2013年9月に発表された国産ヒップホップを中心としたフリーダウンロード・ミックステープをまとめたもの。日本語ラップ専門情報サイト
JPRAP.COMや
2Dcolvicsで紹介された作品からピックアップしている。いつも感謝です。そしてJPラップコム、今まで本当にありがとうございました。お疲れ様でした。
<"これだけ聴いとけ作品"を簡潔に教えてくれというせっかちな人のための3枚>
左は埼玉のソロラッパーhimeshiの2本目となるミックステープ。アンダーグラウンドヒップホップの正しき継承者。真ん中がニコニコ動画を拠点に活動するラッパー。ニコ動で連想するダサさはなく、清々しい真っ直ぐなラップがある。右端は大阪のラップデュオ。ひとりはArt of VibesのKQ。安定の大阪ラップを味わえる。ジャケットをクリックするとDL先に飛びます。
【△】黄猿 『リハビリテーション EP』
2013.09.02 / 全6曲21分 / 320kbps /
blog
MCバトルで鳴らした東京出身のソロラッパー黄猿の今年2枚目となるミックステープ(1枚目は
ここからDL可)。全曲SIMI LABのOMSBが無料配信しているビートから。先月の
BBOY PARKで見たときも杖を片手にパフォーマンスしていたが、題名やジャケットの意味はM4に詳しい。2007年頃にバトルに参戦しているのを見ていて、対戦しているのにすでに曲になっているようなグルーヴあるフロウに強く惹かれたのを覚えている。だからこうして2013年現在彼が選んだスタイルがどうにも心躍らないラップになってしまっていることにがっかりする。フリースタイラーが大成しないというよい例。
【×】KZK 『23kyoku』
2013.09.03 / 全24曲90分 / 160kbps /
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公開・配信終了。東京・三鷹のソロラッパーでクリエイターだというKZKの作品。まあひどい。ラッパーの卵にひどい言葉はできるだけかけたくないのだけど、ここには今のラップ事情の負の部分が全て詰め込められている。とりあえずラッパーにも音感は大事だし、ビートとは何かと理解する感覚も必要だ。原曲全てに土下座した方がいい。彼の
サウンドクラウドに収録曲の一部が今でも落とせるようになっている。
【○】OMSB 『KITAJIMA "36" SUBLAW Act.2 〜サブロウチャンス〜』
2013.09.03 / 全36曲118分 / flac,mp3,... /
bandcamp
新鋭から中堅どころのラッパーにまでトラックを提供するようになったシミラボのオムスビの新作ビート集。北島シリーズとしては昨年の1作目はもう落とせないけれど、今年6月の『KITAJIMAFIOSO』は
ここでDL可。1作目はそれまで
サウンドクラウドで発表してきた既発曲をまとめたものだったが、最近は以前のようには精力的にアップしていないこともあるのか、未発表ビートが半分を占める。その意味でも、また玉石混淆で宝探しをする感覚で聴けるという意味でも楽しめる1枚。上記した黄猿や、九州のILLBUSTA TRAINとKBN-ぬがコラボして6月に発表した『Bai-u EP』(
DL可)がそうだったようにラップが乗せられると印象が大きく変わり、その魅力を再認識させられるのが彼のビートの面白さでもある。
【○】Green Assassin Dollar 『togetherness ep.』
2013.09.03 / 全8曲9分 / mp3,flac,... /
bandcamp
公開・配信終了。Olive Works所属のNaoto Taguchiの現行プロジェクトであるグリーン・アサシン・ダラーは今月も快調のようで、先月3本のビート集を出したのに、まだまだ行けるようだ。今回はサウンドコラージュを強く意識した音作りになっていて、思わぬ音の断片が挿入され、オッと顔がほころぶも次の瞬間には抜かれたりとなかなか楽しい。
【○】DIZZY×FRANZ SNAKE 『GORAP MAMA+α』
2013.09.03 / 全6曲18分 / mp3,flac,... /
bandcamp
ほぼネットでの活動のみとはいえ新しいビートへの貪欲ぶりから評判を呼んでいるソロラッパーDRO改めDIZZYの6曲入りミックステープ。先月発表した3曲入りの『GORAP』(
DL先)と2曲入りだった『MAMA』を、単曲でフリー配信していたリミックス(M1)を収録したもの。初見はM6だけかな。当人がそれぞれの詳しい説明を書いている(
前者・
後者)ので読みながら聴くとまた楽しい。トラップやゴルジェといった刺激的なビートへの接近や向こうのラッパーのフロウを参考にしたラップもそれはそれで彼の魅力であるのだけど、その一方で、『GORAP』から今回外されたM3のような静かな自分語りに強く惹かれてもいるわけで、是非ふたつの車輪を同時に回していって欲しい。
【○】POLIPPIE BOYZ 『SPICE TASTE E.P』
2013.09.03 / 全8曲25分 / mp3,flac,... /
bandcamp
GEBOやTAQUILACCIも所属するArt of VibesのKQと、三人兄弟で結成したヒップホップグループMAYの長男MANIYAによる大阪発のユニット・ポリッピーボーイズの初音源。どちらがカッキュウでどっちがマミヤか分からないものの、関西弁特有の柔らかさをグルーヴに落とし込んだラップはリリックに意味がなくても笑いはしっかりあり、安定した楽曲が並ぶ。
【○】KAICHOO 『I'M FIRED EP』
2013.09.04 / 全5曲15分 / mp3,flac,... /
bandcamp
千葉県柏市在住のCHAPAHとKAICHOOによるラップデュオGAMEBOYSから会長がソロ作を発表。ARATEXというトラックメイカーが大半の曲を手掛け太いビートを聴かせる(M4だけVOLOの別名義JZA製。そのボロはM5で客演参加)。ラップは極めてオールドスクールなもので和んでしまう。先祖返りと捉えるか時代に付いていけない落伍者と見るかは人それぞれッスうすうす。
【○】E.T 『epic』
2013.09.05 / 全11曲30分 / 320kbps /
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沖縄の3MCグループDERRTYZのE.Tの洋楽リミックスアルバム。サウスを消化したニューヨークのラップを日本語化し、軽やかにスワッグしている。こうやって巧みに日本語でラップしているのを聴くと、日本語によるヒップホップもずいぶんと進化したものだと感慨にふける。後は歌い手がどういう人間なのか伝わるリリックなら申し分ないし、借り物ではなくオリジナルのスタイルを作り上げることができたら立派だ。
【○】sk 『4畳半ディスコ』
2013.09.05 / 全8曲34分 / mp3,flac,... /
bandcamp
上でも紹介しているDIZZYも在籍するK.H.BROTHERSを率いる北海道在住のラッパー兼トラックメイカーskの新作。良作だった1月の『車内恋愛』(
DL先)後に発表した"単発曲等"をまとめたものだそうで、前作もラップ曲よりもメロディのある歌曲が聴きどころだったように、本作でもM4に惹かれるし、M5では気負っていないディジーのラップも含め、メロディも良い塩梅だ。
【○】Green Assassin Dollar 『flipthescript ep.』
2013.09.06 / 全8曲9分 / mp3,flac,... /
bandcamp
公開・配信終了。今月2本目のグリーン・アサシン・ダラー。今回は曲ごとに表情がくるくると変わっていくビート集。
【○】黒猫氏/kuronecoshi 『ねこ死ス EP』
2013.09.06 / 全7曲17分 / mp3,flac,... /
bandcamp
東京のトラックメイカー黒猫氏のビート集。音が鳴った瞬間耳を圧迫する音の重さがすごくいい。そうした重量級なビートで進むだけではなく、繊細さも兼ね備えていて音に景色や色を加えていく。影響元にはテクノ畑の誰かがいるのだろうが、そっちはヒップホップ以上に疎いので分からず。ただ、イヤホンを震わす音圧はそれだけで正義。M1のロングバージョンがあるなら聴きたい、というか浸りたい。
【△】VA 『708FESTIVAL AFTER』
2013.09.08 / 全8曲27分 / 320kbps /
Twitter
7月に行われた"ナオヤフェスティバル"(
DL先)の打ち上げミックステープ。「開場MIX」(
視聴)も制作していたわけで、アフターがあるのも当然か。こうした企画力は賞賛できる。前作トラックに新たに別のラッパーが乗る前半と、終盤ではトラックのリミックスという趣向を取るが、惜しむらくは前作同様に本人たちが楽しんでいるのは分かるが、聴き手までを楽しませるに至っていないこと。前回は気づかなかったけれど、トラックは悪くないかもしれない。原曲のいいとこどりしたM4やM2など分かりやすく乗れる音だ。それとひとつ気になったのは"disじゃないよ あくまで感想文"というM3のフック。感想文だろうが批判は批判だ。
【○】Elsamaria 『Flightplan』
2013.09.08 / 全17曲61分 / 160kbps /
YouTube
東京在住のニコニコ動画ラッパー。一昨年、昨年(
DL先)とコンスタントに作品を発表してきて、今作で3作目となる。全17曲1時間もの長さがあり、ニコ動ラッパー特有の詰め込み方だなとうんざり気味で聴き始めるが、これがなかなかどうして真っ直ぐなラップでスルッと聴き通せてしまう。客演曲となるM11とM12(NIHA-Cはさすがのヴァースを吹き込んでいる)は蛇足で、他にもテーマが似てしまったり、必要もなく自分を卑下するラップなどをなくせば、作品のテーマがよりはっきりと打ち出せたのにと思わないでもないが、それでも押韻だけに拘泥しがちなニコ動ラッパーとは違い、ラップしたいことと豊富な語彙、自分にあったトラックを選択するセンス、魅力的な女性歌手の起用、フックでの歌メロなどどれもポップにまとめていて聴きやすい。
【○】DJ HARAKIRI 『DJ HARAKIRI REMIX COLLECTION』
2013.09.08 / 全14曲53分 / 320kbps /
blog
新潟のトラックメイカーDJハラキリ。同郷のラッパーのLBや宇宙忍者バファリン(
DL先)、OHRAL(
DL先)、舌坊などにトラック提供したりコラボミックステープを制作してきた彼にとっては、昨年のビート集(
DL先)以来となる単独名義作品。今回はこれまで
サウンドクラウドで発表してきた、RHYMESTERやECD、KREVA、SIMI LAB、「野良犬」、TOKONA-Xなどの日本語ラップのリミックス集となる。ラップを邪魔する音ではもちろんないが、特別な魔法を加えているわけでもない。反対に個性を出さないことでラップを主役に仕立てているといえる。でもまあソウルフル仕立てのM9やM11、M13はラップが気に入らなくても楽しめる良さはある。
【○】Genx Beat 『Breaking Through The Clouds』
2013.09.09 / 全5曲13分 / mp3,flac,... /
bandcamp
6月のSUMICO PLUE以来となるネットレーベルBeat Train Recordingsの月刊ビート集企画の第5弾。ゲンクスビーツの詳細は不明だが東京のトラックメイカーとのこと。ミックスやマスタリングなどにも
一家言ある彼らしくとても整理されたビートが奏でられているが、有り体に書けばだからどうしたと思ってしまうような引っ掛かりのない音で面白味に乏しい。
【○】VA 『REV TAPE VOL.2』
2013.09.11 / 全12曲42分 / mp3,flac,... /
bandcamp
本作の発表をもって国産ヒップホップのフリーダウンロードブームを力強く前進させていたJPラップコムが更新を止め、月末にはHPも閉鎖されるという。benzeezyさん、本当にお疲れ様でした。そして特大級の感謝を捧げます。昨年の同月同日に発表された『VOL.1』(
DL先)に続く第2弾で、彼がお勧めする青田買いラッパーが収録されているわけだけど、前作よりもより今風なラップを揃えてきた印象がある(上記したE.Tのようなスタイル)。もちろん古き良きマイクリレーを味わえるヒップホップグループCBS(
DL先)のようなスタイルもあるので一概にはいえないが、そういう意味では前作ほどの興奮は得られない。初めて聴くbabyface LYNUSや、これまでも単発でフリーDL曲を発表してきたSOCCERBOY、ベンジージーさんが一押ししている高校生ラッパーのdodoらのラップは流行とはまた別のスタイルを身につけている。
【○】VA 『idler records sampler』
2013.09.11 / 全8曲27分 / 320kbps /
HP
ニコ動ラッパー
たちが設立したネットレーベルの自己紹介コンピ。ニコ動という括りは分かりやすいが、ここで提示されているラップスタイルを聴く限りではもはや意味がないのかもしれない。本作で内向きの受けだけを狙い聴き苦しいのはM4だけなのだから。
【△】ONE 『Time Will Tell』
2013.09.13 / 全6曲21分 / 192kbps /
blog
公開・配信終了。ソロラッパーのミックステープ。詳細不明のラッパーだが、本作発表の9月13日は2Pacの命日だとかで、彼のビートを使ったリミックス作となる。しっかり前を向いた声質は悪くないのに、フリースタイルでラップしているのかリリックに詩的な面白さがなく(時折挿入されるひとり語りは恥ずかし面白いが)、ただ起きたことや思いついたことを言葉多めで、節をつけて説明しているだけ。端的にいえば、パンチライン不足。
【△】asaco 『Don't Wanna Say Goodbye E.P』
2013.09.13 / 全9曲30分 / 320kbps /
ニコニコ動画
MC名から女性かと思ったら男の声で驚く。それはともかくポップであろうとするスタイルは上で気に入った同じニコ動出身のエルザマリアと大きな差があるとは思えないが(技術的にはビートへの乗り方のぎこちなさなど、アサコが明らかに劣る)、本作は壊滅的にダサい。さんピン前後から降神などが出てくるまでのラップに顕著な、韻を踏むだけの中身のないリリックやフロウだからだろうか。まあニコ動ラッパーとの価値観の違いなのだろう。
【△】さよなら窓際童貞 『夜中のマック 修正版』
2013.09.13 / 全14曲35分 / 256,320kbps /
Twitter
"ソウルブラザー"を自認する北海道在住のふたりのラッパー、R'sと大村コウヘイによるユニット。好きな表現形式で思うところを自由に発散できるのがインディーズの意義なわけで、他人にどう思われようと好きに突き進めばいいのだろう。誰に迷惑かけているわけでもない。聴いたあなたが悪い。M7で才能を無駄使いさせているAJUという女性歌手は気になった。
【○】abelest 『宇宙がでてきそうな音楽』
2013.09.14 / 全7曲19分 / VBR /
YouTube
福岡の新鋭アベレストがついに始動。トラックメイカー兼ラッパーであり、映像や絵画もこなす才人で、一風変わった音を作り上げる。九州らしいともいえるが、確かにleeにも似た独特の世界観がある。MUD GRAYMENの一員としても2011年にミックステープを発表している(現在
視聴のみ)。今年7月発表のおならBOOさんのコンピ(
DL先)で彼らの新曲を聴くことができる。ともかく本作M3を聴けばその才能を実感できる。
【○】SheepHorse 『馬と羊の説明書』
2013.09.14 / 全14曲48分 / 192kbps /
SoundCloud
昨年6月の『Beat Jackin's』(
DL先。右欄)以来となる大阪のラップデュオ・シープホースの2枚目。K.H.ブラザーズとのコラボ曲以外は邦楽トラックを拝借するスタイルは変わらずで、NYKとRAZUのソロ曲が増加した。前作はラップ好きなのは理解できるも、素人に毛が生えた程度だったが、本作では幾分上達し、時々惹かれるライミングすらある。前半の説教臭さが気になるところ(その後ゲームの話で和ませようとはするが)。でもまあ大阪の"イキってない"青年たちの心情が全体を通してよく表れた作品といえるのかもしれない。収録されなかったがNYKのソロ「空気の読めるカラスだこと」(
DL先)も楽しい曲だった。
【○】HEADING BOYS 『HEADING BOYS REMIXES』
2013.09.14 / 全5曲24分 / mp3,flac,... /
bandcamp
仙台の3MC1DJのヒップホップグループ、ヘディング・ボーイズが昨年リリースした4枚の配信シングルを彼らの曲にこれまでスクラッチで参加してきた同郷のDJ KENCHYが全面リミックス。原曲を未聴なので聴き比べようもないが、クラブ育ちらしいラップと賑やかで見得を決めた夜を想像させるビートがよく調和が取れ、東京でいえばICE DYNASTYが持っていたヒップホップ的アーバンな印象を抱かせる。各インストも収録。
【○】村上ヒデキ 『next stage vol.1 + changing'13』
2013.09.14 / 全16曲42分 / 320kbps /
ニコニコ動画
ニコ動で活躍するトラックメイカーのビート集。昨年5月に「showcase」シリーズ4枚の総括盤(
DL先)を聴いたことがあったが、以降もシリーズは続き、今年3月のVol.6をもって一度引退を宣言したそうだ。本作は復帰作となる。またうんざりする出来のビートを聴かされるのだろうと思ったら、EDMらしき曲群を抜けた中盤からは、画一化されたぬるいビートはさておき、意外に聴けるものだったのは良かった。
【△】村上ヒデキ 『showtime vol.2 COLORS』
2013.09.16 / 全20曲59分 / 320kbps /
ニコニコ動画
こちらは村上制作トラックにニコ動ラッパーが乗ったもの。らっぷびとを始め、ill.bellや嘯、オンレイ、SHIDO、スティ、HENTAI☆BEATSと私でも名前を見たことがあるラッパーが参加している。が、所詮ニコ動ラッパーだ。
【○】CLIP CRHYMERZ 『Growth Music -REMIX-』
2013.09.15 / 全13曲40分 / 320kbps /
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福岡の2MC1DJのグループ、クリップ・クライマーズが今年4月ごろからコンスタントに発表している洋楽トラックを使ったリミックス曲をまとめたの。10年前にはEMIからデビューしたこともあるそうだ。挫折にも負けず今もこうして地道に活動を続けていることは賞賛に値するが、原曲の良さを生かしただけの工夫のないリミックスでしかなく、これなら英語でラップの意味が通じずともオリジナルを聴く。
【○】VA 『Gallery:MP3Player』
2013.09.16 / 全8曲39分 / 320kbps /
Twitter
project:party企画(説明は
ここ参照)によるBishopsというアーティストの絵(画像)とミュージシャンのコラボ。フリーDL界隈で人気のDJ USYNやDJ AMAYA(オリジナルなのに珍しく快調に飛ばしてる)、まだ10代ながら期待を集めるHerrokkinらが参加。基本はダンストラックなのだけど、日本語ラップ勢としてはLow High Who?から昨年ミックステープ(
DL先)を配信したCHEMICAL REACTIONが顔を出す(英語ラップだけど)。注目はヒップホップともつかず離れずの兄弟ユニットThe LASTTRAK。tofubeatsの「水星」をはちゃめちゃに踊らせる。
【○】Green Assassin Dollar 『equipoise bside lp.』
2013.09.16 / 全12曲15分 / mp3,flac,... /
bandcamp
公開・配信終了。今月3本目。題名の"equipoise"は"均衡・平衡"を意味するそう。それがどう関係するのかは分からないが、今までで一番明るい音に溢れている仕上がり。聴きやすいともいう。そういえばアートワークもカラフルだ。
【○】DIZZY 『Radioactivity Flow』
2013.09.17 / 全5曲14分 / wav /
Twitter
DIZZYも今月2本目。基本は既存トラックを利用したリミックス集で、M5だけ2曲入りの無料配信シングル『電波少年.zip EP』(
DL先)が初出。プロデュースはここ最近コラボが増えているFRANZ SNAKE。強気姿勢な曲が続くので、表題曲を選びそうなところだけど、敢えてある意味"純な"ラブソングのこちらを選択したのは興味深い。M5は私にとっても好きな路線で嬉しい。M1とM3は直前にフリーDLされたので、M5と合わせてラップ・ジーニアス乗りの解説記事が
アップされている。
【○】tofubeats 『lost decade remixes』
2013.09.19 / 全15曲91分 / 320kbps /
HP
神戸在住の現役大学生トラックメイカー・トーフビーツが11月にメジャーデビューするのを前に、okadadaやOsamu Ansai、PARKGOLF、同級生thamesbeatなど盟友たちが4月にリリースされたファーストフルアルバムをリミックス。発表直後はM11が大いに話題になったが、じっくり聴くとどのリミックスも各々の個性を生かした音を鳴らしていて、彼の旅立ちに華やかな祝福を送る。
【○】illuminative waves 『metsän eläimet』
2013.09.19 / 全10曲43分 / mp3,flac,... /
bandcamp
7月号でも紹介しているポップス。その時はまだ5曲分しか発表されていなかったのだけど、M2、M4、M6〜8と新たに計5曲が加わり、曲順も変更され全10曲の完成品として改めて公開された。以前にも書いた良質なポップスぶりは少しも損なわれておらず、森の中で音や不思議な動物たちと戯れる時間がグッと増え、幸福な時間を満喫できる。
【○】WARUSHI 『One day at a time』
2013.09.20 / 全12曲37分 / 320kbps /
blog
大阪のトラックメイカー兼ラッパー・ワルシのサードアルバム。昨年11月の1作目と今年6月のセカンド『He:art』を低額とはいえ販売してきた彼が、3枚目と位置付けた本作は無料で配信。ミックステープとしては2月の『in bloom』以来で通算6本目。彼はずいぶんとラッパー然としてきた印象を抱く。大阪で暮らすヒップホップ好きの青年の日々の思いや生活をそのまま言葉にするリリックが彼の特色だと思っていたが、作品を重ねライブをこなすことで、ヒップホップ・コミュニティにいるという強い自覚が目覚めたのかもしれない。その是非は聴き手の好み次第だろうが、曲が進むごとに次第に以前の素直そうな青年の面影が表れてくるのは面白い。
【○】abelest 『An egg too warmed (2008〜2011)』
2013.09.21 / 全9曲23分 / mp3,flac,... /
bandcamp
ここに来て精力的に作品を発表し始めた福岡のトラックメイカー兼ラッパー・アベレストの今月2本目。題名にもあるように、2008年から2011年にかけて制作したビートに、Meisoのリミックス2曲と自作ラップ曲のリミックスの計3曲が冒頭に追加されている。身の回りの音をサンプリングしたトラックは見慣れた音だったはずなのに彼の手にかかるとどこか歪ででもキャッチーという風変わりな趣を宿すことになる。
【○】VA 『FingΔtipS #3』
2013.09.24 / 全14曲44分 / mp3,flac,... /
bandcamp
岐阜で開催される同名イベントに出演する東海のトラックメイカーたちによるビート集。毎回1枚のアルバムを素材に競作する趣向をとり、5月の第1弾(
DL先)はBob James『ONE』、7月の前作(
DL先)ではMarvin Gaye『Trouble Man』、今回は1974年発表のCurtis Mayfield『Super Fly』。メンツはReezy"B"やDJ MOTIVEといった不動のメンツはそのままに、注目ラッパーCampanellaとも活動していたRAMZAが加わる。
【○】nOKS(n0K5) 『MELANCHOLIA』
2013.09.25 / 全12曲24分 / mp3,flac,... /
bandcamp
Zeebraも所属する年末のコミックバンド・カイキゲッショクではプログラミングを担当するというノックス。Budamunkやjjj、Olive Oil、16FLIPといった、あの手ねで括られる"良質"な既存ビートの上で、ラッパーは粗野で語彙も足らず幼さの象徴でなければいけないという強迫観念でもあるのか、いかにもなラップを恥ずかしげもなく乗せる。どちらかといえば歌メロの方に才がある。
【○】Green Assassin Dollar 『Equipoise A-side Lp.』
2013.09.25 / 全12曲15分 / mp3,flac,... /
bandcamp
公開・配信終了。先にBサイドが発表された"平衡"LPのA面。ともかく今月4本目。"hater"(
視聴のみ可)や"killer point"など不穏な曲名が付けられていても音自体は上のBサイドと同じく華やかなもので、耳馴染みもよく聴きやすい。
【○】Green Assassin Dollar 『GAD's "Human" LostTapes VOL.1』
2013.09.25 / 1枚ファイル13分 / wav /
SoundCloud
公開・配信終了。どういう経緯ものかは不明だが、和っぽい音色を生かしたビートから切り刻んだもの、ピアノのきれいな旋律と声ネタを絡ませたり、よれたビートなど、これまで通りの彼らしい音が並ぶ。
【×】EVIlkid 『Return to the subway』
2013.09.27 / 全12曲41分 / 320kbps /
Twitter
イーヴルキッドではなくエヴィルキッドと読むラッパーの初作。曲順が不明な点で"△"(指摘されTwで
明かしてる)。ラップ技術に救いがない点で"×"。デフォルメしたギャングスタラップを当人は面白いと思っているのだろうが、例えばT.O.Pのそれは確かな技術があるからこそ通用するわけで、ただ荒唐無稽な内容にすれば笑えるものではない。トラックは彼にはもったいない。一応
PV。聴くとどんな人相なのか気になると思うので。
【◎】himeshi 『mode pacemake』
2013.09.27 / 全12曲33分 / 160kbps /
SoundCloud
埼玉のソロラッパー・ヒメシの2枚目のミックステープ。昨年4月の前作(
DL先)も素晴らしかったが、今回も良作。ここ数作まずいラップを聴かされていたこともあり、巧いラップで得られる安心感がものすごい。先のミックステープでも影響のほどをうかがえたTAK THE CODONAは今回も感じられる。今も言葉を研ぎ澄ませ、フロウを練り、ポップの端を渡り歩くスタイルが生き残っていることは嬉しい。終盤でスワッグな今のスタイルをのぞかせる辺りも、流行のラップだって簡単なんだぜって自負が見え隠れしてかっこいい。今回は外国のクラブ系のトラックに乗せているようで、私は完璧に門外漢なのだけど、そういう耳を持っている人も楽しめるかもしれない。
【○】DIZZY 『Nakid』
2013.09.27 / 全6曲15分 / mp3,flac,... /
bandcamp
公開・配信終了。彼にChief Keef再評価の波が来ているのか、シカゴゲトーな暴力的かつ刹那的なビートを採用し、バインバインの物真似までしている。そんな中で感傷的ともいえるM4やM6のラップにやはり惹かれてしまう。自身の弱さをはっきりと打ち出す時の彼のリリックは、例え荒い語彙があったとしても、非常に詩的だ。
【○】abelest 『元気がでてきそうな音楽』
2013.09.28 / 全8曲20分 / mp3,flac,... /
bandcamp
福岡のアベレストの3本目。矢継ぎ早に発表しているのは来月末にアルバムを、いきなり2枚も、リリースするからで(販売は彼の
HPからのみ)、それぞれ題名が『宇宙がでてくる音楽』と『元気がでてくる音楽』。で、ミックステープが『宇宙がでてきそうな音楽』と『元気がでてきそうな音楽』。元気が出てきそうなこちらの方はラップ曲とインストのバランスが良く、客演やトラック提供曲もあったりで、上の2枚より耳に馴染みやすいかも。
【○】MOMENT 『The Game Waits Me Vol.2』
2013.09.30 / 全13曲44分 / 160kbps /
YouTube
現在2年間の兵役に就いている韓国人ラッパー・モーメントが休暇を利用して制作したミックステープの第2弾。日本語と英語を織り交ぜてフロウ重視のラップを特徴とする。彼はミックステープを発表するごとに評価を高めてはいるのだけど、私はイマイチ乗れなくて、それはVERBALのラップが巧いとする意見に与したくないのと同じだ。内容がなくても聴かせてしまうバーバルの流暢さを称賛する向きには彼のラップも気に入るだろう(彼の方がより政治的だったり、感情をしっかり乗せてはいるが)。今回は日之内エミも参加していて、妙なところで符合する。北海道の中学生ラッパーKianie Jonesも客演していて(そういえば新作ミックステープはどうなったのだろう)、彼の早熟ぶりを確認するために聴くのも良いかもしれない。
【○】SOHCH×HISANOVA 『東京漂流記』
2013.08.01 / 全7曲30分 / mp3,flac,... /
bandcamp
ちょうど2年前の『Cinematic Life』(現在は
販売のみ)以来となるミックステープ。彼はThe Life Penciled Crewとしても以前活躍し、活動歴は結構長そうだ。今回は音をHISANOVAというトラックメイカーに一任している。クレバ直系のラップスタイルは伝えたいテーマを適切な言葉で耳にしっかり残るように繰り出され、嫌味なくポップをやれる才能もあるし、もう少し評価と認知がされてもいいラッパーのひとりだ。
【○】waniwave 『没』
2013.07.14 / 全10曲42分 / mp3,flac,... /
bandcamp
LHW?所属のラッパー兼トラックメイカーのワニウエイブの2本目となるミックステープ(今回はビート集)。題名から推測するに、7月3日にリリースしたファーストアルバムから漏れたトラックなのだろう。曲名がその理由になっていて面白い。彼は個性的なリリックをラップしてナンボと思っていたが、こうして音だけ聴いていると、これはこれでなかなか乙なものがある。
【△】bear cub 『Free Throw』
2013.05.30 / 全16曲60分 / mp3,flac,... /
bandcamp
Tongeeとトラックメイクも行うRikinishによる大阪・加古川出身のラップデュオ。おそらくまだ十代のふたりなのだろうけど、英語を話せないのに英単語だけらしく発音する今時のラップとフリースタイルそのままな中身のないリリック、何よりリズムに乗れてなく、これで60分間もあるのは拷問に近い。シンプルなビートはいいと思うのだけど。
【○】Julian Nagano 『お残しは許しまへんで!! 15 min Mix』
2013.03.26 / 全7曲10分 / 256kbps /
blog
日本語、英語、ドイツ語の3ヶ国語を話せるジュリアン・ナガノの久し振りのミックステープ。洋楽トラックの上でサクッと15分でまとめたもの。フリーDLブームの初期から活躍している彼はポテンシャルは高いと思うのだけど、傑作を残せていない不思議な存在のラッパー。本作でもスムースなラップを聴けるが、言葉がそのまま耳からこぼれ落ちてしまう。不思議。
【○】Punkish B 『Beats For Your Verse』
2013.02.06 / 全13曲49分 / mp3,flac,... /
bandcamp
東京在住のトラックメイカー・パンキッシュBの2本目のビート集。昨年3月発表の前作(
DL先)はその骨太具合に好感触だった記憶がある。今作はここあなたのヴァースのために空けてますと題されているぐらいだから、ラップが乗せられて初めて完成するものなのかもしれない。M5やM11、M13(笛も含め)の鍵盤の使い方に非凡なものを感じるが、ただのリスナーが単体で聴くにはいささか単調なのは否めない。
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<まとめ>
2010年〜2011年1月〜9月分
Tegetther
2012年
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2013年
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
・「JPRAP.COM presents "The Se7en Deadly Sins"」 →
記事(2011.05.26記)
2010年の主要フリーダウンロードミックステープについてもある程度まとめてある。
・「昨今の国産ヒップホップ・無料DLミックステープ事情」 →
記事(2011.09.30記)
2011年前半の作品に焦点を当てた記事。
・「VA『Fat Bob's ORDER vol.1』」 →
記事(2011.10.07記)
記事の最後に名古屋関連のミックステープのまとめた。
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