tr.1-2, 6-7

Song List:
01. My Funny Valentine
02. Sonny's Bunny
03. Come Rain Or Come Shine / 降っても晴れても
04. Love Walked In
05. If You Could See Me Now
06. Quince
07. Stardust
08. Lover
2013.05.31 Friday 00:00 | ジャズ | comments(0) | trackbacks(0)
ブレイキング・バッド (シーズン1) 第4〜5話 / Breaking Bad

アメリカのテレビドラマ。ウィル・スミス主演の『ハンコック』の脚本を手掛けたヴィンス・ギリガンが企画した人気と高評価を受けているシリーズ。今回はシーズン1の第4話「家族への告知 / Cancer Man」と第5話「ウォルターの選択 / Gray Matter」。監督は4話目がジム・マッケイ、第5話がトリシア・ブロック。どちらもテレビドラマ畑から。脚本はそれぞれ、ギリガンとパティ・リン。放映日は2008年2月17日、24日。

************************************
末期ガンの化学教師ウォルター・ホワイトは治療費や家族に残す資産を得ようと持てる化学知識で、元教え子で現麻薬売人のジェシー・ピンクマンと共に純度99.1%という驚異の"クリスタル・メス"(覚醒剤)の精製に成功する。しかし、クスリの卸しをするクレイジー・エイトとその従弟エミリオを殺害してしまう。どうにか死体の始末に成功したものの・・・。
************************************

死体を"溶かす"ことにどうにか成功した(そういえば、クレイジー・エイトの方はどう処理したのだろう)ふたりは袂を分かつことを決める。第4話はウォルターに重くのしかかる現実、つまり症状が悪化する一方の末期の肺ガンという事実と向き合い苦悩する様子が描かれる。しまいには八つ当たりまでしてしまう(防犯カメラで捉えられていると思うのだけど・・・)。このドラマはいわゆる善人がふとした気の迷い以上の悪いことをちょいちょいしていて(ウォルターの義妹マリーの万引きなど)、残酷描写はもちろんのこと、その点でも本シリーズが日曜の10時台に流れていたことに驚いてしまう。

とはいうものの、狭間の回だ。オープニングでの掴みがあれほど過激で最高だったため、あのテンションで突っ走ることをどうしても期待してしまうわけだけど、さすがに難しいのか、暴力よりも人間ドラマに比重を置く。ただ、シリーズなわけで、山や谷は必要だろうし、そういうものだとも理解してはいる。だからおとなしく、どこかスティーヴン・キングにも似た風貌の主演ブライアン・クランストンの演技を眺め、最後のキレっぷりに快哉を上げはしないけれど、どこにでもいる中年男がずいぶんと変わってきたとひとりごちる。

そういえば、キングは本作を"My Top 20 of 2011"の第1位に選び、"「ブレイキング・バッド」は「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」を超えた。まさにアメリカン・クラシックだ"と評したとか。

しかし、続く第5話もまた繋ぎの回だ。ガンであることを隠してきたウォルターだったが、ついに家族にバレてしまい、妻スカイラーの渋面をとくと拝む回となる。次第に顔面ワンパンももしかしたら許されるのではと思うようになる。まさにミズ・アメリカといった、正義は我にありという面構えと言動は非常にうんざりさせられる。夫を心の底から心配するからこそであるのは分かるものの、どうにもこうにも頑固な時のアメリカという国を体現したかのようなその姿勢は生理的嫌悪しか生まない。一方で、そういう気持ちにさせるほどの演技をするアンナ・ガンという女優は素晴らしい役者であることの証明でもある。

ウォルターが主張する尊厳死か、あるいはスカイラーが望む闘癌かを選択する話となるこの回の最後で再び物語が急浮上するのではないかと明るい気持ちになれるのは、化学教師とその元教え子が再タッグを組むからだ。人間ドラマに徹したこの2話の間、ついに幻覚まで見るようになっているジェシーの行動は相変わらず楽しませてくれる。出来の良い弟の陰の面も含め、細かいところまでよく描けている。また、ウォルターの義弟で麻薬取締局(DEA)の捜査官であるハンク・シュレーダーを演じるディーン・ノリスの無遠慮無神経さを醸し出しつつもその実結構まともな人間であることを分からせる演技も良い。

今シリーズも残すところ2話だ。きっと序盤のテンションを取り戻し、駆け抜けてくれることだろう。
2013.05.30 Thursday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
Clifford Brown-Max Roach Quintet『Brown And Roach Incorporated』

Clifford Brown-Max Roach Quintet / Brown And Roach Incorporated
Label: EmArcy
Release: 1955

Personnel:
Clifford Brown - trumpet (Tr.4, 6 omit)
Harold Land - tenor sax (Tr.2, 4 omit)
Richie Powell - piano
George Morrow - bass
Max Roach - drums

Recording Date:
1954.08.02, LA: Tr.6
1954.08.03, LA: Tr.1-2
1954.08.06, LA: Tr.5
1954.08.10, LA:Tr.3-4, 7

Song List:
01. Sweet Clifford
02. I Don't Stand A Ghost Of A Chance With You
03. Stompin' At The Savoy / サヴォイでストンプ
04. I'll String Along With You
05. Mildama
06. Darn That Dream
07. I Get A Kick Out Of You / 君にこそ心ときめく
2013.05.30 Thursday 00:00 | ジャズ | comments(0) | trackbacks(0)
ブレイキング・バッド (シーズン1) 第1〜3話 / Breaking Bad

アメリカのテレビドラマ。『ハンコック』の脚本家ヴィンス・ギリガンの企画により、2008年から始まり、今年8月シリーズ5をもって終了するという向こうでも人気の犯罪ドラマ。今回はシーズン1の第1話「化学教師ウォルター・ホワイト / Pilot」と第2話「新しい相棒 / Cat's in the Bag...」、第3話「人間の成分 / ...and the Bag's in the River」。3話とも脚本はギリガン、監督には第1話のみギリガンで、他2話はテレビ畑の長いアダム・バーンスタイン。放映日2008年1月20日、27日、2月10日。

************************************
生真面目な高校の化学教師ウォルター・ホワイトは、身重の妻スカイラーと障害のある長男と平穏に暮らしている。しかし、50歳を迎えた直後、末期の肺ガンで余命わずかと宣告される。家族へ残す金は乏しく、その絶望感から自身の化学の知識を利用して"クリスタル・メス"(つまるところ覚醒剤)精製を思いつく。義弟でDEA捜査官のハンク・シュレーダーからその取り締まり現場を見学させてもらった際に、元教え子のジェシー・ピンクマンが街の麻薬売人だけではなく製造にも手を染めていることを知り、一緒に作らないかと話を持ちかける。
************************************

主演は、『リンカーン弁護士』や『ジョン・カーター』『トータル・リコール』『アルゴ』などにも出演している(気づかなかった)ブライアン・クランストン。ディーラーのジェシーを演じるアーロン・ポールは本作後の2009年にリメイク作『ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト』に出演し、少女を襲いその両親に復讐される4人のうちのひとりを演じている(当然思い出せない)。印象的な演技をするクレイジー・エイトことドミンゴ役はマックス・アルシニエガ。

評判を聞き見たいと思い続けていた作品でようやく鑑賞することができた。確かに話に聞いた通りぶっとんだドラマで、これが日曜の夜10時台に放送されたというのだから、アメリカもいい国だ。

高校で化学を教え、放課後は生活費のために洗車場でアルバイトをするウォルター・ホワイトは、50歳過ぎたところで末期ガンを宣告される。妻スカイラーのお腹には新しい子供がいるし、高校生の長男は障害を抱えている。そんな彼が思いつくのが覚醒剤の製造。その時点で日曜10時のドラマとしてどうなんだと思わなくもない。日本なら長らく日曜東芝劇場だった枠(1時間早いが)で、今だと確かガッキーが爽やかに演技しているはずの時間帯だ。クリスチャンにとっても健やかに過ごす1日の終わりに、ドラッグまみれの血まみれ、パンツ一丁で拳銃を持ち荒野に立ち尽くすようなドラマを流しているのだから、何だかんだいっても憎めない国なんだなと思えてくる(今一度トップに貼ったDVDのジャケット写真を参照のこと)。

犯罪とは無縁の平凡な男が泥沼にはまっていく物語自体はコーエン兄弟の諸作品に近い。金がないから自分の知識を総動員する、という発想までは間違っていないが、そこから覚醒剤精製までの飛躍が何とも楽しい。特に1話目のその冒頭。空に舞い上がったスラックスを、白ブリーフ一丁にガスマスクを被った中年男が運転する暴走キャンピングカーが華麗に轢いていく。この印象的なワンシーンをラストで回収する手腕の鮮やかは見事だ。時系列を戻しながらどうしてパン一になる事態に陥ったのか説明されるのだけど、その過程でおそらくこのシリーズを通じて登場する主要人物の説明が的確になされ、かつその説明にも行き過ぎがない。

カメラワークも日本のような性急さがなく、映画のごとく落ち着いる。ロケを中心に、セットにしても製作費をしっかりかけた立派なもので、もちろん脚本もきちっとしているし、演技力も申し分ない(ジェシー演じるポールについては序盤不安に思えるが)。日本のドラマと比較しても仕方ないが、日本産の何が嫌といって、下卑たカメラもそうなのだけど、セット内で演技しているのが丸出しなところだ。とはいってもその代名詞たるNHKの連続テレビ小説の今期の「あまちゃん」は「ちゅらさん」以来久しぶりに見たりしているわけだけど。

そんな横道はさておき、ドラッグでひと儲けしようと企む中年男の話だ。化学の知識を応用し、死体の処理も図るが、相棒の元教え子ジェシーがこれまた今時の若者で噛み合わず、ホラー映画でもなかなかお目にかかれない生々しい凄惨な場面を作り出す。本当に10時台にこれを流したのか?

そんな楽しい掃除風景に出くわすのが第2話となり、そして3話目はコイントスでクレイジー・エイトの始末を割り当てられたウォルターの奮闘を描く。割れた皿の一片のくだりは良い演出だ。また、クレイジー・エイトの父親が経営する家具屋さんの話でふたりが盛り上がり、思い出の共有が図られる。それは囚われた人質を救出する交渉人がまず第一歩として行うという、犯人に対し人質も同じ人間であると認識させ、すぐに凶行に及ばないようにするという手にも似ている。そうして生まれる温かいドラマとその真逆の悲惨さのコミカルな同居が随所に見られ、これは評判になるのも納得だ。

憂いを排除し、ウォルターとジェシーは再び平穏を手にしたように見えるが、しかし残してきた他の証拠品が彼らを追い詰めそうな第4話以降も楽しみなシリーズだ。
2013.05.29 Wednesday 23:58 | 映画 | comments(2) | trackbacks(0)
Lee Konitz-AL1955-Lee Konitz With Warne Marsh(320)借

Lee Konitz / Lee Konitz With Warne Marsh
Label: Atlantic
Release: 1955

Personnel:
Lee Konitz - alt sax
Warne Marsh - tenor sax
Sal Mosca - piano (Tr.2, 4-6, 8)
Ronnie Ball - piano (Tr.7)
Billy Bauer - guitar
Oscar Pettiford - bass
Kenny Clarke - drums

Recording Date: 1955.06

Song List:
01 Topsy
02 There Will Never Be Another You
03 I Can't Get Started / 言いだしかねて
04 Donna Lee
05 Two Not One
06 Don't Squawk
07 Ronnie's Line
08 Backgroud Music
2013.05.29 Wednesday 00:00 | ジャズ | comments(0) | trackbacks(0)
プレミアム・ラッシュ / Premium Rush

69点/100点満点中

ジョセフ・ゴードン=レヴィット主演による2012年のサスペンス自転車アクション。撮影自体は2010年。監督脚本は、「ジュラシック・パーク」シリーズや『ミッション:インポッシブル』『スパイダーマン』『宇宙戦争』などハリウッド大作映画の脚本を長く手掛けてきたデヴィッド・コープ。共演には『レボリューショナリー・ロード』でアカデミー助演男優賞候補となり、『テイク・シェルター』で主演もしているマイケル・シャノン、『ハングオーバー!!』でスチュの婚約者ローレンを演じたジェイミー・チャン、ヴァネッサ役はドミニカ共和国出身女優のダニア・ラミレス。DVDスルー作。しかもTSUTAYA限定レンタル作品。製作費3500万ドル。

************************************
ニューヨークで自転車便として活躍するワイリーは、恋人のヴァネッサとルームシェアし、知り合いでもあるニマから配達を依頼される。いざ目的地に向かおうとすると、謎の男が現れ封筒を渡せと執拗に迫り、さらに車で自転車を猛追。警察署に駆け込んだワイリーは、その男が刑事であることを知る。ワイリーは果たしてニマの依頼を完遂することができるのか。
************************************

(500)日のサマー』『インセプション』『ダークナイト ライジング』『LOOPER/ルーパー』『リンカーン』とすさまじい勢いで話題作に出演し、しかもその作品の質が高いときては、顔良し演技良し性格良し(おそらく)だけではなくセンスも良しと4拍子揃ったジョセフ・ゴードン=レヴィットが主演していながら、日本未公開なのは、まあ見ればわかるけれど、日本では(どうやら舞台となるニューヨークでも)非難の集中砲火を受けているブレーキなしのピスト自転車が大活躍し、警察をきりきり舞いさせ、自転車軍団大勝利に終わる反社会的映画だからだろう。

アホらしい。

車よりも自転車(ママチャリだけど)に長年乗ってきた身としては昨今の自転車への厳しい視線には違和感しかない(雨の日に傘を差して片手運転をしてはいけないというふざけた法律までできている。愚の骨頂)ものの、その一方で車と一緒に走る際や歩行者が多い場所での走行には定められた(一部の)交通ルールを順守する必要があるのは理解しているわけで、本作でのゴードン=レヴィット演じるワイリーのやりすぎ感は確かにある。その交通ルール無視を正当化させるための悪徳警官マンデー(悪人顔マイケル・シャノンが扮する)の出番ともなるのだろう。

仲間からは走行テクはいまいちながら、運転の無謀さ("ブレーキは死")で一目置かれているワイリーが友人から依頼された封筒を巡り、ギャンブルでにっちもさっちもいかなくなった刑事マンデーや、彼の違反運転を取り締まろうとニューヨーク市警自転車隊にも追いかけられ、タイムリミットまでに仕事を完遂できるかという物語になる。

6時過ぎについにワイリーが車と激突し宙を舞いアスファルトに叩き付けられる場面で始まる。時間を次々にさかのぼり事態が明らかになる演出や、視点を変えることで多角的に事件を捉えたり、グーグルマップのような地図ソフトを活用しマンハッタン島での位置関係を分かりやすく伝え、さらにはワイリーの運転能力の高さを証明するべく次に自分がどの方向にハンドルを切れば安全に進行できるか幾通りか考え、その中から最適な道を選ぶ様子などを視覚化するなど、全く新しい演出というわけではないが、ゴードン・レヴィットの短く刈り上げ、溌剌とした気鋭俳優らしさが伴うことでとてもスタイリッシュな映画になっている。

どのぐらいスタントマンが投入され、CG処理がなされているのか分からないが、マンハッタンの通りを疾走する映像は迫力に満ちていることも好印象だ。それと、普段ニューヨークを舞台にした映画で見るのとは違う街の横顔を見せてくれる点も面白い。

ただ、問題はクライマックス。90分弱と短い上映時間とはいえ、さすがに自転車と悪徳警官ひとりの対決では最後に息切れをしてしまう。オチがもう少し大がかりに、あるいは爽快感を伴った終わり方をしていれば間違いなく良作といえる作品になっただろう。
2013.05.28 Tuesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
第66回カンヌ国際映画祭

2013年5月15日から26日にかけて開催された同映画祭の受賞作。

コンペティション部門
審査員長はスティーヴン・スピルバーグ。

<候補作>
オンリー・ゴッド』 (フランス・デンマーク)
『La Vénus à la fourrure』 (フランス)
インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』 (アメリカ)
『ボーグマン』 (オランダ)
『追憶のローマ』 (イタリア・フランス)
恋するリベラーチェ』 (アメリカ)
『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』 (アメリカ)
『17歳』 (フランス)
『アデル、ブルーは熱い色』 (フランス)
藁の楯』 (日本) 三池崇史監督
『そして父になる』 (日本) 是枝裕和監督
『罪の手ざわり』 (中国)
『Grisgris』 (チャド)
『エヴァの告白』 (アメリカ)
『エリ』 (メキシコ)
『ある過去の行方』 (フランス・イタリア・イラン)
『Jimmy P: Psychotherapy of a Plains Indian』 (フランス)
『Michael Kohlhaas』 (フランス・ドイツ)
『Un château en Italie』 (フランス)
『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』 (アメリカ)

パルム・ドール
『アデル、ブルーは熱い色』

名誉パルム・ドール
アデル・エグザルホプロスとレア・セドゥ 『アデル、ブルーは熱い色』

グランプリ
インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌

審査員賞
『そして父になる』

監督賞
アマト・エスカランテ監督 『エリ』

男優賞
ブルース・ダーン 『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』

女優賞
ベレニス・ベジョ 『ある過去の行方』

脚本賞
ジャ・ジャンクー 『罪の手ざわり』

パルム・ドッグ賞
ベイビー・ボーイ 『恋するリベラーチェ


ある視点部門

<候補作>
『ブリングリング』 (アメリカ)
『Omar』 (パレスチナ)
『Death March』 (フィリピン)
『フルートベール駅で』 (アメリカ)
『Les Salauds』 (フランス)
『北(ノルテ) - 歴史の終わり』 (フィリピン)
『As I Lay Dying』 (アメリカ)
『Miele』 (フランス・イタリア)
『L'Inconnu du lac』 (フランス)
『Bends』 (イギリス)
『L'Image manquante』 (カンボジア)
『La Cage dorée』 (メキシコ)
『Anonymous』 (イラン)
『Sarah préfère la course』 (カナダ)
『Grand Central』 (フランス)

ある視点賞
『L'image manquante』

特別審査員賞
『Omar』

監督賞
アラン・ギロディ監督 『L'inconnu du lac』

第1回作品賞
『フルートベール駅で』

ある才能賞
ディエゴ・ケマダ・ディエス 『La jaula de oro』
2013.05.28 Tuesday 23:55 | | comments(0) | trackbacks(0)
Horace Silver Quintet『Horace Silver And The Jazz Messengers』

Horace Silver Quintet / Horace Silver And The Jazz Messengers
Label: Blue Note
Release: 1955

Personnel:
Kenny Dorham - trumpet
Hank Mobley - tenor sax
Horace Silver - piano
Doug Watkins - bass
Art Blakey - drums

Recording Date:
1954.11.13: Tr.1-3, 8
1955.02.06: Tr.4-7

Song List:
01 Room 608
02 Creepin' In
03 Stop Time
04 To Whom It May Concern
05 Hippy
06 The Preacher
07 Hankerin'
08 Doodlin'
2013.05.28 Tuesday 00:00 | ジャズ | comments(0) | trackbacks(0)
Profile
Search This Site
Category
New Entries
Comment


Archives

今日も愚痴り中