すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
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新井英樹 『なぎさにて』第1巻

2015年9月発売。

新井英樹。ご多分に漏れず『ザ・ワールド・イズ・マイン』は楽しんだし、ボクシング漫画『シュガー』『RIN』も好きだったけれど、『キーチ!!』は途中までで当然その続編『キーチVS』は手を付けられず、近作『SCATTER』も読んでいない。でもまあ今年は急に自分の中で漫画に目覚めてしまったし、ちょうど第1巻なのだからと手に取ってみたはいいが、どうにもハマれない。

世界各地に巨大な"豆の木"が突然生え始め、それがある日破裂すると飛び出た樹液で人々が死に、土壌も汚染させれていく。2011年に1本目が南アフリカ・ケープタウンに生えてから4年間で50万人が亡くなった。そして日本でも"豆の木"が伸び、その下で暮らす東京・下町の女子高生・杉浦渚は否が応でも世界の終わりを意識してしまう。顔が好みだからと名前も知らない男の子に告白するが・・・。

主人公・渚がこれまでの新井作品らしい(例えば石川凛)ひたすら落ち着かない言動のキャラクターで、その家族も露悪的でありながら同時に他者に気づかもできるみたいなどこかで見た性質のキャラばかりで新鮮味がない。そうなると救いは終末ものになるらしい設定のみだが、この1巻だけではどう転ぶかまだ分からない。とはいえ、『ザ・ワールド・イズ・マイン』のようにぶっ飛んだ漫画にならないのは確かだろう。
2015.10.11 Sunday 23:57 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
藤田和日郎 『黒博物館 スプリンガルド』

2007年9月発売。

先月NHKの漫画番組「浦沢直樹の漫勉」で本作の続編(?)を執筆する藤田和日郎のを見た。目玉を入れ完成させるまで悪戦苦闘する様子は鬼気迫るものだったし、浦沢自身も驚いていた技法の数々などずいぶんと興味深く、楽しんだわけだけど、読者、あるいは「うしおととら」のリアルタイムのファンだった身としては、今もまだ面白そうな物語を描いているということに驚いたし、読まなければ!となったのだ。

そこでひとまず、その執筆中だった『黒博物館 ゴースト アンド レディ』ではなく、2007年に出版されていた『黒博物館 スプリンガルド』から。2007年といえば読み切りの単行本『邪眼は月輪に飛ぶ』が出た年でもあって、それは結構楽しく読んでいたのに、こっちは発売されたことすら知らなかった・・・。

ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)内にあり、関係者だけが見学できる「黒博物館」。そこには1837年から1年間にわたりロンドンを騒がせた「バネ足ジャック」の左足が所蔵されている。その日の見学者ロッケンフィールド警部は同館のキュレーターも知らないその由来を物語り始める・・・。

まさに"ゴシック活劇"で、持ち前の絵の迫力はもちろんのこと、ストーリーテリングぶりがたまらなく良い。藤田の持ち味だった青い正義感は、掲載雑誌が青年誌「モーニング」だったこともあるのか、いくぶん薄まりつつも、ダークヒーローならではの説得力が加わることで力強い正義感となっている。少年うしおと妖怪とらの関係と、ロッケンフィールド警部と貴族ウォルター・ストライドのそれは構造的に同じだし、女性が結局は添え物的になっているところも似ているが、それでも正攻法の物語はゆるぎない魅力をたたえ、漫画らしい活劇のデフォルメには惹きつけられる。あと、絵がだいぶうまくなっていて、というよりも整理されていて、「うしおととら」の頃に比べるとずいぶんと読みやすい。
2015.10.06 Tuesday 23:58 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
たかみち 『百万畳ラビリンス』上・下巻

2015年8月同時発売。

"人と関わるのが苦手な女子大生・礼香はゲーム会社でバグ探しのアルバイトをしていたが、ある日気づくとルームメイトの庸子と共に木造迷路に迷い込んでいた"というSFミステリー漫画。10月初旬の朝日新聞の書評で見て購入したのだけど、すでに2刷だったし売れているようだ。

同じような部屋がどこまでも連なる設定としては映画『CUBE』が真っ先に思い浮かぶし、畳の部屋からは森見登美彦の小説『四畳半神話大系』も連想できる。同時に、ネタバレ的にはなるが、"実世界"、"表世界"という世界観には映画『マトリックス』、あるいは最近ちょうど見たばかりの低予算ながらもなかなかよく出来ていたSF映画『シグナル』を思い出させもする。

しかし、そこにバグというゲームやコンピューターの要素を盛り込んだのがユニークだし(まあ『マトリックス』もそうか)、何より大事なのはオチで主人公はこの後どうなるのだろう・・・という逃げ(『シグナル』は仕方ないとはいえそういうオチだった)に出るのではなく、単行本2冊分の中でキッチリ描き切ったことだと思う。当初はただの不思議ちゃんなだけに思えた主人公・礼香の特質がよく生かされているし、彼女のいくばくかの成長(もともとの素質も大きい)を盛り込みつつ、少年漫画やラノベ(ほとんど読んでないから言及してはいけないのだろうけど)によくある実生活では冴えない主人公が大活躍するという夢見がちな妄想をも、女の子を主人公にするという変化球は加えられているものの、丁寧にすくいとり、なおかつSF設定もよく出来ているわけで(ちゃぶ台合わせ鏡)、ハリウッドで映画化されても面白そう。
2015.10.05 Monday 23:58 | 漫画 | comments(1) | trackbacks(0)
小池ノクト 『蜜の島』全4巻

2013年8月発売。       2014年2月発売。      2014年8月発売。

2015年3月発売。

紹介されて読んだ小池ノクトの最新作『マッシュルーム』が好印象だったこともあり、彼の過去作にも手を伸ばしてみた。『マッシュルーム』と同じ幻冬舎の「月刊バーズ」に連載されていた『6000 ロクセン』も気になりはしたが、ひとまず昨年の「ブロスコミックアワード」という雑誌・テレビブロス主催のマンガ賞で大賞を獲得したこの作品から。

終戦直後、ソビエト軍の追撃を避けながら日本へ逃げ帰る途中で、南雲佳哉は戦友・貴船からいまわの際に東京に残してきた妻子を妻の故郷・石津島まで送り届けてほしいと託される。南雲は母を亡くし呆然と立ちすくむ貴船の愛娘ミツを見つけ、南を目指すことに。しかし、石津島は地図にも載っていない幻の島だった。南雲とミツは、内務省調査局の瀬里沢極と共に島に上陸するも、島で事件が起こり始める。まず、先に調査のために訪れていた今村均を慕っていた島の娘ハナが崖から何者かに突き落とされ、彼女を埋葬していた今村もおびただしい血痕と切り取られた両腕を残し行方不明に・・・。

"サバイバルミステリー"、"サバイバルホラー"と銘打たれているように、人が次々に死んでいく。とはいえ、犯人捜しとしての側面よりも、日本近海にあるといはいえ孤島という隔絶された土地で暮らしてきたが故に、島民は本土とはかけ離れた文化、生活様式を持つという設定に魅了される。それが如実に表れるのが"死"や"心"についての考え方であり、そうした文化人類学的な描かれ方は古代ギリシャなどの実例を出すなどして補強することで信憑を持たせることに成功している。終盤、島独特の条件に従って謎が解きほぐされ、意外な犯人が名指しされる展開も、その頃にはミステリーであることなど忘れていただけに、おおそうくるのかという小気味良い驚きを得られる。
2015.09.29 Tuesday 23:58 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
谷和野 『いちばんいいスカート』

2014年3月発売。

先日読んだこの著者にとって2作目となる単行本『魔法自家発電』が良かったのでデビュー作も読んでみた。2010年に第66回小学館新人コミック大賞で佳作となった「よいお菓子 わるいお菓子」も最後に収録された全7編からなる短篇集。カバーをめくったところの装丁が凝っていてかわいらしい。

娘と母の関係を描いた受賞作は選ばれるだけあってさすがに完成度が高い。その一方で、最初に置かれた表題作を始め数本は2作目にあった、何とも漠然とした言葉で申し訳ないけれど、"深み"が今ひとつ。"天国で受ける罰"という一風変わった設定がありながらも、最後に駆け足となり、主人公が泣くだけですんなり納得できてしまうのはもったいないかなとか、『魔法自家発電』では不思議さだけでなく、登場人物と読み手の感情までももう少し上手にコントロールできていたように感じる。その分、ちょっとした怪奇現象的な足首幽霊や、樹木やこたつの擬人化したお話は、こういう設定でも描くのかと楽しんだ。まあでもこれがデビュー作なわけで、批判よりは賞賛の想いの方が圧倒的に強いのは確かだ。
2015.09.26 Saturday 23:58 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
小池ノクト 『黒街』第1巻

2015年6月発売。

作者・小池ノクトが『マッシュルーム』(幻冬舎)のひと月前に秋田書店から出した新刊。リストラされた父とふたり暮らしの男子高生・黒町幸一。その父の再就職先が軒並み"ブラック"で毎回何らかのバケモノに襲われるというほぼ1話完結のホラーギャグ漫画。

絵柄やネタ的に伊藤潤二や楳図かずおのテイストが感じられたりしながも設定の説明をほとんどせずにハイテンションで1話分を突き進むため、だいぶ置いてきぼり感味わわせられる。雑誌の中の一篇ならそれでもいいだろうし、あるいは物語が突き抜け過ぎて反対にそれが心地良いものなっているなら楽しめもするが、今のままでは次巻を購入するかは悩みどころ。
2015.09.26 Saturday 23:57 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
小池ノクト 『マッシュルーム』第1巻

2015年7月発売。

SNSで『ノー・ガンズ・ライフ』を教えてくれた方が、他にも『黒街』と『ヤスミーン』も勧めていて、ただ後者の動物漫画は書店にあった立ち読み冊子でパラパラ読んだところ、画力とそもそもの絵柄が好みではなく、カラスマタスクに続いて購入したのは『黒街』と同じ作者がほぼ同時に発表したこの作品。『黒街』は秋田書店の月刊誌「Championタップ!」で、この『マッシュルーム』は幻冬舎の同じく月刊誌「月刊バーズ」で連載されている。

南太平洋の島で発見された新種の菌類"パンドーラ"は、ウィルスと特殊な共生関係を持ち、人間に感染すると宿主の全身の細胞を変革させる。そして種の本来的な目的・増殖を忠実に実行すべく、パンドーラは宿主とそっくり同じコピーを作り出す。マッシュルームとはその作り出された人間そっくりのコピーをいう。東京でパンドーラが引き起こした殺人事件が起こり・・・。

バイオホラーとも、映画界だけではなくドラマでも、あるいは日本の漫画にも浸透し始めているゾンビ作品の亜種ともいえそうなホラー漫画で、まだまだ序盤のためにどう話が広がり、大風呂敷になるのか小さくまとめるのか分からないけれど、主人公と思っていたキャラがあららとなる展開は悪くないし、映画と比べると暴力描写への規制が緩い漫画だけあって残虐表現がしっかりあるのも好感が持てる。
2015.09.24 Thursday 23:57 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
谷和野 『魔法自家発電』

2015年8月発売。

日付をまたぎ、すでに19日土曜日の終電で駅に着き、深夜のラーメン屋でかすかに流れる国会中継を聞きながら麺を胃袋に流し込み、家に帰り、罪悪感をいくばくか抱えつつ温かいベッドに倒れ込んだ。朝起きて見るのは怖くはあったけれど、それでも携帯のニュースサイトで事実を確認した。できるだけ何も考えないようにしながらトゥイッターのタイムラインを流し読みした時、そこには打ちひしがれるのではなく、笑ってすらいる表情の若者の写真がアップされていて、ああまだこれからなんだ、始まったばかりなんだと、もうずいぶんと年の離れた彼らから、こう書いては本当にかっこ悪いけど、力を貰い、嫌な失望感にさいなまれずに済んだ。

溜まってた洗濯物を回している間に駅前の書店で買ってきたのがこの漫画だった。表題作でもある冒頭の短篇で物語の世界に浸るという何ものにも代えがたい時間を得ることができた。心がまた少し軽くなった。それは私にとってとても大事なことだった。だから、そのタイミングでこの1冊だったのは本当に偶然ではあるのだけど、この先読み返すたびに著者への感謝の念がよみがえるだろう。

2010年に小学館新人コミック大賞で佳作を受賞し、デビューした漫画家で、この『魔法自家発電』で2冊目の単行本となる。自分をバケモノと認識している男子高生が電車の中で天使に出会う表題作。両親のひどい夫婦ケンカに悩む少年のベッドがある夜、空高く飛び出して、同じ境遇の少女と出会う「ソファベッド・ツアー」。フーと名付けられた女性ロボットは博士に長年献身的に仕えるうちにある感情を抱くようになる中篇「Whoにつける名前」。お天気売りのショートショート「おてんきはんばい」。そして、水のある部屋で暮らす少年と女性の話「2人時間」の5本が収録されている。

単行本の名前になっているだけあって「魔法自家発電」の完成度の高さは申し分ないが、「ソファベッド・ツアー」やロボットの話にしても、最後までこれは一体何の話だろうとニブチン過ぎて分からなかった「2人時間」だって、読み手に強くある感情を押し付けるのではなく、じんわりとした淡い思いでそっと包み込んでくる。それは大島弓子を連想させる。絵柄も当然あるのだけど、彼女のあの不思議な空気感ととてもよく似ているのだ。この先が楽しみな漫画家に出会えた。その意味でも朝ニュースを見た時に一瞬抱いてしまった悲壮感や無力感を帳消しにしてしまえる本当に嬉しい発見だったのだ。
2015.09.19 Saturday 23:58 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
烏丸匡 『シャングリ・ラ』全4巻

2008年11月発売。      2009年4月発売。      2009年9月発売。

2010年2月発売。

SNSで勧められて先日読んだ『ノー・ガンズ・ライフ』のカラスマタスクが漢字の"烏丸匡"(読みは同じ)だった頃の作品。原作は池上永一の同名SFファンタジー小説。当時、2006年ぐらいか? 結構評判の小説で、その数年後にようやく読んでみたら、かなり不思議ことが描かれながらも、どこか地に足を付けている世界観が魅力のひとつだったそれまでの池上作品とは異なり、キャラ立ちを優先させ、大仰な設定を取るのに、その内側は空洞なハリボテ世界が広がっているとても安直な物語でしかなく、次第に辟易していき、その大著の残り5分の4ぐらいまで辿りつけていたけれど、結局放り投げてしまった。こうして漫画といえどもオチを読めるのは喜ばしい、かもしれない。


地球温暖化と過激な緑化計画の結果、東京はジャングルと化していた。中央政府や富裕層は、空飛ぶ高層建築"アトラス"へと移住し、地上に残された人々はスラム街"ドゥオモ"に立て籠もった。押し寄せる自然の猛威と政府の圧政に抗うべく、ドゥオモの住民は北条國子率いる武装集団"メタルエイジ"としてアトラスへの進攻を始めるが・・・。


主人公の北条國子を始め、その母役でオカマのモモコ、対立する美那とその従者・小夜子、もう一方の勢力・涼子といった登場人物たちは、これでもかと大コマで見得を切り、物語そっちのけで奮闘してみせる。アニメ化もされたようで実に角川らしいメディアミックスぶりだったが、確かに小説よりは分かりやすい絵の方が合っている。そして、漫画版も小説と同じく面倒な設定を(おそらく)敢えて放棄し、敵味方関わらずキャラがとにかく輝くための展開に終始する点で一緒だ。まともに読むと底の浅さにげんなりさせられるが、モモコ中心に読めばそれなりに楽しめはする。
2015.09.15 Tuesday 23:58 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
カラスマタスク 『ノー・ガンズ・ライフ』第1〜2巻

2015年2月発売。      2015年8月発売。

大きな戦争を経て復興が進む世界を舞台にしたSFハードボイルド。主人公の乾十三は、戦時に活躍した身体機能拡張者のひとりで、頭が拳銃に拡張されている。同じ拡張者の問題を処理することを仕事にする十三は鉄朗少年の保護依頼を受けたことで、超巨大企業ベリューレン社、政府の警備局、復興庁との思惑・抗争に巻き込まれていく。

ずいぶん長いこと漫画から離れていたので、今面白い作品がなんなのかさっぱり分からず、新聞文化面や雑誌書評で紹介されているものをピックアップしてたのだけど、先日の『ヴォイニッチホテル』ではないけれど、人に訊くのもいいかもと、まだ1〜2巻ぐらいしか出ていないけれど、お勧めの漫画教えてくださいと呟いたところ、親切な人がいるもので、この『ノー・ガンズ・ライフ』を勧めてもらえた。そしたらアタリ!

銃頭男という奇抜な設定の魅力もあるが、通底にあるのはとてもオーソドックスなハードボイルドで、そこがとてもいい。不満を漏らしながらも依頼をこなそうとしていくうちに方々から困難が舞い込んで来て、男の真価が問われるみたいな世界観。もうたまらない。それと、小説なら過不足ない文章が大事になるが、漫画では画力で、それもしっかりしている。だからあり得なさそうな設定にも説得力が生まれる。続きが楽しみ。
2015.09.11 Friday 23:57 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
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