すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
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名探偵ゴッド・アイ / 盲探

55点/100点満点中

2013年のジョニー・トー監督作。サスペンスコメディ。アンディ・ラウ主演、ヒロインにサミー・チェン。この3人の組み合わせは本作で4作目だそう。お馴染み・安心のラム・シューもカメオ出演。タンゴダンサーできれいなんだけど、どこかおかしいディンディン役の女優は北京出身の高圓圓。製作費8500万香港ドル。

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犯罪捜査課の刑事だったジョンストンは、4年前に全盲となってからは卓越した推理力を武器に探偵として活躍している。ある日、元同僚シトの部下で、体力自慢の女性刑事ホーから彼女が学生時代に起きた友人シウマン失踪事件の捜査を依頼される。
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トー監督は本作の6年前にも『MAD探偵 7人の容疑者』という探偵ものを制作していて、その作品で共同監督・共同脚本を担当したワイ・カーファイは今回も脚本で参加している。『MAD探偵』は色々"見える"元刑事の探偵が男性刑事ホーを相棒に難事件を解いていく話だったが、本作でも全盲ながら被害者と会話するようにして捜査していく元刑事の探偵を主人公がとなり、まあ姉妹版みたいな仕上がりだ。アンディ・ラウ演じる盲目探偵ジョンストンの言葉を借りれば、"当事者の境遇を想像して推理する"そうだが、MAD探偵の"自らを殺人現場と同じ状況に置き、犯人の心と同化することで真犯人を突き止める"手法とほぼ一致する。

大きな違いはコメディになっていることだ。それとロマンス。知力を担当するジョンストンと、体力バカのホーというバディもので進行するもそこは男女なわけで、いつの間にか恋心が芽生えていたりして、それまた笑いの要素として処理される。
2015.09.09 Wednesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
WER ウェア / Wer

76点/100点満点中

2013年のホラー映画。監督は『デビル・インサイド』のウィリアム・ブレント・ベル。同作で共同脚本をしたマシュー・ピーターマンも今回同じく製作・脚本を担当。主演は『デッドコースター』やテレビシリーズの「クリミナル・マインド」でレギュラーとして活躍するA・J・クック。彼女の元恋人役ギャビンには『デビル・インサイド』にも出演していたサイモン・クォーターマン。TSUTAYA限定レンタル作品。

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フランス・セルドンで休暇を過ごしていたアメリカ人一家が全身毛に覆われた大きな獣に襲われ、無残な死体で発見される。しかし、仏警察ピストール警視はタラン・グウィネックという大男を逮捕。不当と弁護を買って出た人権派弁護士キャサリン・ムーア(ケイト)は、友人ギャビン・フレミングの指摘を受け、彼は珍しい病気を抱え身体的理由から犯行は不可能と主張。確認すべく、タランを病院に護送し医学的な調査を行うことに。
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ここ数作、実にホラー映画らしいハズレ作品を引いてきて、今回も何ら期待せずにディスクをレコーダーに入れたわけだけど、これは嬉しい誤算。アタリだ。容疑者タランの超常的な力の発揮までの流れを追っていく形を取るためか、ソフト裏にある宣伝文には『クロニクル』を挙げていたという記憶があるが、どちらかといえば同じPOV方式でも先日ちょうど見ていた『AFFLICTED アフリクテッド』の狼男版だろう。ヴァンパイアにしても、今回の狼男にしても、すでに幾度も作品化されているが、主観ショットやウェアブルカメラ、監視カメラを駆使することで実に生々しく躍動感に満ちた絵を映し出すことで手垢塗れのモンスターから新しい魅力を引き出すことに成功している。

ただ、本作は、『クロニクル』や『アフリクテッド』、あるいは監督の前作『デビル・インサイド』(エクソシストもの)のように登場人物のひとりがカメラを回すPOV方式ではない。でも、まるでそういう人物が劇中にいるようなドキュメンタリータッチの映像で、そこに監視カメラや警察が身に付けるウェアブルカメラ、報道映像を織り交ぜて、よりリアリティを持たせようと腐心する。とはいえ、キャラクターの中で回されるカメラの視点が、ドキュメンタリー的と理解していても、主観撮影ホラーが全盛でそれに慣れてしまってる身としてはなんだか落ち着かない。この今見てる揺れる映像は誰が撮影しているのだ?と思ってしまうのだ。

そうした違和感はやはり最後まで拭えないものの、不気味な容疑者タラン・グウィネックが本当に惨殺したのかという疑惑から、弁護士ケイトとその助手エリック、ケイトに呼ばれてわざわざアメリカから駆け付けた元ボーイフレンドのギャビンのチームが新たな疑いを発見し、そうしている間にも別の馬殺しの事件が持ち上がったりと、ミスリードとまではいわないにしろ物語を膨らませ、同時にホラーらしいえぐい映像もしっかり映し出していくなど、しっかり身が詰まった前半になっていて見応えがある。後半では狼男の発現から、新たな感染者、クライマックスの格闘など展開は悪くない。もともと期待していなかった映画ということもあるが、あれ、感染したのにどうした?とか疑問点は残されたままとはいえ、物語の締め方もそう悪くはない。
2015.09.03 Thursday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
兵器人間 / Army of Frankensteins

33点/100点満点中

ほぼ自主制作に近そうな2014年のSFホラー。DVDスルー作。製作費6万5000ドル。

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気弱な青年アラン・ジョーンズは恋人の裏切りを目撃し、その場を立ち去ってしまう。帰宅途中、不良に絡まれた彼をイゴール少年を救ってくれるが、目を覚ますと怪しげな実験室で拘束されていた。死体をつぎはぎして作った人造人間の最後の部位・右眼球の提供者としてアランは拉致されたのだ。逃げ出る彼は電気ショックを作動させてしまう。そこに落雷があり過度な電流が生じ、"多元宇宙に亀裂"が入り、彼らは南北戦争終盤の1864年に飛ばされる。
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これは完全にアマゾン・カスタマーレビューの星の数に騙された。『武器人間』のパクリ的邦題にそういうものの常として鑑賞に値しないと分かってはいたのだけど、意外に星が付いていて(レビューの内容まで読むのは見終えてから)、ならばと考えを改めてしまったのが凶と出た。アマゾン掲載の宣伝文によると、本作の監督は"『武器人間』のリチャード・ラーフォースト監督と深い親交があり、製作段階から、テーマの類似した互いのプロジェクトを共有。作品の完成までにアイディアやアドバイスを交換しあった"そうだ。邦題だけではなく、原題でも本作が"Army of Frankenstein"で、『武器人間』の"Frankenstein's Army"に寄せている。

『武器人間』だってそれほど褒められた作品ではなかったが、フランケンシュタイン博士の孫が創り出すモンスターには独創性やこだわりがあり、その造形を楽しむという点では悪くなかった。けれど、本作は素人映画だ。先日鑑賞した『最恐ゾンビ・ハンター』も演出が下手だったが、それに輪をかけて今回はダメダメな仕上がり(順繰りに自分語りを初めてキャラクターに厚みを付けようとの意図があからさまだったり、描きたいことが絞れていないため唐突に男女問題を持ち出したりと、まあ目も当てられない。ただ、総じてキスへの展開が早いのは面白かったが)で、さらに俳優たちの演技力が酷い。日本人として羨ましいのは洋画の場合、B級、C級に関わらず役者の層が厚いのか大根は見当たらないのだけど、本作は豊作に過ぎる。しかも録音状態が悪いのか、発声そのものにも違和感がある。

褒めるべき点は特にないが、オチの紙幣は悪くない。二段オチでの復活も最初からめちゃくちゃな脚本の映画なのでほほえましくなる。
2015.09.02 Wednesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
最恐ゾンビ・ハンター / Zombie Hunter

52点/100点満点中

2013年のゾンビ映画。本国アメリカではビデオスルーになったが、日本では「未体験ゾーンの映画たち 2014」と題されたイベントで限定公開された。クラウドファンディングの「キックスターター」でVFXの資金を調達したそう。製作、出演陣問わず、ダニー・トレホ以外は無名。

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ピンク色した謎の新型合成麻薬ネイタスが大流行し、その副作用で人類の大半が生きる屍"イーター"となった世界。1年後、妻子を失った男ハンターは愛車カマロを駆り、目に入るイーターを片っ端から殺しながら荒野を突き進んでいたところ、突然何者かに撃たれる。目覚めるとイエズス神父を中心とした6人からなるグループの隠れ家にいた。
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ゾンビ好きの人間が自分たちでも!と資金を募って作ってしまった作品らしく、"映画"としては微妙な出来だ。特に序盤は心理描写や舞台設定をモノローグで解決させてしまう(邦画のよう)。ピンクの錠剤でゾンビ(作品中では"イーター")になる設定のためその血までがピンクになり、またゾンビたちの視界もピンク色に染まっているのだけど、それを効果的に使って"刺激的な映像"を作り出したいのだろうが、スローモーションを始め、カット割りや演出のダサさは否めず、スクリーンに挿入される登場人物の名前などもロバート・ロドリゲス(それこそダニー・トレホ起用もそうだろう)辺りを意識し、オマージュしてるのは分かるが、いかんせん野暮ったい。編集のキレも悪い。

トレホといえば、彼が主演した同年の『マチェーテ・キルズ』のジェシカ・アルバ、あるいはだいぶ前の映画で、趣味として映画を見始めた頃に鑑賞して、こんな早々に主役級がいなくなることってあるのかと驚かされた『エグゼクティブ・デシジョン』でのスティーヴン・セガールのような出演の仕方(全編で登場させるほどの予算がなかった?)でちょっと面白かった。

こういう絵を撮りたいのだろうというのは伝わる。チェーンソーをギューンギューン鳴らしながらの追いかけっこから倒れたところを見上げる形で映し出すカットなど『悪魔のいけにえ』オマージュもある。しかもこのシーンは『ダークナイト』のジョーカーの崩れたピエロメイクも追加されている。が、演出面や編集面でセンスのなさが露呈し、俳優たちの演技力も足を引っ張り、しかもクライマックスに向けて加速させなければいけないシーンで前半でやっておくべき身の上話を持ち出し一度失速させるなどちぐはぐさは最後まで拭えない。とはいえ、ある意味主役ともいえるゾンビたちのメイキャップは力が入っている。殺害シーンに目新しさはないが、自分たちの手でこれまで見てきた映画ワンシーンを撮っているのだという純粋な喜びが画面からもよく分かる。進化系イーターはコミケであの程度なら仮装できるのだと知っていたので驚きはなく、反対に彼らが活躍すればするほどCGっぽさが露わになってしまい、終盤は"映画"ではなく"ゲーム"になってしまうのは残念。でも、ぶっ放される銃弾の衝撃波で周囲が歪む演出は良かったかも。
2015.09.01 Tuesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
サブリミナル / Franklyn

66点/100点満点中

2008年の英国製SFサスペンス。出演は『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)でボンドガールを務めたエヴァ・グリーンや、『オン・ザ・ロード』で主演したサム・ライリーら。英国国営宝くじThe National Lottery援助作品。DVDスルー作。製作費600万ユーロ。

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宗教が全ての根幹にある都市ミーンワイル・シティ。11歳の少女サラを邪悪な教団デュプレックス・ライドから救えなかった覆面の男ジョン・プリーストはその教祖インディビジュアルに復讐する決意を固める。一方、現代ロンドン。結婚式直前にフラれたマイロは親友ダンの助けを借りながら立ち直りかけているところに、幼馴染のサリーを見かけ惹かれていく。父を亡くし精神を病んだ芸大生エミリアは何度目かの自殺未遂から救出され、行方不明の息子デイヴィッドを捜し出すべく父親ピーターはロンドン中を懸命に歩く。
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昨年鑑賞した2008年のカナダ産良作ホラー『ON AIR オンエア 脳・内・感・染』の冒頭に収録されている予告編集で気になった作品。

科学がそれほど進歩しているわけではないけれど、『ブレードランナー』などに出てくる高層ビル群とスラム化が一緒くたになったようなダークなミーンワイル・シティを舞台にした覆面男ジョン・プリーストの孤軍奮闘と、現代のロンドンでの物語が交互に語られる。ロンドンではあらすじでも書いたように、フラれ男マイロ(サム・ライリー)とリストカット女エミリア(エヴァ・グリーン)、そしてケンブリッジから出てきた初老のピーターの3つのドラマだ。

それぞれ独立していたふたつの世界が合わさるのは始まって65分過ぎ。ようやくだ。どう重なるかはサスペンス映画の醍醐味のひとつだから書かないが、本作で描かれるのはマイロの幼馴染サリーのセリフ、"人生は空想なしには辛すぎる"という言葉に集約される。大切な人を失った喪失感、あるいはそこからの壮大な逃走劇だ。

そのマイロは婚約者に突然フラれ、幼い頃に父を亡くした時にも助けてくれたサリーと出会う。エミリアも同じく父の死を心の中の正しい位置で受け止めることができず、母の助けも期待できずに、ひとり必死にもがき助けを求めている。イラク帰りの息子デイヴィッドを捜しているピーターは現在進行形の欠落感を苛み、ミーンワイル・シティのジョンの場合は、自分に強い憤りをぶつけるエミリアとは異なり、憎むべき敵に怒りをぶつけようとする。

ふたつの世界がひとつに重なり合うクライマックスは充分面白く見られるし、ぽっかりと空いた心の穴を埋める幸せもしっかり描かれていて悪くはないのだけど、全体としてもう少し分かりやすくても良いと思わなくもない。100分弱の上映時間は決して短いわけではないが、ややもするとあらすじを描いているだけにも感じる。


エヴァ・グリーンがエミリアとサリーのひとり二役ををこなしているのを記事を書くにあたって初めて気づいた。彼女のあの鋭利かつ高貴なアゴや目元でもって、お高くとまった女性をよく演じているという印象があるため、今回のエミリアのようなアイライナーをきつく入れた、ゴスな雰囲気の芸大生(撮影当時は26〜27歳ぐらいか)に扮しているのを見るのは、『MAMA』でジェシカ・チャステインがロックミュージシャン役をしているのを目撃するような、なんだかよく分からないお得感がある。
2015.08.28 Friday 23:57 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
ボーグマン / Borgman

71点/100点満点中

第46回シッチェス・カタロニア国際映画祭グランプリを獲得し、『アデル、ブルーは熱い色』が受賞した第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された2013年のオランダの不条理スリラー。監督・脚本のアレックス・ファン・ヴァーメルダムはボーグマンの仲間のルドウィッヒ役で出ている。ベルギー映画『闇を生きる男』にも出演していたイェロン・ペルセヴァルがリシャルトに扮している。

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裕福な夫婦リシャルトとマリナの裕福な夫婦は、3人の子供に恵まれ、ベルギー出身の若い乳母スティネと共に森の中のオシャレなデザインの家で暮らしていた。ある日、アントン・ブレスケンス(カミエル・ボーグマン)を名乗る浮浪者が訪ねてきて、風呂を借りたいと唐突に頼む。当然、追い出されたものの、夫リシャルトの外出中にアントンは離れに忍び込んでいた。無下にできない妻マリナは彼の世話をすることに。
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とても不思議な質感の物語で、よく理解できない展開を辿るのに、被害に遭う作中の人物だけではなく、見ているこちら側もいつの間にか納得している心持ちになっていることに気付く。

外見は「ホーム・インベージョン」の体裁を取るが、その侵略はゆっくりとしたもので、相手の領土をじんわりと浸食していくものだから、気づいたときには引き返せないところまで来ているという具合だ。最初にリシャルトが暴力でもって、アントンを追い出したため、マリナは彼に負い目を抱いてしまう。アントンはそこをつけ込み、風呂と寝場所をせしめ、しかもリシャルトに対し秘密を作らせる。こうして徐々に共犯関係を気づいていき、アントンが出ていくといった時には彼を引きとめもしてしまう。元の平和な日常がせっかく戻るというのに。

ここまでの物語だって十分おかしなものだったが(そもそもオープニングの地中生活も意味が分からない)、アントンが新しい庭師カミエル・ボーグマンとして戻ってくる辺りから人がスパスパと殺され、本作は本領発揮する。庭師の仲間に、穴蔵暮らし仲間だったルドウィッヒとパスカルを呼び込み、さらには女性陣ふたりブレンダとイロンカまでがいるのだ。しかも、サイコパスは彼らだけではなく、マリナの次女イゾルデも何か普通ではない振る舞いを平然と行う。こうして、秩序や平穏がそれこそ緑豊かな庭が破壊されていくのと同じように崩れていく。

躊躇いもなく人を殺せるボーグマンたちは一体何者なのか。人間ではない何か、それこそ比喩としてではなく"悪魔"が人の形を取ったようにも思える。懐に入る巧妙さはまさに悪魔的であるし、犬に変身できるのではと思わせるシーンも用意されている。

答えは用意されていないが、マリナがリシャルトに思わずこぼすセリフが興味深い。かわいい子供たちを育て、豪邸で不自由なく暮らしている恵まれた状況に罪悪感を覚えるというのだ。それを聞いた夫は、自らが選んで裕福な国に生まれわけではないと返す。その言葉から思い出したのがオーストリア人監督ミヒャエル・ハネケが2005年に制作した『隠された記憶』だった。その映画のテーマは見ている時には理解できなかったが、収録されていたインタビューで監督が明快に語っていた。

"個人が「罪」とどう向き合っているかについての映画...人間は世に生まれたことですでに「罪」を持っている。意図的であろうとなかろうと先進国で生きる我々は、絶対的に後進国や貧しい人々を犠牲にして高い生活水準を保っている。つまり、先進国にいる我々は誰でもある種の罪意識を心の中に抱えていることになる"

同じテーマが本作にあるとは思わないが、唯一意味ありげなセリフでもあったのは確かだ。

まあ、この映画で一番惹かれたのは死体処理のやり方で、日本のヤクザやアメリカのマフィアが死体を海や湖に沈める時は重し代わりにもなるコンクリートで足元を固め、突き落とすのが常だけど、ここでは死体の頭をバケツに入れそこにコンクリートを流し込むという発想の逆転を見せる。水の中で足がユラユラする光景はなかなかえぐいものがある。
2015.08.26 Wednesday 23:57 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
ゾンビ・リミット / The Returned

67点/100点満点中

2013年のスペイン・カナダ合作ゾンビ映画。監督は『エクソシズム』のスペイン人監督マヌエル・カルバージョ。製作に「REC/レック」シリーズや「スパニッシュ・ホラー・プロジェクト」を手掛けてきたフリオ・フェルナンデスが参加している。

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1980年代前半にリターンドと呼ばれるゾンビ禍に見舞われ全世界で1億人以上が犠牲になった世界。女医のケイトは家族を失った悲しみを糧にリターンドの治療を専門にする病院で働いている。唯一効果があるワクチンの在庫が尽きかけてるとの噂が流れ始め、彼らに対する恐怖心や偏見、財政上の圧迫などから反リターンド派の運動が一層過激になり始めていた。そんな中ケイトの恋人アレックスは6年間ふたりだけで共有していた秘密を、彼の25年来の親友ジェイコブとその妻アンバーに打ち明けることにした。
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再び「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2014」からの1作。『キョンシー』『モーガン・ブラザーズ』『パトリック 戦慄病棟』『トランストリップ』と見てきてこれで5本目。残りはひとつか。頑張ろう。

表現はおかしいけれど、とても真面目なゾンビ映画。物語の中では"リターンド"が正式名とされ、"ゾンビ"と呼びならわすことは政治的に正しくないとされている。それでも、1981年から84年にかけての第一次流行で大勢の犠牲者を出した記憶から、病気をコントロールでき、感染しても毎日投与するワクチンで発症を抑えられ、普通の生活を送れるまでになってもまだ差別意識は残り続けている。

この疫病が人類の脅威となった年を考えると、まさにAIDSウィルスを念頭に置いているのだろうし、当局が事態を鎮静化させることができず、仕方なく隔離に向かうというのはハンセン病を始め、去年西アフリカで大流行したエボラ出血熱もそうだろうし、また病気だけに限らず、ナチスドイツがユダヤ人やLGBTの人々に行った仕打ち、あるいは日米問わず行われた敵性外国人の収容といったことも同じだろう。

最後には尊厳死の問題も関わってくるし、そういったことをゾンビ禍という分かりやすい寓話として語られていく。ドラマとしてとてもうまいのが、冒頭にケイトの家族がリターンドに襲われることで、辛くも"ひとり"逃げ出せた彼女が心の奥深くで抱き続けた悔恨の情。それがクライマックスで昇華できたかと思いきや・・・というなんとも辛い展開があり、そして轢き逃げや医師として問われるべき倫理観などの問題を全て振り切り、かつて欲していた新居を手にした身重の彼女が睨みつける壁に貼られた獲物の足跡という終わり方も良かった。
2015.08.25 Tuesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
7500 / 7500

56点/100点満点中

「呪怨」シリーズの清水崇監督とプロデューサー一瀬隆重とのお馴染みコンビによるハリウッド製作のホラー。2015年公開作品(ひと月後にはTSUTAYA先行でレンタル開始)。

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ロサンゼルス発羽田行きのビスタパシフィック航空7500便。夜間便は何ら滞りなく飛び立ち、高度1万メートルに達し、ベルト着用サインも消え、飲み物が配られ始めた直後に乱気流に見舞われる。急激に高度が下がるも、それも収まった矢先、大事そうに怪しげな木箱を抱えていた乗客ランス・モレスが突然発作を起こし、救命活動の甲斐なく亡くなる。ビジネスクラスに死体を安置することにしたが・・・。
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様々な乗客が乗り合わせるジャンボジェット機内を舞台にしているため、ほぼ群像劇といっていいのだけど、主役格の救命士を演じるのはジェームズ・ワン監督の『デッド・サイレンス』やオーストラリア映画『レッド・ヒル』で主演していたライアン・クワンテン。その妻役は『バタフライ・エフェクト』のヒロイン、エイミー・スマート。ゴス娘に扮しているスカウト・テイラー=コンプトンは新「ハロウィン」で"ローリー・ストロード"を演じていた。機長と不倫している先輩の客室乗務員は「アイアンマン」シリーズの最初の2作で雑誌記者を、あるいは本作と同じくハリウッドで日本人が撮った『ミッドナイト・ミート・トレイン』などにも出ていたレスリー・ビブ。その同僚スージーは『エンジェル ウォーズ』や『シン・シティ 復讐の女神』で東洋系を担当し、良作『96ミニッツ』にも出演しているジェイミー・チャン。

飛行機物では定番といえる分かりやすい人物紹介が序盤に展開され、つまらなくもないがとりたてて面白いわけでもない。1回目の乱気流に突入し、ランス・モレスが死に、怪異現象が起き始めた時、ふた組の夫婦が彼の死が何か関係しているのではないかと、勝手に残された手荷物を調べ始めた辺りから、急にキャラクターが主体的になり始める。とはいえ、恐怖表現は抑え気味だ。何かが白い煙の中にいたり、座席上部の荷物入れに引きずり込まれたりと、傷つく瞬間はもちろん害を及ぼしている源も見せようとしない。そのため、子供相手のおどかしに留まる。不思議なのは対象年齢を幼くしているにしては、彼ら彼女らが感情移入しやすい同年代を配置せずに、平均年齢がやけに高い。

ただ、ホラー映画の清水ではあるのだけど、恐怖そのものを描くよりは、クライマックスで明らかになる真相こそが本作の面白さなのかもしれない。でもそのわりには、新婚カップルの旦那の方の扱いが雑だったり、うるさ型の花嫁の方はとてもありがち過ぎてうんざりさせられるホラーの幕切れ要員として消費されたりと、全体的にいえることだけど中途半端さが目立つ。そもそも、"シニガミ"人形を登場させた時点でどこかジェームズ・ワン作品っぽさが出ているし、その"未練を絶たない"と成仏できないという考え方を唐突に日本通なところを見せるゴス娘に説明させることに違和感を覚えるかどうかはともかくとして、その感覚が欧米人に理解できるのかも疑問だ。強い恨みではなく、未練。
2015.08.24 Monday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
トランストリップ / Magic Magic

40点/100点満点中

チリ・アメリカ合作の2013年の心理スリラー。主演はイギリス出身のジュノー・テンプル。共演には『JUNO/ジュノ』『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』『キミに逢えたら!』のカナダ人俳優マイケル・セラ(製作総指揮にも名前を連ねる)、『エンジェル ウォーズ』のベイビードールことエミリー・ブラウニング(オーストラリア)、2004年の『そして、ひと粒のひかり』で主演したコロンビア人女優カタリーナ・サンディノ・モレノら。共同撮影にはクリストファー・ドイルもクレジットされている。

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アメリカ人のアリシアは初めての海外旅行にいとこのサラが留学しているチリに遊びに来た。サラの彼氏アグスティンとその姉バルバラ、アグスティンの高校時代の友達ブリンクらも一緒にチリ南部に旅立つが・・・。
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キョンシー』『モーガン・ブラザーズ』『パトリック 戦慄病棟』ときて、「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2014」からの4作目は、第46回シッチェス・カタロニア国際映画祭でジュノー・テンプルが主演女優賞を獲得した本作。邦題のおかげで鑑賞中は気づかなかったけれど、結構前から気になっていた作品で、ようやく見られたことになる。

しかし、つまらない。サンダンス映画祭で初上映され、カンヌ国際映画祭では「監督週間」で公開されるなど一定の評価はあるようだけど、非常に"実験的"な映画で、よく分からない演出と雰囲気だけはある音楽が付けられ、しかもそこで切るのかというあっけないエンディングを目の当たりにすると、まあその手の映画祭ならウケるのかもしれないねと遠い目をしてしまう。

初めての海外で不安を覚えるアリシアは、エミリー・ブラウニング演じる保護者的ないとこのサラが旅を一時離脱することで精神の不安定さを加速させる。しかもマイケル・セラ扮するお調子者ブリンクにちょっかいを出され、次第に幻聴幻覚に悩まされることになる。そこに本で覚えたての催眠術をサラのボーイフレンドのアグスティンにかけられ、てんやわんやな状況に。

精神を病んでいる人にありがちな、自分は大丈夫と思いこんだり、被害妄想を膨らましたりといった展開がPOVではないけれど、ややドキュメンタリータッチな映像で切り取られ、短い上映時間とはいえ終始アリシアのうんざりさせられる狂気と付き合うことにもなり、早々に失敗作であることが明らかになる。登場人物の設定や台詞もその場のアドリブで行っているような緩さがあり、それも見にくさに繋がっている。

ソファに腰かけるアリシアがアグスティンから催眠術をかけられる場面で、通常のスピードで見ている分には気づかないのだけど、早送りをした際にソファの柄の花がうごめいているのはちょっと面白かった。
2015.08.20 Thursday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
パトリック 戦慄病棟 / Patrick: Evil Awakens

45点/100点満点中

1979年のアボリアッツ・ファンタスティック映画祭でグランプリを獲得したオーストラリアのカルトホラー「パトリック」をテーマにしたドキュメタリ―を2008年に制作したマーク・ハートリー監督が自らリメイクした2013年の豪州産サイキックホラー。主演は『サプライズ』で襲撃犯よりも凶悪な女性を演じたシャーニ・ヴィンソン。

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人里離れた海辺に建つ不気味なロジェット・クリニックに赴任してきた看護師キャシー・ジャカードは、昏睡状態のはずの青年パトリック・トンプソンと意思疎通ができることに気づくが・・・。
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キョンシー』『モーガン・ブラザーズ』と同じく、本作も「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2014」のひとつ。が、驚くほどつまらない。見始めるのだけど、退屈なものだから睡魔にすぐ襲われ、96分と短いにも関わらず、最後まで見通すのに3日もかかってしまった。まあ酷い。

"戦慄病棟"の院長セバスティアン・ロジェットは、現代を舞台にしているものの、マッドサイエンティストぶりをいかんなく発揮し、電気ショックをパトリックに与え続け、彼から何かのデータを得ようと懸命になっている。若い頃は天才医師と騒がれ、功績もあるのだけど、今は結果を求められていて焦っているのだ。パトリックは大量の電気を浴び続けたからか、身動きは取れないが、意識は戻っていて、しかも念動力まで駆使できるようになっている。ネットへのアクセスや離れた場所にいる人間に危害を加えたり、物を空中に飛ばしたりといったことを気軽にやってのける。

彼は狡猾さも持ち合わせていて、ロジェット医師には気づかせず、外見から自分に好意を持ったキャシーにだけ意思疎通を図る。しかし、やがてキャシーはパトリックの邪悪さを理解し、闘いが始まるのだ。とはいえ、パトリックは病室のベッドから一歩も動けないため念動力に頼ることになる。そうなると夢オチや背後から突然現れる、あるいは大きな音を立てるといったありきたりな恐怖描写に留まらざるを得ず、その力もどんどん破天荒になり、ホラー映画で指摘することでもないけれど、浮世離れしていく。

唯一ぐらいに良かったと思えたのは、エレベーターシャフトに落ちる一連の流れで、中田秀夫の『女優霊』かくやな手足の奇妙な配置を見せてくれる。その後のお決まりの落下も悪くない。定番ならではの安心感か。
2015.08.19 Wednesday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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