すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
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2021.02.10 Wednesday | - | - | -
無料配信ミックステープ9月号(2014)
国産ヒップホップを中心としたフリーダウンロード・ミックステープの2014年9月発表分一覧。日本語ラップ専門情報サイト2Dcolvicsで紹介された作品を主に取り上げている。



【】Littlescare 『Littlescare in Hawaii -The Summer Sadness from Chofu City 2013-』
2014.09.01 / 1本ファイル37分 / 320kbps / SoundCloud
配信終了。



【】Green Assassin Dollar 『Bonsai Tape.』
2014.09.04 / 全9曲14分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】YH Timothy 『Kinger Than Kingest』
2014.09.06 / 全18曲分 / kbps / datpiff




【】deKoBoko 『Skeleton Crew』
2014.09.07 / 全13曲22分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】YOSHIYA 『#19』
2014.09.08 / 全19曲41分 / 128,192kbps / audiomack




【】10,10,10 『SUPER BEAT TAPE』
2014.09.08 / 全8曲19分 / wav / Twitter




【】DIZZY 『Hash』
2014.09.08 / 全7曲21分 / mp3,flac,... / bandcamp
配信終了。



【】VA 『FUTURE LOUNGE vol2』
2014.09.08 / 全7曲35分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】Cherry Brown 『Out From My Casket (Hosted by DJ HandzInYoPs)』
2014.09.10 / 全24曲80分 / 160,256kbps / audiomack



【】PARTICLE (TOSI & DIAMOND PACK) 『DIALOGUE-EP』
2014.09.10 / 全5曲16分 / 192kbps / audiomack




【】Active & Nahquon 『Remixes 2014』
2014.09.10 / 全9曲23分 / 320kbps / Twitter




【】大村コウヘイ 『オーバードーズ』
2014.09.10 / 全11曲34分 / 192kbps / Twitter




【】GFAP 『Instrumental』
2014.09.11 / 全16曲45分 / mp3,flac,... / bandcamp
配信終了。



【】Green Assassin Dollar 『About Luv(Sic) Issues Beat Tape.』
2014.09.12 / 全15曲24分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】William Willson 『Variations 1』
2014.09.12 / 全7曲17分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】D∀NGER D∀NGER 『D∀NGER D∀NGER EP』
2014.09.15 / 全5曲19分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】Green Assassin Dollar 『TEAM BATTLE MODE//CHRCTR7: Green Assassin Dollar』
2014.09.15 / 全5曲6分 / mp3,flac,... / bandcamp
配信終了。



【】ichiro_ 『Hollow EP』
2014.09.16 / 全8曲23分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】Diamond Familia 『Diamond Histroy』
2014.09.17 / 全6曲19分 / 320kbps / audiomack




【】Arµ-2 『+plas』
2014.09.17 / 全9曲25分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】DIZZY 『ANRI 〜2014〜』
2014.09.18 / 全6曲19分 / 320kbps / SoundCloud
配信終了。



【】addginjahzz 『add files vol.1』
2014.09.18 / 全20曲64分 / 160kbps / Twitter




【】SR 『Tokyo Bitchez 2 〜Pink Tape〜』
2014.09.19 / 全13曲27分 / 128kbps / audiomack




【】A-QUIK 『A.K.A. ZOMBIE』
2014.09.20 / 全9曲34分 / VBR / audiomack




【】EDOWANG 『A BATHING EDO』
2014.09.20 / 全8曲分 / VBR / SoundCloud




【】QR 『IN THE CLOSET 〜INSTANT ACTION 2〜』
2014.09.21 / 全12曲43分 / 320kbps / Twitter




【】宇宙忍者バファリン×カズナントカ 『ZAKURO』
2014.09.22 / 全9曲17分 / 160,320kbps / Twitter




【】FLOAT JAM 『MONORAL-R』
2014.09.23 / 全8曲22分 / 256kbps / SoundCloud




【】あまねでり 『あまねでりFree EP』
2014.09.24 / 全5曲21分 / 320kbps / YouTube




【】SUNNOVA 『Vermilion Eyes[Mix†△P∈]』
2014.09.24 / 全9曲30分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】tajima hal 『Starving In The Room (2011-2013)』
2014.09.25 / 全17曲34分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】虹夢 『人生向上計画』
2014.09.25 / 全14曲50分 / 128,160kbps / Twitter




【】A-QUIK 『#A SYMMETRY』
2014.09.26 / 全7曲29分 / VBR / audiomack




【】VA 『#badhopbox』
2014.09.28 / 全16曲56分 / 320kbps / audiomack




【】NORI Tart 『Black Wagon』
2014.09.30 / 全13曲33分 / 192kbps / Twitter
配信終了。



【】VA 『v.o.c EP』
2014.09.30 / 全17曲62分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】parsec (ペッペBOMB & コーラ) 『PCEP』
2014.09.30 / 全5曲14分 / 320kbps / Twitter




【】FOURD 『Look How Far I Came (hosted by DJ Fourd Nkay)』
2014.09.30 / 全22曲62分 / 320kbps / Twitter






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<まとめ>
2010年〜2011年1月〜9月分 Tegetther
2012年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2013年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2014年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月

・「JPRAP.COM presents "The Se7en Deadly Sins"」 →記事(2011.05.26記)
  2010年の主要フリーダウンロードミックステープについてもある程度まとめてある。
・「昨今の国産ヒップホップ・無料DLミックステープ事情」 →記事(2011.09.30記)
  2011年前半の作品に焦点を当てた記事。
・「VA『Fat Bob's ORDER vol.1』」 →記事(2011.10.07記)
  記事の最後に名古屋関連のミックステープをまとめた。
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2014.09.30 Tuesday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
舟を編む

81点/100点満点中

川の底からこんにちは』の石井裕也監督による2013年の人間ドラマ。主演は松田龍平。ヒロインに宮崎あおい。共演にはオダギリジョー、小林薫、加藤剛、池脇千鶴(オダギリの彼女役なのだけど、クレジット見ても気づかなかった)、黒木華ら。原作は2012年の本屋大賞第1位に輝いた、直木賞作家三浦しをんの同名小説。

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1995年。玄武書房に勤める馬締光也はコミュニケーション能力に乏しく、営業部でも浮いた存在だったが、言葉に対するセンスを買われて辞書編集部に異動となる。老国語学者・松本を監修人とした"今を生きる辞書"『大渡海』の編纂に、定年間近のベテラン編集者・荒木やお調子者の先輩・西岡らと取り組むことに。馬締が辞書作りの魅力に取りつかれ始めた頃、下宿先の早雲荘に大家・タケの孫娘の香具矢(かぐや)が越してきて、ひと目惚れする。
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劇中で紹介されているように三省堂の『大辞林』(本作のヒットを受け当時の担当編集者へのインタビュー記事がある)は22万語を収録し、28年もの歳月をかけて完成した大事業だった。主人公・馬締(読みは"まじめ"で、実在する苗字だそう)が編纂に携わることになる『大渡海』は24万語を目標に言葉集めの地道な作業から始めていく。

企画が1995年に始まるという時期的なことも興味深い。PHSが出回り始め、その年の秋には「Windows 95」が爆発的ヒットを記録し(劇中には出てこないけど)、インターネットが普及し始めた頃だ。それまでも新しい言葉は次々に生まれ、また以前は誤用とされていた語が一般化されるということはもちろんあったろうが、ネットは新語をより爆発的に誕生させたわけで、そんな言葉の海を漕ぎ出すのに必要な舟として編み出された辞書が『大渡海』となる。

特に面白いのは前半だ。対人関係の構築が下手な馬締をユーモアいっぱいに描きつつ、オダギリジョーが生き生きと演じる先輩編集者・西岡を筆頭に個性的な編集部の面々や、下宿先のおばちゃんがいい味を出している。長年にわたり大岡越前を演じたことで有名らしい加藤剛が扮する監修の松本も実にいい顔をし、その声音は非常に魅力的だ。気の長い仕事らしく、映画自体ものんびりと進むため、ヒロイン香具矢の登場が30分過ぎと遅いのだけど、いざ宮崎あおいが出てくれば物語に光が一気に差し込み、馬締の朴念仁ぶりに笑い転げることになる。

いよいよ後半で辞書作りの佳境に入り、一気に12年も飛ぶ。そこからはそれまでのコメディドラマのノリから「プロジェクトX」へと変わる。それはそれでモノづくりの厳しさや面白さがあり、大変な事業を成功させるドラマを楽しめる。ただ、そうなると今度は香具矢の魅力に影が差す。自らの腕で確かな地位を勝ち取ったひとりの社会人と一応演出されているものの、馬締を陰ながら支える内助の功にばかり向かいがちとなる。本作は辞書編纂という大事業に関わる人間のドラマであり、原作ではもっと書き込みがあるのかもしれないが、尺に限界がある映画では他の要素は軸のブレに直結するわけで仕方ないのだと理解しながらも、結局のところ香具矢の役目は"恋"の項目を作るためだけの存在に思えてしまうのだ。端に私が宮崎あおいのファンということも大いにあるが。

でも、季節の移り変わりをセミの鳴く音だけでさらっと描写したり、企画の廃止を主張する局長と交換条件として交わした様々な事典を実は並行して作っていたことを編集部に貼られたポスター(スウィーツ事典)で何気なく表現したりと、原作は未読なのだけど、そこにある様々なエピソードをうまくまとめているのだろう。それに非常に地味な作業を積み重ね、長い歳月をかけて完成させるプロジェクトを真摯にやり取げる物語はなんだかんだいって面白いし、前半のコメディ要素は目を見張るわけで、ヒットしたのもよく分かる。


"恋"は、手元の角川の古い辞書で、"男と女のあいだで、相手のことが好きになり、いつもいっしょにいたい、独りじめにしたいと激しく思う気持ち。恋愛。"とある。偶然にも1995年の辞書だ。今では、というよりも当時だって誤りだったろう。劇中の『大渡海』では"ある人を好きになってしまい、寝ても覚めてもその人が頭から離れず、他のことが手に付かなくなり、身悶えしたくなるような心の状態。成就すれば、天にものぼる気持ちになる。"となり、まさに"今を生きる辞書"なのだろう。ちなみに、私のこの辞書で"右"は、"南を向いたとき西にあたるほう。また、そちら側の手や足。"とある。なお、"ダサい"はなかった。
2014.09.29 Monday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
貞子3D2

65点/100点満点中

2012年の『貞子3D』の続編となる2013年のホラー映画。「リング」シリーズとしては6作目。監督は前作からの続投。共同脚本に『ラビット・ホラー3D』『戦慄迷宮3D』の保坂大輔。主演は同年の『風立ちぬ』でヒロインの声を担当した瀧本美織。共演に仮面ライダー出身の瀬戸康史と山本裕典ら。当然2Dで鑑賞。

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"呪いの動画"事件に巻き込まれた安藤孝則と鮎川茜に娘の凪が生まれるが、茜は出産後に亡くなる。5年の月日が流れ、孝則は娘の世話を妹・楓子に任せっきりにしている。"呪いの動画"事件が再び発生し始める。楓子は凪の言動に不信感を抱き、自ら調べ始める。5年前の事件の首謀者で死刑囚・柏田清司に面会、貞子とその子供について聞かされる。一方、垣内刑事もまた小磯元刑事から事件の手掛かりを得て、凪に疑いの目を向ける。
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前作は結局ブログ記事にはしなかったが、見てはいる。でも25点と相当に低く、感想も貞子の造型がカマドウマみたいだったのが良かったとメモにあるだけで、内容はさっぱり覚えていないけれど、怖くなかったのだけは記憶にある。そんな作品の続編に何ら期待などないわけだが、かつてあれだけ怖くて日本のホラーここにありと思った「リング」シリーズの最新作であり、貞子ブランドを汚すだけと悪態つきながらも、それでも一応は見ておこうとなるのは、まんまとその術中にハマっているのだろう。

でも、今回は意外に悪くない。お話そのものは陳腐(無残に殺された貞子の"怨念"はいまだ強く、5年前に蒔かれた"絶望の種"はゆっくりと発芽し始めている)で、設定はペラッペラだし、3D効果を期待したCG描写はお粗末そのもの。また、自シリーズのオマージュならまだしも名作ホラーのそれを忍ばせてひとり悦に入っているのも見受けられる。何より凪役の子役とヒロイン・楓子を演じる瀧本美織以外の役者の演技がお話にならないレベルだ。

それなのに見る者を怖がらせるホラー映画としては前作ほど酷くはない。冒頭の雨音の入りもそうだけど、音による脅かしと安易なドッキリ演出ではありながらも、ベタはベタなりの良さを確認させる。夢オチ的なものであってもそのタイミングの良さ次第でホラーでは許されるし、怖さ追求のためには推奨されもする。その夢の部分であるヒロインの部屋での出来事を例にとると、目覚めてからもそれ以上の恐怖で畳み掛けるか否かにホラー作品の本気度を計れるのかもしれない。本作はその点で落第だが、それでもまあ健闘はしている。

ビデオテープの時代からインターネットの世となり、怨念増殖の手段を進化させた貞子はついに肉体を手に入れたわけで(幼いとはいえたくさん)、今年の新作公開はなかったもののシリーズはこの先も続くのだろう。今回はラストで風呂敷を十分広げたわけでそろそろ捻った物語を見てみたい。
2014.09.28 Sunday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
みなさん、さようなら

80点/100点満点中

中村義洋監督・脚本、濱田岳主演というお馴染みコンビによる2013年の青春ドラマ。原作は久保寺健彦の同名長編小説。共同脚本には監督の伊坂幸太郎原作映画『フィッシュストーリー』『ゴールデンスランバー』でも関わっていた林民夫。ヒロインに倉科カナ、波瑠。他に大塚寧々、ベンガル、田中圭らが出演。

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1981年の春。全員が同じマンモス団地で暮らす芙六小学校の卒業生107人は揃って進学するも、渡会悟が突然、"一生、団地の中だけで生きていく"と宣言。空手家・大山倍達に感化され体を鍛え、自宅学習で勉強を続け、夜には団地の安全を守るためパトロールを欠かさず、お隣さんの元同級生・松島の悩みを聞き、同じく登校拒否の薗田と友達になり、小学校時代からの意中の子・緒方早紀と付き合い始める。一度も出席することなく中学校を卒業した後は、団地内のケーキ屋に就職し、団地の中だけで生きていけると確信する悟だが・・・。
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今回は珍しく原作を読んでるパターンで、さすが中村義洋と唸ってしまう出来映え。パッと思い出すだけでも、団地内幼稚園のエピソードや放火事件絡みの自警団の話などが省かれているが、原作のそれなりに長い話の要点をしっかり抽出し、きっちり2時間の尺に収めている。仮に読書感想文の宿題が出されても、数日かけて原作を読むより、テーマを掴むだけなら本作を見ることで事足りそうだ。原作は団地から一歩も出ないという設定の妙はもちろん、状況の変化(恋愛に始まり、決意した原因、時代が進み外国人の流入、それまで影の薄かった母の存在等々)を出すタイミング、あるいは構成が巧みでずいぶん楽しんだわけだけど、中村監督はその映像化に伊坂作品同様成功させている。

一方で、ただの小説の要約に収まらないのは役者たちがキャラクターに血を通わせているからで、特に濱田岳は中1から二十代後半までをひとりで演じ切る。多分今の日本では彼にしかできないだろう。濱田のための映画といってしまっていい。彼の隣人でいい仲になりかける幼馴染の松島は小説ではもう少しかわいいイメージだったが、その後の幼虫から羽化し蝶になる感じも含め、演じる波瑠はモデル上がりらしいのに裸体になるよりもっと生々しい芝居をよくこなしてる。『夢売るふたり』にも出ていた倉科カナ(なぜか分からないけど、双子姉妹マナカナのどちらかだと今ウィキ見るまで思ってた)は主人公と付き合う緒方に扮するが、この人の発声はそれだけで不思議な魅力がある。母親役の大塚寧々はひとり息子をスポイルさせているだけの駄目な母にも映る難しい役どころを、その特有ともいえるどこか超越した印象を受けるたたずまいでもって演じきる。

昭和50年代を舞台にしている時はかすかに赤みがかる映像だったり、髪型や服装といった当時の風俗の再現具合、さらには卒業7年目の年に悟がベランダで飲んでいるビールが発売されるやいなや爆発的ヒットになったらしいアサヒスーパードライだったりと、視覚でもその時代を楽しめるという映画の強みを生かしつつ、原作のエピソードを掻い摘みただ並べるのではなく、最も大事なテーマを丁寧にすくい取ることで原作ファンをも満足させる良作。
2014.09.24 Wednesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
ドリンキング・バディーズ 飲み友以上、恋人未満の甘い方程式 / Drinking Buddies

80点/100点満点中

her/世界でひとつの彼女』で主人公セオドアと一度デートをする女性役で出演していたオリヴィア・ワイルドが主演し、共同で製作総指揮にも参加した2013年の恋愛映画。共演にアナ・ケンドリックや『死霊館』で憑かれる家の主を演じたロン・リヴィングストン。ホラー映画監督のタイ・ウェストがおいしい役で、また『なんちゃって家族』のジェイソン・サダイキスも出演。監督は『サプライズ』にそのウェストと共に役者として出ていたジョー・スワンバーグ。DVDスルー作。製作費50万ドル。

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シカゴの地ビール工場に勤務するルークと会社で紅一点の広報担当ケイトは仲の良い飲み仲間。ある日ルークの恋人ジルも参加し、ケイトの彼氏クリスの別荘で休暇を楽しむことに。趣味の近かったクリスとジルが急速に接近し、ケイトもルークと愉快な時間を過ごすが、その翌日クリスがジルに別れを切り出し・・・。
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昨年アメリカで公開される頃に予告編で見て気になり、その後『なんちゃって家族』で主演したジェイソン・サダイキスも出ていることから、コメディタッチの恋愛ものかと思っていたら、がっつり恋愛もので意外だった。飲み友達という題名そのままで、邦題のサブタイトルが非常に説明的になっているが、まあその通りの内容ではある。

旅行直後にケイトは8ヶ月付き合ってきた彼氏クリスにフラれてしまう。一方のルークとジルのカップルの間には懸案事項の結婚のふた文字が持ち出されるが、ジルが1週間の海外旅行に行っている間にケイトとルークが"友達以上恋人未満"という例の男女間の友情はあるのかといった永遠の命題に直面する。しかしそこは学園ドラマのそれとは違い、いい年した男女であり、かなりの打算が入るし、口にしなくても分かった上での甘え、今まで培ってきた無にしてはならない信頼や立場、後に笑い話になることでもその時には大きく傷つくことなど、ある程度年齢を重ねれば誰もが身を持って経験しているもろもろが描かれる。特に新居に越した直後の長回しでの別れのシーンは演出の点でも演技力の点でも本作の全てが凝縮されていて素晴らしい。

映画にある種のファンタジーをどうしても求めがちな身としては、現実的なオチにやや不満を覚えはするが、そういうものだというのはよく知っている。


舞台となる地ビール工場は、2010年に創立されたシカゴのビール会社Revolution Brewingだそうだ(wiki)。また、"シカゴ名物"と説明される"マロート"は正式には"Jeppson's Malört / ジェプソンズ・マロート"(wiki)といい、"ニガヨモギを使ったとてつもなく苦い蒸留酒"だという。ニガヨモギといってもアブサンなどとは違い、琥珀色で、映画にもあるようにショットグラスで一気に飲み込み、ビールで流し込むのがシカゴスタイルらしい。飲んでみたい。
2014.09.23 Tuesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
なんちゃって家族 / We're the Millers

85点/100点満点中

ジェイソン・サダイキス、ジェニファー・アニストン共演のコメディ映画。共演はエマ・ロバーツ、『リトル・ランボー』の少年ウィル・ポールター、麻薬組織のボス・ブラッド役に「ハングオーバー」シリーズのスチュでお馴染みエド・ヘルムズ、メキシコマフィアのボスには『スリープレス・ナイト』で主演だったトメル・シスレー(もしかしたらハリウッドデビューなのかも)、メキシコの警官役に『恐怖ノ黒電話』『ラストスタンド』のルイス・ガスマンも。製作費3700万ドル。2014年公開作品。

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学生時代の頃のまま大麻の売人を続けるデヴィッド・クラークは、家出娘ケイシーに絡んでいた街の不良に大事なブツと売上金を奪われてしまう。その失敗を不問に付す替わりに、元締めのブラッドにメキシコから少量のマリファナを運べと命じられる。単独での国境越えは怪しまれるからと、家族旅行を装うことをデヴィッドは思いつく。同じアパートの住人で中年ストリッパーのローズと童貞少年ケニー、そしてケイシーの3人を誘い、メキシコに向かうが・・・。
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昨年の夏に本国アメリカで公開され初登場2位。その後も2週続けて同位を独占し、結局9月末までの8週間トップ10内におさまり、興行収入は国内だけで1億5000万ドルとヒット作になった。劇場で見たかったのだけど、この内容なら何が何でも足を運べば良かった。大きなスクリーンで見て笑い転げたい。

英語が分かればきっともっと面白いのだろうと悔しく思ってしまうたぐいの映画ではあるのだけど、それでも下品に下世話に赤裸々に笑わせにかかる作品でもあり、スラングやアメリカのゴシップやテレビ文化をもっと理解できていればと思いながら、結局は最後まで笑い通すことになる。

疑似家族を作ることで、仕事だけの関係でありながら、それでも4人の間に信頼関係がゆっくりと生まれていくといういい話風であり、売人から運び屋、最後にはグロワーになるというオチも含め、最高であるのは間違いない。これまでは比較的おとなしい女の子を演じてきたエマ・ロバーツも頑張っているのは、ジェニファー・アニストンが製作にも関わっているのかと思うぐらいに捨て身で張り切っているのがやっぱり影響してるのだろうか。ストリップするとは思わなかった。

コメディ映画は笑えればそれでいいと思うし、本作には十二分に笑いの要素が詰め込まれている。ただ、よしここで笑い死にさせてやろうといった力を入れているポイントがはっきりしていて、全体の流れとしてはやや歪な感がある。そのポイントはかなり頻繁にあり、凡庸なコメディが強弱強弱とデコボコになるのと比べれば、本作は強強強強であり、反対に均されているわけではあるが、アドリブの効かせ過ぎにも思えてしまう部分は多い。物語と笑い、どちらを重視するかとなった時に物語を取りたいがゆえの感想なのだとは思う。しかし、しがない売人デヴィッドが髪型を決めるシーンは間違いなく格別だ。


109分の"劇場公開版本編"と、118分もある"エクステンデッド版本編"のふたつが収録されていて、私は劇場公開版で鑑賞したが、ざっと延長版を見たところ、ドンとエディ夫妻とひとり娘メリッサのフィッツジェラルド家と、疑似家族ミラー一家がキャンプするシーンで、"当てっこクイズ"の直前にドンのギターに合わせてみんなで歌う場面と、遊園地で別れひとり出発するデヴィッドがボスのブラッドに電話するシーンが追加されていた。そのブラッドはオフィスで北欧からわざわざ取り寄せたという世界でたったひとつのシャチ型ピアノをベン・フォールズに弾かせ、歌の練習をしているというシーンで、メイキングではみんなで彼の歌と伴奏に合わせて、本作のテーマ曲になっているTLCの「Waterfalls」を歌う映像が収録されている。
2014.09.22 Monday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
拳銃の報酬 / Odds Against Tomorrow

56点/100点満点中

ジャズ映画。モノクロ。『ウエスト・サイド物語』と『サウンド・オブ・ミュージック』で2度もオスカー監督賞に輝くことになるロバート・ワイズ監督の1959年の犯罪ドラマ。主演のハリー・ベラフォンテはニューヨークはハーレム生まれの仏領マルティニーク・ジャマイカ系黒人で、まず歌手として1956年に「バナナ・ボート」(YouTube)を世界的にヒットさせる。アルバムもミリオンセラーを記録し、1985年には「USAフォー・アフリカ」の提唱者となる。

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刑務所から出所した元警官デイヴ・バークは、ニューヨーク郊外にある小さな町の銀行を襲い5万ドルを奪う計画を立て、仲間に前科者のアール・スレイターと黒人歌手ジョニー・イングラムを選ぶ。
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音楽を担当したのがモダン・ジャズ・クァルテットのピアニスト、ジョン・ルイス。演奏は当然そのMJQが行っていて、映画と同じ年にアルバム『Music from Odds Against Tomorrow』(wiki)としてリリースしている。彼が初めて映画音楽を手掛けた1957年の『大運河(グランド・カナル)』に比べると、よりモダンジャズらしい仕上がりになってはいるが、もともとクラシックの素養が色濃いグループなわけで、絵や俳優を引き立たせる我の強くない音が小気味良く当てられている。

主演の黒人俳優ハリー・ベラフォンは歌手という設定に加えて、ヴァイブラフォンを演奏しながらというのも興味深い。人気歌手だったというのも頷ける良い声が聴ける。そのシーンはユーチューブにアップされているが、7分30秒前後で出てくる女性歌手アニー役のMae Barnesもいい調子だ。金貸しのバコに明日までに耳を揃えて全額返せと脅され、やけになったベラフォン演じるジョニーに邪魔されるという設定で、この時に後ろのバーカウンターに入ってる女性が後のマイルズ・デイヴィスの最後の奥さんで、大ヒットドラマ「ルーツ」にも出演していたシシリー・タイソンのデビューして間もない頃の演技となる。

ロバート・ワイズ監督はフィルム・ノワールを撮るというよりも、それに関わる人々の人間ドラマを描きたかったのだろうなというのがうかがえる。戦後職を転々とし、今は年下の女性ロリー(演じるのは2度のオスカー助演賞を獲得したシェリー・ウィンタース)に養ってもらい、忸怩たる思いを抱える中年男アール・スレイターは、自身の状況への裏返しもあるのだろう、黒人への差別意識をむき出しにし、"ニガー"や"カラードボーイ"と侮辱する。一方で、黒人歌手は競馬で莫大な借金を抱え、にっちもさっちもいかない状況であり、それが原因で強盗計画に参加するが、別れた妻が白人と良好な近所付き合いをしていることに、黒人としての誇りを持てと主張するなど、人種差別が当然のように存在した当時の黒人のやりきれなさを表す。ちなみに主演のベラフォンテは公民権運動にも積極的に関わり、最近ではブッシュ・ジュニア政権の黒人閣僚コリン・パウエルやコンドリーザ・ライスのことを"白人の主人に媚びる奴隷"と批判したこともあるそうで、本作のセリフが重なる。

そんな劣等感だらけの差別主義者と意識の高い黒人がうまくいくわけはなく、デイヴ・バークが計画を立てた時点で失敗は見えていたとしか思えないが、銀行強盗もの映画としてのハラハラドキドキも期待してはいけない。実際に地方の銀行に襲いかかるのは上映時間96分間の残り15分ぐらいからで、しかも押し入る瞬間こそは緊張感があっても、すぐに子供が拳銃のおもちゃで遊んでいるような展開が待っている。とはいえ、黒も白も等しくなるというオチ自体は面白いかもしれない。
2014.09.21 Sunday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
アメリカの影 / Shadows

31点/100点満点中

ジャズ映画。モノクロ。本作以前は俳優として活躍し、今では"ニューヨーク・インディペンデントの父"と呼ばれているらしいジョン・カサヴェテスの1959年の初監督作。人間ドラマ。音楽をチャールズ・ミンガスが担当。

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売れない黒人歌手のヒューとトランペット吹きの弟ベニー、末の妹レリアの三兄妹はニューヨークで共に暮らしている。ヒューは強い信頼関係で結ばれたマネージャーのルパートと営業でフィラデルフィアに向かい、ベニーは仲間のトム、デニスと共にナンパに明け暮れ、レリアはトニーと出会い、ついに真実の愛を見つけたと思ったが・・・。
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キチガイ映画とはこのことをいうのだろう、きっと。セリフの内容と起きていること、俳優たちの動きが全く噛み合わず、それだけならまだしも背景に調子っぱずれないななきが入り込んできた日にはいい加減にしろと怒鳴りつけたくもなる。しかも、耳にキンキン来るアテレコ具合なものだから、もう凄まじい。白人にしか見えないレリアが実は黒人と分かってトニーが憤慨するというのがドラマになるのだろうけど、ルパートか誰かが説明するまで事情がよく分からないというのはどう考えてもダメ過ぎる。

チャールズ・ミンガスが音楽を担当しているだけではなく、主人公もジャズミュージシャンだというのをどこかで読んだ覚えがありそういった物語かと期待していたが、兄のヒューはバラードを得意とする歌手で、次男ベニーも自分はジャズミュージシャンでトランペットを吹いてると断言するものの、劇中でたった1回ペットを手に取り、吹く真似をするのみ。

最後に、"この作品は即興的演出によって完成されたものである"とクレジットが入るが、打ち合わせ一切なしで演技している節があり、その実験的道楽に付き合わされた格好だ。同じくニューヨークを舞台にした『ハーフ・デイズ』や、あるいは『ブルーバレンタイン』『今日、キミに会えたら』といった最近の作品でも即興性が売りのひとつではあったが、ここまでは酷くないし、というよりも十分楽しめた。こういった駄作があって、その失敗を基に映画は発展し、今があるのだということがよく分かる。

本作で唯一現代にも通用するのはベニーが掛けているサングラスのみ。
2014.09.21 Sunday 23:57 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
マチェーテ・キルズ / Machete Kills

51点/100点満点中

2010年のバイオレンスアクション『マチェーテ』の続編。監督・脚本のみならず、製作(共同)・撮影・編集(共同)・音楽(共同)といつも通りの完全無欠のロバート・ロドリゲス作品。主演ダニー・トレホ。ミシェル・ロドリゲス、ジェシカ・アルバが続投。新たにメル・ギブソン、チャーリー・シーン、ヒロインにアンバー・ハード、メキシコ人俳優デミアン・ビチル、カメオ出演に近い形でレディー・ガガや盟友アントニオ・バンデラス、『フローズン・グラウンド』で17歳の娼婦を演じたヴァネッサ・ハジェンズが本作でも似た役でワンポイント登板、凄腕ボディガード役にチリ出身で足技系の格闘家マルコ・サロール。製作費2000万ドル。2014年公開作品。

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元連邦捜査官ながら今はアメリカに不法滞在するメキシコ人マチェーテ・コルテスはその腕を見込まれ、メキシコで革命家を名乗るマルコス・メンデスを極秘裏の抹殺をラスコック米大統領から依頼される。ミス・サンアントニオの手助けで越境し、メンデスの愛人セレーサの導きで辿り着くも、メンデスはワシントンに向けたミサイルの発射装置を心臓に直接埋め込み、解除できるのは米国の宇宙開発企業のルーサー・ヴォズだけ。生きたまま連れて帰ることにするが、24時間のタイムリミットの中、麻薬カルテルのかけた懸賞金目当ての連中がふたりに襲いかかる。
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1作目は劇場でげらげら笑いながら大いに楽しんだ。今回は見逃してしまい、その時はかなり後悔したものだけど、こうしてDVDで鑑賞してみたら、あっ行けなくてラッキーだったかもというのが正直なところ。

ロバート・ロドリゲスのジョークは理解しているつもりで、前回のヒロインのジェシカ・アルバが出てきて早々にあっさり退場させる辺りにらしさがあるのも分かるし、ヘリのプロペラで首ちょんぱ、あのぶっ飛びチャーリー・シーンに大統領役をやらせたり(全米で大麻解禁!)、とにかく展開が早く、サクサクと雑魚キャラが死に、ついでに普通の映画なら重要そうな人物であってもなんら躊躇うことなく消えていき、レディ・ガガやアントニオ・バンデラスにしてもサッと出てパッと去っていく。バイオレンスとエロ、それと笑い。それがこのシリーズの肝だし、下手したらロドリゲスの映画信条だとは思うのだけど、物語に前作には確かにあったひねりがない。や、あるにはある。かなりぶっ飛んでいて、オイオイとなってしまう展開で、そのノリに自分が意外についていけないことに気づかされた。年かもしれない。

一度も手に取ったことはないのだけど予告編では時々見ているスティーヴン・セガール作品(そういえば前作に出演していた)と、このマチェーテで随所に発揮されるご都合主義や劇画っぽさがよく似ていて、おかげでその差異が分からなくなるとふと思ったり、同時にジェームズ・ポンドとの違いも微妙などと思い始めてもいたので、ひょっとしたら寝ながら見ていたのかもしれない。だから多分メル・ギブソンが私は未来が見えるとか真面目な顔で語り出したのはきっと夢なのだろう。

荒唐無稽さも過ぎると興醒めするという典型であり、ロドリゲスは本当に続編を撮るつもりなのだろうか。
2014.09.17 Wednesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
MUD -マッド- / Mud

70点/100点満点中

『テイク・シェルター』に続く2012年のジェフ・ニコルズ監督・脚本作。青春ドラマ。主演は『ツリー・オブ・ライフ』で末っ子を演じていたタイ・シェリダン。共演にマシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、サム・シェパード、『テイク・シェルター』で主人公だったマイケル・シャノンら。TSUTAYA限定レンタル作品。製作費1000万ドル。2014年公開作品。

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米国南部アーカンソー州デウィットに流れるミシシッピ川の支流アーカンザス川沿いの違法ボートハウスで父シニア、母のメアリー・リーと共に暮らす14歳の少年エリスは、木の上に打ち上げられたボートを無人島で親友ネックボーンと共に発見する。しかし、先に見つけたマッドと名乗る怪しい男が寝泊まりしていた。彼は愛する女性ジュニパーのために殺人を犯し身を隠していたのだ。事情を知った少年ふたりは請われるままに彼の逃亡の手助けをすることに。
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無人島で寝泊まりする男マッドを演じるのはここ2〜3年で俳優としての評価を一気に上げているマシュー・マコノヒー。映画祭での上映を含めた出演作の公開順でいえば、本作と同じ川沿いながらもフロリダを舞台にし湿地感がより強かった『ペーパーボーイ 真夏の引力』(2012.05.24@カンヌ)と、これまたフロリダ・タンパで男性ストリップクラブを経営する『マジック・マイク』(2012.06.29)の間に本作が置かれることになる(2012.05.26@カンヌ)が、その2作品やキレ演技ここに極まれりといった『キラー・スナイパー』(2012.07.27)のような鬼気迫る表情やパフォーマンスは今回封印される。本作でのマコノヒーは不穏さをどこか隠し持ちつつも女性に対し愚直なまでに一途な男を演じ、同時に父と死別した少年ネックと両親の不和に苦しむ主人公エリスの良き父的な存在ともなる。

FugaziのTシャツを着たニックがあからさまにリバー・フェニックスに寄せていることもあり、序盤は『スタンド・バイ・ミー』の南部版を思わせもするが(家庭内の問題、親には知らせず死体ならぬボート探し)、仲間とのひと夏の冒険を描いたそれとは違い、14歳の少年エリスはゴードンが目を背けがちだった家族の一員としての問題を、マッドとジュニパーの苦境を通してとはいえ、正面から少年なりにぶつかろうとする。ジェフ・ニコルズ監督は、前作『テイク・シェルター』に比べるとずいぶん素直な物語を描く。

エリスは両親の不和がいよいよ最終局面に差し掛かっていることを悟った時に、奔放な幼馴染ジュニパーへの強い愛を語るマッドと知り合う。警察に追われ、強い復讐心にかき立てられた遺族からも狙われるふたりを無事に結びつけることができれば、もしかしたら自分の父と母の仲にも同じ奇跡が起きるかもしれないと、エリスは親友ネックの心配をよそに率先してマッドの手助けを始めていく。いがみ合っているとはいえ両親と暮らすエリスと、実の父ではないが愛情深く見守ってくれる叔父のいるネックという対比も面白い。

どんなに一縷の望みにすがってみても、大人の庇護のもとで生きる年齢のため、彼らの事情に左右されることになる。その大人だって政府や経済に振り回されてはいるわけだけど、それはともかく、安易な結末に落ち着くわけではない点は悪くないが、出てくる大人がややいい人だらけなのが気になるところ。マッドをつけ狙うカーヴァーやその父キングにしても手ぬるいし、凄腕スナイパーが対岸にいるという"偶然"すらある。


ウィキペディアにある解説を読んでたら、ニコルズ監督は"物語を作り上げる際に『トム・ソーヤーの冒険』を含むマーク・トウェインの作品に触発された"とあり、確かに川の中ほどにある無人島が最初に出てきた時は、トムやハックルベリー・フィンが暮らす町セント・ピーターズから目と鼻の先にある島(彼らの家出先になる)はこんな感じだったのだろうかと思った。本作のふたりはトムとハックに比べたら気性的にややおとなしいにしても、その悪ガキふたりの間にあった距離感と同じものがエリスとネックの間にもあるように思う。
2014.09.16 Tuesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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