すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
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2021.02.10 Wednesday | - | - | -
無料配信ミックステープ8月号(2015)
2015年8月に発表された国産ヒップホップを中心としたフリーダウンロード・ミックステープを紹介する(投げ銭/いい値[NYP]の作品も含む)。日本語ラップ専門情報サイト2Dcolvicsを主に参考にしている。



【】ASTRO HOUND 『ASTRO HOUND REMIX TAPE Vol.1』
2015.08.01 / 全10曲41分 / 320kbps / SoundCloud
終了。



【】Soullump 『LOSS』
2015.08.03 / 全7曲22分 / 256kbps / Twitter
終了。



【】Rodrigo 『SOUND SPACE II』
2015.08.04 / 全13曲31分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】Lil Ral 『I'm Happiness』
2015.08.05 / 全19曲64分 / 160kbps / audiomack




【】Optic 『Boomabove EP』
2015.08.08 / 全9曲21分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】Young philip 『Summer Tape』
2015.08.09 / 全9曲25分 / mp3,flac,... / bandcamp
終了。



【】NF Zessho 『Dusk MixTape』
2015.08.10 / 全17曲42分 / 320kbps / blog




【】onionboy 『POOLSIDE CHILL EP』
2015.08.10 / 全6曲28分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】GREEN ASSASSIN DOLLAR 『NASTY.TΔPE』
2015.08.10 / 全5曲9分 / mp3,flac,... / bandcamp
終了。



【】GREEN ASSASSIN DOLLAR 『CATNIP.TΔPE』
2015.08.12 / 全7曲13分 / mp3,flac,... / bandcamp
終了。



【】DEEP FLOAT & 呼煙魔 『WAVELET』
2015.08.12 / 全8曲18分 / aif / Twitter




【】W DATE ICE CLUB 『あいすくりーむ』
2015.08.14 / 全15曲53分 / 320kbps / Tumblr



【】百舌 『深緑ep』
2015.08.15 / 全7曲20分 / 320kbps / audiomack




【】Yue Cue 『MU5』
2015.08.16 / 全9曲31分 / 320kbps / audiomack



【】matatabi 『Trip ep』
2015.08.17 / 全7曲12分 / mp3,flac,... / bandcamp
無料配信終了。



【】TWOFACE 『It's been ages』
2015.08.17 / 全18曲52分 / 320kbps / Twitter



【】madrob_beats 『FALL DOWN』
2015.08.18 / 全14曲27分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】Lui Hua & DJ Nina 『The Cakewalk Tape Vol.1』
2015.08.22 / 全23曲63分 / 320kbps / SoundCloud



【】K BoW 『K BoW Remixes vol.2』
2015.08.22 / 全7曲27分 / mp3,flac,... / bandcamp
無料配信終了。



【】菊地一谷『BEST SELECTION』
2015.08.24 / 全6曲16分 / 160kbps / HP
終了。



【】FLip-Flaps 『12番煎じと散歩道』
2015.08.24 / 全6曲19分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】ada 『feel good』
2015.08.25 / 全5曲14分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】NOPPAL 『Crystal EP』
2015.08.26 / 全5曲17分 / 320kbps / SoundCloud




【】VA 『#トガリンピック vol.0』
2015.08.26 / 全8曲22分 / 320kbps / Twitter




【】addginjahzz 『Cocktail Jahzzy Club』
2015.08.27 / 全12曲45分 / mp3,flac,... / bandcamp




【】L"s Story 『Billboard Remixes Vol.1 (with All Instrumentals)』
2015.08.27 / 全22曲83分 / 320kbps / datpiff




【】G-YARD 『NEW MUTANT』
2015.08.28 / 全6曲14分 / aif / Twitter






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<まとめ>
2010年〜2011年1月〜9月分 Tegetther
2012年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2013年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2014年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2015年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
・「JPRAP.COM presents "The Se7en Deadly Sins"」 →記事(2011.05.26記)
  2010年の主要フリーダウンロードミックステープについてもある程度まとめてある。
・「昨今の国産ヒップホップ・無料DLミックステープ事情」 →記事(2011.09.30記)
  2011年前半の作品に焦点を当てた記事。
・「VA『Fat Bob's ORDER vol.1』」 →記事(2011.10.07記)
  記事の最後に名古屋関連のミックステープをまとめた。
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2015.08.31 Monday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
サブリミナル / Franklyn

66点/100点満点中

2008年の英国製SFサスペンス。出演は『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)でボンドガールを務めたエヴァ・グリーンや、『オン・ザ・ロード』で主演したサム・ライリーら。英国国営宝くじThe National Lottery援助作品。DVDスルー作。製作費600万ユーロ。

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宗教が全ての根幹にある都市ミーンワイル・シティ。11歳の少女サラを邪悪な教団デュプレックス・ライドから救えなかった覆面の男ジョン・プリーストはその教祖インディビジュアルに復讐する決意を固める。一方、現代ロンドン。結婚式直前にフラれたマイロは親友ダンの助けを借りながら立ち直りかけているところに、幼馴染のサリーを見かけ惹かれていく。父を亡くし精神を病んだ芸大生エミリアは何度目かの自殺未遂から救出され、行方不明の息子デイヴィッドを捜し出すべく父親ピーターはロンドン中を懸命に歩く。
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昨年鑑賞した2008年のカナダ産良作ホラー『ON AIR オンエア 脳・内・感・染』の冒頭に収録されている予告編集で気になった作品。

科学がそれほど進歩しているわけではないけれど、『ブレードランナー』などに出てくる高層ビル群とスラム化が一緒くたになったようなダークなミーンワイル・シティを舞台にした覆面男ジョン・プリーストの孤軍奮闘と、現代のロンドンでの物語が交互に語られる。ロンドンではあらすじでも書いたように、フラれ男マイロ(サム・ライリー)とリストカット女エミリア(エヴァ・グリーン)、そしてケンブリッジから出てきた初老のピーターの3つのドラマだ。

それぞれ独立していたふたつの世界が合わさるのは始まって65分過ぎ。ようやくだ。どう重なるかはサスペンス映画の醍醐味のひとつだから書かないが、本作で描かれるのはマイロの幼馴染サリーのセリフ、"人生は空想なしには辛すぎる"という言葉に集約される。大切な人を失った喪失感、あるいはそこからの壮大な逃走劇だ。

そのマイロは婚約者に突然フラれ、幼い頃に父を亡くした時にも助けてくれたサリーと出会う。エミリアも同じく父の死を心の中の正しい位置で受け止めることができず、母の助けも期待できずに、ひとり必死にもがき助けを求めている。イラク帰りの息子デイヴィッドを捜しているピーターは現在進行形の欠落感を苛み、ミーンワイル・シティのジョンの場合は、自分に強い憤りをぶつけるエミリアとは異なり、憎むべき敵に怒りをぶつけようとする。

ふたつの世界がひとつに重なり合うクライマックスは充分面白く見られるし、ぽっかりと空いた心の穴を埋める幸せもしっかり描かれていて悪くはないのだけど、全体としてもう少し分かりやすくても良いと思わなくもない。100分弱の上映時間は決して短いわけではないが、ややもするとあらすじを描いているだけにも感じる。


エヴァ・グリーンがエミリアとサリーのひとり二役ををこなしているのを記事を書くにあたって初めて気づいた。彼女のあの鋭利かつ高貴なアゴや目元でもって、お高くとまった女性をよく演じているという印象があるため、今回のエミリアのようなアイライナーをきつく入れた、ゴスな雰囲気の芸大生(撮影当時は26〜27歳ぐらいか)に扮しているのを見るのは、『MAMA』でジェシカ・チャステインがロックミュージシャン役をしているのを目撃するような、なんだかよく分からないお得感がある。
2015.08.28 Friday 23:57 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
ボーグマン / Borgman

71点/100点満点中

第46回シッチェス・カタロニア国際映画祭グランプリを獲得し、『アデル、ブルーは熱い色』が受賞した第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された2013年のオランダの不条理スリラー。監督・脚本のアレックス・ファン・ヴァーメルダムはボーグマンの仲間のルドウィッヒ役で出ている。ベルギー映画『闇を生きる男』にも出演していたイェロン・ペルセヴァルがリシャルトに扮している。

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裕福な夫婦リシャルトとマリナの裕福な夫婦は、3人の子供に恵まれ、ベルギー出身の若い乳母スティネと共に森の中のオシャレなデザインの家で暮らしていた。ある日、アントン・ブレスケンス(カミエル・ボーグマン)を名乗る浮浪者が訪ねてきて、風呂を借りたいと唐突に頼む。当然、追い出されたものの、夫リシャルトの外出中にアントンは離れに忍び込んでいた。無下にできない妻マリナは彼の世話をすることに。
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とても不思議な質感の物語で、よく理解できない展開を辿るのに、被害に遭う作中の人物だけではなく、見ているこちら側もいつの間にか納得している心持ちになっていることに気付く。

外見は「ホーム・インベージョン」の体裁を取るが、その侵略はゆっくりとしたもので、相手の領土をじんわりと浸食していくものだから、気づいたときには引き返せないところまで来ているという具合だ。最初にリシャルトが暴力でもって、アントンを追い出したため、マリナは彼に負い目を抱いてしまう。アントンはそこをつけ込み、風呂と寝場所をせしめ、しかもリシャルトに対し秘密を作らせる。こうして徐々に共犯関係を気づいていき、アントンが出ていくといった時には彼を引きとめもしてしまう。元の平和な日常がせっかく戻るというのに。

ここまでの物語だって十分おかしなものだったが(そもそもオープニングの地中生活も意味が分からない)、アントンが新しい庭師カミエル・ボーグマンとして戻ってくる辺りから人がスパスパと殺され、本作は本領発揮する。庭師の仲間に、穴蔵暮らし仲間だったルドウィッヒとパスカルを呼び込み、さらには女性陣ふたりブレンダとイロンカまでがいるのだ。しかも、サイコパスは彼らだけではなく、マリナの次女イゾルデも何か普通ではない振る舞いを平然と行う。こうして、秩序や平穏がそれこそ緑豊かな庭が破壊されていくのと同じように崩れていく。

躊躇いもなく人を殺せるボーグマンたちは一体何者なのか。人間ではない何か、それこそ比喩としてではなく"悪魔"が人の形を取ったようにも思える。懐に入る巧妙さはまさに悪魔的であるし、犬に変身できるのではと思わせるシーンも用意されている。

答えは用意されていないが、マリナがリシャルトに思わずこぼすセリフが興味深い。かわいい子供たちを育て、豪邸で不自由なく暮らしている恵まれた状況に罪悪感を覚えるというのだ。それを聞いた夫は、自らが選んで裕福な国に生まれわけではないと返す。その言葉から思い出したのがオーストリア人監督ミヒャエル・ハネケが2005年に制作した『隠された記憶』だった。その映画のテーマは見ている時には理解できなかったが、収録されていたインタビューで監督が明快に語っていた。

"個人が「罪」とどう向き合っているかについての映画...人間は世に生まれたことですでに「罪」を持っている。意図的であろうとなかろうと先進国で生きる我々は、絶対的に後進国や貧しい人々を犠牲にして高い生活水準を保っている。つまり、先進国にいる我々は誰でもある種の罪意識を心の中に抱えていることになる"

同じテーマが本作にあるとは思わないが、唯一意味ありげなセリフでもあったのは確かだ。

まあ、この映画で一番惹かれたのは死体処理のやり方で、日本のヤクザやアメリカのマフィアが死体を海や湖に沈める時は重し代わりにもなるコンクリートで足元を固め、突き落とすのが常だけど、ここでは死体の頭をバケツに入れそこにコンクリートを流し込むという発想の逆転を見せる。水の中で足がユラユラする光景はなかなかえぐいものがある。
2015.08.26 Wednesday 23:57 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
ゾンビ・リミット / The Returned

67点/100点満点中

2013年のスペイン・カナダ合作ゾンビ映画。監督は『エクソシズム』のスペイン人監督マヌエル・カルバージョ。製作に「REC/レック」シリーズや「スパニッシュ・ホラー・プロジェクト」を手掛けてきたフリオ・フェルナンデスが参加している。

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1980年代前半にリターンドと呼ばれるゾンビ禍に見舞われ全世界で1億人以上が犠牲になった世界。女医のケイトは家族を失った悲しみを糧にリターンドの治療を専門にする病院で働いている。唯一効果があるワクチンの在庫が尽きかけてるとの噂が流れ始め、彼らに対する恐怖心や偏見、財政上の圧迫などから反リターンド派の運動が一層過激になり始めていた。そんな中ケイトの恋人アレックスは6年間ふたりだけで共有していた秘密を、彼の25年来の親友ジェイコブとその妻アンバーに打ち明けることにした。
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再び「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2014」からの1作。『キョンシー』『モーガン・ブラザーズ』『パトリック 戦慄病棟』『トランストリップ』と見てきてこれで5本目。残りはひとつか。頑張ろう。

表現はおかしいけれど、とても真面目なゾンビ映画。物語の中では"リターンド"が正式名とされ、"ゾンビ"と呼びならわすことは政治的に正しくないとされている。それでも、1981年から84年にかけての第一次流行で大勢の犠牲者を出した記憶から、病気をコントロールでき、感染しても毎日投与するワクチンで発症を抑えられ、普通の生活を送れるまでになってもまだ差別意識は残り続けている。

この疫病が人類の脅威となった年を考えると、まさにAIDSウィルスを念頭に置いているのだろうし、当局が事態を鎮静化させることができず、仕方なく隔離に向かうというのはハンセン病を始め、去年西アフリカで大流行したエボラ出血熱もそうだろうし、また病気だけに限らず、ナチスドイツがユダヤ人やLGBTの人々に行った仕打ち、あるいは日米問わず行われた敵性外国人の収容といったことも同じだろう。

最後には尊厳死の問題も関わってくるし、そういったことをゾンビ禍という分かりやすい寓話として語られていく。ドラマとしてとてもうまいのが、冒頭にケイトの家族がリターンドに襲われることで、辛くも"ひとり"逃げ出せた彼女が心の奥深くで抱き続けた悔恨の情。それがクライマックスで昇華できたかと思いきや・・・というなんとも辛い展開があり、そして轢き逃げや医師として問われるべき倫理観などの問題を全て振り切り、かつて欲していた新居を手にした身重の彼女が睨みつける壁に貼られた獲物の足跡という終わり方も良かった。
2015.08.25 Tuesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
7500 / 7500

56点/100点満点中

「呪怨」シリーズの清水崇監督とプロデューサー一瀬隆重とのお馴染みコンビによるハリウッド製作のホラー。2015年公開作品(ひと月後にはTSUTAYA先行でレンタル開始)。

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ロサンゼルス発羽田行きのビスタパシフィック航空7500便。夜間便は何ら滞りなく飛び立ち、高度1万メートルに達し、ベルト着用サインも消え、飲み物が配られ始めた直後に乱気流に見舞われる。急激に高度が下がるも、それも収まった矢先、大事そうに怪しげな木箱を抱えていた乗客ランス・モレスが突然発作を起こし、救命活動の甲斐なく亡くなる。ビジネスクラスに死体を安置することにしたが・・・。
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様々な乗客が乗り合わせるジャンボジェット機内を舞台にしているため、ほぼ群像劇といっていいのだけど、主役格の救命士を演じるのはジェームズ・ワン監督の『デッド・サイレンス』やオーストラリア映画『レッド・ヒル』で主演していたライアン・クワンテン。その妻役は『バタフライ・エフェクト』のヒロイン、エイミー・スマート。ゴス娘に扮しているスカウト・テイラー=コンプトンは新「ハロウィン」で"ローリー・ストロード"を演じていた。機長と不倫している先輩の客室乗務員は「アイアンマン」シリーズの最初の2作で雑誌記者を、あるいは本作と同じくハリウッドで日本人が撮った『ミッドナイト・ミート・トレイン』などにも出ていたレスリー・ビブ。その同僚スージーは『エンジェル ウォーズ』や『シン・シティ 復讐の女神』で東洋系を担当し、良作『96ミニッツ』にも出演しているジェイミー・チャン。

飛行機物では定番といえる分かりやすい人物紹介が序盤に展開され、つまらなくもないがとりたてて面白いわけでもない。1回目の乱気流に突入し、ランス・モレスが死に、怪異現象が起き始めた時、ふた組の夫婦が彼の死が何か関係しているのではないかと、勝手に残された手荷物を調べ始めた辺りから、急にキャラクターが主体的になり始める。とはいえ、恐怖表現は抑え気味だ。何かが白い煙の中にいたり、座席上部の荷物入れに引きずり込まれたりと、傷つく瞬間はもちろん害を及ぼしている源も見せようとしない。そのため、子供相手のおどかしに留まる。不思議なのは対象年齢を幼くしているにしては、彼ら彼女らが感情移入しやすい同年代を配置せずに、平均年齢がやけに高い。

ただ、ホラー映画の清水ではあるのだけど、恐怖そのものを描くよりは、クライマックスで明らかになる真相こそが本作の面白さなのかもしれない。でもそのわりには、新婚カップルの旦那の方の扱いが雑だったり、うるさ型の花嫁の方はとてもありがち過ぎてうんざりさせられるホラーの幕切れ要員として消費されたりと、全体的にいえることだけど中途半端さが目立つ。そもそも、"シニガミ"人形を登場させた時点でどこかジェームズ・ワン作品っぽさが出ているし、その"未練を絶たない"と成仏できないという考え方を唐突に日本通なところを見せるゴス娘に説明させることに違和感を覚えるかどうかはともかくとして、その感覚が欧米人に理解できるのかも疑問だ。強い恨みではなく、未練。
2015.08.24 Monday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
九井諒子 『ダンジョン飯』第1〜2巻

2015年1月発売。       2015年8月発売。

今年前半に2015年は久し振りに漫画を読んでみようとふと思い立ち、何が面白いのかちょこっと調べてみたら、ほぼどの記事でも褒められている作品のひとつがこの『ダンジョン飯』だった。でもゲームはもうずっとしていないし、流行のグルメ漫画というのもアレだしとしばらく様子見していたのだけど、錦糸町からの帰りの総武線で第1巻を読み始めたらもう大変。頑張って堪えたのだけど、何回か笑いが漏れたと思う。いい年して漫画を読んで電車の中で笑うという非常に不気味な存在になってしまったので、続けて購入した第2巻はさすがに自宅で楽しんだ。

レッド・ドラゴンに妹ファリンを食べられてしまった戦士のライオスは、魔法使いマルシル、鍵師チルチャックと共に、妹が龍の腹の中で消化される前に助け出そうとダンジョンの下層を目指す。ただ、一度は絶滅寸前までいった一行なので、文無し状態であり、食料は迷宮にはびこるモンスターたちを食べるというライオスが以前から温めていたアイデアを実行することに。そこにダンジョン飯をいち早く実践していたドワーフのセンシが加わることで、食へのあくなき探究心を満たし本格的なバケモノ料理を堪能しつつ、本来の目的であるファリン救出の旅が始まる。

ファンタジー世界のモンスターは当然味わうことなどできないわけだけど、現実にも存在する味覚・触感、あるいは料理法を重ね合わせることで、読者に架空の生き物の料理を楽しませるのは独創的で面白い(ゲームに本当に疎いのでアレなんだけど、モンスターハンターのCMで狩った敵を炙って食べているのを見たことがあるので、もしかしたらそういう設定自体はありふれているのかもしれない)。その時点でも十分楽しいのに、大げさな言動や大きなコマでいかにもな強調した笑いを作り出すのではなく、淡々としたセリフの中での笑いの生み出し方にセンスの良さを覚える。上質な面白味であり、評判になるのも納得。

モンスターを敵と認識し倒しながらその世界の目的を果たすのが戦士なり勇者の役目のはずが、主人公ライオスはその敵に興味を抱き、果ては食べてみたいと思い至る、どこか倒錯した思考が、仲間のマルシルやチルチャックが持つ一般常識との間にギャップとして随所に表れるのだけど、その真剣な変人だからこその面白さはどんな設定でも生きるのだなと再認識させられた。しかも、そんな"非"常識人をふたりも抱えた漫画の安定感は当然凄まじい。
2015.08.23 Sunday 23:57 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
トランストリップ / Magic Magic

40点/100点満点中

チリ・アメリカ合作の2013年の心理スリラー。主演はイギリス出身のジュノー・テンプル。共演には『JUNO/ジュノ』『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』『キミに逢えたら!』のカナダ人俳優マイケル・セラ(製作総指揮にも名前を連ねる)、『エンジェル ウォーズ』のベイビードールことエミリー・ブラウニング(オーストラリア)、2004年の『そして、ひと粒のひかり』で主演したコロンビア人女優カタリーナ・サンディノ・モレノら。共同撮影にはクリストファー・ドイルもクレジットされている。

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アメリカ人のアリシアは初めての海外旅行にいとこのサラが留学しているチリに遊びに来た。サラの彼氏アグスティンとその姉バルバラ、アグスティンの高校時代の友達ブリンクらも一緒にチリ南部に旅立つが・・・。
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キョンシー』『モーガン・ブラザーズ』『パトリック 戦慄病棟』ときて、「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2014」からの4作目は、第46回シッチェス・カタロニア国際映画祭でジュノー・テンプルが主演女優賞を獲得した本作。邦題のおかげで鑑賞中は気づかなかったけれど、結構前から気になっていた作品で、ようやく見られたことになる。

しかし、つまらない。サンダンス映画祭で初上映され、カンヌ国際映画祭では「監督週間」で公開されるなど一定の評価はあるようだけど、非常に"実験的"な映画で、よく分からない演出と雰囲気だけはある音楽が付けられ、しかもそこで切るのかというあっけないエンディングを目の当たりにすると、まあその手の映画祭ならウケるのかもしれないねと遠い目をしてしまう。

初めての海外で不安を覚えるアリシアは、エミリー・ブラウニング演じる保護者的ないとこのサラが旅を一時離脱することで精神の不安定さを加速させる。しかもマイケル・セラ扮するお調子者ブリンクにちょっかいを出され、次第に幻聴幻覚に悩まされることになる。そこに本で覚えたての催眠術をサラのボーイフレンドのアグスティンにかけられ、てんやわんやな状況に。

精神を病んでいる人にありがちな、自分は大丈夫と思いこんだり、被害妄想を膨らましたりといった展開がPOVではないけれど、ややドキュメンタリータッチな映像で切り取られ、短い上映時間とはいえ終始アリシアのうんざりさせられる狂気と付き合うことにもなり、早々に失敗作であることが明らかになる。登場人物の設定や台詞もその場のアドリブで行っているような緩さがあり、それも見にくさに繋がっている。

ソファに腰かけるアリシアがアグスティンから催眠術をかけられる場面で、通常のスピードで見ている分には気づかないのだけど、早送りをした際にソファの柄の花がうごめいているのはちょっと面白かった。
2015.08.20 Thursday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
パトリック 戦慄病棟 / Patrick: Evil Awakens

45点/100点満点中

1979年のアボリアッツ・ファンタスティック映画祭でグランプリを獲得したオーストラリアのカルトホラー「パトリック」をテーマにしたドキュメタリ―を2008年に制作したマーク・ハートリー監督が自らリメイクした2013年の豪州産サイキックホラー。主演は『サプライズ』で襲撃犯よりも凶悪な女性を演じたシャーニ・ヴィンソン。

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人里離れた海辺に建つ不気味なロジェット・クリニックに赴任してきた看護師キャシー・ジャカードは、昏睡状態のはずの青年パトリック・トンプソンと意思疎通ができることに気づくが・・・。
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キョンシー』『モーガン・ブラザーズ』と同じく、本作も「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2014」のひとつ。が、驚くほどつまらない。見始めるのだけど、退屈なものだから睡魔にすぐ襲われ、96分と短いにも関わらず、最後まで見通すのに3日もかかってしまった。まあ酷い。

"戦慄病棟"の院長セバスティアン・ロジェットは、現代を舞台にしているものの、マッドサイエンティストぶりをいかんなく発揮し、電気ショックをパトリックに与え続け、彼から何かのデータを得ようと懸命になっている。若い頃は天才医師と騒がれ、功績もあるのだけど、今は結果を求められていて焦っているのだ。パトリックは大量の電気を浴び続けたからか、身動きは取れないが、意識は戻っていて、しかも念動力まで駆使できるようになっている。ネットへのアクセスや離れた場所にいる人間に危害を加えたり、物を空中に飛ばしたりといったことを気軽にやってのける。

彼は狡猾さも持ち合わせていて、ロジェット医師には気づかせず、外見から自分に好意を持ったキャシーにだけ意思疎通を図る。しかし、やがてキャシーはパトリックの邪悪さを理解し、闘いが始まるのだ。とはいえ、パトリックは病室のベッドから一歩も動けないため念動力に頼ることになる。そうなると夢オチや背後から突然現れる、あるいは大きな音を立てるといったありきたりな恐怖描写に留まらざるを得ず、その力もどんどん破天荒になり、ホラー映画で指摘することでもないけれど、浮世離れしていく。

唯一ぐらいに良かったと思えたのは、エレベーターシャフトに落ちる一連の流れで、中田秀夫の『女優霊』かくやな手足の奇妙な配置を見せてくれる。その後のお決まりの落下も悪くない。定番ならではの安心感か。
2015.08.19 Wednesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
モーガン・ブラザーズ / 100 Bloody Acres

68点/100点満点中

コリンとキャメロンのケアンズ兄弟が共同で脚本・監督した2012年のオーストラリア産コメディホラー。劇中のモーガン兄弟のうち兄リンゼイを演じるアンガス・サンプソンは、ジェームズ・ワンの「インシディアス」シリーズで、リー・ワネルと助手コンビを組むタッカー役の俳優。また、豪州ホラー「ウルフクリーク」シリーズの冷酷無比な殺人者ミックでお馴染みジョン・ジャラットが保安官バークとしてチョイ役で出演している。

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オーストラリアの田舎町ヤンドイト。リンゼイとレジのモーガン兄弟が経営する肥料工場は、偶然入手した"特殊な栄養素"を配合させた強力な肥料を作ったことで、大口の契約にありつけた。弟レジがトラックで納品する途中、野外フェスに向かうためヒッチハイクする男女3人の若者を乗せることになるが・・・。
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前回の『キョンシー』に続き、「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2014」の1作であり、2013年のシッチェス映画祭「ミッドナイトエクストリーム」部門のグランプリ作とのこと。

悪魔のいけにえ』に代表される"田舎に行ったらさあ大変"系の恐ろし話を基本とするものの、モーガン兄弟はソフトの宣伝文句にあるような"人体肥料工場"を長年営んでいるわけではなく、ちょっと魔が差した的なもので(まあ普通そんな発想は思い立たないが)、最初の1件が偶然にも証拠を残さず疑われなかったことをいいことに、2度目も行ってしまったことで、そこから素人ならではのへまが出てしまい、悪い方悪い方へとドミノ倒しが始まるといった、それこそコーエン兄弟的な当人たちにとっては笑うに笑えない物語になる。

粉砕される人体やためらいなく引かれる撃鉄といった恐怖描写がしっかりある中で、同時に兄弟に捕まる若者3人の人間関係や、兄リンゼイ・モーガンと叔母との関係、幻覚剤をキメたお調子者ウェスのドタバタといったユーモアも効いているので、何か斬新な展開や演出があるわけではないけど、最後まで飽きずに見ることができる。


ちなみに、ジョン・バトラーとは、ウィキペディアによると、彼が率いる「ジョン・バトラー・トリオ」で2005年に世界デビューし、フジロックにも3度出場しているそう。本国オーストラリアで大ヒットしたサードアルバムのシングル曲「Zebra」のPV
2015.08.16 Sunday 23:57 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
道満晴明 『ヴォイニッチホテル』全3巻

2013年6月発売。      2013年10月発売。      2015年5月発売。

普段はこの手の絵柄の漫画を読まない、読めないのだけど、トゥイッターでいつもよくしてくれるフォロワーさんがあるひとコマを写メでアップしてて(第1巻197ページの上から2段目右側)、それが気になって教えてもらったのが出会いだ。

太平洋の南西に浮かぶ小国ブレフスキュ島(今検索したら、ガリヴァーが流れ着き縛られた島リリパット国と対立していたのがプレフスキュ国で、そのガリヴァーがリリパットに助太刀し、プレフスキュの艦船を拿捕することで戦争が解決した例の物語が出てきた)のホテル・ヴォイニッチホテル(初めて見る言葉なので当然グーグル先生に訊いてみたところ、"ヴォイニッチ手稿"といういまだ解読されていない古文書があることを教えてもらった)を舞台にしたギャグ漫画(?)。

ヴォイニッチホテルのふたりのメイド(実はロシアからその南の島に大昔移り住んだ魔女)と、日本から逃げてきた元インテリヤクザ・クズキタイゾウを中心に、覆面レスラーもするホテルの支配人、とことんネガティブなコック、地下でかくまわれている腐りかけ魔女、少年探偵団、スナークと呼ばれる連続殺人鬼、ゲイの暗殺者を始め人殺しはたんまり、女性3人組グローアー、日本人漫画家、名もなき宿主に寄生したギルティちゃん、あと悪魔が3匹、それと成仏できない幽霊も数人、が"織りなす喜劇と悲劇の非日常的日常ドラマ"となる。

登場人物が多いにも関わらず、それぞれに強烈な個性を発揮するからすぐに愛着が出てくる。でも、その一方でキャラをあっさり殺す傾向があって、非常に油断ならない。ああこのキャラをこんなにも早く退場させるのかということがよくある。でもまあ、"極限まで削ぎ落とされたボディ"のルームメイド・エレナを始め、愛嬌のあるキャラたちが見開きに1回はある思わずフフフと漏れてしまう笑いを生み出していて、3冊一気読みできてしまう。かなり無謀な展開でも許容できてしまう設定の良さ・自由さや、バラエティに富んだキャラ、あと時々吐き出される毒など、本当によくできた漫画だと思う。

この漫画家さんのウィキを読むとかなりキャリアがあるよう。ただ、成人向け漫画も多く、まあじっくり選択しながら読み進めてみたい。
2015.08.15 Saturday 23:57 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
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