すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
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2021.02.10 Wednesday | - | - | -
無料配信ミックステープ4月号(2014)
国産ヒップホップを中心としたフリーダウンロード・ミックステープの2014年4月発表分一覧。日本語ラップ専門情報サイト2Dcolvicsで紹介された作品を主に取り上げている。



【】1010 『Distription』
2014.04.01 / 全12曲45分 / 320kbps / HP




【】VA 『または私は如何にして心配するのを止めてコンピレーションを愛するようになったか』
2014.04.01 / 全11曲44分 / 320kbps / HP




【】xem 『Untitles』
2014.04.04 / 全15曲32分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】レイト 『週刊R』
2014.04.05 / 全5曲17分 / 160kbps / Twitter




【】ILLTHEESSENCE 『Yagal EP』
2014.04.09 / 全9曲16分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】LADMAN 『Ashy Town Blues』
2014.04.10 / 全7曲24分 / 160kbps / audiomack




【】DJ6月 『音源集2』
2014.04.11 / 全7曲29分 / 320kbps / HP
配信終了。



【】haikarahakuti 『CITY EP』
2014.04.11 / 全5曲27分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】AkAchAkA 『天空|3EΔT$ Vol.1』
2014.04.13 / 全6曲18分 / 320kbps / Twitter
配信終了。



【】White Wood 『Enter the W.W yuta Remix』
2014.04.14 / 全6曲25分 / 320kbps / YouTube




【】katafuta 『Dark Ritual』
2014.04.16 / 全10曲32分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】kyoh3i & DJ ATSUSHI 『LIFE IS GOOD Vol.1.5: Unreleased』
2014.04.17 / 全9曲26分 / 320kbps / blog




【】Ryuei Kotoge 『Collaborations』
2014.04.24 / 全7曲分 / mp3,flac,... / bandcamp
無料配信終了。



【】tokomanonka 『room for wrist』
2014.04.30 / 全5曲13分 / 320kbps / SoundCloud
artwork by rinoko thanks.





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<まとめ>
2010年〜2011年1月〜9月分 Tegetther
2012年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2013年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2014年 1月 2月 3月

・「JPRAP.COM presents "The Se7en Deadly Sins"」 →記事(2011.05.26記)
  2010年の主要フリーダウンロードミックステープについてもある程度まとめてある。
・「昨今の国産ヒップホップ・無料DLミックステープ事情」 →記事(2011.09.30記)
  2011年前半の作品に焦点を当てた記事。
・「VA『Fat Bob's ORDER vol.1』」 →記事(2011.10.07記)
  記事の最後に名古屋関連のミックステープをまとめた。
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2014.04.30 Wednesday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
Triune Gods(志人)@Gallery Common(原宿)

ラップデュオ降神の志人と、アメリカはフロリダを拠点に活動するラッパーbluebird、そしてカナダ・モントリオール出身のトラックメイカーScott Da Rosの3人で結成されたグループTriune Godsが、23日にリリースしたアルバム『≠ Three Cornered World』を引っ提げて行われる日本ツアーのオープニングイベントが原宿のギャラリーで開催されたので行ってきた。

前作に引き続き彼らのジャケットを担当している米ブルックリン在住の日本人画家Hiro Kurataや、ツアーに同行するカナダ人ラッパーThesis Sahib(James Kirkpatrick名義で)、それと降神が所属するTempleATSの作品でもお馴染み戸田真樹らの絵が特別展示としてギャラリーには飾られていた。



【Thesis Sahib】 16:37〜17:04

まずは"ロンドン・ヒップホップのオールドスクーラー"との志人の紹介で始まる。セシス・サヒブは志人が2011年モントリオールで現地ミュージシャンとレコーディングしたセカンドアルバム『Zymolytic Human 〜発酵人間〜』にも参加していたラッパーだ。"ロンドン"はモントリオールの東に列車で6時間ほどのところにある街の名前で、PVも作られた「一物全体 〜輪廻転生・生命流転〜」(YouTube)で1分50秒過ぎぐらいから登場するのが彼となる。ちなみに、ブルーバードもこの曲に客演していて、2分45秒過ぎでラップしている。

自作の絵と共に展示されていたブリキのおもちゃを改造した楽器でピコピコとした音を出し、まずはビートをその場で作り始める。ユニークといえばユニークだ。続いて披露したラップは白人特有のポップでとても耳馴染みの良いリズミカルなフロウ。ギャラリー(2階にある)前の中庭で行われるイベントのため、周囲の喫茶店や美容院に配慮して音を若干おとなしめにせざるを得ず、そのやや貧弱な音環境が影響するのかラップの迫力が今ひとつだ。もっと大きな音で聴いてみたい。

上の写真は、この曲のためにかぶったマスクで口が塞がれて、決め台詞"パンチ・ボルケーノ"と叫ぶと自然と格闘ゲームの音声のようになるというオモシロな1曲をパフォーマンスしている時の1枚。サービス精神旺盛で、ライブ自体は十分楽しんだ。それ以外でも会場を歩き回りながら笑顔を振りまいていて好人物そうだ。


【Triune Gods】 17:13〜18:01

いよいよトライウン・ゴッズの出番。フロントのふたりのMCはそれぞれ脇にいくつかのエフェクターを乗せた台を配置している。それを早速使い、向かって左に立つ志人が思いっきり低音に声を変換させてメンバーの名前を告げライブスタート。

まずは、新曲「Stacks on Stacks on Stacks on Stacks」のイントロが鳴る。ブルーバードの"What's up Tokyo!"の第一声に続き、"Masa Iku?(マサ、行く?)"の問いかけに、志人は"Yeah"と応じる。呪術的に響く英詞のフックから"円(つぶ)らかなる白雪(しらゆき)に鈴鹿啼く"とファーストヴァースに入っていく志人のそれは非常に和を意識したリリックで、多国籍なグループという面白さがより強調される。

曲の終わりには志人が"遊ぼうぜ〜"と力強く発するなどいつもとは違う印象だ。2曲目はアルバムの冒頭を飾る「No Gods / 皆神」。最後に、"そこに生えているツクシンボウのように美しい"の一節が加えられる。政治や社会に鋭く物申す「鉛筆殺戮」での高速ラップぶりは、その内容も相まって「禁断の惑星」ファンにも十分訴えかけるものだ。アルバムと同じ曲順で庚申信仰とフクロウ話を交えた「庚申 X La Lechuza」へ。

ひと息つきメンバー紹介。モントリオールとフロリダからやってきたふたりを志人がシャウトし、続けて、"I'm from..."とまで告げた瞬間に、ブルーバードがすかさず、"タカダノババ?"と入れて、大いにウケる。

「Kaonashi」では顔を隠すようにマイクを両手で持ちパフォーマンス(下のセットリストの写真)。最初意味が分からず、Jay Zのハンドサインの拡張版かと思ったら、曲名の"顔無し"にかかっているようだ。志人はマイクにリバーブ系のエフェクトを強くかけ、音源よりもさらに題目のようになっている。ざらついた質感のエフェクトをかけて披露される「Jitensha Punk」は、これまでの志人からは想像できないBeastie Boysな1曲で面白い。"PUNK"でのコール&レスポンス(YouTube)もあり、うまく機能すると引き出しを増やすことができるというコラボ作業の良さを証明しているようだ。文系ラッパーの最右翼的な存在でもある志人が運動部なパフォーマンスをしているのは本当に新鮮。激しく大きく動くブルーバードに呼応するようにラップスタイルだけではなくステージアクションも大胆になっている。

ただ、曲中で"マザファッキンポリ"なんて志人がラップしているからか、あるいは最高潮に盛り上がったからか(もちろんこっちだろう)、曲の途中で警察が入り口付近に本当にやって来てしまい、主催者側が対応していたようだ。

「Causing Terror」はブルーバードも熱いラップを聴かせるが、志人のヴァースがまあすごい。立て板に水。フックの"仲間は宝だから"をブルーバードは日本語で唱和。曲の最後のところで、"うまくいく奴もいればうまくいかない奴もいる コケたり道からそれたりコケにされたり苔がむしたり"と、フリースタイル気味に人生訓を語る。

冒頭にデスボイスで"誰が気にするんだよ"的なことを志人は警察を意識し英語で呟いてから、アルバムでも最後に置かれた「3 3 3」に向かう。最後のコーラスでは会場のみんなで"らららら"と歌い、メンバーも互いの名前を呼び合い、大団円感が生み出されていく。

"One More"と歓声が飛び、アンコールを待ち望む目が彼らを放さない中、ブルーバードも、"警察は大丈夫だろう"とかいいながら、そのまま前作に収録された「Same Train」。"We are Same Train"というコーラス部を頭に持ってきて、よりメロウになっている。

最後は志人が3人の個展がギャラリーで行われていることを説明し、今日は初めてのライブでしかも野外でやってみたわけだけど、この後10日間ぐらいかけて日本中を回って、最後六本木で行うので、"僕らの成長具合をぜひ見に来てやってください"と締めた。


いいライブだった。前回の日本ツアーは行かずに済ませてしまったので、どんなライブをしているのかこの日見るまで想像できなかったのだけど、上でも書いているようにブルーバードのアグレッシブさが志人によく作用し、エンターテイナーとしての彼の一面を楽しめるものだった。


1.Stacks on Stacks on Stacks on Stacks
2.No Gods / 皆神
3.鉛筆殺戮
4.庚申 X La Lechuza
5.Kaonashi
6.Jitensha Punk
7.Causing Terror
8.3 3 3

アンコール
1.Same Train
2014.04.27 Sunday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
バーニング・ブライト / Burning Bright

71点/100点満点中

映画製作会社ライオンズゲートが作った2010年のトラ映画。ホラー。ヒロインの義理の父役のギャレット・ディラハントは『それでも夜は明ける』で主人公ソロモンを裏切り、金を巻き上げた上に主に密告する貧乏白人アームスビーを演じていた俳優。オープニングでそのディラハントにトラを売るサーカス主に扮するのはロック歌手のビートローフ。

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母を亡くし、自閉症の弟トムをひとりで面倒見るケリー・テイラー。大学進学を控え、トムを養護施設に預けるための銀行預金が義父のジョニーによって引き出されていたことが発覚する。サファリパーク創設を画策するジョニーはその金で目玉となるトラを購入したのだ。大型ハリケーンが接近し雨風が強まる中、水を飲むために1階に降りたケリーはトラが家の中にいることに気づく。
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大型のハリケーンに備え全ての窓を外から板で塞いだ一軒家に、調教のために2週間絶食中のトラが放たれる。外に逃げ出すことができない状況でケリーの死闘が始まる。設定にかなり無理があるキワモノ映画っぽいが、共に長いオープニングクレジットとエンドロールを省くと実質81分間と短いこともあり、意外に楽しんで見られる。

救命ボートでトラと暮らす映画といえば『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』だけど、低予算の本作はそんなお金もかけられず本物のトラを起用している。とはいっても、『ライフ・オブ・パイ』のCGトラも十分精巧な作りだったわけで、本物だから迫力が違うということはない。

自閉症のトムを助けつつ、猛獣から逃げ回るケリーは大変だ。トムは病気だから仕方ないのだけど、自分の気に入らないことがあるとすぐに癇癪を起す。そんな彼を必死に保護しながらどうにかして生き抜こうと奮闘するのだ。時々安っぽさも垣間見せるけれど、トラの攻撃をかわそうと排気ダクトに逃げ込むシーンを始め、次はどうなるという手に汗握る感はよく出ていて健闘している。

終盤に大型冷蔵庫に逃げ込んだ後にもうひと波乱欲しいところだけど、それはさすがに低予算映画に求め過ぎというものだろうか。当然の結果として受ける報いや、ケリーとトムの明るい未来を予感せさせるオチも良く、好感が持てる作品に仕上がっている。
2014.04.27 Sunday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
フリア よみがえり少女 / Dictado

56点/100点満点中

2009年ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した『悲しみのミルク』にプロデューサーのひとりとして携わったアントニオ・チャバリアスが監督・脚本・製作した2012年のスペイン映画。サスペンス。原題の"Dictado"は"書き取り"の意。

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小学校教師ダニエルは同僚で妻のラウラと仲は良好だったが、子供ができずにいた。ある日、幼い頃にひと夏を一緒に過ごしたマリオが突然現われ、"7歳の娘フリアに会ってほしい"とダニエルに懇願する。承諾できずにいると、翌日マリオの自殺が新聞で報じられた。ラウラと共に葬儀に参列したダニエルは、身寄りがなく施設送りとなったフリアと出会う。ラウラのたっての願いで、彼女を一時的に預かることにするが・・・。
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スペイン映画はハズシがないのが通例なのだけど、本作はやや厳しい。アレクサンドル・アジャ監督のデビュー作で、マリオン・コティヤールも出演していた1999年の『フリア』のリメイクとなぜだか思い込んでいたこともあった作品で、ちょっと期待していただけに残念だ。

マリオが娘フリアがつかる湯船に服のまま入り、そのまま手首を切るという衝撃的なシーンで始まる。副題にもあるように、マリオは娘を遠い昔に亡くなった妹クララの甦りと思い込んだのだ。そのフリアをどうしても子供が欲しいダニエルの妻ラウラが引き取ることに。ダニエルも最初のうちはかわいがるが、やがてどこかおかしいと思い始める。やがて長い間封印していた記憶が呼び覚まされる。

母を亡くし父に育てられていたダニエルは、ある夏に父が再婚相手と考えていたルイサと別荘で過ごす。ルイサにも子供がいて、それがマリオとクララだった。同年代のダニエルとマリオはすぐに意気投合する。妹のクララはふたりの後に付いて行き、遊んでもらおうとする。そして事件が起きる。

フリアを『エスター』のような恐ろしい子供とばかり思っていると、そこにはルイサからの英才教育があり、またある程度の年齢になるまで罪悪感を抱き後悔し続けた男ふたりに対しての苛烈な復讐でしかないという種が判明するとそれまでもどうなんだろうと思っていた物語からさらに面白味が失われる。唯一の救いはフリア役の少女がかわいいことぐらい。さすがラテン系。
2014.04.27 Sunday 23:57 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
チャイルドコール 呼声 / Babycall

64点/100点満点中

2011年のノルウェー映画。サイコスリラー。主演は本国版『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』で注目され、『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』『プロメテウス』と順調にキャリアアップしているノオミ・ラパス。製作費250万ノルウェー・クローネ。

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ノルウェーの首都オスロ。夫の暴力から逃れ、保護監視プログラムによって郊外のアパートで暮らし始めたアナと8歳の息子アンデシュ。不安を拭いきれないアナは音声監視モニター・"チャイルドコール(原題は"Babycall"、米国版は"The Monitor"。日本では"ベビーモニター"と呼ばれてるそう)を設置する。ある晩、子供の悲鳴が聞こえ、慌てて息子の部屋に駆け込むが、彼は静かに眠っていた。購入した店の店員ヘルゲに相談すると、別の同一機種との混線ではないかと説明される。
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全体としては悪くないが、オチにもうひと捻り欲しいところ。最愛の息子アンデシュが夫から虐待を受けていたことで、母親のアナは保護プログラムが適用され安全なアパートに移り住んでもなお、子猫を守るために全身の毛を逆立てて威嚇する母猫のように不信感をみなぎらせている。パンクな"ドラゴンタトゥーの女"を演じたナオミ・ラパスが好演している。

しかし、チャイルドコール(赤ん坊と別の部屋にいる母親が子の異変にすぐに気づけるようにしたトランシーバーのような機器)の混線で、同じアパート内で別の虐待事例が進行中なのかもしれないという疑惑が明らかになる辺りから物語はただでさえ神経過敏な母親がさらに危うくなっていく。アンデシュの絵についていた血、ヘルゲが目撃していたのにそのカフェには行っていないと否定するアナ、アナとアンデシュが向き合っているテーブルを望遠レンズで偶然見つけるヘルゲ等々。極めつけはそこにあるはずの湖がない事態。そうなると、混線の悲鳴は虐待されるアンデシュのもので、もしかして過去と繋がっているのかもしれないとまで思えてくる。

アナ自身も対人恐怖症であり、彼女の口から"記憶が現実とは限らない。非現実が見える"と告白されると、物語の前提がますます揺らいでいき、次に何が飛び出すか分からない緊張感が持続することになる。でも、同時にこの時点でやや退屈気味なのも事実ではあるが。

虐待されていた息子、虐待が進行形の家族、遠い過去にあった虐待。その図式は確かに面白くはあるのだけど、最後で全ては"そういうことでした"で済まされてしまうのは何だかもったいない。よくあるスリラー映画で終わってしまう。本作の監督でノルウェー出身のポール・シュレットアウネが2005年に発表した作品『隣人 ネクストドア』(日本公開は昨年)では、"ラース・フォン・トリアー、ニコラス・ウィンディング・レフン、トーマス・アルフレッドソンらに続き、北欧からのサイコ・スリラーの新星"と紹介されている。しかし、その列に並べるには本作を見ただけではやや微妙といわざるを得ない。
2014.04.25 Friday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
BEFORE DAWN ビフォア・ドーン / Before Dawn

53点/100点満点中

日本を含めた世界4ヶ国のゾンビ映画を集めて"ゾンビ・オリンピック"と銘打ち昨年劇場公開されたうちのイギリス代表作(2012年)。わずか45ポンドの製作費で撮ったゾンビ物『コリン』で話題になったマーク・プライス監督が製作総指揮を務め、本作の監督は主演もしたドミニク・ブラント。

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無職の夫アレックスとキャリアウーマンとして順調な妻のメグ。格差婚状態は夫婦仲にも影響を及ぼし、アレックスはその解消にと、子供ふたりを祖母に預け、英国北部のヨークシャーの田舎を夫婦水入らずで旅行することに。その夜、互いに深酒し関係修復もままならない。翌朝ひとりでランニングするメグは大慌てで帰ってくる。血まみれの男に襲われ、足を噛まれたという・・・。
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なかなか良作だったSFスリラー『スモーク』に収録されていた予告編集で見て、『夜明けのゾンビ』のように一風変わったゾンビ物に思えたので手に取ってみたのだけど、確かに冷え込む夫婦仲という人間ドラマを持ち込み、意欲作なのかもしれないが、物語としての発展がない。

ゾンビとなり、人間の肉を欲する妻のために、"君しかいない。君のためなら何でもする"とフラグを立てていた献身的な夫が逃げ込んできた男を妻に与える。これが予告編で気になったのだ。ただ、本作はそれがクライマックスになってしまっている。しかも食事として供するのはひとりだけ。その後にふたりのドラマはどうなるのかが見たかっただけにがっかり感は大きい。

今回のゾンビは赤目の駆け足型で人間を見たらやみくもに追いかけてくる。噛まれたらアウトだけど、人間を食べると普通に戻るとの目撃証言も。携帯電話の電波がほとんど届かない田舎が舞台となるため、ゾンビ化の原因は不明だが、ロンドンを始め世界は終わりらしい。

暴走するゾンビとの追いかけっこシーンは手振れが激しく、臨場感との兼ね合いも確かにあるのだろうが、それに頼り過ぎている点で苦しい。また、ハイライトがきつく、白がずいぶんと飛んでるのも気になるところ。総じて作りが粗い。
2014.04.24 Thursday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
ベルリン・オブ・ザ・デッド / Rammbock

72点/100点満点中

2010年のドイツ映画。表題通りゾンビ物。61分の中編。DVDスルー作。原題は"破城槌"の意らしい。確かにそんな場面がある。

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別れた恋人ガビーとよりを戻そうと、ウィーンからベルリンにやって来たミヒャエル。アパートの部屋に彼女は不在で、代わりに配管工が部屋を修繕している。ガビーのことを尋ねても返事はなく、時折獣のような叫び声をあげる。部屋を出ようとするミヒャエルだが、突然その配管工は暴れ出し、配管工見習いの少年ハーパーに襲いかかる。ふたりで何とかして彼を外に追いやるが・・・。
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オーストリア人監督マーヴィン・クレンの新作『Blutgletscher』の予告編(YouTube)がなかなかに生々しく好感が持てたので、彼の前作となる本作が気になっていたところ、「パニック系のホラー映画ランキング」というウェブ記事でも紹介されていて、いそいそと借りてみた。

これは良いゾンビ映画。まずはゾンビの生態から。白目の駆け足型。政府がマスコミを通して発表したところによると、正体不明のウィルスが原因となり、噛まれるなどしてできた傷口から感染する。ただ、感染と発症が別なのが本作の面白いところ。興奮状態になりアドレナリンが分泌されると発症する。神経安定剤の服用が推奨される。物音に敏感ですぐに暴走するが、強い光に弱い。

中庭を囲むようにして建てられた4〜5階建てアパートの一室から始まる。前半はゾンビとの陣取りゲームとなり、恋人にフラれた中年男ミヒェルと反抗期の少年ハーパーというそれまで赤の他人だったふたりのバディものでもある。ベルリンがゾンビによって陥落寸前など次第に状況が明らかになっていき、同時にゾンビの習性も観客に分かりやすく伝えられる。

絶望して首をくくった男を見て、天井のフックを利用した装置を思いついたり、豪快な心中方法が描かれたりと、展開や演出でも魅せる。ありあわせの道具を利用するのも良い。60分と短いこともあり、無理に壮大な物語にせず、一般人が災禍に巻き込まれ、どうにか生き延びようとする様子を巧みに映し出す。ある意味で主役のゾンビたちとの攻防もアパートの一室から小さな一部屋に押し込められたり、そこからの打開があったりと派手さはないが、(おそらく)低予算にも関わらず、安っぽさを見せず、退屈もない。一方で最後の逃走劇には何十人もゾンビを用意するなど上手にメリハリを利かせていることも功を奏している。
2014.04.24 Thursday 23:57 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
志人『家の庭』

2013年11月29日リリースのミニアルバム。
/5点中

公式HPや少数の直接流通店舗、あるいはライブ会場で限定数発売された、7インチレコードと同じサイズの"特大サイズジャケット仕様"の紙ジャケの"自主版"。

ジャズピアニストのスガダイロー率いるトリオとコラボした2012年の傑作アルバム『詩種』はわずか2日間での録音だったそうだけど、ジャズではわりと普通のレコーディング方法(今のジャズがどうなのかは知らないが)を今回も採用し、これまで幾度も一緒にステージに立っている女性歌手CHIYORIと彼女が今行動を共にしている男女4人組バンドLOSTRAINSと数度のセッションを重ねた後に、昨年夏に1日で仕上げたほぼ一発録りに近い作品となる。

とても雰囲気のいいアルバムだ。新曲もあるが、例えばM1「円都家族」のような耳に馴染んでいる曲もチヨリが入ることで、これまで何度かライブで彼女がコーラスとして参加しているのを見たけれども、その時以上に彼女がメロディに絡んでいるおかげで新しい魅力を生み出している。ロストレインズも芸達者とまではいわないが、過不足ない演奏で生音特有の温かみを加えている。

未発表音源のM2「天橋立」は、"MrUnderstandのみなみりょうへい氏との合作「天体家族(仮題)」近日発表予定曲からの抜粋"とのこと。続くM3「いざよいうた」にすんなり繋がる『詩種』路線の歌ものだ。『微生物EP』に収録されていた「ボノボの創造」に"インスピレーションを得た"M3「胎内音頭」では、最近の志人がより歌に傾倒するのもむべなるかなと思うほどに朗々とした豊かな声量を堪能できる。ライブでのみ披露され続けている降神の定番曲「return to the children」のフレーズ、"踊ろうよ 全ての命と 望もうよ 壮大な世界を 〜"も使われている。

オリジナルのレゲエのアレンジを変えずに演奏されるM5「心にいつも平和を抱いて 〜No More War〜」を経た、M6「うたかたのうた」が本編のクライマックス。約9分と長い本曲にはチヨリも作詞で積極的に参加し、『詩種』収録の「わとなり」にも出てくるお馴染みのフレーズ、"ムカデにトカゲ 木陰に隠れておしゃべり"が飛び出したりと、まるっきり新しいというわけではないのだけど、静かな始まりから、チヨリの力強くも柔らかさを失わない歌声で徐々に熱を上げ、細かいギターカッティングを背に志人は滑らかに過ぎるライミングを重ねていき、その先のコーラスに躍り出た瞬間パッと視界が開ける。そこから志人の歌はチヨリの援護を受けつつ、上へ上へと螺旋を描きながら上昇していく。この感じ方はこれまでの志人の楽曲にはないものだ。

最後の7曲目「君は太陽」はプロモーションビデオを2曲分収めた2009年の『明晰夢 シリーズvol.1』やその翌年の『ジレンマの角 EP』に付属していた特典CD-Rにデモバージョンとして収録されていた楽曲で、今回はチヨリの歌詞が加わり、人生への肯定感がより強まっている。


ここ数年の志人はネガティブなことを歌わなくなっている。一歩、といわず数歩という印象もあるが、高みから見下ろしてもっと意味のあることを歌い、身近な音や言葉でより遠くまで届けようとしている。本作ではチヨリが参加することで、赤ん坊が女性の言葉に安心感を覚えるように、さらに親しみやすい音楽に着地させている。志人の歌詞なので、自然にライミングしてはいるのだけど、それがラップなのか歌なのかといった境界線はもはや曖昧となり、普遍の"良さ"を獲得しようという努力の結果として、気持ちの良い音楽に仕上がっている。




公式HPや直接流通店で予約分に付いてきた特典CD(blog)。

揺るぎない音楽への求道心は常のライブでも発揮されているので、本編に何か大きな驚き、つまるところ新境地があるかというと、その点ではやや物足りなくもある。その不足を補うのがこの特典だ。チヨリの音源が2曲と、昨年5月に行われたスカダイロー・トリオのドラマー服部正嗣とのセッションライブでの最終曲(「人間復興」に始まり、様々な曲の歌詞が引用されていく)も収録されているが、それ以外のソロ曲がまあすごい。

本作リリース以降にも数回ライブを見ているので、これらの曲を最初に聴いた時の衝撃は薄れつつあるが、それでも"方言"の導入は驚かされる。彼は新宿で生まれ育っているので、今住んでいる東京の外れ・檜原村のものなのか、あるいは独自で作ったものなのかは不明だけど、ここでのイントネーションをライブ中のMCでも使っているのを聴いた時には来るところまで来たという思いにはなった(長く話しているとだんだん普通の口調に戻りはするが)。

L.E.D.が昨年リリースしたセカンドアルバム『in motion』収録の志人客演曲「賽の河原 〜八俣遠呂智の落とし子と鬼八の祟り〜」について、彼はインタビューで、"言葉は恒星シリウスの真南に位置する南極老人星カノープス(wiki)辺りから降って来ました"と話していることからM1「南極老人星」と「賽の河原」は印象はだいぶ違うけれど、兄弟曲なのかもしれない。

M3「ひカらタがカなナ」は曲名からも明らかなように、ひらがなとカタカナのお話。その才気走るリリックは日本語をどこまで自由に使えるのか試みているようでもある。方言フロウをいかんなく発揮させたM4「向こう水」は自給自足にも近い村での生活を詠む。『詩種』で表現したところの"学びの園、雑木林の図書館"で"必然として出会"った哲学なのだろう。


1.志人 「南極老人星」 3"28
2.Simmer Down(LOSTRAINS) + CHIYORI 「DREAM BOYA」 3"04
3.志人 「ひカらタがカなナ」 5"42
4.志人 「向こう水」 3"33
5.CHIYORI with LOSTRAINS 「LOVE & LIGHT 〜Live Version〜」 5"46
6.志人・服部正嗣(スガダイロー・トリオ) 「セッション@富山NewPort (2013.05.29)」 8"06
  (セッションの後半部分がアップされている)
2014.04.23 Wednesday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
レイク・マンゴー 〜アリス・パーマーの最期の3日間〜 / Lake Mungo

81点/100点満点中

2008年のオーストラリア産ホラー。DVDスルー作。TSUTAYA限定レンタル作品。

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2005年12月21日、オーストラリア・メルボルンから西に200キロほどいったビクトリア州アララトに暮らすジェーン・パーマーからダム湖で泳いでいた16歳の娘アリスが行方不明になったと通報が警察に入る。連日の捜索の結果、12月24日に溺死体が引き上げられる。埋葬後の翌年1月頃からパーマー家では不可解な現象が起こり始め、4月には弟マシューの撮った写真に彼女と思しき姿が写っていた。
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本作もまたここ数日鑑賞しているホラー同様に、ウェブ記事「最強に怖いホラー映画トップ20」を参考に手に取った作品。

これは巧い恐怖映画。『REC/レック』や『パラノーマル・アクティビティ』(一般公開は2009年だが、映画祭などでは2007年頃から上映されていた)のヒットを受けての制作だとは思うのだけど、それらで威力を発揮していたPOV方式(主観撮影)を単純に取り入れるのではなく、同じ"フェイク"であっても、事件を追った普通のドキュメンタリー作品により模した作りに徹している。

つまり、亡くなったアリス・パーマーの家族や親族、友人たちへのインタビューや再現動画から成り立つ。そこに、パーマー家で起きる不審な物音を解明しようとカメラを設置したり、携帯電話の動画などのPOV方式の映像を織り込むことで臨場感を生み出す。基本的にはインタビューが中心となることで、とても静かな映画になる。家族がひとりいなくなった喪失感を埋めようとする思いや、母と娘との関係、アリスが行っていた秘密のこと。そういったものが次第に明らかになっていく脚本も見事だ。ホラー映画ではなかなか見ない演出のため、次に何が飛び出すのか予想できず、緊張感を強いられるのも良い。そしてその時になると恐ろしさは凝縮して降りかかってくる。別撮りされていながらも母と娘が交錯するオチにはホラーらしからぬ余情まである。

アリスがマンゴ湖で直面した"死"は超自然なものであり、解釈は観客に委ねられている。それはそういうものとして私は受け止めるが、それ以上に興味を持ったのが"霊"として現れることを、彼女が"本当の自分を知って欲しかった"と家族が受け止めることだ。恨みや不満が根っこにあるのではないと明らかになった時に、それ以外の何かしらの理由付けをすることで怪現象を理解しやすいようにするのは人の知恵だろう。が、人が自分の全てを知ってもらうという考え方が私にはやや傲慢にも思えて、設定自体に違和感というのではなく、西洋人のそうした思考に面白味を覚える。


マンゴ湖のあるマンゴ国立公園は、シドニーから西へ1000キロ、メルボルンの北に位置して、"オーストラリアで初めて世界遺産に登録された国立公園"だそうだ。それと、邦題はいつものように適当だ。『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間』を意識しての"最期の3日間"なのだろうが、21日に行方不明になり24日に発見されたその3日間は物語では全く重要ではない。前年の8月5日に学校行事のキャンプ合宿で訪れたマンゴ湖を起点に、遺体発見の12月末から翌年にかけての出来事が描かれているのだから。
2014.04.22 Tuesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
心霊写真 / ชัตเตอร์ กดติดวิญญาณ

63点/100点満点中

タイで大ヒットしたという2004年のホラー映画。

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友人の結婚式の帰り道、恋人でプロカメラマンのタンを乗せ運転するジェーンは、わき見運転が原因で女性をはねてしまう。動揺するも、タンに指示され、彼女は通報することなく走り去る。数日後、タンが撮った写真に怪しげなモヤが写り、やがてふたりの周囲で異変が起きる。轢き逃げした女性の呪いかと調べるも、当夜そのような事件はなかったことが判明し・・・。
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タイ産ホラーといえば、最近見た中では『ゴースト・フライト407便』というどうしようもないのがあって、恐る恐るという感じではあったのだけど、例のウェブ記事「最強に怖いホラー映画トップ20」に紹介されていただけあって、幾分マシだった。2008年にはハリウッドリメイクされ、怨霊役に奥菜恵が起用され、監督も日本人が担当したそうだ。

タイ産でいえば、2009年の『元カノ 〜憑き纏う女〜』や2010年の『元カノ Death』と同じ趣向で、女性に不義理をした男が祟られる話だ。恐怖の演出も上の2作同様基本に忠実。いきなりの大きな音とふいに現れる不気味なメイクの幽霊。『リング』の貞子をどことなく意識している印象もあるが、まあ世界的に共通の幽霊像だろう。

パラパラ漫画と同じ原理のパラパラ写真で女性がその無念さの理由を伝えようとする演出は面白い。また、最近では珍しい強く陰影をつけた絵柄も良い。タイの湿度まで伝わりそうだ。エンドロールに流れる大昔の恋愛歌が物語のテーマに合っているのもいい。

ただ分からないのは主人公たちを恨みながら亡くなった女性がどうしてこのタイミングで呪いを発動させたかだ。理屈でないから怖いということもあるだろうが、ホラーといえどもそこに原因が欲しいところ。そうした方がより怖さが生まれると思うからだ。大学の研究室に白い影が入っていくのは道理だが、冒頭で夜道に立っていたのは意味不明なわけだ。

もうひとつ。見ながらにしてその国の文化を学べるのが映画のいいところと思っているが、タイでは火葬中に棺が燃えていることを確認させるように炉の扉を開けるのが一般的なのだろうか。気になってしまう。



【追記】2014.04.28
すっかり忘れてたけど、リメイクされた『シャッター』を劇場でわざわざ見ていたようだ。全く記憶になかった。
2014.04.20 Sunday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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